転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!   作:Mr.You78

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いやあ、四月とGWの忙しさにかまけていたら、
結局、四月中の更新はアギラのお散歩だけになってしまった。

これはいかん! いかんぞ俺!

てなわけで更新頑張って行くぞー!

いやしかし、ついにこの話まで来たか~


侵略するシ者たち(Ⅰ)

それはちょうど、もう春先だというのにまだうっすら肌寒い日のこと。

地球防衛軍パリ本部から、秘密書類が極秘のうちに運ばれてきた。

 

海底を行く大型潜水艦S号と、その護衛であるハイドランジャー2隻。

 

S号の艦内ではマナベとキリヤマが、張り詰めた顔で上陸を待っている。

 

「キリヤマさん、パリ本部からテレタイプが入りました」

「いや、どうも」

 

船員から報告を受け取るキリヤマ。

 

「どうかしたか?」

「セイロン島の北方30海里で、謎の爆発が4件あったそうです」

「我々も十分注意しよう」

 

セイロン島方面のルートは、本作戦のダミールートの一つであったはずだ。

交信マイクをとるキリヤマ隊長。

 

「こちらS号。ハイドランジャー、警備状況を報告せよ」

「こちらハイドランジャー1号、異常なし」

「こちらハイドランジャー2号、異常なし」

 

ハイドランジャーに乗るソガとダンからの応答も、これといった変化はない。

 

「了解」

「異常無いようだな」

「間もなく基地ですね……」

「伊豆半島沖に浮上して、そこからヘリコプターを使おう」

 

今はただ、このまま無事に任務が終了する事を祈るばかりであったが……

 

 

―――――――――――――――――

 

 

一方、防衛基地周辺では、奇怪な事故が頻々と起こっていた。

 

メディカルセンターで、アンヌが顔色の悪い男の脈を取り、首を横に振る。

そこにフルハシとアマギが、またしても黒ずくめの男を担ぎこんできた。

 

「アンヌ、頼む」

「え……また?」

「こっちもか……」

「死んだわ……」

「いきなり車の前に飛び込んできたんです」

 

隣の防衛隊員が、先客の説明をする。

最近になって続々と、防衛軍の車の前へ謎の男達が飛び込んでくるのだ。

訝し気な表情のフルハシ。そこに突然、担ぎ込んだ男がフルハシの首元へ腕を伸ばして襲いかかる!

 

咄嗟にショックガンで男を撃つアマギ。

 

「死んでるわ……」

「えっ!? ショック銃で撃ったんだぜ……? 死ぬなんておかしいよ」

「9人目よ、もう……」

「どういう事なんだいこりゃあ……」

「どの死体も、身元を確認するものが何もないのよ」

 

アマギは、死体を触っていた手を嗅ぐと、部屋に薄っすらと漂う匂いが、意外と嗅ぎなれたものである事に気が付いた。

 

「ホルマリンの臭いがする……これが決め手だ!」

「よし、病院の方をあたってみよう」

 

フルハシはポインターで調査に向かうのだった。

 

 

―――――――――――――――――

 

 

それとは入れ違いに、マナベ参謀一行が、ヘリで基地に到着した。

埃を払う暇もなく、すぐさま地下14階層へ。

極東基地の誇る機密文書庫に、運んできたマイクロチップを保管するためだ。

 

特殊合金製の金庫は、赤外線センサーや、3万ボルトの高圧電流が流れる鉄格子に守られ、そこへ辿りつくまでには3段階もの認証を必要とする。

そのキーとなる照合銃は、マナベしか持ってはいない。

 

この非常に厳重な文書庫を突破する事は、不可能に近いのだ。

 

ここへ正攻法で侵入しようとするものなど……まさに愚の骨頂。

 

であるにも関わらず……

 

深夜、基地の外周で警報機が鳴る。

 

「待て、止まらんと撃つぞ!」

 

一般隊員の警告も聞かず、気密区画へ通じる通路へと侵入しようとする謎の男。

やむなく隊員達は男を射殺するが……

 

