転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!   作:Mr.You78

173 / 242

か~なた~に光る~♪ ふるさと~の星~♪

7月10日はウルトラマンの日!

らしいので今度は防衛軍以外の、特に宇宙人達をメインにご紹介。

またしても本編には全く関係ない横道の情報ばかりで申し訳ない。

もうちょっと待ってて下さい。



戦い終わって見上げる空の

 

星雲荘

 

◇盟道=龍/メトロン星人

 

宇宙ケシの実を使った侵略を目論み、セブンにアイスラッガーでくす玉にされたメトロン星人その人。

 

素早くエメリウム光線の追撃を喰らうも、体が真っ二つに割れたせいで勢いよくばら撒かれた濃密なフェロモンにより、セブンの狙いが狂ったためギリギリでトドメだけは免れた。

 

その後、ナラザキという心優しい奇特な地球人に縫合され(散らばった果肉や種は息子である少年がかき集めてくれた)一命を取り留める。なので正中線に沿って粗い縫い跡が残った。

 

本作でのメトロン星人は、植物性の宇宙人となっており、完全に切断されても直ぐには死なず、断面が空気や土に曝露しても多少は問題ない程度には生命力が強い。(地球人にも馴染み深い例としては、切り花や接ぎ木など)

 

その恩もあってか、現在は地球侵略の意志をひとまず放棄したようだ。

 

メトロン星人は武力に頼った侵略を無粋と見做す傾向があり、用意周到に謀略を張り巡らして、巧妙に相手を自滅や降伏に追い込む事を是とする。

 

彼もまたその例に漏れず、周到さを遺憾なく発揮しており、確保しておいたセーフハウスが1軒無事だったため、それを元手に宇宙人専門の賃貸を始めた。

 

とはいえ当初からそれが目的だったわけではなく、放浪していたペガッサ星人を偶々拾った事から、宇宙人同士の奇妙な同棲が始まり、それがなし崩し的にこうなったらしい。

 

偽名が中華系(あくまで彼が誰かにハッキリとそう明言した事は一度も無い。思わせぶりな言動で、周囲が勝手にそう納得しているだけ)なのは、下手に日本人だと言い張るよりも、異国人のフリをしていた方が、いざ地球の常識に無知を晒した際、単なる異国情緒として誤魔化しが利くと思ったから。

 

目論み通りにご近所からは、胡散臭い外国人だと認識されているが、アパートの場所が下町故に、行き交う人々が血気盛んな労働者ばかりであり、当人の社交性と品の良さもあってか、『下手な日本人の荒くれ者よりよっぽどマシ』だと受け容れられている。

 

尚、侵略をしないとは言っても、土地の権利や、住民達の戸籍情報などは全て彼が偽造したものなので、グレーどころかバリバリの犯罪者。

 

もともとが貴族的な生活をおくっていたので、音楽や芸術などの文化に関心が高く、またその素養も高い。(侵略も一種の道楽としての側面があった)

 

基本的に自らの好奇心を優先する趣味人であり、元侵略者崩れが多いアパート住人には珍しく風流を解する。これは、メトロン星にも地球ほどハッキリとではないにせよ四季があり、彼らが植物である為に『時期』に対してとりわけ敏感である事が関係していると思われる。

 

新人作家であるタウラ氏の『北川人情放浪記』の大ファンで、かなり気合いの入ったファンレターを送っていた。

 

その縁で現在は氏の同人雑誌に、『夕暮れ伯爵』のペンネームでエッセイを寄稿している。

 

尚、母星ではそこまで地位が高いわけでもなく、せいぜいが男爵相当。とはいえ、片手間で貿易商(的なもの)を営んでいたので、財力に関しては下手な爵位持ちよりはあったらしい。商才はあるようだ。

 

本人は完熟(成人)済みなので、近づくと、仄かな甘ったるい香りがする。

 

一昔前までメトロン星は、エンペラ皇帝傘下ヤプール(後の暗黒四天王)の支配下にあり、完熟した同族を献上品として上納する事で、代わりに庇護を約束されていた。

 

しかし丁度彼が発芽したくらいの頃、皇帝がM78星雲との戦争に敗退し失脚した事で、配下たるヤプールの勢力圏もその煽りを受けて著しく縮小、しばらくしてメトロン星も庇護対象から外れてしまった。

 

おかげで葉も青い内から、あくせく働く羽目になったので、光の国には忸怩たる思いを抱いている。

 

実家では、ドラゴリーを初めとした昆虫系怪獣をフェロモンで従わせ、宇宙ケシや宇宙タバコのプランテーションで奴隷のように働かせていた。

 

収穫した品はマーキンド星人のルートで売り捌き、そうして得た金でシャプレー星人やキュルウ星人の使用人を雇っているらしい。

 

実は侵略目的も、地球を恐れる星々に『私がなんとかしてあげましょう』と囁き融資を募りつつ、ちゃっかり自身の領地の特産品を使う事で、ブランドイメージの底上げも狙っていた。

 

なので、いつか領地の様子も見に行かなくては……と、うっすらではあるが頭の片隅で気にしてはいる。

とはいえ円盤が無いので、どうしようもないのだが……

 

また、一命を取り留めたとはいえ、専門家でもなんでもないド素人が緊急措置として行った手術だった為、予後不良で弱っており、定期的にペガッサ星人ダークの治療を受けなくてはならない。

 

なので、大家として威丈高に振る舞っている(というかナチュラルに他者を見下している)が、彼にだけは頭が上がらず、ある種の友誼すらも感じている。

 

作者の脳内モチーフはナスとアケビ。

 

 

◇ダーク/ペガッサ市民:D区間9ライン

 

航行不能になったペガッサ市から、万が一の保険として、地球を爆破する密命を受けてきた工作員。

 

しかし、動力停止中のペガッサ市からでは、不完全なダークゾーンしか繋げられず、殆ど不時着のような形で地球に来訪し重傷を負う。

 

彼が自らを癒している間にペガッサ市は破壊され、いざ任務遂行という段でそれを知り、復讐心のまま地球もろとも心中しようとするが、セブンに阻止される。

 

失意のまま闇夜に紛れ、幽鬼のようにフラフラと彷徨っていたが、術後感染症に苦しみ、自身を治療できる者を血眼になって探していたメトロン星人に確保された。

 

当時は発狂一歩手前の精神状態だった為、メトロンの口車(私を治せば君の復讐を手伝ってやる)にまんまと乗せられ、彼を治療したが、いざ回復したメトロンがペガッサ難民達の情報を手に入れてくると、丸三日狂喜乱舞してから、冷静にそれどころでは無いと考え直した。

 

