転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!   作:Mr.You78

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今回は本編とは全く関係ない特別編です。
いつかのお正月特番のようなパラレルモノとしてお楽しみいただければなと。

書き始めた当初は、まさか100話超えるとは思ってなかったんですよ……
だって原作が48話しかないのに、途中もいくつかスキップする予定で、どうしてこうなった……



Far among the Garaxy

「ふっ……! ほっ……! ソガ隊員! こ、これは……どちらに置けばよろしいでしょうか!」

「おおーぅ、こっちだこっち! ご苦労さん。手伝おうか?」

「いえ、滅相もありませんっ!」

 

腕を上げて、箱を抱えた男を迎える。

隣を歩く彼はひいこら言いながら、指定の場所によたよたと歩いて行く。

 

「思ったより早かったな……ちゃんと落とさず持ってこれた?」

「失敬な! いくらソガ隊員でも聞き捨てなりませんぞ! 子供のお使いじゃあるまいし!」

 

福耳を揺すりながら、ぷりぷり怒った青年将校が、ドスンと荷物を降ろして腰に手を当てる。

 

……ん? ドスン……?

 

「なぁトリピー……それちょっと開けてみてくれるか?」

「はぁ、早速配るのですか? そんなにせかせか急がなくてもですね……あっ!?」

「そうきたかぁ~」

 

彼が蓋を開けると……そこには、富士の麓から汲み上げた天然水が大量に瓶詰めされていた。

唖然とする青年の顔を見ていると、笑いが込み上げて来てしまうからいけない。

 

「これが缶バッジに見えるかね? トリピー? ……く、くっくっくっ……」

「道理で重いと思った……」

「いっひっひっひっひ!!」

「ええい! そんなに笑う事もないでしょうに!!」

「いやいや、悪い。でもさ、これはもう一種の才能だよトリピー……ま、いいや。丁度喉が渇いてたんだ。お前も一本飲めよ」

「ハァ……なんで途中で気付かなかったのワタシは……」

 

きゅぽんと栓を抜いた瓶を傾け、ごくごくと飲み干す水の上手いこと!!

俺はちびっこに配る缶バッジの補充をお願いしたのに……よりによってこんな重たいモンをえんやこらと運んで来たんだから、なんというか。

 

今日の俺は、広報課主催の駐屯地イベント、フレンドシップフェスティバルを手伝いに警備隊から出向して来ている。

警備隊がそんな事も手伝うのかと思ったが、隊長直々のご命令なんだから仕方あるまい。

 

というか、お前の作戦は金を食って仕方ないんだから、少しは自分で稼いでこい……とか言われた。

確かに俺の献策は、原作には無かった場所に原作に無かった兵器をドカドカ投入してゴリ押ししてる訳だから、どうにも予算を食う。それは認めよう。

 

でもなぁ……いや、ヤナガワ参謀が頭を抱えてる姿を見せられちゃ、俺としても嫌とは言えないんだけどさ。

スミマセンでした参謀。貴方が1話からめっきり姿を見せないのは、まさか予算獲得に奔走していたからだなんて、知らなかったんです……

 

そりゃそうだよな。ウルトラホークを一回飛ばすにも、どえらい莫大な金がかかる。資金面をなんとかする人がいなけりゃ、すぐに我々の今年度の予算はゼロ。

……そんな事態は何としても回避せねばならない。ホークが飛ばなきゃ、予算どころか来年度がそもそも無くなっちまうからだ。

 

それとこれとがどう関係あるんだと思えば、こういったイベントで地域住民の理解を得る事も、予算獲得の重要な要素なんだそうな……もうヤナガワ参謀に足向けて寝られないよ……

 

そんなわけで、お前も何かイベントの為に考えろと言われたので、提案したのがこの缶バッジだ。

ウルトラホークや防衛軍のマークをプリントした缶バッジでも配れば、それなりに子供ウケするかなと思ったんだよ。

一個あたりも安上がりだし。

 

でも、缶バッジの生産が盛んになったのはもう少し後のようで、普通に業者への委託金が発生して怒られた。

『お前の脳ミソは金を投入せんと回らんようになってるのか、デパートの屋上で踊ってろ』ってのは酷い。

子供たちへの浸透効果は高く見込めるので、案自体は通ったのがまた質が悪いとか散々な言われようだった。

またヤナガワ参謀が頭を抱えていた。

 

予算を獲得するために予算を使い込む男とか、血を吐きながら続ける悲しいマラソンとか、流石に泣いた。

特に後者。ダン、あの時と全く同じ顔で言うのはヤメてくれ。

 

そんなオレの哀しみの詰まった缶バッジは飛ぶように売れ、投資した予算だけはギリギリ回収できそうだ。

このまま作戦室のみんなを見返してやるぞ!!

