転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる! 作:Mr.You78
「ぃぃいっよっしゃああああああ! キングジョーの再建間に合わせたったぞぉーっ!」
新造戦艦マックスジョーが、直立モードでガイロスを撃破し、ニセセブンの光線を防いだのを見届けた俺は、未だに戦闘中ではあるものの、どうしても我慢できず、万感の思いを籠めて渾身のガッツポーズをとった。
スケジュールがギリギリだったので、もう今日の戦闘には間に合わないと諦めかけていたが、間一髪のところで到着してくれたらしい。
ありがとうみんな! そしてありがとう昨日までのオレ!
なにせこの瞬間の為に、寝る間も惜しんで各方面へ頭を下げに下げて、急ピッチで建造してもらったのだから。
まさにこの光景は俺たちの汗と努力の結晶が生み出したものとしか言いようがない。
原作のキングジョーは、警備隊のライトン30攻撃によって内部から破壊されて尚、外殻に関しては最期の瞬間までその脅威的な堅牢さを発揮して、殆ど原形を残したまま神戸港に沈んだ。
そして、平成版ではついにサルベージされ、防衛軍の改造の元、キングジョーⅡとして蘇っていた。
まあ結局、100%人類の技術力だけで完成出来たかどうかは、その後の展開のせいで分からずじまいではあったが……少なくとも時間さえかければ、鹵獲品を再利用する一歩手前までは漕ぎ着けたわけだな。
……とはいえ、それは本編から数十年も後の事だったのをなまじ知っていたので、キングジョーを撃破した時の俺は、最終回までにコイツを戦力化するなんて、最初から無理だとも諦めていたさ。
だがその後、様々な出来事が重なって、何も暴走を防ぐためだけならば、別に地球の技術に拘る必要はないじゃないかと気付いた時、やっぱりコイツをどうしても完成させる必要があると確信した。
それは、サロメ星人製セブンの攻略法を必死こいて考え抜いたけど……やっぱキングジョーぶつけるしかねえわ! って結論に至ってしまったからである。
だって……相手の能力普通にセブンぞ? 番組の主人公と同じ強さなんだぞ? なんなら、張り切って原作以上の活躍をしようとホーク等の既存兵器で無理した結果、普通に警備隊全滅したっておかしくない。
かといって全部の戦闘をセブンに任せるという択もとれん。
なぜ同じ能力……いや、セブンすら倒せるとまでサロメが豪語した強さのニセセブンを、原作において倒せたか。
所詮、偽物は本物には勝てないから……?
それともサロメ星人の慢心や設計ミス……?
違うな。
奴らが『
この話の一番のミソは、サロメ回が原作においての終盤も終盤、最終回のたった2話手前ということ。
つまりこの時点でセブンは
もしもサロメの言う『セブンの戦闘力』が彼の全盛期……シリーズ序盤でゴドラやエレキング相手に、
原作のような、手に汗握る互角の戦いを繰り広げる暇もなかっただろう。
だからニセセブンは少なくとも、ガンダーの冷気やギエロン星獣の放射能汚染で重篤な後遺症を負ってしまった、中盤以降のセブン性能を基にして建造されている可能性が非常に高い。
そう、だから……ダメージやそれによるタイムリミットも、そうと気付かず再現してしまっていたんじゃないか?
ロボット……というか機械が持つ最大の特徴は『安定性』だ。
補給やメンテを完璧に受けられるならば、ほぼ一定のパフォーマンスを発揮し続ける事が出来る。
疲労やモチベーションで振り幅ブッレブレの有機生命体との最大の違いがそこだ。
その代わり、どうしてもエネルギーの補給が絶対必要になる。
100の燃料からは100の仕事しかできない。
どれだけ直前までバリバリ動いてようが、電池が切れたらその時点でパッタリ停止する。
泣こうが喚こうが関係なく、俺たち人間のような無理が出来ない。
セブンと同じウルトラエネルギーで動いているなら、太陽光電池の上位互換みたいなもんだが、その他ならぬ本人が、太陽光の下で戦っていても、ゆっくりチャージする時間を挟まなければ、いずれランプをチッカチカさせるようになってるんだから、ニセセブンも一回の戦闘で連続稼働可能な時間が決まっているはず。
サロメ星人の「お前を再現したけど、お前には勝てる」という一見矛盾した発言はつまり……
「日に日に弱っていくお前を、ある時点で複製して保存した。本物はあの時よりさらに弱っているハズだから、あの頃の自分に勝てるわけない」という意味だったのでは……?