現在は、同胞達が安定した生活を手に入れられるよう、地球人に溶け込む手助けをしている。

 

彼自身は長距離トラックの運転手として生活費を稼いでいる。(荷を受け取ったらトラックごとダークゾーンで転移して、ある程度間を置いてから目的地に出現すれば、燃料費ゼロで移動時間を丸々自由に使えるから)

 

尚、ダークは善意でこのペガッサ星人向きの仕事を同胞達に勧めており、仲間の多くがこの職に就いた結果、日本の物流が大幅に強化(ペガッサ星人達はまるで気付いていないが、彼らが請け負っている運搬量は通常の十倍)され、怪獣災害からの異常な復興速度を支えている。

 

ペガッサ星人は本来、工場で生産される特殊な海藻だけを食べていたが、地球で生きていく上では身体改造を施して雑食寄りの食生活に適合させる必要があった。

 

しかし、技術があってもそれを行う為の高度な医療器具までは市から持ち出せておらず、途方に暮れていたところ、メトロンが自身の設備を貸し与えたので難民達は餓死せずに済んだという経緯がある。

 

ダークはその事を大変に恩義と感じているため、口ではなんだかんだ言いつつ、内心では頭が上がらない。

 

住人が体調を崩した時は、だいたい彼が看てやる事になっている。

 

しかし処方箋代わりに皮肉を山ほど聞かされる羽目になるので、みんなやせ我慢してしまいがち(それデ病気ヲ悪化させる方ガ、よっぽど馬鹿馬鹿しいトハ、思わないノカ!? さてハ皆、地球人の病院デ、ビン詰めにされる方ガ、お望みなんだナ!?)

 

本作におけるモチーフはアメフラシ。

 

不時着のショックで翻訳機が不調であり、少しだけ発声に違和感が残った。

調律部分に繊細な専用部品が必要となる為に、流石のドロシーでも直せず、彼女には別の翻訳機を使うよう勧められたが、頑なに元の品を使い続けている。

 

曰く『奴に文句を囁いタ時二、声ガ違ったラ、傷付きようがナイ』との事で、それを聞いたドロシーは『勝手にしたら?』と呆れ果てた。

 

ペガッサ人が笑う際は、舌歯(しぜつ)に当たる部分を擦り合わせる癖があるので、翻訳機を通さない場合、ざりざりと何かを削るような音に聞こえる。

 

顔の右側面に(人化した際は瞼の下から顎にかけて)大きく引き攣れたような蚯蚓腫れがあるが、アイスラッガーが外とう膜を掠った事による古傷である。消すのは容易いが、消す気は無い。

 

実は市長の元秘書官であり、実質的にはペガッサ市のナンバー2。

地球爆破任務も、もちろん脱出など出来ない片道切符で、同胞達の為に地球と運命を共にする覚悟で来た。

 

本来の歴史であれば、ペガッサ過激派を率いて、ゴドラ星人と共に地球防衛軍の乗っ取りを企むはずだったが、防衛軍の動向を監視する中でソガやアンヌ(……と非常に癪だがダン)達と結んだ友情に希望を見出し、いつか同胞達が表舞台に立てる日を夢見ている。

 

尚、ソガが善人面して渡してきた救急箱に、こっそり発信機が仕込まれている事へ気付いた際は、本気で頭に来ており、地面に叩き付けて粉々にしてやろうと思った。

 

その救急箱は現在、市長婦人の運営する孤児院で、今日も子供らの生傷を癒すのに役立っている。

 

 

◇ドロシー=ペダン

 

元ペダン太陽系銀河方面軍特殊作戦群筆頭技術主任。

 

ジーアンダ技術開発棟(母星で最も権威のある研究機関であると同時に工兵養成所)の首席。

 

潜入工作に高い適性を発揮し、ワシントン基地のドロシー・アンダーソンとすり替わり、地球防衛軍の機密情報を探っていた。

 

方面軍の中ではそれなりのポジションに就き、エリートコースで出世も約束されていたが、それでも所詮は末端兵の一人に過ぎず、彼女は本気で両星間の和平の為に奔走したものの、それを平気で裏切るような上層部の命令に、自身の信じていたペダン軍の理想が虚飾であった事を悟り絶望した。(兵士のほとんどはプロパガンダによって母星の正義を純粋に信奉しており、彼女のように現実とのギャップで苦しむ者も珍しくない)

 

ドロシーを返還した後、自暴自棄のようになり地上で帰還を拒んでいたが、キングジョーと共に遠征軍が全滅した為、彼女も母星に帰る手段を失った。

 

尤も、彼女のサボタージュが原因で部隊が全滅した事は紛れもない事実であり、この過失が意図的なものであると露見すれば銃殺刑は免れない為、帰還する気はさらさら無い。

 

母星では彼女の軍籍はそのままMIAとして処理されている。

 

もとより潜入任務は得意中の得意であり、地頭の良さで直ぐに職を見つけたが、その華やかな美貌が目立ち過ぎ(そもそもの顔立ちからして美形だったが、整形装置がキングジョーと共に爆散した為、顔の変更が出来ずドロシーと瓜二つのまま。髪色を染め、カラーコンタクトで誤魔化しているが、もしもモデルを知る人物に見られたら何処ぞのグラサン捜査員が飛んで来かねない)、噂にならぬように一所へ留まれ無かったところ、ペガッサ星人ダークと接触した。

 

現在は、彼に顔を手直しして貰った(面影はあるが、せいぜいハーフ程度に落ち着いた)事もあり、メトロンの偽造戸籍で、バイト先だった図書館に職員として正式に(あるいは不正に)就職した。

 

たまに児童コーナーで、絵本の読み聞かせをしているらしい。

 

母星が強烈な女尊男卑の女系社会だった為、アパートの男共には冷ややかな態度をとる事もあるが、彼女が真に嫌っていたのは軍国主義の息苦しさと、その根底にある星ぐるみの行き過ぎたマッチョイズムな為、常に知性的かつ紳士な態度をとる彼らとの仲は良好。

 

むしろ同性であるゴドラ星人ララの方にこそ、故郷の匂いを感じて辟易する場面が多いとか。

 

ペダン星人にしては珍しく、異星の文化に対して強い興味を持っており、軍人になったのも娯楽の少ないペダン星において、『潜入工作の精度を高める為の敵性文化の研究』と称し、大手を振ってそれら資料の閲覧申請が出せるという、かなり俗な理由が占めていた。

 

なので、住民達の中では白眼視されがちなメトロンの趣味道楽に、最も理解と共感を示す。

 

アパートの機材はたいてい彼女がメンテナンスをしている。

 

