転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる! 作:Mr.You78
「マグマライザーただいま現着!」
嘘です。
ちょっと先について、こそこそ落とし穴掘ってました。
スパイナーの運搬にかこつけて、対U-TOM戦術の要だと主張し、出動させておいたのさ。
キングジョー戦での実績があるから、すんなりOKが出たのはラッキーだったぜ。
隊長達が離陸したと同時に、よーいドンで病院目指してまっしぐらよ。
地上走行と地中潜航を駆使してなんとか間に合った。
そうでもしないと、マグマライザーの足でジェットに先回りなんてとてもとても……
クレージーゴンが病院目掛けて進んで来る事が分かっているからこそ、使える手だな。
隊長達の向かった先と、病院を結んだ直線状に穴掘っておけばいいんだからさ。
その上、クレージーゴンはそもそも兵器じゃないし、コントロール不能の暴走状態だ。
キングジョーにはあんまり効かなかった落とし穴戦法も、そこまで転倒対策してない相手ならバッチリ決まるって寸法よ!!
お前の人形が自立してるところなんか、一回も見たことがない俺は知ってるんだぞ。
上半身に比べて下半身が貧弱過ぎる事が、お前の弱点だクレージーゴン!
……地下の配管? 知らんがな。
コイツが暴れ続けたらさらに酷い事になるんだから、必要経費と割り切ってもらうしかない。
いわゆるコラテラル・ダメージというやつだな。
ヤナガワ参謀には養命酒でも御供えしとこう。
「おいおい、誰かと思えば……こいつぁ派手にやったなソガ! いきなり地面からドリルがおっ立ったもんだから、たまげたぞ」
「へへっ、俺がやらなきゃ誰がやるって話ですよ」
マグマの操縦席にフルハシ隊員が乗り込んでくる。
なんでわざわざこんなもん持ってきたかって?
対クレージーゴン兵器ってだけじゃなく、墜落したフルハシ隊員を自然に回収するためだ。
この人にエレクトロガン持たせたままフラフラさせてると、いつステップショットが発射されてしまうか分かったもんじゃないからな。
「しかし、転ばせたはいいが……どうやってトドメを刺す? まだ動いてるぞアイツ」
「ふふふ……お忘れですか先輩? マグマライザーはね……レーザーが撃てるんですよ!」
「……知ってらぁ、それくらい」
俺を白眼視してくるフルハシ隊員に向けてチッチッチッ……と指を振る。
「わかってないなぁ! マグマライザーの強みはまさにそこなんですよ!」
無補給で地下を掘り進められる潤沢なジェネレーター出力。重量制限を気にせず搭載できた大型のレーザー発振器。
これがあるからこそ、通常の破壊光線のみならず、岩盤を破砕する超振動波レーザーと撃ち分ける事が出来るのだ。
例えメテオールレベルであろうとも、多種多様なレーザーを搭載できる拡張性にこそ、マグマライザーの真価がある。
なので……
「MHサイクル光線が撃てます!」
「……なんだいそりゃあ?」
「こいつの恐ろしさはね、フルハシ隊員が一番よくわかってる筈です……なんせ、カナン星人のオーロラレーザーを解析した新兵器なんですからね!」
「何だって!?」
カナン星人のオーロラ光線と言えば、ホーク3号を操縦不能にして、フルハシ隊員をあわや大爆死一歩手前まで追い込んだ兵器である。
原作ではウインダムすら為す術なく操られ、逆にダンを襲うように仕向ける事すら可能なのだから、威力は折り紙つきだ。
この世界じゃ、なぜかダンがウインダムじゃなくてミクラスを使ったせいで、活躍する暇もなく退場したらしいけどな、カナン星人。
実はこれが使えれば、軒並み強敵揃いのロボット怪獣達が楽勝だろうな……と思ってはいたものの、流用するのはハナから諦めていた。
なんせカナン星人のロケットといえば、原作でセブンのワイドショット食らって爆発四散しちゃうので、回収なんか出来っこないと思い込んでいたからだ。
ところがどっこい……リッガー戦におけるアギラの活躍について喋っていたら、アンヌがふと思い出したかのようにミクラスの話題を出してきたもんだから、びっくりしたね。
聞いた時は『へー、だからガンダーの時はウインダムだったのかー』なんて思っていたが、しばらくしてから『……もしかして、北極にカナンロケット沈んでる!?』と気付き、慌ててサルベージ依頼を捻じ込んだ。
そしたらなんと、丸ごとサルベージできちゃったのである……カナン星人のロケットが。
後はアマギを急かしに急かして完成したのがこの【
アンヌ、もう少し早く教えてくれれば、恐竜戦車もリッガーも瞬殺だったのに……とは言え、伯父さんからの又聞きだもんな、仕方ない。
むしろ巡り巡ってオレの耳に入ってきた幸運を喜ぼうではないか。
一番大事なクレージーゴンに間に合ったのだから。
「というわけで……新型レーザーが撃てます!」
「やっちまえ!」
マグマの鼻先から、七色に煌めく美しい光の帯が発射され、クレージーゴンの頭部を覆う。
これにて第38話、完!!
