転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる! 作:Mr.You78
職場でコロナが猛威を振るった影響で、感想返信の時間がとれず、思うように進みませんでしたが……一か月も投稿があくのもなと生存報告がてら投稿。
あ、そうそう……
アギラ復活ッッ!
アギラ復活ッッ!
アギラ復活ッッ!
いやはや、カプセル怪獣ならぬカード怪獣とはね。
いかに当時のダイナスタッフが、セブンの精神的後継作となるよう臨んだとはいえ、まさかさらにそのオマージュ作品であの三匹が見られるとは……オレ、嬉しいよ……!
来週はどうやらパゴスの『主役回』みたいですし(不穏な触手のシーンから目を逸らしながら)
ちゃっかり本作のカプセル怪獣の面々が1シリーズ内で揃いそうというのも、個人的にニッコリポイント。
元々、出番が無さ過ぎたから起用したのに、ここにきてバンバン出番貰ってんの草。
よかったねパゴじい……
今の所ミクラスも、パワー型としての戦い方を存分に発揮してるのがベネ。
この調子でウインダムとアギラの活躍も楽しみだなぁ……
……え、顔見せだけして本編の出番ありませんなんて事ないよね?
頼むよ円谷さん?
箱根山中に、原因不明の濃霧が発生。徐行運転中の自動車30台が消滅するという事件が起こった。そして、ウルトラ警備隊に原因の調査が命ぜられた……
隊長からの招集に応え、作戦室に集まる隊員たち。
しかし、その中にダンの姿がない。
彼は遅刻などするような男ではなかったはずだが……
「……ダンは?」
「私の友だちの弟さんが入院している病院に行っています」
「アンヌの友人の弟が、心臓欠損症で手術をしなければならないんです。ところが……手術は怖いといって承知しないんだそうです」
「オサム君というんですけど……。オサム君、ウルトラ警備隊のダンさんに会えれば、手術を受けてもいいって言うもんですから……」
キリヤマ隊長の問いに、アンヌとフルハシがバツの悪そうな表情で答える。
なるほど……車が消えたというからには、薄々分かってはいたものの……二人の説明を聞いて確信した。
やっぱり今日はあの話か。
特に待機命令が出ていたわけでもないので、フリーの時間にどこへ行っていようが別に問題はないんだが……こんな時になにやってんだアイツ。
「呼び出しましょうか……?」
「いや、事件の原因調査だ……。我々だけで、出かけよう」
寛大な隊長で良かったな、ダン。
―――――――――――――――――――――――――――
そのころ、ダン隊員はひとり、ある病院を訪れていた。
第三セントラル病院。
アンヌの友人であるスギサキ・ユキコに連れられ、彼の弟がいるという病室へ。
「オサムちゃん、ウルトラ警備隊のダンさん。約束どおり来てくださったのよ」
ベッドの上では布団が大きく盛り上がっている。
ダンがシーツをめくると、一人の少年が怯えた様子で蹲っていた。
顔を上げ、ダンを認めると途端に喜色を滲ませるオサム少年。
「ダンさん……!」
「なんだ、とっても元気じゃないか」
「来てくれたんだね……僕のために……」
「そうだよ!」
「だけど……ぼく……」
オサムが目を伏せると、その視線の先には数ヵ月前の新聞が広げてある。
何度も読んだのであろう。くしゃくしゃに依れた一面には大きく『心臓移植の患者 死ぬ』の文字。
それはオサムを担当するはずであるユグレ博士の執刀ではなかったが、同じ方法には違いない。
見れば、病室にはいくつもの新聞記事が重ねられており、そのどれもが、凶報を伝えるものばかり。
いかに地球の医学が、宇宙由来の素材や知識によって、ここ数年で飛躍的な発展を遂げたと言えど、全てが民間に降りてきているわけではなく、中でも臓器移植は未だに成功率の高い手術とは言えなかった。
これでは少年が不安に駆られるのも当然の事だ。
ダンは彼の心中を即座に見て取ったが、そんな事はおくびにも出さずに、さも簡単な事であるかのように装った。
「意気地がないぞオサム君。手術なんて、寝っているあいだにすぐ済んでしまうさ! ねぇ!?」
「そうよ。スイスのユグレ博士は、心臓手術じゃ世界一なのよ。心配する方がおかしいわ……」
しかしそんな大人たちの慰めの裏に、子供特有の鋭さでもって微かな詐称を見て取ったのか、病室を飛び出していくオサム少年。
その後を追いかける、ダンとユキコ。
だが心臓に疾患を抱える彼の体が、激しい運動にとうてい耐えられるはずも無く、冷静にゆっくりと歩くダンですら、彼の背中を見失う事は無かった。
当然、少し小走りになれば追いつけたのだが、ここは彼のしたいようにさせてやろうと思ったのだ。
姉のユキコは気が気でない様子だったが、彼女は彼女で過保護に過ぎるようだ。家族であればそれも当然であろうが、彼女の焦りが、さらにオサム君の不安感を刺激しているのかもしれない……
そうこうしているうちに、すぐに彼の歩みはどんどんと遅くなっていき……距離も速度も満足に得られない逃走劇は、オサム少年が中庭の池のほとりで立ち止まる事でついに終わりを告げた。
「すみません……せっかく来ていただいたのに……」
「いやぁ。それより……どうしても明日、手術をしなければならないのですか?」
「ええ……わざわざスイスからユグレ博士が来て下さるんです。でも、博士はとてもお忙しくて、それもシンガポールへ心臓手術に行かれる途中なんです」
「じゃあ、博士はまだ日本へは……」
「ええ、明日の朝、日本へ来て、手術が済み次第、お発ちになるんです」