これで謎の死体は10体になってしまった……

 

―――――――――――――――――

 

「何!? 病院から盗まれた死体?」

 

フルハシからの無線連絡を受けたキリヤマは、胡乱げに眉を潜めた。

 

「教材に使う、解剖用の死体だったそうなんですが……死体漕から何者かに盗まれて、調査中らしいんです」

「10体も……」

「もともと身元の不明な人たちですから、警察でも探しようがないらしく……隊長、これはウラに何かありそうですね」

「分かった……おい、死体をもう一度、調べ直すんだ!」

 

死体を再び検分するキタムラ博士とウルトラ警備隊。

 

「別に改造された痕もありませんね……」

「じゃあ、サイボーグでもないわけですね?」

「今のところ、普通の死体です」

 

あのキタムラ博士が言うのだから、間違いはないはずだ。

ところがどっこい、それが独りでに動き回るというのだから、明らかに普通ではない。

 

「しかし、いったい誰が、彼らを蘇生させて送り込んだんでしょうね?」

「それだ。ただのイタズラとも思えん……」

「こんなに厳重な警備網の中で何をしようというんだ。……大体、地球防衛軍を甘く見てますよ!」

 

おかしいなぁ~なんだかやだなぁ……

 

「とにかく彼らが、何か目的をもって送り込まれたとすれば、今にきっと動き出す……。ダン、この死体を見張るんだ。絶対目を離すな!」

「はい」

 

良かった、命じられたのがダンで。

俺、こういうのダメなんだよね。

 

「ダン、お前にとっておきのおまじないを教えてやろう」

「おまじない?」

「いいか、変な気配を感じたら、椅子に飛び乗って突き出したケツを激しく叩きながらこう叫ぶんだ。『びっくりするほどユートピア! びっくりするほどユートピア!』これだ。できるだけ白目を剥いてアホ面でやるんだぞ」

「……は?」

「霊と言うものはな? 重苦しく死の気配の充満した陰気な場所を好むとされている。……つまり、その真逆である馬鹿馬鹿しい空気や生気の漲った人物を見ると、呆れて逃げて行くと言われているんだ」

「は、はぁ……?」

 

そんな訳の分からない事を、真剣な表情で伝えて来るソガを見て、ダンは、謎の死体に囲まれて精神をすり減らしたソガの頭がついに恐怖でおかしくなったのかと心底心配になったが……一瞬だけ、それらの言動を大真面目に実践している彼の姿を想像したら、込み上げてきた笑いが止まらなくなった。

 

「く、くくく……ハッハッハッハ!! なるほど、確かに死体を見張るのは気分の滅入る任務ですからね、少しでも僕を笑わせてやろうという事ですか! ソガ隊員らしいや。絶対やりませんけど」

「そう、それだ笑いだ。心霊現象には笑いが最も効果的なんだ。いいか、忘れるなよ? びっくりするほどユートピアだぞ?」

「ぐふふっ……わかりましたから! 親切心は受け取っておきますから! 絶対やりませんけど」

 

大丈夫かなぁ……?

 

―――――――――――――――――

 

そうして迎えた、13日の金曜日、午前1時である。

ダンが見張る死体に変化はないが、部屋の中で何かが蠢く。

 

そう、影だ……死体の影だけががゆっ……くりと動きだす。

ひとーつ、ふたーつ……。徐々に増えていく影……。

不気味な気配を感じるダン。

 

(何か変だ…)

 

 

作戦室のドアが開く。

しかし、そこには誰もいない……。

おや? といった表情で顔を見合わせる隊長とアマギ。

 

 

そして同じころ、メディカルセンターのドアも開く。

 

誰かが入ってきたのだと思って、アンヌが顔を上げるが、そこには誰も居ない……医務室にはアンヌ一人だけだ。

 

何かが首筋を撫でる感触……急激に気温が下がったような……そして……

 

アンヌに向かって影が動いた。

 

「キャアアアアッ!!」

 