オーロラを浴びてもぞもぞとのたうつ気狂いロボット。
……ん? もぞもぞ?
「……おい、効いてねえんじゃねえか?」
「あれー? おっかしいなぁ……機械だったら絶対効くはずなのに…………あ!?」
「……おい、なんだその『あっ』ってのは……」
「なるほどねー……あーはいはいそっかぁ……完全に理解したわ」
レーザーは効いている。
確実に効いているのだが……効いても意味がないだけだ。
MHサイクル光線の効果は機械を狂わせる事……じゃなくて、制御できなくするだけなんだな……きっと。
てっきりコンピューターがオシャカになるとか、そういうカンジのものだとばかり思っていたが……よくよく考えりゃ計器も全部ダメになったら、その時点でホーク3号は真っ逆さまに墜落するし、ウインダムもアッパラパーで泡吹いて気絶する筈で……単にカナン星人以外の指令を受け付けなくなるだけだ。
他の機能は殆どそのままという事は……
そりゃあクレージーゴンには効かんわな。
なんせコイツは最初っから狂ってる。
司令塔を失ったから暴走してるわけで……ぶっちゃけ最初っから光線食らったのと同じ状態だったわけか。
なぁんだ、簡単な事じゃないか、ハッハッハ!
狂ってる奴を狂わせたところで狂ったまま。
こう、マイナスかけるマイナスがプラスになったりは……しませんかそうですか
「あー……なんか相手が悪かったみたいですね……」
「そんな事いってる場合か! 見ろ!」
苦笑いするオレの目の前で、クレージーゴンは巨大な右手をアスファルトに突き刺すと、ショベルカーがアームを使って車体を浮かせるかの如く強引に上体を持ち上げて、穴の中から脱出してくるではないか。
「おいおいおいおい、待てよ待てったら!」
キングジョーならいざ知らず、お前が起き上がってくんのは反則だろうが!!
バランスはどうしたバランスは!?
「させるかぁああああ!!!!」
足元に超振動波を乱射して体勢を崩そうとするも、ロボットは少しばかりよろけるだけで、長い腕部を杖のように使って支えにしてしまう。
話が違う!!
「まずい、このまま進んでくるぞ! 踏まれちまう!」
「ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝~!!」
『ジュアッ!!』
コックピットの視界を真っ赤な大木のようなふくらはぎが覆い隠し、凄まじい振動がマグマライザーを揺らす。
セブンが俺達の前に立ちはだかったのだ!!
「おおッ! セブン! ……おい、なんだかふらついてねぇか?」
「くそッ……とにかく後退しましょう!!」
やはりダンの怪我が、セブンになっても反映されているんだ。
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ウルトラガードの弾薬が尽きてしまったキリヤマとアマギは、地上に降りて病院を目指していた。
マグマライザーとセブンがなんとか敵を押し留めているうちに、避難を完了させなくてはならない!