尚、任務中にバックレた為、携行していた軍用拳銃もそのままちょろまかしており、仲間達がちょっと危ない橋を渡る時は護身用にホイホイ貸し与えたりする。(彼女としては御守り程度の感覚だが、ペダン軍の正式採用モデルの中では低出力というだけであり、着弾箇所を瞬時に原子崩壊させてしまう威力の代物。おかげで後にミーヤの両腕が吹き飛ぶ事になる)

 

ブローチ型発信機を使って、夜中に毎日、誰かとクチャクチャ長電話するので、神経質なダークに文句を言われがち。

 

 

◇後藤=ララ/ゴドラ星人

 

女に化け、油断したダンを襲撃し、まんまとウルトラアイを奪ったゴドラ星人であり、基地の地下動力炉でセブンと格闘していた個体。

 

途中で駆け付けたキリヤマが時限爆弾を解除してしまった為に、激昂して背後から彼を殺害しようとするも、エメリウム光線を右肩に受け昏倒。

 

しかし、等身大故に出力が下がっていたのか、はたまた急所を外れていたのか致命傷には至らなかった。

 

当時は一刻を争う状況だった為、セブンもキリヤマも死亡確認まではしておらず(というよりエメリウム光線を耐えきる存在の方が稀)、基地の混乱に乗じ這う這うの体で脱出に成功する。

 

それからは一目につかぬよう山野に潜伏し、傷の回復を待ちつつ機会を伺っていたが、逃げ延びた先がペガッサ難民達のキャンプ地近くであった為、彼女が大量に食い散らかした動物の死体を怖がった難民達が、ダークに助けを求めた事で存在が発覚。

 

半ば野生化していた所を、調査に来た三人によって確保された。

 

メトロンのフェロモンまで使った説得でようやく彼らに(渋々)合流したが、もともとの気性からして住居の必要性を全く感じておらず、割り当てられたアパートの自室を、ちょっと容量の大きな物置程度にしか考えていない。

 

というか普段は修行と称して山篭もりしているか、たまに趣向を変えたい気分になったらスポーツジムに入り浸って自己鍛錬に明け暮れているので、殆どアパートには寄りつく事がない。

 

ほぼ籍を置いてるだけのマタギと化している。

 

彼女の正体であるゴドラ星人は、分厚い外骨格に覆われた節足動物なので、本来はいくら鍛えようともその甲殻の容積以上に成長できず、脱皮しない限りは肉体強度が上がる事など無い。

 

……ハズなのだが、脊椎動物(つまり人間)へ擬態中に特訓すると、何故か本来の姿の方でも筋繊維密度が上昇するという謎の現象を発見してから、自身の肉体開発にのめり込み、今では晴れて立派な筋肉フリークのトレーニング狂となってしまった。

 

恐らく人体のうち、筋肉へ関する事にだけ限れば、ダークすらも凌ぐ程に精通している。

 

何故それ程までに強さを追い求めるかと言えば、もちろん弱肉強食な種族柄もあるのだが、アピールしたい意中の相手がいるから。

 

その相手とは、自身を初めて打ち倒した強靱なオス……つまりウルトラセブンに首ったけであり、彼の番いとして相応しい相手になるべく猛特訓中。

 

本性でも人化中でも、右肩を中心に酷い火傷の跡があるのだが、それを愛おしそうに指でなぞってはウットリするという奇行には、全ての住民がドン引きしている。

 

一応、メトロンが家賃を寄越せと五月蝿いので、修行中に山で獲れた動物(大抵イノシシか熊)だとか、適当に拾った木の実や山菜(と正体不明のキノコ)を物々交換しているようだ。

 

本来の歴史では、ダークから防衛軍転覆計画を唆され、セブン会いたさに二つ返事でそれに協力。

母星から同志達を呼び寄せ、ルンルン気分で準備を行い、今度こそ侵略成功一歩手前まで行くが、阻止しに現れたのがダンではなくカザモリで、しかもセブンとしての覚醒すら中途半端も良いところという有様に、盛大な解釈違いを引き起こし、ヒステリーのまま爆破される防衛軍基地と運命を共にした。

 

本作時空ではダークにその気が無いので、よほどの事が無ければ彼女が自分から侵略に乗り出す事は無いものの、各人差はあれどそれなりに丸くなっているハズの住民達の中で唯一、侵略当時のマインドをほぼそのまま保ち続けているぶっちぎりの危険人物。

 

そんな武闘派の彼女だが、住民の中では意外にもダークの事を一番認めており、『種族の為に敵惑星ごと自爆する事も辞さぬとは、その覚悟なかなか天晴れな奴!』……と思っている。

次点でミーヤを『お前、見所があるね!』と目にかけてやっている(つもり)。

 

逆にドロシーやマヤのように、工作員にも関わらず、母星を裏切り利敵行為に走るような輩を、ゴドラ的価値観に則り、心底見下げ果てた奴らだと軽蔑している。(本作時空でのマヤはそうなる前に退場したのだが、彼女曰く『軟弱者の匂い』がするらしい)

 

しかし、彼女らは『強い戦士』ではなく『弱いメス』(武器が無いと何も出来ないような虚弱体質……!)なので、そういう判断をしても当然だと許してやってもいる。(強靱な精神は、強靱な肉体にこそ宿ると主張するタイプ)……というかむしろ、弱くて可哀想な存在なので積極的に自分が守ってやらねばとすら、考えているフシがある。

 

……メトロン? ふん、どうでもいいわ、あんな道化!

――おや、これは手厳しいね。

……わぁ、ふぇろもんらぁ! いいにほひ。

 

実はゴドラ星人は真社会性動物のような生態をしている為、集団への帰属意識が非常に強く、母星から切り離されてしまった彼女にとっては、このアパートこそが新しい群れであり、この集団に貢献しているという認識によって、所属欲求をなんとか満たしている状態。

 

一見、彼女にメリットが何も無さそうなのに籍だけは置き、催促された家賃を踏み倒したり、そのまま出て行ったりもしないのがその証拠。もちろんララ自身もそれに気付いてはいない。

 

モデルはテッポウエビとドウケツエビ。及びシナルフェウスレガリス。(分かる人には『サガミレガリス』の方がピンとくるかも)

 

◇マヤ/マゼラン星雲人

 

惑星破壊弾道弾が、セブンによって迎撃されないよう、彼の変身を阻止する密命を帯びてやってきた工作員。

 

しかし、その内容を既に知っていたソガにより、見敵必殺とばかりに爆撃される。

 

死んだと思われていたが実は、監視に来ていたダーク(マゼラン星雲のやり口は宇宙でも有名で、地球に並ぶ要警戒対象)により間一髪のところで救出されており、重傷を負ったもののアパートに保護されていた。

 