駆けつけるキリヤマ隊長とアマギ。

 

「どうした!」

「か、影が……」

しかし、異常はみられない。

 

「自分の影でも見たんだろう?」

「……ドアが開いて、影が入ってきたのよ……」

「作戦室のドアも開きましたね……?」

 

トゥルルルルル、トゥルルルルル、トゥルルルルル

死体置き場の電話が鳴った。

 

「ダン、応答せよ。死体は異常ないか?」

「死体は異常ありませんが……、何かおかしいです。隊長のほうはどうですか?」

「どうも様子がおかしいんだ……。引き続き、警戒を頼む」

 

その時、キリヤマ隊長の手首を誰かがそっと撫ぜたような気がした。

妙な気配を感じるキリヤマは知らず知らずの内に、ぞわりと総身の鳥肌が立っていたことに、遅ればせながら気付いた。

 

「ん……? 誰かいる……気のせいかな……?」

「ホルマリンの臭いだ」

「何だか、気味が悪いわ……」

 

怖いなー……なんかやだなー……って、その時思ったんですよ。

え? お前は誰って?

こっちはね、機密書庫を警戒中のフルハシとソガ。

 

「はっ、こちらフルハシ」

「気をつけろ。何者かが、暗躍を始めたらしい」

「えっ、どんな奴です?」

「それがはっきりせん……。ただ、気配がするだけだ」

「心配ご無用。ドアには指一本触れさせやしません!」

 

頼もしい返事を返し通信を切ったフルハシが、げんなりした顔で隣を窺う。

 

「なーみょーほーれんげきょー……」

「……おいソガ、さっきからブツブツ鬱陶しいのはどうにかならねぇのか!?」

「先輩! 俺はねぇ、出来る事はとりあえずなんでもやっておくタイプなんですよ!」

「だからってお前……真面目にやる気があるのか……?」

 

首から数珠を下げたソガが、消臭スプレーとウルトラガンを十字に組んで振り返った。

南国の土産物屋で見る、なんだかよく分からない木彫りの置物達が、全身からぶら下げられ、互いにぶつかり合ってジャラジャラと音を立てる。

まるでモアイ像で出来たラメラーアーマーだ。

 

書庫の入り口に悪霊退散のお札が勝手にベタベタ張り付けられているのを見て、フルハシはいよいよ後輩の気が触れてしまったのだと確信した。

 

そしてこんな奴と見張りに立たされている自分はなんて不幸なんだろうか、とも。

 

こんな事なら、さっさとアオキを新隊員に迎えてコイツと交代して貰えばよかった。

 

その時、警報が鳴る。

 

「どうしたんだ?」

「影です。影だけなんです」

「ギャア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ア゙ア゙~↑!!! 出たぁ~~!? ナンマンダブナンマンダブ……」

 

気密書庫の前で集合するウルトラ警備隊。

そこへやって来たマナベ参謀。

 

「怪しい奴がうろついています」

 

キリヤマの言葉に、全員の視線が特定の一人に集中しかけるが、精鋭たちは鋼の精神力でそれをなんとか無視した。

 

「あらためてくる……」

 

赤外線銃で開錠し、中に入るマナベ参謀。

しかし、マイクロフィルムが……

 

「ない!」

「はっ……。おい、その辺を徹底的に探すんだ!」

「盗まれたマイクロフィルムには、世界の地球防衛軍秘密基地の所在地が明記されているんだ。侵略者の手に落ちれば、彼らは直ちに攻撃を仕掛けてくる。キリヤマ隊長、何としてもフィルムを取り返さねば!」

「はい、只今、防衛基地一帯に非常警戒網を張らせています」

 

その時、廊下の向こう側からピーピーガーガー電子音をがなり立てながら、この階層を特別に巡回中だったユートが歩いてくる。

 

「イジョウ ナシ イジョウ ナシ リ゜カ゜イ゜フ゜ノ゜ウ゜」

 

なんとか定型文だけは喋れるようになったU-8も、今度の敵に対しては、センサーがまるきり役に立たなかったようだ。

 

「敵は影です。影の正体を突き止めない限り、追っても無駄でしょう」

「じゃ、手も足も出せんという訳か……。しかし何とかしなければ……」

「影か……」

(そうだ、死体収容室で、確かに影が動いた……!)