だが……
《バルタン星人のU-TOMが近づいています。全員大至急退避してください。重症患者はスタッフの指示に従って屋上へ退避してください。防衛軍の収容ヘリが到着します、そのままお待ちください。バルタン星人の……》
「これは……」
思わず言葉を失う隊長。
アナウンスの鳴り響くエントランスは、人々でごった返していた。
医師や防衛隊員が一丸となって患者を運び出しているが……キリヤマには一目で分かってしまったのだ。間に合わないと。
防衛隊員は、ロボットの侵攻ルートや次の輸送先が分かっていても、どの患者にどの処置や施設が相応しいかまでは分からない。
逆に、医師や看護婦達には患者に必要な処置が分かっていても、避難計画の全容までは把握できていない。
そのどちらにも精通しているアンヌが、両者の間に入って仲立ちをすることで、なんとか大混乱だけは避けられているものの……やはり全てを救う事は出来ないだろう。
こうなったら、ウルトラガンで立ち向かうしか……
拳を握りしめて中庭に走る二人。
しかし、角を曲がったところで、見慣れた銀の輝きが飛び込んできた。
「こっちです! 正門に防衛軍のトラックが来ています! 皆さん慌てないで! スロープは車椅子に譲ってください! お見舞いの方は松葉杖の方を介助してください!!」
ポインターのスピーカーを使って、避難誘導をする防衛隊員がいるではないか。
その声と顔には、キリヤマも神戸事変の折に見覚えがある。
確かソガが随分と目をかけていた新兵だ。しかし、主計課に転属したはずの彼が……なぜこんなところに?
「キミ、キミ! このポインターはどうした!?」
「ハッ!? キリヤマ隊長! 手術が長引いても、ユウグレ博士が飛行機に間に合うよう空港までお送りするようにと……ソガ隊員が……」
「あいつ……相変わらず気障な奴だ」
「粋と言ってやれ。おかげで我々は丸腰だけは免れそうだ。……キミ、すまないがこのポインターは使わせて貰うぞ!」
「もちろんどうぞ! なんなりとお使いください! ……ご武運を、お祈りしております!」
神妙な顔で敬礼した青年隊員は、言うが早いか、車椅子を階段から降ろそうとする看護婦の方へと駆け寄っていった。
「……アマギ、ここは彼らに任せよう。なるべく時間を稼ぐぞ!」
「了解!」
――――――――――――――――――――――――
手術室の緊急ランプが光る。
先程から、ずっと鳴りっぱなしだ。
ランプに意識を取られていた助手は、ユグレが無言で剪刀を要求していた事に気付き、慌てて目的の器具を手渡す。
僅かにタイミングが遅れた事を、冷静な主治医は叱責しなかった。
……理由は分かっている。
朝に襲ってきたモンスターが、また暴れているのだ。
しかし、ユグレはそのような事は一切気にせず、ただただ手術に集中していた。
例え外が火の海になろうが、自分がやる事は変わらない。目の前の命を救うだけ。
スギサキ夫妻の医療器具には、ユグレ自身何度も世話になってきたし、彼では救えぬ患者を、代わりに救ってくれている。その夫妻の息子が、このような病に侵されるなど、なんという皮肉であろうか。
彼らの人工心臓が、なによりも愛する息子には転用できないと知った時、どれほど悔しかった事であろう!
そんな彼らの屈辱を他ならぬ自分が晴らせるというのならば、その為にスケジュールを組む事をどうして断れる道理がある?
医学の発展に多大な献身をした彼らに対して、正当な報酬が支払われる事を、神が御許しにならない筈がない。
それが彼の信条であるし、なによりもユグレは、この病院が踏みつぶされるような事は決してないと信じていた。
なぜなら、あの勇敢な女戦士が言ったのである。
「私達の仲間が、きっとあのロボットを止めてみせます」と。
彼女の瞳に、自身と同じprofessionalだけが持つ、覚悟と信念の輝きを見たユグレには、その言葉を深く信じる事が出来るという確信があった。
自分が臓器移植において世界一の専門医だというならば、彼らは怪獣退治の専門家だ。
その彼女が言うのであれば、余人がその言葉を疑う事など決して出来はすまい。
だから、スタッフ達にも安心して手術に集中して欲しい。
ユグレのエゴに、この極東の職員達を命懸けで付き合わせている自覚はあるが、手術は一人では成功させられない。尊い命を救うためには、彼ら彼女らの協力が必要不可欠なのだ。
そして、ユグレが手術から逃げられない理由はもう一つある。
なによりも……先程この手術室に飛び込んできた彼!