原作ではセブンの説得に絆されていたが、こちらの世界線では命の恩人であるアパート住人に心を開く。

 

自分が失敗しても後詰めが投入される事。またそれがさらに優秀な自身の双子の姉である可能性が高い事を告白し、地球に滅亡の危機が迫っていると警告した。

 

いきなり殺されかけた為、地球人に対しては原作以上に懐疑的。やっぱり野蛮人じゃないか。

 

それでも、恩人であるダークやドロシーが好いている星なので、なにかしら見るべき所があるのだろうと考えている。

 

また、母星では味わえなかった『自由』を知り、その感覚と地球が紐付きつつあるので、地球人は別に好きでも無いが、この場所については母星以上に自身の在るべき居場所であると認識している。

 

劇中では、小柄な彼女の体格に対してあまり適しているとは言えない、大きめのアサルトライフルであるマゼランガンを、難無く使いこなす姿を見せている。

 

先に構えていたとはいえ、単射かつ腰だめの状態から、ダンが素早く引き抜いたウルトラガンだけ撃ち落として機先を制するという離れ業を、涼しい顔でやってのけており、こと射撃に関しては相当な腕前を持つ事が伺える。

 

単独での重要な潜入工作を任されるだけあり、格闘戦以外のあらゆる技能において優秀な成績を収めるが、精神面での脆さを度々指摘されており、裏では上層部から失敗作の烙印を押されている。

 

なので、目標に取り入れる程度には人間性を残している事もあって、今回の任務で使い捨てるには丁度良い人材だった。

 

本来の計画においては、ウルトラアイを奪取するため無害な少女を装ってダンに接近する予定で来ており、原作であんなにすんなり行くとは上層部含め誰も思っていなかった。

 

マゼラン星雲人は、基本的にテレパシーで会話するのだが、そのままだと地球生活に不便な為、語学練習も兼ねてアパートの中でも普段から喉を震わせて発声するよう心がけている。

 

慣れない喋り方をしているせいで、多少辿々しいが、もとから口数の多いほうではなかったので、違和感は少ないようだ。

 

現在は科学館でプラネタリウムの受付バイトをやっている。

 

物静かで雑用も器用に熟すため、客受けも含めた評価が高いが、稀に人が変わったようにとんでもなく勤務態度が悪い日があるので、同僚達は首を傾げている。

そういう日は大抵、しばらく女性職員から幾分同情的に接される模様。

 

トラックが横転した際、運転席の下敷きになり両足を複雑骨折したため、未だにびっこを引く時がある。

 

それでも、休みの日はスナックに繰り出し、下手くそなゴーゴーを披露しては、無軌道な若者たちに紛れて何者でも無くなる瞬間を楽しんでいるらしい。

 

 

◇ミーヤ/マゼラン星雲人

 

潜入早々、爆撃されて死亡したマヤのバックアップとして投入された工作員。

 

マゼラン星雲では、彼女らのような工作員を育成する専門施設があり、マヤとはその施設で物心ついた時から一緒だった。

 

実はクローン生成されたデザイナーズチルドレンであり、双子でも何でもないのだが、同室である二人は自分達をそう信じ込む事で、共依存による精神的支柱としていた。

 

施設では幼い頃から人殺しの技術を叩き込まれ、時には蠱毒のように同じ顔の同世代と殺し合いをさせられて育ってきた為に、人間らしい感性はほぼ無い。

 

唯一の生きがいは、養成訓練が終わり、ベッドが一つしかない狭い部屋の中で、マヤとお互いのぬくもりを抱きしめながら一日を終える事。

 

個々の技能テストでは一部でマヤに劣り、特に正確性ではあちらに軍配が上がるが、即断即決を旨とする性格上、考え込んでしまいがちな妹よりは速度に秀で、あらゆる動作がマヤよりもごく僅かにだが早く終わる。

 

特に、施設で最も重要視される年度末の生存テスト(各自ナイフ1本手渡され、数十人纏めて閉じ込められる殺し合い)では、妹以外の存在を塵芥としか思っていない生粋の殺人マシーン故に、凄まじいキルスコアを叩き出す(通常は規定時間を越えても生き残りが10人以下になるまで終わらないが、彼女の場合は時間内に全員血祭りに上げる)為、総合的な評価ではミーヤの方が高いとされている。

 

同世代のクローンの中でも、ミーヤは突出した残虐性と戦闘力を発揮しているが、実はこれは、脳の共感性を司る領域を麻痺させ、目的解決に最適な合理的思考を強化する為の精神矯正薬を、こっそり妹の分までミーヤが服用していた為である。

 

ミーヤは自分達に毎晩配給される一部の錠剤の効果をたまたま知ると、妹が自分のような殺戮マシーンになる事をよしとせず、マヤにも気付かれないようにそれを自分で消化してしまう事にした。

 

実は彼女らクローンの肉体は、捕虜になった際の機密漏洩防止策として、通信機とブローチコアの接続が切れると、気体のように跡形も無く崩壊してしまうようになっている。

 

確保したジュークボックス型通信機を、ドロシーが改造してくれなかったら、二人ともブローチだけ残して地球の大気に同化する羽目になっていた。

 

妹に第二の人生を与えてくれたので、彼女の事は純粋に慕っている。恐らくミーヤが初めて感謝した大人。

 

反面、自身の両腕を吹き飛ばし、復讐の邪魔をした上に生き恥という屈辱まで与えてきたダークに対しては、非常に憎々しげ。とはいえ妹の命の恩人である事は事実なので、なかなかアンビバレンツな感情を抱いている様子。

 

腕はペガッサの再生医療でくっついたが、流石にアパートの限られた設備では限界があり、少しだけ痺れが残ってしまったので、以前のような細かい作業は出来なくなった。

 

相変わらず地球人の事などどうでも良いが、ミーヤにとっては妹以外の全てがそうなので、特段変わりは無い。過酷な任務を命令されないので、母星なんかよりよっぽどマシ。

 

それでも、狂った星の滅茶苦茶な言葉を覚えるのなんか御免だわ! ……との事で、外では翻訳機を使い、アパート内では思いっきりテレパシーを使っている。

 

そうは言いつつ、姉は手と口の出る速さが施設で一番だった分、思考に口が追いつかないと苛立って仕方が無いからではないか……とマヤは睨んでいるらしい。

 

思うように動かない腕の事もあり、この期に及んで働きたくなんか無いのだが、プー太郎だとメトロンが家賃家賃五月蝿いので、嫌々スナックでバイト中。

 

住人達は、人間嫌いのミーヤが接客業なんて(客が)大丈夫かと戦々恐々していたが、彼女の場合は妹(と住人ら)以外の存在を心の底から無価値に思っているのが功を奏し、工作員時代に叩き込まれたハニトラ技術としての営業スマイルを振りまいている。

