転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる! 作:Mr.You78
感想返信が完全に止まっちまってますが、大投票と、デッカーの神回テンションのまま書き進めたいので、突っ走ります。
これが終わったら閑話だし……その時にゆっくり返信作業すすめていこうかな……と。
↑これがこのページを書き始めた時のコメント。
……一話書くのにどんだけかかってんねんと。
いやあ、ペガ星人並みに気圧変化に弱いので、台風が行ったり来たりして死んでました。
そんでこっから年末まで繁忙期に入るので……全然書く時間が取れなくてですね……
(あと好きなゲームのアプデやら新作やらも手が伸びて……え?)
連載当初は原作放映時期とイイ感じにマラソンしてのが、ガンダー戦あたりでぴったり追いつかれてからは徐々に追い抜かされ……完全に追い越されてしまった……夏にテペトとノンマルトするつもりだったのに……!
そんな状態で返信なんかできよう筈もなく、内容を考えながら寝落ちして、保存が吹き飛ぶのを数回繰り返し、残念ながら決断しました。
しばらく感想返信は諦めよう……と。
せっかく素晴らしい感想いただいてるのに、消化しようとなんかおざなりな返事になっているような気がして、読み返すとあまりに失礼だな……と感じる事があったので、完結か、もしくは作者に余裕がでてくるまでおいておきます。
みんな、滅茶苦茶ええ事書きすぎなんよ。
中には作者が漠然としか考えてなかった背景とか心理を、ばっちりしっかり言語化してあったりして、感動しましたね。
その文才を……文章力を……クレ……
オマージュ元当ててあったり、考察とかネタとか……作者はだらしない顔でエへえへしてますんであしからず。
自分の作品に考察貰える喜び、分かりますか?
でもね……一番大事なのは、エタらない事です!
ぶっちゃけガッツ編がヘビーなもんでね……
間違いなくプロット時にぶっちぎりで悩みに悩みまくった超難産回です。
他の回はすんなり方針が決まったのに、この話だけは結局、見切り発車のまま執筆開始したくらいには……
なぜって?
それはね……
どうやってソガに勝たせるか、まったく思いつかなかったのです!
荒野を走る銀の車。
ポインターには、ウルトラ警備隊のフルハシ隊員と、モロボシ・ダン隊員が乗っていた。
基地のレーダーが不審な反応をキャッチしたので、一帯の調査をするよう命令が下ったのである。
問題の地点に到達すると、早速下車して、手持ちの機器で付近をスキャンし始める二人の警備隊員。
「おかしい……これといった反応がありません」
「よし、もう少し奥へ行ってみよう!」
「了解」
岩が剥き出しの斜面を降りて、調査を開始するも……空振りだ。
まさか誤反応だったのだろうか?
「……異常ありませんね」
「なんでぃ、レーダーの故障か? ついにユシマダイオードも寿命って事かね。また取り換えて貰わなきゃなぁ」
「ええ……しかし妙だ……」
持ってきた全ての計器上では、なんの異変も感知できないが……ダンの第六感だけは確かな違和感を訴えていた。
なぜだか無性に胸騒ぎがする……。
いやまて……
そもそも、そんな事が有り得るのか?
ダンの手の中では、地震計の針がピッタリと止まり、微動だにしない。
ふと気づけば、頬を撫でる風の感触も、草木や小動物達の発する微かな気配すらも、先程から感じる事が出来ていなかったのだと思い至る。
あたかも、この空間だけが喧騒から切り取られてしまったかのような……不自然な静寂。
その杓子定規に整えられた空気の向こう側で何かが……じっと息を潜めて、こちらを窺っている。
「戻ろうぜ、ダン」
「……待って下さい! ……なにか……匂いませんか?」
「あん? 何も怪しい事はないだろうが」
「いえ、そうではなく……」
その時、ダンの飛びぬけて優れた嗅覚が、この場に薄く薄く漂う粒子の存在を捉えた。
鼻腔をくすぐる刺激臭。この匂い、どこかで……
そうだ、確かあれは怒れるアンノンが襲来した時だ!