 

「よし、せっかくトリピーが持って来てくれた訳だから、この水もこっちのブースで売ろう!」

「あの、ソガ隊員……いつもお世話になっている身空で大変言いにくいのですが……いい加減そのトリピーというのはちょっと……」

「え!? ダメなの!?」

「駄目といいますか、響きがあまりに軽いといいますか……ソガ隊員のせいで、部隊内でもワタシをそう呼ぶものが増えてきていまして……もうちょっとどうにかなりませんでしょうかぁ!」

 

もじもじと指を交叉させながら、訴え掛けて来る。

 

「いいじゃないか、渾名で呼んで貰えるってのはな……それだけ仲が深まったという証だ。いや俺もね? トリピーがどうしても嫌ってんなら止めるよ? でもさ、憧れないか……?」

「憧れるって……なにを?」

「例えばキリヤマ隊長とクラタ隊長を見てみろ? 久しぶりに顔を合わせりゃ、お互いをモグラ、サウスと呼び合う仲だ。なんかこう……そういうのいいだろ?」

「でもピーというのは……」

「お前は知らないかもしれんが、あのタケナカ参謀ですら、同期をサコっち呼ばわりだぞ、サコっち」

「サコっち!? あのタケナカ参謀が!?」

「そうだ、未だに再会するとその名で呼ぶらしい」

「へ、へぇええ……」

 

口をあんぐりと開け、信じられないと言った様子の後輩隊員に、畳みかける。

 

「いくつになっても、 襟を開いて若い時の渾名で呼びあえるような戦友こそ、得難いものだと俺は思ってる。だからこそ、俺はお前をトリピーと呼ぶわけさ……お前がいつか出世して、周囲から肩書で呼ばれるような人物になっても、俺達の間には、トリピー、ソガ、で通じるわけだよ。浪漫を感じないか……?」

「いやいや、ワタシが出世なんて……そんな事……」

「いーや! お前は絶対に出世するね! そしていつか、トリピーが大切な後輩や部下を得た時にも、こんな風に親しみを込めて渾名で呼べるような強い絆で結ばれて欲しいと思う訳だ。」

「そ、ソガだい˝い˝ん˝!!」

「ソガでいいって言ってるだろ?」

「ア˝ナダがぞんなにワタジのことを˝おもっでッ!! いでくだざっだな˝んで!! ぶじょうドリヤ˝マ˝がんげぎいだぢまぢだぁ˝あぁ˝……」

「こんな事で泣くなよ……」

 

こんな適当こいただけで感動されるとは思わなかった……なんか罪悪感ハンパないな……ハンカチやるよ……

 

「だからな? 午後の組合長さん達との座談会も、お前なら出来る! 頑張れよな!」

 

俺がそういうと、ハンカチでぐしゃぐしゃに泣いていた彼は、真っ青な顔で振り向いた。

まるで長い間、油をさし忘れたブリキ人形みたいな動きだった。ほんまおもろいなコイツ。

 

「ワタシが……? 座談会?」

「ヤナガワ参謀から聞いてないの……?」

「ブルブルブルブル!!」

「……あー、その……頑張れ?」

 

なるほど参謀……貴方も存外スパルタ人間のようで……

 

「そ、ソガ隊員……いいやソガさん? あのー午後からの役目交代しません……?」

「俺はいいけど……その前に、あれを見てみろ」

「あれはえーっと……ゆーはち?」

 

俺が指さした先では、小型発電機に繋がれたユートが、子供たちと戯れている。

 

「こっち! こっちむいて!」

「すげーぴかぴかじゃーん!」

「らいだーきっく! らいだーきっく!」

「だっせー!」

「あしみじかーい」

「はなくそつけてやろー」

「チャックさがそーぜ! チャック!」

「ス゜ク゜ラ゜ッ゜フ゜ニ゜ス゜ル゜ソ゜ク゜ソ゜カ゜キ゜」

「なにいってるかわかんなーい!」

 

おーおー、ユートは子供たちに囲まれ大人気で楽しそうだ。頭から蒸気吹き出す機能なんてあったんだな、アイツ。

 