 

胸騒ぎに従って、ダンはモルグへと急いだ。

 

(そうだ念力だ……。誰かが念力で死体を操っているんだ!)

 

死体から立ち昇る無数の影に、思わずセブンに変身するダン。

白い霧の中から、死者の幻影達が、蝋のように真っ白な指を伸ばして襲い掛かる!

 

煙が晴れると、セブンは小さな人形のようにされてしまっていた。

死者をも操る敵の念力によって、縮小化されてしまったのだ。

そのままコップに閉じ込められてしまう。

 

コップの内側表面には、サイコフィールドが張られていて、セブンの巨大化や念力を完全に封じ込めてしまっていた。

 

その波長は、まるでセブンの為に誂えたかのようであり、即席で作ったにしてはやけに堅牢な檻となっていた。

 

セブンに興味を失ったかのようにその場を後にする影たち……。

囚われの赤い小人はなんとか、弱弱しい出力しか出ないエメリウム光線で棚を撃ち、火災を発生させる。

 

けたたましく響き渡る火災警報。

 

「あ! 火が!」

「消火器だ、早く消火しろ!」

「ダンは!? ダンがいないわ! ダァン!」

「うおおお待ってろダン! 今助けるぞぉおおお!」

 

俺は出来るだけ摺り足で、塩と消臭スプレーをまき散らしながら部屋の中を爆走する。

 

「いのちをだいじに! いのちをだいじに! くそ、どこだダァアアン!」

 

あ、今なんか蹴飛ばした気がするぞ。ヨシ! 謎コップ排除完了!

俺も消火しなきゃ……

 

炎が消えると、床に倒れているダンを、みんなで助け起こす。

 

「隊長、奴らに襲われました……」

「奴ら?」

「ええ、死体の男たちです」

「えっ?」

 

皆が死体の様子を見るが、変わりはない。

 

「奴ら、死んだままだぞ!」

「念力で死者を操っている者がいます」

「念力?」

「ええ、一種のテレキネシスで……」

「テレキネシス……?」

「死者の霊を遠隔操作しているんです」

 

ごめんなダン、念力とかテレキネシスとか言われても、人類にはいまいちピンとこないんだわ。

 

「そうだ。テープが伝送されてしまう!」

 

しかし、作戦室に戻るも一足遅かった。

皆が作戦室を後にした時に、機密情報が送信された跡がある。

 

それを逆探知して、送信先に向かうウルトラ警備隊。

 

「よし、奴らが動き出す前に叩くんだ。ダンとアンヌは残って警備を固めてくれ。俺たちはK地区を調べる。直ちに出動!」

 

―――――――――――――――――

 

 

しかし、目的の場所に向かうと、そこにあったのは廃墟のような建物だけ。

 

「隊長、地下室らしいものもありません…」

「電波は確かにここでキャッチされているのか?」

「はい、間違いありません」

「計器ひとつない、というのはおかしい……」

 

キリヤマが訝しんでいると、遠くからソガの絶叫が聞こえてくる。

 

「アマギィー! あれはなんだー!?」

 

彼の指差す方を見れば、廃墟の上に何かの機材が……

 

「受信アンテナですよ!! 奴ら、ここで一旦中継した電波をさらに上空に送ってキャッチしているんです」

「敵は空か?」

「恐らく、宇宙……」

「今頃、攻撃準備を……」

「うむ、世界中の防衛基地が奴らの目標だ」

 

敵の居場所と目的が判明した。隊長は、ビデオシーバーでダンを呼び出す。

 

「ダン、宇宙に飛んでくれ! 奴らの侵略基地は宇宙なんだ、受信場所を突き止めろ!」

「了解。アンヌ、後を頼む」

 

ホーク2号で宇宙へ向かうダン。

 

「あれだ! ホーク2号、宇宙ステーション発見!」

 

しかし、ステーションからのビームで、2号は撃墜されてしまう……

 

 

一足遅く地球を飛び出した後続のホーク1号では、四人の男達が不安げな顔をしていた。

 

「隊長、すごい爆発音をキャッチしました」

「そうか……」

 

 

接近するホーク1号を迎撃する為、大型ミサイルを発射する宇宙ステーション。

 

その時、ミサイルに上方から光線が襲いかかった!!