 

もともとアングラなバーに来る客層には、はすっぱな対応の方がウケるようで、特にオイタをした客には腕を捻り上げる程度で済ましてやっていると聞き、住人らは胸を撫で下ろした。

 

ただ稀に、店の隅でただ静かに黙り込んでいるだけの日があるとの噂もある。

 

客の中には、その時に見せる物憂げな表情にドキリとさせられた者もおり、そんな日は決まって、普段の彼女では考えられない程に素朴で丁寧な接客をされるので、いつもとのギャップから、心を鷲摑みにされてしまった不運な若者が後を絶たない。

 

 

◇シラトリ=キリエ/ペロリンガ星人

 

船団をカモフラージュする作戦の事前工作として地球に潜り込み、見所のある人間を母星にスカウトしていたが、侵略が秒で頓挫したため、地球に取り残された。

 

なお、スカウトされた人々は、専用の居住施設に入れて飼われる。その名も『異星生物保護観察館』いわゆる動物園。

 

とはいえ基本的に利用客との距離は近く、業務形態は猫カフェに近いもの。

 

飼われている地球人側としても、衣食住が完全に保証され、趣味に没頭したり、訪れるペロリンガ人に地球の話をしてやったり、他の収容生物と触れ合ったりしていれば良いので、だいたい似たような気質の者ばかり集められている事もあってか、概ね快適に暮らしている。地球人の感覚で最も近いのは老人ホーム。

 

恐らく、動物園の動物は幸せだと考えている人間なら、死ぬまで穏やかに暮らせる場所。私も連れて行って欲しい。

 

―「そうでない人間? さあ、そんな子はウチに居ませんねぇ……徐々に弱っていく体の弱い可哀想な地球ちゃんならたまに来ますけど。でもでも、ここに保護される子は、元の場所で酷い目にあっていた子ばかりらしいですから、ここで最期の時をみんなに看取られながら幸せに過ごせたっていう記憶をプレゼント出来るのが、この仕事の誇りなんです」……と、一等管理員ピニャガピャ氏は晴れやかな笑顔で語った(『今月の地球ちゃん便り45号』より抜粋)―

 

キリエはペロリンガ星人の幼体であり、地球人換算ならまだ少年だが、もともと長寿な種族で、純粋な経験年数自体は住人達の中でも上位。

 

その為、非常に早熟な印象を与えるものの、これがペロリンガのごくごくスタンダード。幼体であるキリエが潜入工作員をやっていたのも、ペロリンガ的には普通の事であり、裏方なのは戦闘力が低い(成体になれば、巨大化して宇宙空間を飛行し、セブンと格闘戦も出来る)からという、ただ単純な理由だけ。

 

長寿な種族柄、割と気が長く大らか(劇中でもフクシンに決断を急かしたりせず、逆に動転した彼から用語を再び質問されても、聞き取りやすいよう、ゆっくり返答していた)で、相手の意見を尊重し、話をよく聞こうという姿勢を見せる。

 

そんな外見に似合わぬ老獪さと、年相応の純真さを併せ持ち、おまけに聞き上手の為か、相手の懐に潜り込んで心情を吐露させるのが異様に上手い。コミュ力の鬼。

 

つい最近加わったばかりの新参にも関わらず、すっかり近所のオバサマ達のアイドル。アパートの玄関掃除してたら、よくお菓子とかもらう。

この才能には、同じく社交性に長けたメトロンをして、思わず舌を巻くほど。

 

日中は住人達も出払っているため、アパートの掃除が終わって暇な時は、大抵ミーヤ(夜勤)に遊んで貰っている。

 

出身星系が同じで、種族特徴から来る趣味嗜好が似ているのでダークと仲が良い。

一見、トサカとクチバシを持つ鳥類に見えるが、貝殻の名残や舌歯が発達したものであり、こう見えて軟体動物。

 

なお、古代バド共用語から派生した彼らの言語において『ペ』は冠詞や指示語のような役割を持ち、『リンガ』が『子供』を指す。そこへ複数を示す接頭辞の『ロ』を付けて『ぺ・ロ=リンガ』と表記される。

 

さらに言えば『ガッサ』は『光輝くもの』や『あるべきところ』といった強いプラスのニュアンスを含んだ語であり、それが転じ、『星』という意味も持つ。

 

特に断りもなく単に『ぺ・ガッサ』と言った場合は彼らの太陽の事を指すため、翻訳するならば『唯一の星』となり、ペロリンガは『その偉大なる子ら』と言ったところか。

 

なので『ぺ・ガッサ ロ=ガッサ(星雲) ()ロ=(68番)68ガッサ(惑星) ぺ・ロ=リンガ』までが正式な種族名である。

 

なおキリエは、地球に来て一番最初に、宇宙人の姿でシロウという少年にもスカウトをかけており、こちらにもきっぱり断られている。

 

地球人としての姿は、その時にシロウ少年をモデルにして借りたもの。ちゃんと本人も了承済み。

 

本作時空でのモチーフはウミウシ。

余談として、『シラトリ=キリエ』は白鳥健太郎とキリエロイドから取った演者ネタ。

 

 

―――

 

 

海底

 

◇ヤオ/ノンマルト

 

ノンマルトの穏健派氏族を率いていた代表。

 

ヒメという妹がいる。

 

海底原人のボディは殆ど宇宙人由来であるが、連絡役として身体交換せずに人質にした豪族関係者や、侵略者が地上で産ませた子孫の内、なんの能力も発現しなかった失敗作なども海底に押し込んでいた為、ごく僅かにではあるが、本来の地球人としての血を持つ者もいる。

 

そうした者同士の間に産まれた子の中には、一種の『先祖返り』を起こして産まれてくる子供が、ごく僅かながら存在していた。

 

その子供は、人間の肉体に、宇宙人の強力なサイコパワーを宿しており、かつての侵略者のように超常の力を使う事が出来た。

しかし、肉体が人間の為、海底環境には全く適応出来ず、大抵は産まれてすぐ死んでしまう。

 

だが中には幸運にも生き残った子がおり、宇宙船を改造した宮の中で大切に育てられ、神の巫女として崇められる。

 

ヤオも、そうした先祖返りの一人であり、かつ双子とも先祖返りという凄まじく珍しい存在。

 

彼女本人は有り余るサイキックパワーから来る長寿と、変身能力、加えてちょっとしたレイオニクスの素質まであり、ノンマルト始まって以来の天才と言われている。

 

むしろ、彼女らが居なければ、ノンマルトはもう少し早く滅びていた。

幼い頃より海龍と心を通わせ、友としており、集落の防衛を担っている。

 