「あと数十分もすれば、ヤツはバッテリー切れで充電に入る。するとどうなると思う?」

「……どうなるんです……?」

「ユートの充電が終わるまで、ちびっこ怪獣共の餌はお前だ。トリピー」

「……さて、スピーチの内容を考えてきまーす」

 

なんて分かりやすい……

回れ右した後輩を見送っていると、後ろから笑い声が聞こえてきた。

 

「ハハハハハ! 面白ぇな、あのひと!」

「……ん? ちょっと君、ここ準備中だよ?」

 

いつの間にやら、高校生くらいの青年が、ブースのパイプ椅子にどっかり座り込んでいた。

こんな田舎じゃなかなか見ないド派手な髪型をしているが、ニヤリと笑った顔はどえらいイケメンだ。

 

「お、丁度いいや! アンタ、防衛軍のひと?」

「防衛軍のって……この服見ればわかるだろ!」

 

因みに今の俺は普段の制服だ。ここでは俺自身も展示なのだ。

 

「ああやっぱり? それってウルトラ警備隊の服であってた!? へぇ~、ホントにこんな地味な色着てたんだなぁ……」

「地味ってお前ね……」

 

青年は物珍しそうに俺の服やヘルメットをしげしげと眺めては、「触っていいか?」とか「バイザー降りるんだコレ……降ろしてみていいか?」とか言いながら、こっちが許可もしてないのにベタベタ触って来る。

 

「あのねぇ……」

「あ、そうだ! 聞きてぇんだが、モロボシダン隊員ってのは、どいつだ?」

「あ?」

「モロボシダンだよ! ……知らないの?」

「いや知ってるよ! てか、お前は俺を知らないの……?」

「知らないけど。なあ、どこにいるんだ?」

 

あーはいはい、ダンね。そーだねアイツは一般人からもすげー人気だね。

今日だけで似たような質問を三回はされたよ。

 

「残念だったな、ダンは休みだ」

「マジかよッ!? チッ、ったくしょーがねーな……じゃあアンヌは? アンヌ隊員はどこだよ?」

「お前……あーはいはい、アンヌ目当てね。わかるわかる。お年頃だもんね、そりゃ俺みてぇなおっさんより、キレイなネーちゃん見たいわなー。最初にダン目当てかと思わせといて、下心隠す作戦ねー。レンタルビデオ屋でエッチな作品と一緒に、全然興味ない映画も一緒に借りて、それを上に置くやつねー。言っとくけど、あれバレバレらしいよ?」

「だぁああ!? ちっげーよ! そんなんじゃねーし!」

「なんか焦ってるのがマジっぽくてウケる」

「あーもう、なんだこのオッサン!?」

 

推定不良高校生はガシガシと頭をかくと、ため息と共に、肩を竦めて首を振った。

 

「まったく、ウルトラ警備隊のイベントなのに、ウルトラ警備隊はいねーのかよ……」

「おい、嫌みで言ってんのか? それとも本気で言ってんのか? どっちなんだ?」

「あん? どーゆーこったよ?」

「こ・こ・に・い・る・だ・ろ・う・が!!」

「え? アンタも警備隊なの?」

「ウルトラ警備隊のイベントに来て、俺の顔知らねぇのかよ……さてはお前、警備隊にわかか~?」

「ニワカってなんだ? 糊のコト……?」

「ウルトラマンセブンとか言っちゃうカンジ?」

「あ˝ぁ˝ん˝!?」

 

むちゃくちゃガンつけてくるじゃん……こわ。

やれやれ、これはしっかりと教えてやらねばな……警備隊における、真の男前が誰かという事を!

 

「あのねえ、防衛軍きってのスナイパー、宇宙一のナイスガイである、このソガ隊員を知らないとは……お里が知れると言うもんよ!」

「ええっ!? ソガ!? アンタがあのソガなのか!!??」

「なんだ知ってんじゃん……どのソガかは知らないけど、多分そのソガだと思うよ」

「すげー……これが本物のソガかぁ……想像してたより、なんかフツーだな……」

「……あとさ、もうちと口の利き方に気をつけような、坊主?」

 

俺がソガだと分かると、途端に相好を崩して肩を組んでくる不良。

 

「おっと、ワリィワリィ……俺ってば物心ついた時から修行ばっかしてたから、あんまりニホンゴっての? よくわかんなくてさ! ゴメンな?」

「修行とかって、最初にそういう部分から矯正するもんなんじゃないの?」

「そうなのか? レ……俺に稽古つけてくれた奴は、特に気にしなかったけど?」

「師匠からしてそれじゃあしょうがねえか……とりあえず語尾に、です、ますを付けろ。ずっとマシになるから」

「そうなのかます?」

「そうでございますか、だ!」

「そうでございますですよ?」

「……うん、もういいよ……ごめんな? そうだよな、いきなり敬語は無理だよな。日本語はウルトラ難しいもんな……俺も気にしない事にするよ」

「助かるでございまする!」

 

コイツ……これで大丈夫なのか?