「これは……硫黄?」
「なに? ……うおッ!!」
「ハッ!?」
途端に、二人の立つ大地が激しく揺れ動き、岩肌がガラガラと崩れていく。
態勢を崩した隊員達の頭上に、サッと黒い影が差す。
耳をつんざく悍ましい咆哮と共に、土砂を巻き上げ、木々をなぎ倒して、常識外に巨大な生物が姿を露にした!
これほどの巨体を、いったいどこに隠していたというのか!?
『ゴガアアアアアアアアル!!』
「か、怪獣だと!?」
「危ない!」
怪獣の鋭い鉤爪が、身を屈めた二人の頭上を掠めていき、たったの一撃で崖の上方を抉りとってしまう。
砕けた岩石の破片が、シャワーのように、小さな人間達へと降り注ぐ。
寸でのところで左右に跳び、石礫を回避したダンとフルハシ。
しなやかな身のこなしでくるりと一回転すると、その勢いのままに先輩隊員とは真逆の方向へ走り出す後輩。
「あ、待て! ダン!」
岩を蹴り、倒木を飛び越えると、砂利の斜面を転がるような速さで駆け下りていく。なんと命知らずな事であろうか!
それもそのはず。何を隠そうモロボシ・ダン隊員の正体は、かのウルトラセブンなのだ!
例え人間の姿をしていても、その身体能力は、とても常人とは比べ物にならない。
本当であれば、このままウルトラアイで、元の姿に変身してしまいたい所であったが、少々タイミングが悪かった。
今の一瞬で大きく引き離せたとは言え、彼の背後からはダンを呼ぶフルハシの声が追い縋ってくる。
いかなダンといえど、相手が防衛軍きっての肉体派であるフルハシの脚力とあっては、これ以上の差を付ける事は難しい。
そして、なによりこの荒野には木々が疎らにしか生えていない。
あともう数秒すれば、背後の崖からひょっこり顔を出した巨漢からは、ダンの姿が丸見えになってしまうであろう。
そのような状態で変身するのはいささかリスクがありすぎる。
一瞬でそう判断したダンは、腰のポーチに手を伸ばして小型の爆弾を一掴みすると、全力疾走しながらそれを怪獣の足元目掛けて放り投げた。
何も怪獣にダメージを与えようとしたわけでは無い。
そもそもこれ程にサイズ差のある相手に対し、小型爆弾はあまりに無力で、蚊の刺した程の感触すら与えられないだろう。
今、重要なのは……
まるで爆竹の爆ぜるような音が連鎖する。
背後のフルハシ隊員にもきっとよく聞こえたに違いない。
これで彼は、ダンが爆弾を投げて敵怪獣の注意を引こうとしていると認識するはずだ。
狡猾な宇宙人や、感情の無いロボットには無意味な行為でも、より強い本能に従う怪獣であれば、こうした音や光に反応を示す事がある。
現に、見上げる程に巨大な敵は、後ろを走っているであろうフルハシ隊員には目もくれず、ダンに対して
しかし、本当の狙いはそこではなく……
続けていくつか爆弾を投げたダンは、手頃な岩陰にサッと身を滑り込ますと、もう一方のポーチから、本命のカプセルを取り出した。
そう、カプセル怪獣だ!
彼らはある程度の判断力がある為に、いちいちダンが指示を与えずともそれなりには戦える。
これならば、フルハシ隊員に追いつかれても大丈夫だ。
万一、カプセルを投げる瞬間を見られても、その前後で小型爆弾を投げ続けていれば、ダンが振りかぶったものが、よもや怪獣の入れ物だとは思うまい。
地球人はまだ、セブンが怪獣を粒子状にミクロ化して持ち歩いているなどとは、知りもしないのだから。
その点、ソガ隊員に分けて貰った小型爆弾は良い隠れ蓑だった。
……本当に?
些細な疑問が頭を過ぎるが、今はそれどころではない。
今この場で、敵怪獣を押し留めるのに最も適した、頼れる仲間を選び出し、ダンは空中に放り投げた!