これまたレイオニクス半覚醒状態の地上人が、カメの怪獣に乗って、ノンマルトの領域に飛び込んで来た時などは、集落に被害が出ないように、彼を精神世界に引き込み、海龍と力を合わせて追い払った事もあった。

 

本来の歴史では、セブン本編開始前から既に死亡しており登場しない。

 

かなり古くから地上人との干渉を試みており、人間としての肉体を活かし、長期間陸に上がって活動していた事もある。

 

その際、カマタリという地上人に力を貸し、かつての支配者層直系氏族の一つであるソガ氏相手にクーデターを成功させた。

 

それを皮切りに、このまま侵略者の子孫を根絶やしにして先祖の仇を討とうとしたが、余りにも超常の力を見せ過ぎた為に、妖怪変化として味方から殺されかけたので、一旦計画は中止した模様。

 

この出来事は当時の記録にも『大化の改新』の名で残っており、時を同じくして『ヤオビクニ』なる存在が各地で目撃され始めている事から、相当長い間暗躍し、かつての侵略者が作った支配体制の転覆を狙っていたと思われる。

 

だが、ある時に自分を探しにきたノンマルト氏族の者を、地上人の青年が助けるのを見て、彼の純粋な優しさに期待して、海底に連れ帰った。

 

そのウラシマという青年と急速に惹かれあったヤオは、彼と将来を誓い合い、復讐ではなく、地上人との和平を目指す事にしたらしい。

 

右手の平に、何かで突き刺したような傷があるない。

 

 

◇ヒメ/乙姫

 

ヤオの妹。

 

実は、平成版で浦島太郎を探しに来た、乙姫その人。

 

タロウという地上人の願いを聞いた彼女の姉は、タロウを一旦過去に送り、村の人々に別れ(最後に『タイやヒラメ、ヤオとヒメが待ってる』とか言ったらしい)を告げさせ、帰ってくる彼をタキオンバリアで包み(彼女らの過ごしていた精神世界は時間概念から隔離されているため)、過去の村から回収しようとしたが、何らかの事故によりタロウは未来に不時着。

 

墜落ショックにより記憶を無くしたタロウが、制御盤を開いてしまった為、貝殻に封じていたサイキックパワーが逆流して、ヤオは命を落とした。

 

ヒメは姉の魂を、彼女の友だった海龍に憑依させ、復讐を誓った。

 

なおこの時失敗したのは、さらなる未来において、ノンマルト残党がフルハシ参謀を無理矢理過去に送ったせいで時間軸が捻れてしまったから。(ゆっくり横軸移動していたタロウの脇から、縦軸を弾丸のようにぶっ飛ばされてきたフルハシが、超スピードで彼を跳ね飛ばしたようなもの)

 

ヒメにとって地上人は、最愛の姉を奪い、大切な同胞を根絶やしにした最悪の象徴だが、海龍と一体化した姉の心を救ったのも、またタロウの愛だったので、ヒメは彼らの幸福の為に、自らの命を燃やして二人の魂を過去に送った。

 

ただ、こうして完全に歯止めを失った残党が暴走したせいで、上記の事故に繋がってしまう。

 

 

◇ウラシマ・タロウ

 

記憶を取り戻し、『夕顔の花の約束』を果たした事で、魂ごと海龍に取り込まれ、最愛の人と一つになった。

 

その後、ヒメの命を賭した超能力で、ヤオ共々過去に飛ばされてきた模様。

 

今はヤオと一緒に、憑依術式の維持の為に血を捧げている。

 

実は、全く別の宇宙であるにも関わらず、こちらの世界からソガ(主人公)を呼び出せたのは、彼という『時間の旅人』を触媒としたから。

『浦島太郎』という概念だけは、どちらの宇宙にも共通して存在するため、ごくごく細いパスが繋がった。

 

―――

 

 

「ふむ……」

 

胡坐をかいたまま、さっきから微動だにせず、ちゃぶ台に置かれた住民名簿と睨めっこしていたロンが、難しい顔で唸った。

 

「どうしタ?」

 

後ろを通りかかったダークが、それを聞きつけ訝しげに覗き込む。

白い部分が減ってきた名簿に内心、えらく充実したもんだ……などと感慨深く思いながら。

 

問われた大家はと言うと、眉間のシワを崩さず無言のまま、顎に当てていた花弁を、ゆっくりと紙の上に移動させ、ある一点を指し示す。

 

ぺ・ガツサ ロ=ガツサ パ・ロ=68ガツサ ぺ・ロ=リンガ シラトリ=キリエ

 

「……長いな」

 

そしてようやくポツリと漏らした一言が、全てなのだろう。

 

もう一方の花弁で、湯せんしたチョコペンを、器用にクルクルと回しながら黙り込むロンの姿に、全てを察したダークは、深く溜息を吐く。

 

そして、徐にペンの蓋を開けると――こちらはただの油性ペンだが――先ほどの名前の前半部分殆どに対し、キュッキュッと線を引いてやった。

 

「ほら、ここカラここまでハ、共通部分だカラ、よほど畏まっタ場でナイ限りは、イラン」

 

ぺ・ガツサ ロ=ガツサ パ・ロ=68ガツサ ぺ・ロ=リンガ シラトリ=キリエ

 

「……ほう!」

 

それを見たロンは、明らかに喜色の混じった声を上げると、チョコペンの口を捻じ切り、ホワイトチョコで出来た板に、残りの部分をいそいそと書き込んだ。

 

『ようこそシラトリ=キリエ

 

「……完璧だ! こういう時、ネイティブがいると大違いだな! いや、助かったよ」

 

「……カタカナで『キリエ』じゃ駄目だっタのカ?」

 

ちっちっち、と花弁の中の雄しべを左右に振るい、肩を竦めるロン。

 

「当たり前だろう? 地球人としての名を、母星語の綴りで書いてこそ、喜びもひとしおと言うものだ。風情が足りんよ、風情が! なあ、キリエ君?」

 

椅子の上で足をぷらぷらさせていたキリエは、一旦うどんを啜るのを止め、少しだけ首を傾げて考える素振りを見せたが……

 

「ん……別に、どっちでも良いよ」

 

「……風情が足りんよ、風情が!」

 

ロンは、ダークとキリエの顔を素早く見比べ、全く同じ台詞を繰り返した。

 

……と、その時、玄関が開いて誰かの足音が……

 

「ただいまー……きゃっ! ナニコレ、いったいどうしたの!? 今日って何かの日だったかしら!?」

 

そう言ってドロシーは、賑やかに飾り付けられた部屋を見渡し感嘆する。

 

「お帰り、フロイライン。我々は君の帰ってくるのを待っていたのだ」

 