じゃあなんで原作で勝てたかと言うと、答えは簡単。
『ニセセブンはあの日、本物より長く戦っていたから』
警備隊とアギラが戦闘時間を僅かに稼いだおかげで、ようやく衰弱セブンとトントンのエネルギー量になったニセセブンへ、ダンは最後に『回ればなんとかなる』とばかりに
光の届かないように水中戦へ引き摺り込んでから電池切れになった置物を、なんとか気力で一押ししての辛勝……だったのではなかろうか。
その証拠に、この回を境として一気にセブンの戦闘力が引き下がる。
多勢に無勢だったとはいえ、あろうことかフック星人相手に人間態時はフルハシに助けて貰い、変身後もたかだか数とアクロバットしか取り柄のなさそうな彼らに翻弄され、苦戦してしまっていた。
……で、翻ってこちらの世界における、我らのセブンは……だいぶ体力を残してる……と思う。
未だにビームランプの点灯が一回だけってのも、我ながら鼻高々なんだが……
逆にニセセブンも
原作の流れがオレの予想通りなら、それまでにどれだけ余力を残していようが、セブンとニセセブンは結局相殺しあって、最終的にほぼ残量ナシのプラマイゼロに落ち着いてしまう可能性ががががが。
嫌じゃ!
せっかくここまで頑張ってきたのに、元の木阿弥とか許せるか!
ゲームで例えるなら、どれだけ勇者のレベル上げて、伝説の武具で固めて、仲間をゾロゾロ引き連れてっても、シナリオの都合上、魔王との最終決戦では必ずレベル1の素手タイマンしてもらいます……みたいなもんだぞ!?
なんなら難易度は、魔王城突入時の総ステータスを基準に設定されるので、最初から素っ裸の方が安定しますとか、なんだそのクソゲー!?
ふざけんな! コントローラ叩き壊すぞ!
だからオレは、そんな理不尽ゲーを強いてくる相手を、黄金のハンマーで画面ごとぶっ壊してやる事にしたのさ!
「いっけぇえええ! キング……いやマックスジョー!! ブっ飛ばせぇッ!」
オレの答えは……これや! くらえ!
『グワッシ』
マックスジョーの脚部から主砲が連射され、ニセセブンの肩や顔を猛烈な爆炎で包む。
『Dywaaaa』
思わぬ位置からの艦砲射撃に仰け反った贋作は、忌々しそうに両手を額から離し、下方に向けてガッチリとクロスさせ、それ以上攻撃が届かないように射線を遮った。
「マックスカノン命中、効果アリ!」
「よし! ガードが下がったぞ! 今だ、アレを使え!」
「ハッ!」
艦長の指示に、砲術長がコンソールを操作すると、マックスジョーは脚部からの攻撃を継続しながら、右腕を自身の腰部へ伸ばす。
右舷ラッチに連なっていた特大サイズのドラム缶を、三本の指で器用に引っ掴み、ぐぐぐと後ろに振りかぶったかと思えば……
「ライトンR30爆雷……投射!」
それが空き缶でも放り投げるかの如く軽やかに、手首のスナップを効かせた鮮やかなサイドスローで、敵に向かって投擲した!
『Dywaaaa』
紅蓮の炎と巨大なキノコ雲が発生し、爆風と衝撃であらゆるものを吹き飛ばす。
「うわあああっ!?」
「ソガァー! 大丈夫かっ!?」
「あ、ありがとうフルハシ隊員……」
転がる俺の首根っこを捕まえて、先輩が笑う。
「いいってコトよ! しかし凄まじい爆発だったな! 見ろよあの煙を……やったか!?」
「あっ……バカッ」
朦々と立ち上る暗幕の向こうから、真紅の腕が突き出され、銀の仮面がギラつく闘志を反射する。
流石はウルトラセブンと同等の謳い文句。
秘密兵器を食らっても、ニセセブンは健在だ。
「ああもう! 先輩がフラグ建てるから! なんてことしてくれたんですか!」
「えっ、俺のせいなのか?」
『Dywaaaa』
「猿真似とはいえ、不死身のセブンを模しただけはあるか。だが、ダメージはあるハズだ! この機を逃すな! デストレイ斉射!」
「デストレイ斉射!」
大きく体勢を崩したゼロセブンに向かって、マックスジョーの両目が輝く。
そして……
『Dywa』
「な、なにっ!?」
突如ゼロセブンの周囲に展開されたフィールドが、マックスジョーの撃ち出した光線を阻み、その光の束が持つ凄まじい破壊力を、一瞬のうちに霧散させてしまった!