「おい! ダン! 一人で無茶をするんじゃない! ここは二人で力を合わせて……ウッ! なんだ!?」
ガラガラと石を跳ね飛ばしなら斜面を滑り降りてきたフルハシが、追いついたダンの肩を掴むが、激しい閃光に目が眩む。
目を開けたフルハシが見たものは、爆炎の向こうに立ち上がる、もう一匹の屈強な怪獣の姿!
『GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
「……あっ! ミクラスだっ!」
カッと開いたどんぐり眼を、無邪気に輝かせたフルハシの感嘆へ、思わず喜色が混じる。
この窮地に駆け付けてくれた、野性味溢れる援軍が、彼を破顔させたのだ。
フルハシは、恐らくセブンの仲間と目される特殊な怪獣達の中でも、このミクラスという荒々しい猛獣が特に気に入っていた。
それは湖のほとりと、北極の空とで二度も命を救われたから……というだけにあらず。少々不細工で、見るからに力任せなこの怪獣に、どこか親近感を覚えて止まないからだ。
小さな人間がいくら体を鍛えたところで、巨大な怪獣にはたったの一歩でたちまち踏みつぶされてしまう。
それでも自分が、もしもセブンのように大きくなれたなら……そんな荒唐無稽な妄想も、ミクラスがその太く短い腕を振り回して活躍すれば、何かが少しだけ満たされるような気がするので。
「いよし! やっちまえミクラス! そのままとっちめろ! 奴がくれば百人力よ! 俺達も加勢するぞ!」
「……」
「……おい、どうした? ダン?」
満面の笑みで振り返ったフルハシだったが、それに対しダンの顔はと言えば、苦虫を噛み潰したように厳しい表情で、じっと二体の怪獣を見つめている。
やがて彼は、視線を逸らさずに、ただ一言だけぽつりと呟いた。
「……大きい……」
「なにぃ?」
背後で響く凄まじい衝突音にハッとしたフルハシ。
彼の戻した視線の先で、ミクラスと謎の怪獣ががっしりと組み合って、相撲のようにお互いの体を押し合っている。
そして、ダンの呟きを即座に理解した。
……明らかに敵の方が体格に優っているのだ、と。
先程までは、ただ地表から巨大な姿を見上げているだけだったので、遠近感すら掴めなかったが……こうして比較対象を隣に置いて初めて、敵の威容を客観的に捉える事が出来た。
蟻からすれば、目の前の動物は全て巨きいが故に、その程度を正しく理解できないが、流石に象と他の動物を並べれば、その偉大さを知る事が出来る。
なんと敵の怪獣は、ミクラスよりも頭一つ……いや、二回りも違うではないか!
それもそのはず、セブンの知る限りミクラスの身長はおよそ40m。しかしそれは頭頂部から長く突き出た鋭い角を勘定に入れての数字であって、実態はそれよりも小さくなる。
むしろ、その少しばかり小柄な体躯に、限界まで筋肉が凝縮されているが故に、ミクラスは強いのだ。
パンパンに圧縮された500万馬力の怪力で、鋭い角が敵の懐に抉り込むように突き出されては、並みの生物に成す術はない。
父の胸に飛び込む幼子が、その実、胸甲騎兵のランスチャージと同じ威力を秘めていればどうなるかという話である。
だが……対する敵の怪獣は……ざっと見積もっても軽く45m以上はある。それも少々猫背気味で基本的に前傾姿勢な上で、それなのだ。ずっと屈めたままの足も、ハゲタカのように長い首も、全て伸ばせば、50mは優に超えるだろう。いや、それ以上かもしれない。
人間で言うならば、身長160cm程度の者が、180、190㎝の巨漢に挑むようなもの、と言えば分かりやすいだろうか。
尤も、ミクラスの膂力は、ノッポのエレキングですら軽く投げ飛ばした実績があり、本来はそういった体格差をも平気で覆してしまうのだが……
「なんてこった、あのミクラスと真正面から互角に競り合うなんて……なんつう剛力……いや豪力だ」
フルハシの頬を冷や汗が伝う。
20歳の入隊時点で既に、柔道5段、空手5段とあらゆる格闘技を修めていた彼には、実力が拮抗している際の殴り合いにおいて、体格がいかに重要なファクターであるかが骨身に沁みて分かっていたからだ。
それこそ、得意の柔道技であれば、柔よく剛を制す事も出来るのだが……残念ながら、見るからに愚直そうな戦い方をするミクラスに、巧みの技を期待する事は出来ないだろう。
やがて巨獣同士の力比べは、徐々に力の均衡が崩れていき……ついには雄牛の躰が宙を舞う。丸太の如き筋肉の塊が、ゴロゴロと地べたを転がり、小規模な地震を誘発した。
『ゴガアアアアアアアアル!!』
「畜生! 本部、本部! ……くそッ! 繋がらねえ!」
「きっとあの怪獣のせいで、地磁気が乱れているんです! ポインターの通信機なら、あるいは!?」
「だが……!」
ビデオシーバーの画像が不明瞭に乱れ、満足に連絡が取れない!