セブンのワイド・ショットだ!

たちまち粉砕されるミサイル。

 

そのままくるりと旋回して、宇宙ステーションに向かうセブン。

ところが、ステーション各所に装備された砲塔から、ストップレーザーを同時に浴びたセブンは、動きを止められ、ステーションから出てきた小型円盤に拉致されてしまう。

 

手足を拘束され、身動きの取れないセブンを嘲笑うかのように、彼の銀色の頬を掠めて、再び大型ミサイルが発射される。

それをなす術もなく見送るセブン。

 

「前方に飛行物体。すごいスピードです」

「ミサイルだ!」

「迎撃しろ!」

 

フルハシとソガがレバーを引くと、下部に懸架された連装砲身が続けざまに火を噴いた!

シンクロトロン砲によって、粉砕されるミサイル。

 

ミサイルの爆炎の向こうに見えたのは……

 

「あっ……セブンが!」

 

宇宙ステーションの中央部につるされたコップ状のカプセルに、なんとセブンが閉じ込められているではないか!

 

「よし、援護しよう!」

「ハッ!」

 

ホークの進路を阻むように、小型円盤の編隊が飛び出してくる。

小型といっても、母艦たるステーションと比べての話であって、一機一機が、セブンの腕や足をそれぞれ拘束できる程に巨大で堅牢な代物だ。

 

それが四機、一斉に機首のフラッシュカロネードを煌めかせた!

粒子キャニスターが爆ぜ、宇宙の夜が、眼も眩む閃光によって塗りつぶされる。

 

だが、フルハシの駆るウルトラホークは、濃密な対空弾幕の僅かな隙間を縫って、縦横無尽に漆黒の空を走り抜けた。

 

その上、単なる回避行動かと思っていたら、ひらりと旋回してもう敵機の直上だ。たまらんね。

 

「食らえ!」

 

俺がミサイルの発射レバーを引くと、木っ端みじんに吹き取ぶ敵の円盤。

 

「お見事! 流石は名人だぁ」

「あれだけお膳立てされりゃあ、俺でなくても命中しますって!」

「おっと、お前にゃ簡単すぎたかい?」

「気を抜くな、どうやら今度はそうもいかんぞ!」

 

こちらの武装が充分に脅威足り得ると分かったらしい敵は、編隊を組み直し、今度は一機ずつ交代に攻撃を行う事で、隙を無くしてきた。

こうなると、先程のように撃墜するのは難しい。

 

フルハシも回避に専念せざるを得ないが……

 

「いかん、このままではセブンが連れ去られてしまう!」

 

隊長が敵の意図を素早く看破した。敵はこちらを撃墜するのではなく、進路上に弾幕を形成して、ステーションが逃げる時間を稼ごうとしているのだ!

 

「円盤は無視して、ステーションを追え! 空戦の誘いに乗ったように見せかけて引きつけた後、一気に引き離すんだ!」

「それだと追いかけられて挟み撃ちになりませんか?」

「大丈夫、敵の武装は射程が短い。一度差がつくと、ホークの足については来られないはずだ!」

「言ったなアマギ! 信じるからな!?」

「ぃようし! いっちょ俺様の腕前を、枯れ尾花共に見せてやらぁ!」

 

ミサイルを盛大にばら撒いて、敵に回避行動を余儀なくさせる。スラスターに無理難題を強いられるのはこちらも同じことだが、お互いの攻撃が交錯し、本来なら仕切り直しとなるところへ……