 

「そうだ! なあなあ、アンタが本当にソガなら、アレ見せてくれよ! 早撃ち!」

「ほう……よかろう坊主。見せてやろうじゃないか」

「あのさ、さっきから坊主坊主って、俺には立派な名前があるんだよ! 禿じゃねえ!」

「じゃあお前さん、名前はなんて言うんだ」

「俺はゼ……あー、そのえっとー……レイト! そう、ここはレイトとでもしておくか! よろしくなソガ!」

「うん……よろしくな? レイト?」

 

レイトを引っ張ってきたのは射的屋台だ。まあお祭りだからね。こういうのもある。

ここで華麗に早撃ちを……と思った所で、先客がいるではないか。

 

「どうしたのボク?」

「かいじゅーとれなかったのぉ……」

 

小さな男の子が涙を拭いながら指さした棚には、怪獣のソフビ人形が。

あーそりゃ無理だわ。だってあれ景品じゃなくて、賑やかしで置いてあるだけの人形だ。

こういうのは、積み上げたお菓子とかを崩して取るのが相場であって、あんな大きな人形にコルク弾当てたところでビクともしない。……というのは、流石にまだ分かんないかー……

 

スタッフも止めたらしいが、そのまま挑戦して今に至ると。まあ、残念賞の菓子袋は貰えるから泣き止んでね。

 

一見落着かと思いきや、隣のレイトがそうもいかんらしい。

 

「待て! おまえその顔は何だ! その目は何だ! その涙は何だ! 男がそう簡単に泣いてんじゃねえ!!」

「だって……ぼくには出来ないよぉ……」

「簡単に挫ける自分を恥ずかしいと思わねぇのか!?」

「……」

「お前、こんな小さな子に何言ってんだ?」

「……やる」

「え?」

「もっかいやる!」

 

レイトの励ましが功を奏したのか、決意の眼差しで、屋台に再チャレンジする男の子。

いやでも、もっかいやるって言ったってなぁ……

 

ぱひゅん、ぱひゅん、ぱひゅん……

 

「びぇええええええ!!!」

「やっぱ駄目かぁ……」

「当たり前やろ」

 

後ろ髪をガシガシと掻くレイト。

こいつもしかしてアホなんちゃうか……?

 

「しゃーねーなー! おっちゃん! 俺にもそれ、やらせてくれよ!」

 

言うや否や、レイトは渡されたコルク弾を握りしめると、銃を断って精神を集中しだす……

ん? 銃を断って?

 

「おおっ! ここだぁ!」

 

レイトの両の親指が、凄まじい勢いでコルク弾を撃ち出していき、怪獣の腹部を正確に撃ち抜ぬいていくではないか。

一発一発が、とてもコルクとは思えない音を立てる度、大きく後退していく人形。そして……

 

「これで……フィニッシュだぁあああ!!」

 

棚から落下するソフビ!! 喜ぶ男の子!!

 

「どうだ見たかぁ!!」

「あほか」

「いってえ!」

「射的で指弾使う奴がいるかよ。ルールは守れ、ルールを」

「駄目なのかよ!!」

 

ダメです。

 

「チッ……おいお前! 隣の亀の怪獣でいいよな?」

「え?」

 

今度はきちんと、手渡された銃を使い、亀型の怪獣を倒すレイト。

なるほど! あの人形は元々前傾姿勢でバランスが悪い上に、尻尾が短い! 全弾を頭部に集中すれば、正攻法でも唯一倒せる人形だ!

だが……

 

「へっ、2万年早いぜ! ……ホラよ」

「亀じゃない……」

「わがまま言うな!」

「ハッハッハ……!!」

「何がおかしい!」

「謎の風来坊レイト……確かにお前の射的の腕は大したもんさ、ただし!! ……日本じゃあ二番目だ」

「なんだと? じゃあ一番は誰だ!?」

「チッチッチ……退きな」

 

えっと……角度はこんなもんかな?