より強力な車載無線ならば、可能性があるかもしれないが、ポインターは崩れた崖の上だ。
「お願いします、フルハシ隊員。ここは僕とミクラスが引き受けます。一刻も早く基地に連絡を! ホークの援護が必要です!」
「……分かった。あんまり無茶はすんじゃねえぞ!」
後ろ髪をひかれつつ、崖をよじ登り始めるフルハシ。
彼が応援を呼ぶまで、なんとかこの怪獣を釘付けにしなくてはならない。
ダンはウルトラガンを抜き放つと、素早く怪獣に向けて引き金を引いた。
レーザーの帯が敵の皮膚を舐めていくが……ちっとも堪えた様子がない。
ミクラスを放り投げた怪獣は、三白眼で小さな挑戦者を睨みつけると、山のような巨体でダンを踏みつけてしまおうと近づいてくる。
『GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
その背後で、雄叫びを上げて立ち上がったミクラスが、後ろ脚を高く蹴立てて、ぐぐっと総身に力を漲らせた。まさに彼の真骨頂、大突進の構えだ!
乾いた荒れ地に、分厚く平たいクレーターのような足跡を残しながら、人馬一体の騎兵突撃が敢行される。
己を無視する気かと、怒り狂ったミノタウロスが、悪辣に笑うグロテスクな怪物へ一直線に駆け抜けた!
これは決まった!
いかに巨像の如き体躯を誇る怪獣と言えど、これを側面から食らえば、ひとたまりもないはずだ。
次の瞬間には忌々しい土気色の肉体が、地面に打ち付けられるに違いない。
そう確信したダンの眼前で……激突の瞬間、怪獣のシルエットが一気に膨れ上がったかと思うと、ふわりと巨体が空へと舞い上がった。
遅れてダンに叩きつけられる凄まじい風圧。
「デアアーー!?」
目標を見失ってしまったために、勢い余って頭から地面に突っ込んだミクラスと同じように、地面を無様に転がる羽目になったダンが顔を上げると、怪獣の背で大きく広げられた翼が、太陽をすっぽりと覆い隠すように羽ばたいている所であった。
何という事だ! 怪力に加えて飛行能力まで持っているのか!?
ダンは自身の采配が、致命的に誤りであった事を理解して、激しく悔いた。
飛ばれてしまえば、ミクラスでは手も足も出ない……
急降下した敵怪獣が、全体重をかけた踏みつけをミクラスにお見舞いする。
そして、再び空へ舞い上がっては、両手両足の鉤爪で勇敢な闘牛の躰をひっかいて傷つけていくではないか。
『ゴガガガガ!!』
地面で藻搔く戦士の無様を、上空でせせら笑うかのように、鳴き声を上げる怪獣。
それは決着を付けようとする者の行いではない……眼下の獲物が徐々に弱っていくまで甚振っているのだ!
仲間に対する侮辱に、激しい怒りを覚えたダンは、何度目かの降下に合わせ、敵のぎょろりとした目玉に狙いを付けた。
ウルトラガンの光が怪獣の顔面に炸裂する!
