転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる! 作:Mr.You78
「おはようございますソガ隊員。昨日は残念でしたね……」
「いやあ、ヒロタには勝てないと分かっていたからな。オレからしたら上々の結果さ」
「はぁ……? まあ、例え入賞を逃したとしたって、ウルトラ警備隊で一番射撃が上手いのがソガ隊員という事には、変わりありませんものね」
「そうそう! 祝勝会を楽しみにしてるぜ?」
「……ハハハ、なるほど祝勝会ですか。ソガ隊員は前向きだなぁ……!」
ダンと共に作戦室へ入室すると、みんなが暖かい眼差しを向けて来る。
優勝を逃したのがなんだって言うんだ。
今のオレは、そんな物よりずっと大切なものを、沢山持っているのさ。
……その時、作戦室の電話が鳴る。
「ソガです」
「キリヤマだ。ソガ、直ちに司令部へ来てくれ」
「ハッ!」
「なんだろう?」
「とにかく急げ、残念会は後回しだ!」
フルハシに急かされるまま、オレは退室する。
きっと、参謀の部屋には、オレを含めた射撃大会の上位入賞者が集められている筈だ。
……きっと、成功させてみせるさ。
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深夜、男が眠りについた部屋。
既に明かりは落とされ、真っ暗な闇の中で、規則正しい寝息が聞こえるだけの静寂。
その闇の中で、ベッドからヌッ……と影が起き上がる。
人影は、暗闇の中をひたりひたりと歩き、棚の上に飾られた拳銃を一丁取り上げるではないか。
そして再び動き出すと、壁に掛けられた背広の近くで歩みを止めた。
胸元のホルスターから、迷いの無い手つきで大ぶりな銃を抜き出すと、そこへ先程の拳銃をすっと忍ばせる。
そうして人影は、ゆっくりとした足取りで、ベッドへ戻ると、布団を被り、再び規則正しい寝息を立て始めるのであった……
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羽田空港へ秘密裏に到着したリヒター博士。
博士を出迎え、護衛に入る隊員達。
偶数位の隊員は博士と共に1号車へ、奇数位の隊員は2号車へ乗り込んだ。
空港を後に基地に向かう2台。
しかし、その車列へ強引に割り込んでくるダンプカー!
敵は待ち伏せしていたのだ!
「行くぞ!」
車を降車し、ダンプカーに向かう二号車の二人。
マシンガンの連射音が荒野に響き渡り、スズキがうめき声を上げながらドウっと倒れる。
死角まで走りこんだおれは一撃で敵を倒す。
見ると、1号車のドアは開け放たれ、同様に襲ってきたダンプカーには敵が倒れている。
走り寄り、後部座席を覗き込むが……そこには、後部座席で昏倒している博士の姿。
「博士! 博士……チッ!」
全く手間を掛けさせる……
「アイツは……?」
一号車に乗っていた隊員の姿がない。
奴を追って、茂みの中を進む。
林に絶叫が響いた。
「ヒロタァァアア!!」
「ソガァァアア!!」
呼び合う二人……しかし……
「ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ッ……!」
気付いた時には、時すでに遅く、振り向きざまに相手へ打ち返すが、凶弾に倒れる男。
腹を撃たれたソガは、意識が薄れる中で、逃げてゆく男の後姿を見ていた……
―――――――――――――――――
メディカルセンターで目を覚ましたソガ。
心配そうにソガを覗き込む、ダン、アマギ、アンヌ。
「……あっ、気分はどう?」
「ここは……」
「基地のメディカルセンターだ。お前って奴は、ホントに運のいい奴だな。敵にやられていながら、トドメを刺されずに助かったなんて」
「俺の命が何だ……。俺は任務に失敗したんだ。彼らを死なせてしまったんだ……」
沈痛な面持ちで項垂れるソガ。
「ところで、ヒロタは……?」
「参謀室で、緊急対策会議中です」
「じゃあ、奴も無事だったのか……」
「ええ、スパイのミナミ隊員と相打ちだったそうですが、幸い軽傷です」
「ミナミ隊員がスパイ……?」
「どうかしたんですか?」
フンとそれを鼻で笑ったソガは、ベットから降りる。
「ソガ隊員、無理しちゃダメよ!」
「ソガ! どこ行くんだ」
アマギ達の制止も聞かずに、参謀室へ向かうソガ。
そこでは、マナベ参謀、キリヤマ隊長、フルハシ、ヒロタの4人が協議を行っていた。
「おっ! ソガ君!」
「隊長! ミナミ隊員がスパイだったという証拠は見つかったんですか?」
「いや、今の所……ヒロタ君の証言が、唯一の手がかりなんだが」
「ヒロタ、本当に間違いないんだな……?」