だがその言葉に、渋々と言った様子で飾り付けをしていた少女が反応し、目を吊り上げた。

 

『なーにが、待っていたのだ……よ! アイツら、先に食べ始めてるじゃないっ! ドロシーに失礼だと思わないっての? 待ってたなら止めなさいよ! 常識ないんじゃない……!?』

 

そう言って、向こうのテーブルでうどんを啜る、ダークとキリエを指差しながらいきり立つミーヤ。

 

しかしそんな剣呑な少女を、金髪の美女は背後から覆い被さるように腹部へ腕を回し、ギュッと力強く抱きすくめた。

 

「す、すごい……ミーヤが人に常識を語ってる……! アナタ、失礼という概念がついに芽生えたのね! アタシ、そっちの方がずうっと嬉しいわ!」

 

『ねえそれ、私に失礼だからね……?』

 

年下の妹分が見せた、思わぬ成長に相好を崩して、うりうりと頬擦りするドロシーと、なんとも鬱陶しそうな顔で、為すがままにされるミーヤを尻目に、そのさらに本来の妹分が、お盆にうどんを持って台所から出て来た。

 

「おかえりなさい。ドロシーさん。今日は、みんなで集まれそうだから。キリエ君の、歓迎会なんです」

 

「そういう訳だ。最近は誰かしら出かけていて、一堂に会する機会を失っていたからねぇ」

 

「ロンさんが、オウドンを、打ってくれましたよ。はい。ドロシーさんの分です」

 

「わあ、ありがとうマヤ! お腹ぺこぽこだったの」

 

『私達で生地を踏んで作ったんだから、ちゃんと味わいなさいよ、ドロシー……それにあんたも! キリエ!』

 

「分かってるよ、ミーヤおねーちゃん」

 

うどんを受け取り、ウキウキとした表情でキリエの対面に座ったドロシーは、慈愛に溢れた笑顔で少年に質問する。

 

「わぁ、楽しみだわぁ……どうキリエ君、UDONはおいしい?」

 

「……うーん、ソバの方が好き」

 

「あらまあ、案外ワガママね、この子」

 

目を見開いて固まるドロシーに、ダークが思わずと言った様子で、くつくつと笑う。

 

「なんと言ってモ、我々ハ、海藻を食べてイタからな。コムギから作製するウドンよりモ、ソバの方がミネラル分を豊富に接種できるノデ、好まシク感じるのダロウ」

 

「ふーん、そういう事なら仕方ないわね……」

 

「もちろん、ウドンの中では美味しいウドンだよ。ありがとう、おねーちゃん達」

 

「どうして先にそれを、素直に言えないのかしらね、貴方達は……もしかして、そういう種族柄なの?」

 

マテ、心外ダゾ……という声を聞き流し、髪をかき上げてから麺を吸おうと――"啜る"という行為はどうやったら彼らのように上手く出来るのか……相変わらず不思議だ――するドロシーだったが……

 

「……え、ちょっと待って? 一堂に会する? ララは?」

 

「来るとも。ひとまずその肉を置いて、残りを取りに行っている」

 

ロンはそう言いつつ、うどんに乗っている薄切り肉を指し示した。

 

「ああ、シシ肉……」

 

よくもまあ、次から次へとポンポン獲ってくるものだ。

というよりも、ニホンにこれだけ沢山のlionが生息しているとは思いもしなかった。そのうち絶滅するんではなかろうか。

 

「シシ肉って、美味しいものだとばかり思っていたけど、地球人にとってはあまりそうではないらしいわね。堅くて臭いイメージがあるらしいの」

 

「ハハハ! それはそうだろうね。シシ肉の旨さは、鮮度が大きく関わってくるからな。血抜きの速さおいては、恐らくこの星で、彼女の右に出る者など誰も居るまいて」

 

「……そうカ、ララは獲物を殺す事ナク、気絶だけさせテ、仕留メルからナ」

 

『……え? あのララ姐様が?』

 

心底信じられないと言った表情で、ミーヤが聞き返す。

彼女の中にあるイメージは、自分以上に血も涙もない、情け無用の戦闘兵器だからである。

 

「知らないのかね? 後藤君の狩りは、麻痺光線で昏倒させるか、組み付いて絞め落とすか……万が一殺すにしても、喉笛をハサミで切り裂くから、素早く生き血を抜く事に代わりは無い。なにせ心臓は動いたままなのだかね。地球人の猟師ではこうもいかんよ」

 

脳天を一撃で割り砕いていた頃はもう少し不味かったな……などと懐かしむロン。

 

「近頃は腹を裂くハサミ捌きも随分上達したようでね。剥いだ毛皮が裏手にあるから見てみると良い。シシの瞳が輝いて、まるで剥製だよ」

 

それを聞き、ミーヤは得心いった顔で何度も頷いた。それならばイメージともぴったり合致する。

 

「え……それって……ちょっと可哀想じゃない? 生きたまま出血多量で徐々に弱って死んでいくって事でしょう? 残酷よ」

 

ドロシーが顔を顰めながら声を上げたが……周囲を見渡して、虚しくなった。

その場にいた全員が全員、ただ疑問符を浮かべながら、揃って首を傾げていたからだ。

 

「可哀想? なぜだ?」

「どうせ、食べる為に、殺すわけですから。残酷も、何も、無いのでは、ないでしょうか」

「ムシロ、美味しく食べるナラ、それガ一番合理的ダロウ?」

『そうよね、肉としての価値を重視するべきでしょ』

「僕もそう思う」

 

……ダメだわ、こいつら……

 

――しかし、いくら姿が隠せるとはいえ、血まみれのまま帰ってくるのは頂けんな――

 

違う、そういう事じゃない。

 

――何も無いのに突然、生臭い風が……なんて、噂になってたよ――

 

ご近所で怪談が生まれてるじゃないの。

 

「ま、まあ……そんなに凄いハンターだったのね。正直言って見直したわ。筋肉のことしか考えてないのかと思ったら、やればちゃんと出来るじゃない」

 

「……ちゃんと出来る、とは?」

 

「今日ね、ウチに来た漫画家さんが言ってたわ。地球には狩猟免許ってのがあるんでしょう? アタシも資格勉強中だけど、先を越されちゃったわね」

 

「いや、持ってないが?」

 

「……は?」

 

いやいや待ちなさいよ。

 

「違法じゃない!」

 

「待ちたまえよ、何の為に免許なんぞ必要だと思っているのだね? 地球人は狩りに銃だの罠だの、危険な物を使わざるを得ないからだぞ」

 

「だから?」

 

「素手に免許なぞ不要」

 

「……ごめんなさい、もう一度言って?」

 