激しい動きに、敵の急所を撃ち抜く事はできなかったが、流石にこれには敵も煩わしく思ったのか降下の軌道が僅かにズレ、転がったミクラスが敵の爪から逃れる隙を作る事に成功した。
傷口から染み出した血を、毛皮に滴らせながら、猛牛が立ち上がる。誇り高い戦士である彼は、受けた侮辱を決して許しはしない!
牙の生えた口を、獅子舞のようにガバリと開いて、背を逸らしながら大きく息を吸い込むと……ぶるりと身震いひとつ、肩をいからせ、凄まじい熱線を吐き出した!
ミクラスの全身から発せられた熱量を、一気に叩きつけるバッファフレイムだ!
溶岩流を思わせる火炎の竜巻が、敵の全身を覆いつくす!
周囲の木々が自然発火してしまう程の温度で炙られた空間が、陽炎のように揺らめいた。
シューシューと全身から湯気を立ち昇らせるミクラス。ぎょろりと怒りに燃える瞳が睨みつけるのは……濛々と立ち上る黒煙の向こう。そこにくっきりと浮かび上がる黒い影!
煙を引き裂き現れたのは、真っ赤に赤熱して、全身からダラダラとねばつく血液を垂れ流す悪魔の姿。
磐の如き肉体は、ところどころ真っ黒に炭化しており……ボロボロになった皮膚が砕け落ちる。
明らかなダメージだ。全身にこれほどに重度の大火傷を負って無事で済むはずが無い。
……それなのに。
『ゴガーーーガガガ!!』
こんなものはカスリ傷だとでも言わんばかりの大咆哮。
醜く節くれだった嘴を大きく開けて、自らの健在をアピールする。
なんという悍ましい耐火性! およそ生物の持ち得る耐久能力を凌駕している!
アレは言っているのだ。……お前など、相手にならん、と。
力及ばなかった衝撃か、積み重なったダメージか、がっくりと膝をついたミクラス。
「戻れ! ミクラス!」
ダンの手元に戦士が帰還する。
そして、胸元からウルトラアイを取り出すと……
「デュア!!」
カシャ
戦友の敵討ちに、ウルトラセブンが立ち上がった!
まるで待ちかねていたかのように、全身を大きく広げて威嚇する怪獣。
『ゴガアアアアアアアアル!!』
対するセブンも、普段は40m前後に留める巨大化を、以前のキングジョーとの戦いで見せた限界ぎりぎりの50mまで発揮して、怪獣へ躍りかかる。
エネルギーを消耗するが、あのミクラスすらも退けた相手に、出し惜しみは無しだ。
魔女の鷲鼻のようにひん曲がった嘴を掴んで、喉元に強烈なチョップを叩き込む。そして怯んだところをすかさず背負い投げ!
『デュアーーー!』
カシャ
敵の凄まじい豪力と、まともにやり合ってはならない。セブンが地球での戦いの中で学んだ基本は、敵に長所を発揮させない事だ。
この怪獣は、身体能力こそ高水準で纏まっているが、距離をとれば遠距離攻撃手段が無いと、ミクラスが教えてくれた。それを活かす!
そう思って投げ技で距離を取ったセブンだったが、敵も馬鹿ではない。すぐさま足元の岩石を、その脚力でもって蹴り上げて、飛び道具としてきた。
怪獣からすればサッカーボールサイズでも、彼ら巨人達にとってのそれは、人間から見れば小山に等しい。
なんという馬鹿力であろうか。そのような塊を素手で叩き落とせば、いかなセブンとて手痛いダメージを受けてしまう。
すばやく額に指を翳し、エメリウム粒子を収束すると、ソガの如き早撃ちで岩を撃ち抜いた。
『デュッ!!』
カシャ
忽ち粉々に砕け、岩石の塊だったものが霧散する。これぞまさしくウルトラビーム! ウルトラセブンの誇る超兵器だ!
しかし、細かな粒子となった飛礫がパッと空気中に広がって、セブンの視界を一瞬だけ覆い隠してしまった。
ほんの僅かな間とはいえ、怪獣から目を離してしまったセブン。
『デュア!?』
銀の仮面に暗い影が差し、セブンがハッと顔を上げれば、敵は飛び上がって上空を旋回していた。
必殺の急降下攻撃を仕掛ける機会を伺っているのだ!
