転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!   作:Mr.You78

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他人の星(Ⅱ)

宇宙空間ではステーションV2に、恒星間弾道ミサイルが接近してきていた。

 

V2は以前、恐るべき宇宙植物の群れとの追撃戦で、飛行隊が全滅しており、再編の目処が立っていなかった。

 

故に弾道ミサイルに対し接近し、要塞砲で迎撃するしかない。

 

対艦レーザーが何度も命中するが、全く効果は見られず、大型ミサイルはステーションの阻止可能限界点を超える。

 

「V2、回避しろ! 軌道修正用の緊急ロケットを全力噴射すれば、まだ間に合う筈だ!」

「いいえ、それは出来ません……ロケットは、ミサイルの進行方向へステーションを割り込ませる為に必要だからです!」

「なんだって!?」

 

V2からの返事に驚愕するソガ。

 

「レーザーが効かない以上、あのミサイルが着発式の可能性に賭けてみたく思います」

「バカ野郎! V2が無くなったら、地球の警戒網はどうなるんだ!」

「愚問ですな。地球が無くなっては、元も子もありません。どうせステーションだけ生き残っても半月で干上がってしまうでしょう。もはや我々の背後には、あの時のように電磁バリアは無いんです。今この瞬間は我々だけが、地球の唯一の傘なのです! その務めを果たします!」

「……隊長! 彼らを止めて下さい! 対惑星用の爆弾が、ステーション一つで止まるわけありません! これでは無駄死にです!」

「……」

 

ソガの懇願に、目を瞑ったキリヤマは、厳しい表情でそれを無視した。

 

通信機の向こうでは、V2が慌ただしく衝突準備を進めていく。

 

「緊急ロケット噴射、最大出力! コンデンサー稼働限界を維持せよ!」

「砲手! 一点を狙い続けろ! 弾頭右舷へ集中砲火!」

「ありったけのボンベと弾薬を格納庫に集約するんだ!」

「やめろ! 体当たりでどうにかなる相手じゃない! こんなの……狂ってる!」

「それで結構! 最後の地球人になるつもりは毛頭ありません……地球をお願いします!」

「……ウルトラホーク、発進スタンバイ!」

「隊長!?」

 

音を鳴らして踵を合わせたキリヤマが、通信機に向きなおると、その掌を額の横へびしりと掲げた。

 

「諸君らの分まで、我々ウルトラ警備隊が地球を守る盾となる事を、ここに誓おう!」

「それを聞いて安心しました……では皆さん、おさらばです!」

「衝突します!」

 

ミサイルとステーションが真っ向からぶつかり合い、V2は人員諸共、一瞬のうちに圧壊した。

集積された全ての可燃物が激しく爆発し、漆黒の空に真っ赤な大輪の華を咲かせる。

しかし、朦々と立ち上る爆煙の中から、無傷で姿を現す大型ミサイル。

 

「くそっ……クソ、クソ、クソッ! くそぉっ!!」

 

一人の隊員が悪態をつきながら、ブーツで椅子を乱暴に蹴り飛ばす。

普通であれば、激しい叱責が飛ぶ筈の醜態を、しかして今だけは、誰も見咎める者が居なかった。

 

地殻を貫く惑星破壊兵器は、たかだか人類が浮かべた鉄屑一つで容易く破壊出来る物ではなかったのである。

 

そんな事は誰から見ても明白だった。分かっていた筈だ!

だが分かっていても、現場の彼らはそうせざるを得なかった。そうせずには居られなかったのだ。

 

……ただ、それだけの事だった。

 

「フルハシ、アマギ、ソガはホーク1号。ダンは俺とホーク2号だ」

「ハッ!」

「出動!」

 

隊長の号令で、ホークの格納庫へと急ぐ警備隊。

その最後尾を行く隊員の肩を叩き、声をかけるキリヤマ。

 

「ダン、頼むぞ」

 

彼の厚い信頼が、肩に置かれた掌から伝わってくる。

思わず、空っぽの胸元を握りしめるダン。

 

その時……

 

「隊長、待って下さい!」

 

ソガが踵を返して戻って来た。

 

「我々を、スナックノアに行かせてはいただけませんか?」

「なにっ?」

「えっ……?」

 

その提案に、全く虚を突かれたという様子の二人。

 

「あの工作員の女がどうも気になります……隊長達が直接破壊を試みる間、地上からミサイルを誘導する手段がないか、探ってみたいのです」

「ふむ……」

「隊長、僕からもお願いします」

 

逡巡するキリヤマだったが……二人の顔を一瞥すると、深く頷いた。

 

「この際、出来る手は全て打っておこう……好きにやれ」

「ありがとうございます!!」

 

顔を見合わせると、ポインターのガレージへと駆けだしていく二人。

彼らの背中を見送ったキリヤマは、ため息を吐くと、アンヌへと通信を入れた。

ダンの代わりは彼女にやって貰うとしよう。

しかしこれでは……

 

「私と組ませた意味が無いではないか……」

 

苦笑した男は、独りで発進口へと走るのだった。

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