 

「ユーレイにゃ足もないのに、付いてこれるかっての!」

 

意地の悪い笑みを浮かべたフルハシが、スロットルレバーを押し込んでとっておきのオーグメントブースターを焚いた。

加速し、敵のステーションに追いすがるホーク。

 

背後で円盤達が慌てて引き返してくるがもはや射程外だ。

 

「ソガ! 重力計によると、ステーションの中心部から、カプセルを覆うように特殊な力場が発生しているらしい。きっとあの部分がフィールド発生装置だ!」

「オッケィ! 正体見たりっ!」

「外すんじゃねーぞソガ先生!」

「おそらく最接近時に、敵は迎撃してくるだろう。それを躱してから撃ち込むんだ!」

「了解!」

 

フルハシが機体をステーションの背後へぴったりと付けた時、2号とセブンを撃墜した蒼いレーザーが、1号を三機目のスコアにしようと撃ちかかって来た!

 

銀色の翼が翻り、すんでの所で躱す。

回避行動で僅かに距離の縮まったホークへ、後ろの円盤群から追撃が飛ぶ。

迸る閃光、爆ぜる粒子。

 

しかしそのどれもが、彼の狙いを逸らす事は出来なかった。

 

「……アーメン!」

 

狙いすました機首レーザーが、ステーションの中心部に命中!

カプセルが脱落し、自由の身となるセブン。

 

少しでも距離を離そうとするステーションの背中を、セブンの構えた真っ赤なL字が捉える。

 

怒りに燃える巨人の腕から放たれた極太の太陽光が、宇宙ステーションの装甲を融解し、重力エンジンに致命傷を与えた!

 

巨大な爆炎を噴き上げ、サルガッソーへ墜落していくステーション。

ワイドショットを受けてもまだ原型を留めているとは、なんて堅牢な船だろうか。

だが、あれではもはや棺桶以外の何物でもない。

 

恐るべき侵略計画は、こうして盛大な宇宙葬と相成ったのである。

 

―――――――――――――――――

 

 

「隊長、危ないところでしたねぇ……」

「機密室からフィルムを盗み出すなんて、まったく恐ろしい奴らだよ」

「いくらガードが完璧な基地だからといって、シャドウマンまでは防げませんからね」

「「ハッハッハッハ……!」」

笑いながら作戦室に入る。

 

「見ろ!」

「うおっ!」

 

アマギが指さす方向に、巨大な影が!

壁に映った影に向かって銃を抜くソガ……

 

「ソガ! 自分の影だよ……」

「えっ? あっ……ああ」

「馬鹿だなぁ! コイツぅ!」

「いやぁ、まいったなぁ」

 

恥ずかしそうに頭を掻くソガ。

 

「ハッハッハッハ……」

 

そこに駆け寄るのは……。

 

「隊長!」

「ダン! いつのまに…? こいつぅ!」

「心配かけやがってぇ!」

 

トゥルルルルル、トゥルルルルル、トゥルルルルル

電話が鳴った。

 

皆から小突かれつつ電話をとるダンの顔は、ソガに負けない程くらい惚けた顔であった。




というわけで第33話「侵略する死者たち」でした。

いやぁ、怪獣も出なければ宇宙人の姿も見えないと言う異色回でしたね。

だもんで子供だった作者にとってかなり印象の薄い回だったんですが……成長した今、改めて見返してみると随分と骨太なストーリー構成でビックリしちゃいましたね。

後半の警備隊のドッグファイトとか、かなりカッコいいのよ……

ただ……シャドウマンに対しては、さしものソガもお手上げでした。
原作知識があろうが、銃の効かない相手に一体どうせいっちゅうねん!

そんなこんなで原作と全く変わらない展開になってしまいました。

まあ……介入しなくてもセブンが大きいダメージ食らったりしないから、放っといても無事に解決する話で良かった良かった……といったところですね。

では……ん? なんか忘れてる?
気のせい気のせい。
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