翼の切れ目から、怪獣の背に射した太陽の光がチカチカと瞬いて、目が眩むセブン。
獰猛なハゲタカが、その隙を見逃すはずは無い。
旋回を止めて、まるで矢のように地表へ向かって飛び込んで……
「させるか!!」
キーンと耳をつんざく甲高いエンジン音!
きらめく銀色のデルタ翼が、両者の間に割り込んだ!
「撃て!」
ウルトラホークから狙いすまして発射されたミサイルが、怪獣の口腔内に命中!
『ガアアアアアアッ……!!!』
錐揉み状態で落下した怪獣は、地面に激突すると、ふらりふらりとよろめいている。
『デュワ!』
トドメのエメリウム光線だ!
……しかし……
『ガアアッ……!』
『デュ!?』
怪獣は蝙蝠の如き被膜をマントのように翻し、エメリウム光線を受け止めてしまう。
もちろん着弾した場所は大きく破れ、もはや翼としての役目を果たさない。
逃走手段を失ってでも、生にしがみ付こうとする意志を感じさせた。
ならばとアイスラッガーを投げるも、両手の鉤爪で防御され、弾き返される。おまけに動体視力まで優れていると来た。
流石にアイスラッガーと何合も打ち合える強度はないらしく、一度弾き返す度に、ツメが無残に割れ砕け、どんどんとその鋭さを減らしていくが……そんな事は構わないらしい。
一体何がこの怪獣をそうさせるのか?
まるで何かを待って、耐え忍んでいるかのようにも見える。
どこかに群れの仲間でもいるのか……?
とにかくこれは、早く決着をつけた方がよさそうだ。
セブンは、怪獣の恐ろしいまでの打たれ強さと、最後まで足掻き続ける執念に脱帽し、外力によってこの生き物を倒す事を諦めた。
『デェア―――!!』
セブンは怪獣に向かってジャンプすると……飛行しながらどんどんと縮小化していき……ついに豆粒ほどに小さくなってしまった。
それこそかつて、カオリの肺に巣食ったダリーを退治する為にミクロの世界に挑んた時のように……
目の前で敵が消えて驚き、あんぐりと口を開けた怪獣の喉にそのまま突進!
この怪獣の皮膚は、ミクラスのバッファフレイムでも焼き尽くせない程に耐火性が高い。
そのような肉体を、ビームやミサイルで破壊するのは非常に困難だ。
であるならば……
ズガガガガーン!
怪獣の体内で一気に巨大化したセブンは、本来であれば宇宙竜ナースですら引きちぎってしまうほどのウルトラパワーを全身に漲らせ、敵怪獣を体内から破壊した。
さしもの怪獣も、これには対抗できなかったようだ。
無残に飛び散った肉片を一瞥すると、真っ赤な戦士は空の彼方へ飛び去っていく。
カシャ
……その背中を、何者かがジッと見つめている。
レンズ越しに、舐め回すように、隅から隅まで見落とすまいと。
やがて、木々の合間から、不可視の小さなドローンが宇宙の彼方に浮かんでいった。
【せぶんハ、身長50mノ巨人ニモ、豆粒ホドニモ、小サク、ナレル】
というわけで零れ話。
背景とか裏設定を全部書くとあまりに長くなりすぎるんで、今までは感想欄で疑問や推察に応える形で裏設定を小出しにしていましたが、それをお休みすると言った以上、どっかで言わないと疑問がいつまでも置き去りにされちゃうんで……
実は準備稿では、ガッツ星人に倒されるのはミクラスだったらしいですね。
アロンの活躍シーンがカットされまくったせいでミクラスの活躍もお蔵入りに……
ガッツ星人からはアウトオブ眼中だから致し方なし……?
なんでアロンが豪力怪獣かっていうと……近くで見ていたフルハシにとって、そのパワーがあまりにインパクトが強かったから。……という解釈。
まあ、ミクラスと張り合ったなら豪力呼ばわりも十分にありでしょう?