 

「おい、コルクだけ並べてどうするつもりだ?」

「……こうするのさ!」

 

まずは一発! 放たれた弾丸は黒い蜥蜴の怪獣の頭部を掠って、そのまま後ろへ抜けていく。

 

「野郎! いきなり外しやがった!」

 

しかしそれに構わず銃口を机の上のコルクに押し付け装填すると、そのまま続けて二発目!

またしても弾丸は怪獣の後ろへと抜け、二連続で外れたと思われたその時!

 

人形が大きく前へ傾いた!

背後の壁に跳弾した一発目が、後頭部を直撃したのだ!

 

「跳弾だと!?」

 

レイトの動体視力がその信じられない光景を捉えた時、ソガは既に最後の弾丸を放っていた。

続けざまに放たれたコルクは、全て背後の壁に跳ね返って、トカゲ怪獣の後頭部を殴りつけた!

 

「弾は前からより、後ろから食らうに限るぜ、怪獣さん」

 

フッ……決まった。

 

「ほーら、これでどうだいボク?」

「角……」

「は?」

「角の奴が欲しかったの……」

 

俺とレイトが振り返ると、棚の中段に鎮座する古代怪獣の人形!

三日月のような角を雄々しく振り立て、丸太のように太く、蛇のように長い尻尾と、先程の怪獣達よりもがっしりとした両足で棚を踏みしめ、山のように揺るぎ無い安定感を放っていた。

あ、だめだわ。

 

「さっきの跳弾でなんとかしろよ!」

「角が邪魔で後ろの壁が狙えないんだよ!」

「じゃあどーすんだよ!?」

「かくなる上は……こーすんだよ!」

 

俺は、男の子から亀と蜥蜴の人形を引き取り、ダン!っと机に置き直した!

両雄相打つ!!

 

「おっちゃん!!」

「は、はい!!」

「……二体返すから、そいつと交換してくんない?」

「うわぁー……ずっりぃー……」

 

これがオトナの力だぁああああ!!!

 

「ボク、それで良かった?」

「うん!! おじちゃん達ありがとう!!」

「お、おじ……」

「諦めろ、お前はどう考えてもこの子より年上だ……」

「リョウジ君! こんなところにいたのかい!!」

 

怪獣のソフビを抱きしめてホクホク顔の男の子を、後ろから誰かが抱きかかえた。

お父さんかな? ……って。

 

「トリピーじゃん」

「あれ? ソガさん?」

「え? 息子? トリピー結婚してたっけ?」

「いやいや、親友の子ですよ……母親と逸れてしまったみたいでして、さっき迷子センターに……コラ! 駄目じゃないか!」

「まあまあ、いいじゃねえか」

「いいじゃねえかって……キミはどちらさま?」

「俺はレイト! よろしくな! トリピー!」

 

トリピーが目をパチクリさせていると、彼の福福しい頬を、怪獣の角が押し返す。

 

「みてみてー、とってもらったんだよ。がおー」

「あ痛たた! へぇえ、そうなのかい? カッコいいねぇ……えっとーなんだっけなー……そう、ゴメラ!」

「ちがうよー」

 

トリピーにだっこされながら遠ざかっていく男の子の背中。

彼が振り向いて、その手に持った怪獣を大きく振る。

大きく手を振り返すレイトの瞳には、どこか憧憬にも似た輝きが宿っているように見えた。

 

「……ああいうの、いいよな」

「そうなのか?」

「俺、いろいろあって、ガキの頃の記憶が無くってさ……」

「それは……大変だったな……」

「おい、しんみりすんなよ! 今は頼りになるダチとか、その……家族、とか? いるから! 宇宙一幸せだぜ!」

「良かったー安心したわー……」

 

そういうの似合わないしな!

 

「なぁレイト」

「なんだ?」

「もうちょっと楽しんでいくか?」

「なんだ? ソガが案内してくれんのか?」

「お前がどーしてもっていうならな。とりあえず昼だから屋台でなんか……あ、焼き鳥とか食べる?」

「ぐふっっ……!!」

「どうした!?」

「いや、なんでもねぇ……腹が捩れただけだ」

「重症じゃねえか……」

 

お、そうだ。

 

「ホラ、これやるよ」

「あん? なんだこれ」

「今日のパンフレットだよ。ウルトラ警備隊のヒミツも載ってるから、ダンとアンヌ以外も勉強しやがれ」

「ヒミツって……そんな事書いていいのかよ!」

「書いていいことしか書いてねえよ」

「それじゃヒミツじゃねえじゃねえか」

 

だが、そうもいってられないようで……

 

「あーいたー!」

「ソガたーいんみっけー!」

 

俺の周りにわらわらと子供達が集まって来るではないか!