「……わかりました」
蹲るオサムの肩に、ダンがその大きな手を置いて、優しくそっと立たせてやる。
そうして、彼の体を自分の真正面に持って来たダンは、少年に語りはじめた。
「オサム君、ウルトラ警備隊のことは知っているかい? ……我々は、地球を脅かす宇宙人と戦っている……。オサム君、ウルトラ警備隊が、どうしてあんな素晴らしい戦いができるか、わかるかい? ……それはね、我々の全てが、人間の作った科学の力を信じているからだよ。小さなネジひとつ、メーターひとつにも人間の作った最高の科学が活かされている。そう信じているからこそ、ウルトラ警備隊はあんなに勇敢に戦えるんだ! わかるね……?」
花壇で飾られた美しい池のほとりを、ゆっくりと歩きながら、少年を諭すダン。
彼の話に、オサムが頷きを返すのを見て取り、もう一度彼の肩をしっかりと抱きすくめながら、その掌から伝わる熱で、少年の心を解きほぐそうとするかのように語り掛ける。
「信じるんだ、オサム君も。……前に、ぼくの大切な仲間がこんな事を言っていたよ……『人間の科学は、人間を幸せにするためにあるんだ』と! いいね……? わかってくれるね!?」
「うん! ……明日、僕の手術に立ち会ってくれる?」
「わかった、約束しよう! 明日、オサム君の手術の前に、僕はここへ来る!」
「本当に来てくれるんだね!?」
「うん!」
彼らは、互いの手を堅く握りしめ、笑顔で約束を交わし合った。
――――――――――――――――――――――――
作戦室にて。
ダンに対し、箱根山の事件現場を検証し帰還したメンバーが写真を見せつつ、そのあらましを説明していた。
「ハイウェイが大きく削れている……なんだい、このひしゃげた紙屑のようなものは? まさかガードレールだとでも言うんじゃないだろうね?」
「そのまさかよ。それに見て、こっちの大穴! まるで、大男の足跡みたい……」
「明らかに、なんらかの巨大なものが動き回った跡だ」
踏み荒らされ、陥没した道路の様子から、そう断言するアマギ。
しかしその足跡は、現場の周囲からはふっつりと途切れているのだ。
「うむ……深い霧……消えた30台の車……霧の中で何か巨大なもの……」
「何者でしょう? その巨大なものというのは?」
「わからん。何の手がかりもない……」
「霧の中で車が30台も消えた……こりゃぁ、いったいどういうわけなんだ?」
「明日、現われなければいいがなぁ……」
「どういう意味だよ、それは……?」
ダンの呟きを、耳ざとく拾ったソガが聞き返す。
「いや。明日、オサム君の心臓手術に立ち会ってやるって、約束したもんでね」
「明日どころか、永久に現われて欲しくない……しかし……」
「車が消えた……」
「うむ……」
隊長の願いは、恐らく叶わないだろう。
「心配だなぁ……。アンヌ、念のため明日、空港へユグレ博士を迎えに行ってやってくれないか……?」
「あした……」
――――――――――――――――――――――――
空港へユグレ博士を迎えに来た、アンヌとユキコ。
大きなケースを抱えた、初老の外国人紳士が降りてくる。
「ユグレ博士ですね。ウルトラ警備隊のアンヌです」
「ノンノン。ウルトラ警備隊、アリガトウ。スイスデモ、皆サンノコト、ヨク聞イテオリマス」
荷物を受け取ろうとするアンヌをやんわりと手で制す、ユグレ博士。
繊細な仕事道具を、安易に他者へ任せたくはないのだという博士の意図を悟り、同じドクターとして少しばかり恥じ入るアンヌ。
そんな彼女をすかさずフォローする紳士ぶりに、医師としてのプロ意識の高さと、優れた人格性を見て取り、アンヌは内心胸を撫でおろした。
この人ならば、オサム君を救ってくれるにちがいない。
「博士、弟をお願いします」
「御安心ナサイ、ユキコサン……」
しかし、ユキコの心はもうしばらく晴れる事は無かった。
早速、病院へ向かおうとしたものの、ハイウェイで渋滞に捕まってしまったのだ。
「どうしたのかしら、事故でもあったのかしら……!?」
「ユキコさん、落ち着いて」
「だって博士は、どうしてもシンガポールにいらっしゃらなければならないのよ。オサムの手術の時間がなくなるわ……!」
「大丈夫よ!」
しかしその時、まるでユキコの心情を反映したかの如く、にわかに霧が立ち込めると、たちまちハイウェイ一体を覆いつくしてしまった。
もうすっかり周囲が見えない状況。
山中であるならいざ知らず、こんな街中でこの時期に、それもここまで短時間に濃霧が立ち込めるなど尋常な事では無い。
すかさず本部に連絡するアンヌ。
「こちらアンヌ。空港の高速道路に突如、深い霧が発生……!」
すると、眩いフラッシュと共に重々しい轟音が響き渡る。
まるで巨大な何かがゆっくりと地面を踏みしめているかのような……!
……CLANG! ……CLANG!
「……なに? あの足音? 近づいてくるわ……! アンヌさん! オサムは……オサムは……! ああッ!?」
激しい閃光で目が眩む車内。
しかし、思わず顔を伏せたアンヌの耳が、聞きなれた甲高いエンジン音を捉えた!
ウルトラホークの救援だ!
「すげぇ霧だなぁ……」
「よし、霧を消そう」
「了解!」
ホークから赤い乾燥材が散布され、大気中の水蒸気を吸着していく。
そうして赤いモヤが晴れて行った先には……
「あッ!! ロボットだ!!」
金色の装甲で日光をきらりと反射させながら、巨大な蟹にも似たシルエットのロボットが、武骨なハサミを振り上げて、ハイウェイの車両を今まさに摘み上げているところであった!
「攻撃開始!!」