ユグレには、彼の暴挙を言語道断と切って捨てられなかった。
あの傷だらけの隊員が、麻酔で意識の混濁した少年に言葉をかけた時、オサムの拍動が安定し、手術を受け入れる態勢を整えた事を、熟練の外科医は感じ取っていたのだ。
ユグレには、彼らに何があったのかは分からない。それでも、二人の間には何らかの
そして、あの青年は約束を守った。彼は責務を果たしたのだ!
であるならば、あの隊員に敬意を表すと同時に、ユグレも自身の責務を全うしなくてはならないだろう。
なにせ、懇願する彼に頷きを返してしまったから。
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側頭部の煙突から、炎を吹き出し、凄まじい馬力でセブンを投げ飛ばしてしまうクレージーゴン。
装甲の輝きを煤で汚しながらも、一切足を止める事無く、ただただ前進しては街に蒸気と破壊をまき散らしていくその威容はまさに、廃工場が直立したかの如く!
ビルの瓦礫から起き上がったセブンが、エメリウム光線を発射するが、金色の甲羅は火花を盛大に噴き上げるだけで、小さな焦げ跡がついただけだ。
ダメージと失望によって、がっくりと膝をつく赤い戦士。
「くそっ! くそっ! なんでこけないんだよ! おかしいだろうがあ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝!!!」
後退するマグマライザーから、各種レーザーが乱射されるも効果は無し。
ソガが怒り狂った咆哮を上げる。
「確かにおかしい……」
その様子を見ていたアマギがぽつりと呟いた。
いくら色が同じとは言え、ソガのようにキングジョーと同一視するのも安易な話だが、数少ない歩行兵器のサンプルである事は間違いなし。
そうして比較してみた時に……やはりあのロボットは不可解だ。
あまりにもバランスが悪い。
普段の我々が何の気なしに行っているから、あまり実感がわかないが、直立して歩行するというのは、本来は非常に高度な技術を要する。
件のキングジョーですら、歩行補助に関する技術や対策を詰め込まれていて尚、足回りの弱さが弱点の一つとなった。地球の技術だけでは、未だに残骸を直立させる目途すら立っていないのだ。
同じく二足歩行のUー8も、機動性を犠牲にした頑丈な足腰に加え、機体制御に宇宙竜の高度な電子頭脳を積んでようやく実現している有様だ。その電子頭脳が狂ってしまえば、たちまち転倒は免れない。
人型に限りなく近いそれらですら……である。ところがどうだあのロボットは。
まさしく異形というほかなく、とても均整がとれているとは思えない。
本来であれば、歩行する事は疎か、セブンと格闘してあまつさえ競り勝つなど、絶対にありえない筈なのだ。
あのような巨体を支えるには、それこそモチーフ通りに多脚型にでもすれば良かったものを……だが現実はどうだ、なんらかの制御機構で問題点をクリアしているではないか。
長大なアームを尻尾や第三の足とできるならば、あの華奢な足もまあ分かる。必要最低限の本数というのも、脚部を格納して飛行するという設計的にはメリットになり得るからだ。
全体的に見れば、どうにもちぐはぐで、非合理的にしか見えないデザインも、問題点に一つ一つ焦点を絞ってみていけば、なるほどそれなりの合理性と最低限度を担保しているという、実に不可思議な設計思想。
エンジニアとしてのアマギの直感が告げていた。あのロボットは完成している……と。
では……いったい何処に自分は引っ掛かっているのか?
そうしてロボットを敵ではなく、一つの作品として捉えた時に……彼の脳裏に天啓のように閃くものがあった。
「そうか……左腕だ!!」
あの機械の左腕部は、強大な右腕にに比べてあまりにも矮小だ。それが一層、機体のアンバランスさを招く一因になっているくらいには。
だが、地球の甲殻類にもヤドカリやロブスターのように、左右のハサミで形状の違うものがいる。
アマギもたまさか、それらの存在を知っていた為に無意識のうちに『そういうもの』だと受け止めてしまっていたが……違う。
あれが生物であれば、使わない器官が退化するという事もあろう。
だが、どれだけ外見が有機的であってもあれは機械だ!