「残念ながら、事実だ。奴は、俺がトラックと応戦中に博士を……いや博士だけじゃない、この俺まで殺そうとしたんだ」
いけしゃあしゃあと、嘘の説明をするヒロタ。
「しかし、俺が現場に戻った時には、お前の姿は見えなかったが?」
「もう一人の犯人を追っていたが、途中で見失ってしまってね……」
ヒロタはソガから視線をはずし、頬のキズに手をやる。
彼の左頬には、顎から耳元にかけて赤い擦過創が出来ていた。
トラックのボンネットに跳弾した弾が掠ったのだ。
「殺された博士は、変装した諜報部員だそうだ」
フルハシの言葉に、重々しく頷くソガ。
「本物のリヒター博士は、明日到着するそうだ。ウルトラ警備隊も全力で博士を守る」
「では、失礼します」
そのまま退室しようするヒロタ。
しかし、その腕をソガが掴む。
「何だ?」
「なあヒロタ……お前何か俺に隠していることがあるんじゃないのか?」
「隠す……? バカをいえ」
「しかし、お前の態度はどうもいつもと違うようだ。なあ、ヒロタ……俺たちは同期生じゃないか……何か悩んでいることがあったら、素直に話してくれないか?」
「うるさい、貴様に話すことなど、何もない……さあ、離してくれ!」
「ソガ、どうしたんだ?」
怪訝そうな顔の隊長達を振り返り、オレはヒロタを追求する。
原作のソガが犯した失敗は、ヒロタを一対一の個室で問い詰めた事だ。
これだけ他の面子がいる前でなら、音波攻撃にやられたりはしない!
「仕方がありませんね……じゃあ俺の方から言おう……あの時、俺を撃ったのはお前だろう、ヒロタ」
「なにぃ?」
「いや、俺だけじゃない……お前は、あの男たちとグルになって、ミナミ隊員とリヒター博士も殺したんだ!」
「おいソガ、悪い冗談はよせよ。何を証拠に、そんな言い掛かりを付けるんだ」
「証拠は……その顔の傷です! その傷は……俺に撃たれてできたものだ! そうだろうヒロタ!」
「なにッ!?」
オレが宣言と共に指を突きつけると、司令部の空気が凍りついた。
皆の視線がオレに集中する。
……なんだ? どうした?
「ククククク……ハッハッハッハッハ!!」
「何だ? 何がおかしい!?」
「皆さん、聞きましたか? 今の奴の言葉を!」
「どういう事だ?」
余裕のヒロタを見て、疑問符を浮かべて困惑するオレに向かって、隊長が厳めしい顔で詰め寄ってくる。
「どういう事だはこちらの台詞だ! なぜキサマがヒロタ君の顔に傷を付けられるんだ!?」
「なぜって……奴と相打ちになったからで……」
「万一の事を考え、
「な、なんですって?」
何の事だ? 全員ショックガン装備? しかもそれをオレが言った……?
隊長は何を言っているんだ……?
「リヒター博士の影武者は頭を撃ち抜かれていたし、ショックガンではこのような擦過創は出来ない! キサマは実弾銃を隠し持っていたのか!?」
「し、しかしオレが博士のもとに辿り着いた時には既に……」
「辿り着いただってぇ? おめぇは何をいっているんだ?」
「ダン、来てくれ。ソガの様子がおかしいんだ。今からメディカルセンターへ連行する」
「ち、違います! こいつなんです! ヒロタこそが敵のスパイで……」
「やはり……錯乱状態のようです」
そこへ、ダンがやって来てフルハシと共に俺の両脇を固めようとしてくる。
「待てダン! ヒロタは射撃大会で優勝する為に、敵と取引したんだ! 催眠で利用されているんだ!」
「一体何を言っているんですかソガ隊員! そんなわけないでしょう!」
「こいつぁ重症だな……」
「それに二号車はダンプに分断されたんですよ! その隙に……」
「だからお前とミナミが犯人なんだろうが! 一号車に乗っていたんだから!」
「は?」
オレが一号車……?
「なんで? 一位のヒロタが一号車で、オレは二位だから二号車ですよ?」
「ハァ? ……おめぇは四位だっただろうが!」
「射撃大会で優勝したのは、
「な……に……?」
アオキが優勝……? なんだそれは、知らないぞ。
「彼はそのまま人事権を使ってV3に行ってしまったから、繰り上がって二位のミナミ隊員と四位のソガ隊員が博士の護衛、三位と五位のヒロタさんとスズキ隊員が後詰って班分けだったでしょう? しっかりしてください!」
「分かりましたか? やはり彼も敵の催眠下にあるようですね……」
「……連れていけ!」
「「ハッ!」」
そんな……オレが……四位……?
今まで散々、憑依のせいでスペック落ちというのは本人が言ってきましたが、はっきりと具体的な事まで言及されてはいませんでした。
今回ようやく比較対象が出てきたので明言すると射撃の腕は
原作ソガ≧ヒロタ>アオキ>今作ソガ
となっております。