転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!   作:Mr.You78

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原作通りの流れで宇宙船を撃退してめでたしめでたし……と、思っていたのか?

ついにこの話が書ける……長かった!

※今回、とあるキャラクターに関する独自設定があります。
2022年4月現在で作者が勝手に考えた解釈に過ぎず、公式設定とは一切関係ありません。
あくまで本作品バース内での解釈という事でご了承ください。


侵略するシ者たち(Ⅱ)

地球軌道上から遠く離れた宙域に、一隻のステルス船が停泊していた。

船内では、青白い陽炎のようなエネルギー体がモニターを見つめている。

 

「捕獲プラットフォームからの通信、途絶しました」

「ふむ、駄目だったか……データは?」

「ただ今、解析中です」

 

やがて、巨大プラットフォームから発信されたデータの解析が終わり、その結果をリーダー格と思しき個体が精査する。

 

プラットフォームが破壊されてしまった為に、全ての情報が得られた訳では無い。

だが、それまでに送られたデータが、彼らの目的に対し不十分な物であったかと言うと……

続いて響いた歓喜の声が、その答えを如実に表していた。

 

「素晴らしい! 検体の作製に最低限必要な情報は揃っている! 諸君、作戦は充分に成功したと言えるだろう!」

「やりましたね!」

「うむ……欲を言えば、ウルトラセブンの肉体を確保するのが最も望ましかったのだが……よもや地球人の兵器があれ程とはな。ひとまず、この結果で良しとしようではないか」

 

無限とも言える銀河の歴史を紐解いた時、バドー大帝や暗黒皇帝といった者を初めとして、かつてこの宇宙に覇を唱えた強大な個人や種族というのは複数存在する。

 

だが、そういった存在はやがて、ある者は凋落し、またある者は敗北の末に、歴史の表舞台から姿を消していった。盛者必衰の理からは、逃れられなかったのだ。

 

しかし……その歴史の中にあって、銀河の支配者という座から、()()()()()()身を引いた者がいる。

 

その存在は、宇宙の深みを映したような群青の不滅と言うべき肉体に、強大なサイキックエネルギーを宿し、たとえ何星系も離れた場所でも、何億何千という生命体を瞬時に支配下に置く事すら可能であったという。

 

それほどまでに凄まじい力を持った彼が、なぜ突如として姿を消したのかは、未だに謎に包まれているが……一説によれば、自身の後継者を欲しての行動だとも言われている。

 

なぜなら、その存在は姿を消す直前に、自身の力を宿した因子を、ありとあらゆる方法で、銀河中にバラ撒いたからだ。

 

故に、この宇宙には彼の影響を、大小様々に受け継いだ種族が存在する。

 

円盤の中で、作戦の成功にほくそ笑むユーリー星人は、そういった種族の中でも、かの存在の力を、特に色濃く受け継いだ者のひとつであった。

 

因子によって齎された力は、受け継いだ者によって様々な形で発現する。

強靱な肉体であったり、高度な工学技術であったり、はたまた他者を支配する特殊な素質であったり……ユーリー星系人はその力を、強大なサイキックパワーという、かつての存在を彷彿とさせる形で手に入れたのである。

 

惑星外からでも、死者の精神エネルギーを操って、自由に手先とするネクロマンシーを持つ種族など、広い宇宙を探してもそうは居ない。

故に、かの者が伝承通りに優秀な後継者を欲したと言うのなら、それは自分達の事に相違ないと思ってもいる。

 

だが、強すぎる力の代償もまた大きかった。

受け継いだ精神エネルギーに対して、彼らの肉体は脆弱すぎたのだ。

 

代を重ねる毎に、強力になっていくサイキックパワーに反比例するかのように、肉体的にはどんどんと痩せ細るユーリー星人。

 

そうして今では、彼らは肉体と言う器を捨て去って、完全な精神体のみの種族となったのだ。

寿命等も克服し、良い事尽くめではあったものの……物理的な干渉力を失ったと言う点だけは如何ともし難かった。

 

いちいち念動力で物体を動かすのは、得られる効果に対して消耗が激しすぎる。

 

そのため、普段は死体や、自意識の希薄な生物の体を乗っ取る事で、仮初めの肉体としているのが、ユーリー星系での文化だった。

 

だが、最近になり惑星間戦争が激化するにつれ、それでは事足りなくなってきたのである。

 

巨大な怪獣や、意識を持たない無人兵器に対して、サイコメトリーのみで対抗するのは、前述の通り消耗が激しい。かといって、仮初めの肉体では、得意のサイキックが使えない。

 

物理的な手段で侵略されたとて、彼らが完全に死ぬ事は無いだろうが……生存圏を追い出され、弱ったところへ同じく精神的な攻撃を受けてはたまったものではない。

 

宇宙には精神攻撃の得意な種族もたくさんいるのだ。

ヴァルキューレ星系なぞ、いつ攻めてくるか分かったものではない。

 

そこで、彼らはひとつの手段を思いついた。

自分達の器に相応しい肉体を、自身の手で造ってしまえば良いのである。

 

宇宙では人造生命の技術など探せばいくらでも実例が存在するし、データの閲覧だけならば、エネルギー体のユーリー星人にはそう難しい事ではないのだ。

 

クローン生成技術をあっという間にものにして、次はこのホムンクルス達へ、かの存在から受け継いだ『因子』を埋め込んだ……

 

が、立ち所に崩壊していくホムンクルス。

因子が強烈すぎて、並の肉体では拒絶反応に耐えられない。

 

ならばと、次はサンプルの肉体強度をどんどんと強靱なものへ引き上げていき……何匹かの怪獣を試した所で、ようやく因子に耐えられる検体を見つけた。

 

しかし、今度はそれほどまでに肉体派の怪獣では……あまりに知能がお粗末で乗り移った後にサイキックを使いこなせないか、破壊衝動を抑えられないといった欠点が露呈する。

 

怪獣のように強靱な肉体でありながら、超能力を使いこなせる程に理性的……

 

そんな都合の良い検体など……銀河広しと言えど答えはもはや一つしか考えられなかった。

 

『M78星雲人』

 

光の国の住人ならばあるいは……しかし、銀河警備隊の隊員を捕まえて細胞を採取するなど、正気の沙汰ではないし、なにより今の時点で、宇宙の正義を敵に回すのは流石に不味い。

 

この計画が成功しさえすれば、彼らなどもはや敵ではないのだが……

そんな時、耳寄りな情報を手に入れた。

 

銀河警備隊の管轄外の星系において、M78星人が目撃されたというのだ!