機械であれば、その形状にはなんらかの作為がある。
しかし……あの左腕はどうだ?
作業にも戦闘にも、なんの寄与もしていないではないか。
先程に引き合いに出したような生物たちとて、取り回しの悪い巨大なハサミはもっぱら威嚇や防御用、大雑把な用途で使うのであって、餌を切り取って口に運んだりといった細々とした作業は片側の小さなハサミの役目というふうに使い分けるものだ。
しかし、あいにくとアマギが見た限り、ロボットの左側がなんらかの形で役に立っているところを見たことが無い。
あの大蟹は、食事も戦闘も、全て右手のハサミ一本で行うのである!
それならばいっその事、役に立たないお飾りの左手など取っ払ってしまった方が潔い。生物でなければ名残を残しておく必要もない。軽量化やコストカットであればなおさらだ。
そう言った制限を考えないのであれば、あの強力な右腕をもう一本つけてやった方が余程いい。そうすれば作業効率も戦闘力も単純に二倍。機体バランスも左右の収まりがつくというもの。
それなのに……あの小さな左腕の付け根は、蛇腹状の軟質な素材で覆われており、明らかに可動域が確保してあるではないか!
なんの役にも立たなさそうな短い左手が、自由に動くことにこそ、意味があるのだ!!
アマギが目を凝らすその先で、巨体をふらつかせながらも、倒れこんだセブンの背中を、二本の足で一歩一歩しっかりと踏みしめて、真っ赤な段差を難無く乗り越えていくロボット。
その左腕が前後にぐわんぐわんと大きく揺動するのを見て、彼の疑惑は確信に変わった。
「隊長、左腕です! 奴の左腕部を狙ってください!」
「なにっ、左腕だと?」
「きっとあの左腕が、振動型のジャイロスコープになっているんです!! 奴の腹は車を納めるために空っぽなはず。姿勢制御のセンサーは、外付けするしかなかったんですよ!」
「聞いたか! 攻撃を奴の左腕部の付け根に集中せよ!」
「了解!」
マグマライザーとポインターから、光の銛が怪物の左腕目掛けて放たれる。
しかしいかに可動部とはいえ、とびきり頑丈に作られた作業機械の外装が、容易く貫けるわけもない。
なんの効果も及ぼせない。
ただ、その様子を見ていた者からすれば、攻撃がどこに向けて加えられているのかが、狙いの正確さ故に一目瞭然であった。
セブンには、その具体的な理由も、発揮される効果の詳細すらも判然としなかったが、彼らがどこを壊したいのか、という意図だけは、はっきりと見て取ることが出来たのだ!
『デュオ!!』
背後から飛びついた戦士が、敵の左側面にとってつけられた音叉のような部分を両手でしっかりと握りしめ、全体重をかけて後ろ側へ引き倒そうとする。
それにつられ、僅かに空を切るロボットの片足。いままでびくともしなかった大蟹が僅かにとはいえ、よろめいたのだ!
ここが踏ん張りどころだと理解したセブンは、両腕に万力のような力を込めると同時に、額に収束させたエメリウムエネルギーを、これでもかと手元の部品の接合部へ照射した。
アーク溶接もかくやというべき盛大な火花が辺りへ飛び散り、セブンの顔面にも容赦なく襲い掛かる。
溶接工のように仮面をつけていない彼はその飛沫をモロに浴びるが、それでも一切攻撃の手を緩めない。
そこへ再び警備隊のレーザーが合流し、計3本の光条が、ただ一点に集中する。
接合部が赤熱し、周囲の空気が蜃気楼のように揺らめいて、警備隊からは大蟹と戦士の姿がぐにゃりと曲がって見えた。
『ダァー!!』
裂帛の気合と共に、セブンがレバーを引き倒す!
メキメキッと何かの軸が圧し折れる盛大な破砕音が轟き、ロボットの左腕がぶらんと力無く垂れ下がる。
「今だ!」
「マグマライザー、超振動波!」
大きくたたらを踏んだクレージーゴンは、足元に突如として現れた大穴めがけて金の草鞋を踏み外すと、そのままアスファルトの中に下半身をすっぽりと埋め込んでしまった。