「だからそもそもからして、後藤君のように無手で山に入って野生動物を狩るなんて、地球人の法には最初から想定されてないのだよ。不可能だからね。狩猟免許にも方法によって種類があるが、素手免許だけはない。無いものは取りようが無い。だから違法じゃない」

 

「そんな抜け穴みたいな……」

 

「なにを今更」

 

どこ吹く風で肩を竦めるロンに、ドロシーはそれ以上の事を言えずに歯噛みした。彼女自身、この大家が捏造した戸籍情報で暮らす、後ろ暗い身である事を思い出したのだ。

 

「アナタからも何か言いなさいよ。仮にも行政側で働いてたんでしょう? いいの? あんな事言わせといて」

 

「フム……」

 

自分では説得力に欠けると思ったのか、ダークに小声でそう問いかけるドロシー。

何だかんだ言って、ここの大家はいつも、この偏屈な影法師の言葉になら耳を傾けるのだから。……多少は。

 

だが頼みの綱である彼は、テーブルにどんぶりを下ろすと……

 

「難しいナ。法を作るという作業ハ、それに該当スル事象がそこに確かに存在スルと、まず公に認メルところカラ始まる。だが、まだこの星ハ、とてもそのようナ段階にナイ。存在シナイものに対して、行政ハ感知シナイ。……当方からは以上ダ」

 

特に感慨も無く、澄ました顔でそう言い放った。

 

「……お役人めっ!」

 

「あれ。それなら少々……いや、かなり、拙かったのでは?」

 

「何ガ?」

 

マヤの表情が、サッと真剣味を帯びる。

 

「先ほど。ロン様に言われて。その肉を、ご近所に『オスソワケ』して、しまいました」

 

『……ッ! マズいじゃない! 正規の手段で獲ったものじゃないってバレたら、面倒な奴らが来るわ!』

 

何せ彼らの腹は、探られて痛いところしかない。

だが、命じた本人は鷹揚に頷くばかりで、ちっとも焦りを見せないではないか。

 

「ああ、それなら構わんよ」

 

『なんでよ!?』

 

「毎回、後藤君の獲ってきた肉はご近所に分けているからね。むしろ、我々が食べる分なんて一握りで、殆ど贈答用とすら言える」

 

「確かニ、ウチの奴らハ、あまり肉を食わナイからナ」

 

ダークとキリエは元々草食だった身なので、動物性タンパクの分解能力に乏しい。

さらに自分自身が植物であるロンも、水分以外に関する消化のプロセスが少々特殊だ。

マヤとミーヤは、無補給でも任務が遂行出来るように代謝を弄ってあるから小食であるし、ドロシーだって喜びこそすれ、元からそこまで健啖家である訳でも無い。

 

住人達の中で、肉に対して最も需要があるのは、それを確保してくるララ本人だけという有様なのだ。

 

「これはね、円滑なご近所付き合いをする為の……いわゆる賄賂なのさ」

 

「わいろ?」

 

「我々は余った肉を処分できる。向こうはタダで美味にありつける」

 

「win-winの関係だとでも言いたいの?」

 

「そうだ。仮にだよ、善意で渡される肉の違法性に気付いたとして、それをわざわざ声高に指摘するような輩がいるものか」

 

「ん、どうしてそう言い切れるんだい。大家さん?」

 

チュルチュルとうどんを啜っていたキリエが箸を止め、珍しく自分から質問を投げかけた。

 

「通報して後藤君がしょっ引かれた場合、肉の供給先を失うのは彼らも同じ。そしてその恩恵に与っているのは、何も一世帯ではなく、このアパートを中心とした複数の家庭……になるように私が計算して分配している」

 

「どおりデ、毎回渡す先ガ違うと思っタ」

 

「すると、誰かが最初に告げ口をした場合、自分だけでなく、この一帯全てが、万遍なく不利益を蒙る事になるのだ。そうすると、その者は周囲から総スカンを食らう事になる」

 

「あー……なるほど」

『きたない、流石大家きたない』

 

「別に密告者へ報酬金が支払われる訳でも無いのに、そんなリスクを犯したいと思うかね? 地球人は確かに感情的で愚かだが、そこまで馬鹿ではない。むしろ、無意識の損得計算についてはかなり敏感で、優秀だ」

 

キリエは、なんとも渋い顔で頷いた。

そして同時に、自分たちの侵略が失敗した理由を悟ったのである。

要は、人類に対して提示する利益の最大化を怠ったのだな……と。

 

てっきりフクシンが二の足を踏んでいたのは、未知への不安や恐怖だけかと思っていたが、それだけでは無かったのだろう。

 

一人勝ちする事に対する後ろめたさを、もう少し薄めてやれていれば、彼はこの手をとってくれて居ただろうか……

 

「私はね、人類が互いにルールを守り、信頼しあって生きている事に目をつけたのだ。我々が安寧を得るために、他者との対立を煽る必要は無い。ただ人間同士の信頼感へ、我々も入り込んでしまえば良い。どうだ、いい考えだろう?」

 

「……」

 

得意げに言うロンの背中を、テーブルの者達は各々に別の感情を抱きながら見つめ……やがてそんな互いの表情に気付いて、観念したように苦笑しあった。

 

「……さて! 完成だ!」

 

徐に立ち上がり、デコレーションの終わったケーキを差し出すロン。

 

「ようこそシラトリ君、我々の星雲荘へ! 歓迎するぞ」

 

「うん、ありがとう大家さん」

 

「なんなら、フクシン君も呼んだらどうだい?」

 

「……それは、やめておこうかな」

 

―アイツ、ケーキなんて作れたのね。

―料理教室で。カオリさんと、言う方に、教えて貰ったらしいよ、姉さん。

―左団扇で暮らせているのは、誰の家賃のおかげだと思ってるのかしら。

―全くダ。

 

そんな声が聞こえているのか、いないのか。

ケーキに視線が釘付けとなっているキリエの耳元に、ロンはそっと囁く。

 

「……それとも、迎えはまだ必要か?」

 

「……いや。もう少し、この星で暮らしてみるよ」

 

「そうか」

 

満足げに頷いた大家は、両手を大きく広げて高らかに宣言した。

 

「では、今日という日を盛大に祝うとしよう! 我々がこの宇宙に生まれ、存在している事を! ……この星での生活に、乾杯!!」





というわけで、「ウルトラの日」特別編。

かなり長くなっちゃって申し訳ない。
こんなの書いてる暇あったら本編書けただろって?

それはそれ、これはこれ。
続きは気長に待ってやってください。

そしてありがとう円谷。
おめでとうウルトラシリーズ。

これからもずっと良い作品作っていってください。
期待してますよ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。