この絶好のチャンスを逃す手はあるまい。

 

そう、ウルトラ警備隊基地に侵入し、マイクロチップを盗み出したのも、全てはウルトラセブンをおびき出すための餌でしかなく、彼らの目的は地球ではなくセブンの肉体だったのだ!

 

マイクロチップの情報? 警備隊基地の全容?

そんなもの、新たな肉体が完成すれば、どうとでもなる。

せいぜいが、ウルトラセブンの人間態時(モロボシ・ダン)におけるパーソナルデータが手に入れば儲けものといったところか。

 

ウルトラ警備隊の身体情報を優先して送信したのもそのため。他の機密など、ユーリー星人からすればオマケ以下でしかなかった。

 

セブンの遺伝子情報をスキャンしつつ、生データを送信する為に時間を稼ぐという仕事を、捕獲プラットフォームは十全に果たしてくれた。

 

そのために、特別堅牢に造ったのだが……よもや最大出力の光線で力任せに破壊されてしまうとは。

 

「しかし、それでこそ検体に相応しいというものだ」

 

実験の成功を確信し、ユーリー星人のリーダーは笑う。

『ウルトラレイブラッド計画』

 

レイブラッド因子をウルトラセブンの肉体、及びそのクローンへ移植し、最強の生命を創造する計画。

エネルギー効率や光線技の制御など、レイブラッドの無尽蔵なサイキックパワーでどうとでもなるのだから、検体としては、シルバー族よりも肉体的にさらに強靱なレッド族こそが最も望ましい。

そして運の良い事に、ウルトラセブンの四肢は真っ赤に輝いて、自身が純粋なレッド族である事をこれでもかと主張していた。

 

まさに僥倖。

 

あとは無尽蔵のエネルギーを制御しやすいように、内包した虚数銀河へのアクセスデバイスを胸に埋め込んでやればよい。

 

ユーリー星人のサイキックパワーであらゆる環境を再現できる研究設備でなら、通常では困難を極める手術も容易にできる。

 

「では……プロジェクトを本格始動する。検体の担当官を選出し、今回得られた精神モデルをインストールさせろ」

「これは……あの地球人ですか」

「いずれ実地試験は地球で行うだろう。であればその際に地球へ潜伏しやすい方が都合が良い。その点、この個体は医学知識に精通しているようだから、不安定な検体を任せるにはうってつけだ。担当官用にクローン体も生成しておくのだぞ」

「は、かしこまりました」

「それに……子が親を思う気持ちというのは、下手な洗脳よりも強固だ。検体には担当官を母親だと刷り込ませるのだ。万が一にも裏切りはすまい」

「完璧な計画です」

「ふふふ……完成が楽しみだよ」

 

星人がゆらゆらと揺れる腕を伸ばし、蜃気楼のような指で、ラベルに書かれた名前をなぞる。

 

『Ultra-Rayblood/type:Include=Null-GALAXY』

 

カプセルの中で、禁断の命が産声を挙げようとしていた……




(ピロロロロロロ…デーンデーンッデッデデデーパパパパーンパパーンパパンィー)
ウルトラマンゼロゥ!
何故君が、かつてのベリアルのようにプラズマスパークの強大な力に惹かれたのか!
何故、ブルー族とのハーフにも関わらず、父をも超える無限のポテンシャルを秘めているのか!
(モロボシダンノー)
何故両親の記憶がないのくわァ!(それ以上言うな!)
(セブンセブンセブーン)
その答えはただ一つ…… (やめろー!)
アハァー……♡
ウルトラマンゼロゥ!
君が宇宙で初めて……レイブラッド因子に感染した人造ウルトラマンだからだぁぁぁぁ!!
(アタッォク)アーハハハハハハハハハ! ヴゥアーハハハハ(ススメ-ギンガノハ-テマデモーイ)ハハハハハ!!!
「俺が……クローン……?」 ッラーイ(煽り)

てなわけで、かねてより度々ご質問を頂く度に、適当にはぐらかし続けてきた「ソガが頑張ってアンヌとダンをくっつけた場合、ゼロどうなんの」問題

俺の答えは……これや! (グレンファイヤーを投げつける)

『そもそもゼロに生みの母がいないので、無問題』

100話記念のタイトルにハワイ版の歌詞選んだのも、人間体偽名にレイトを選んだのも、全てはこの為の伏線だったのさ!
決して0と10の組み合わせだから100話にぴったりじゃんとかいう洒落だけでは無いのだぁ!

ウリンガ=ゼロ説が許されるなら、これもOKだぜ!

ウリンガの話のモデルとされる『狐の呉れた赤ん坊』も、子供の正体は大名の落とし子でしたし、『葛の葉』なんて、生まれた子が後の安倍晴明ですからね。

ゼロの青色はブルー族由来じゃねえ……レイブラッド由来じゃゲハハ!
ベリアルとの因縁も、レイとの邂逅も、全てその血の運命なのだ!

ブゥーハハハハハハ!!

もちろん異論は認める。

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