ハッ……! まさか……!!

 

「ハ゜ッ゜テ゜リ゜ー゜サ゜ン゜リ゜ョ゜ウ゜ セ゜ロ゜」

「しまったっ……!!」

 

倒れ伏す機械仕掛けの戦友の姿に戦慄するが、もう遅い。

 

「こっち! こっちむいて!」

「すげーくつぼろぼろじゃーん!」

「らいだーきっく! らいだーきっく!」

「だっせー!」

「あしみじかーい」

「はなくそつけてやろー」

「チャックさがそーぜ! チャック!」

「ちょ、ま! 君達やめなさぁア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝!!!」

「なにいってるかわかんなーい!」

 

あっという間にもみくちゃにされ、どこかへ連れ去られていくソガ。

 

「あの調子なら大丈夫そうだな……じじいのお節介焼きめ」

 

それを見つめるレイトは、先程までとは打って変わって、慈しむような笑みを浮かべて呟いた。

 

「俺を案内しようなんざ、2万年早いぜ」




てな訳で100話記念でした。

アイツの性格が解釈違いでしたら、申し訳ありません。
親父のダチに会えると思ってテンション上がった挙句、昔のやんちゃしてた時のノリに戻ったと補完してください……
最近のアイツはいい先輩してるけど、作者の中のアイツはトンガってる時のイメージが未だに強くて……

100話記念の特別編だから、お許し下さい。本編時間軸にも関係ないですしね。
そう、100話ですよ、100話!

まさかこんなに長編になるとはねぇ……

ここまで本作が続いたのは、偏に読者の皆様に『面白い!』と言って頂けたからです。

毎話ごとに頂ける沢山の感想に始まり、誤字報告やお気に入りとか、評価とかここすきとか、創作で紹介していただけたり、メッセージや支援絵を頂いたりと、ありとあらゆる方法で気持ちを頂けるのが、嬉しくて嬉しくて仕方がありません。

普段はなんか催促してるようであんまり言及してはいないんですけど、そういう部分も全部目を通していますし、モチベーションに直結しています。
際限が無くなりそうなので、一応の線引きとして感想以外には反応返さないようにしていたのですが、もう全部メッセージで直接、ありがとうございます! と突撃したくなるくらいです。

と同時にですね、この令和の時代に、これほどの方が今でも、ウルトラセブンという作品を愛しているんだなと知れて、心の底から書いて良かったなぁ……と思いました。

なにより書いてみて一番の衝撃は、今までセブンやウルトラシリーズを見たことが無かったという方々から、当作を読んで興味を持つきっかけになった、ハマった、なんて感想を頂けた事です。

まさかこんなマイナー作品、初見の方にも読んで頂けるとは露ほども思っていなかったので、序盤は描写を端折りに端折っていましたからね、お恥ずかしい限りです。
そんな当作が(若干烏滸がましいとは思いますが)新規層獲得の一助になった。
二次創作品において、これほどの幸せがあろうか? いやない。

そしてそれがなぜか……? と立ち返ると、やっぱり序盤の時に読者の皆さんが、沢山読み返したり評価ポイント?的なものをくれて、ランキングに何度も乗ったからでしょうね。

あそこで多くの人の目に触れる機会を得られたというのが、とてつもなく大きいと思います。
作者が偶々観測した中で一番高かったタイミングは確か11位だったかな?
残念ながら、7位に届いた瞬間があったか無かったかは分かりませんが(笑)

そう、これを読んでるそこのアナタ! 目の前の貴方が、この作品をそこまでの順位に押し上げて、ひいては新たなセブンファンを獲得したわけですよ!
同じセブンファンとして、誇ってください。さあ一緒に祝いましょう!

ウルトラ警備隊全員に告ぐ!
『転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!』は100話の大台を完全に突破した!
我々の勝利だ!
栄光も我々のものだ!
これで再び後半の更新が再開されるだろう!


皆様に、この場を借りて日頃の感謝をお伝えさせて頂きます。ご愛読ありがとうございます。
以降の展開も是非お楽しみください。
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