「ハッハッハッ! チブル星人が打倒セブンの為に開発した電磁フィールドだ! そのようなビームが効くか!」
「やはり、対セブンを想定して光線防御機能をつけておいて良かったですね」
「ああ。あらゆる粒子の持つ指向性を拡散させてしまえば、光波防御能力は実数値の三分の一以下で構わない。残りは物理的な防御能力に割り振れるからな。おいナディカ、さっきの攻撃の分析結果は?」
「はい、着弾時に強力なライントーン周波を検出。どうやら硬質目標の表面剛性を一時的に無効化してしまう兵装のようですわ」
「しめたっ。装甲表面を柔軟な人工有機素材で覆っておいたのが、功を奏したぞ」
「一時はどうなることかと思いましたが、相手の攻撃能力も、ゼロセブンに対して決定打になり得ません」
「よし、電子頭脳に打開策を演算させろ! おい、ゼロスリー。もしも本物が想定より早く合流すると拙い。少しでも時間を稼ぐんだ」
「ハイ。ご主人サマ。」
サロメ星人が命じると、傍に控えていた等身大のプロトアンドロイドは耳に手を翳して目を光らせる。
しばらくすると何かを探り当てたのか、かちりと奥歯のスイッチを噛みこむと、岩場でソガを翻弄した脅威的な加速度を発揮して、真っ赤なストールを翻し、船のデッキから飛び出していった……
―――――――――
『デュワ!』
(あとは出口を見つけるだけだ……)
射撃アンドロイドを下したセブンだったが、既に体力は限界に近い。
早く太陽の下でエネルギーをチャージしなくては……
『デュ!?』
そこへ膨大な熱量が襲いかかる。
強力な火炎放射を備えたアンドロイドが、自身を戒めていた金属を焼き切って、ボディを赤熱させたまま飛び込んできたのだ。
確かに今のセブンは太陽を欲していたが、別に炎そのものを望んでいたのではない。
むしろ、星の光を宿さぬ人工の熱は、彼の表皮を冷たく灼いていく。
(……ダメだ。もう光線が出せない)
周囲の機材を遮蔽物にして、なんとか逃走を試みるも、次々に融解させられていき、辺りはすっかり火の海だ。
いっそ飛び立ってしまいたいが、広い空間では良い的になるだけ。外壁を突き破れずに手間取ったところをこんがりと丸焼きにされてしまうのが目に見えている。
(なんと恐ろしい秘密兵器だろうか……アマギ隊員の改造したストラグル700でも、ここまでの威力は出ないぞ……)
もはや爆破までの時間も無く、焼死が先か、爆死が先か……こうなったら、全ての力を振り絞って一か八かの賭けをするしか……
(いや……)
――おいおい、いつまで同じところ見てんだよ。時間が無いんだからさ。チャチャッと次に移ろうぜ?
――ダメだ。これは単なる水上艦じゃない。水中でも運用するなら、耐圧能力には隅々まで目を通すべきだ。
――キングジョーの装甲だぞ?
――だからさ。深海の圧力を侮ってはいけない。僕がハイドランジャーの設計に、いったいどれだけ細心の注意を払ったと思う? 極限の状態では、僅かな差が明暗を分けるんだ。お前が一番、それを知っていると思ってたんだけどな
――あー……まあ……そうね。
――時間が無い時ほど、焦ってはいけない。急がば回れという奴さ。冷静に、慎重に……所詮は神ならぬ人が立てたプランなんて、どんな穴があるか、分かったもんじゃないんだから……
(……そうだ。最後まで、冷静さを失っては、いけない)
セブンは逸る心を落ち着け、自身の五感を極限まで研ぎ澄まし……今の自分が置かれている状況をよく見て、よく聞き、よく考えた。
そしてこの灼熱地獄の中で……僅かに水の滴る音と、足裏から伝わる仄かに冷たい感触を拾い上げる。
その事実に導かれ、そのまま背後の壁を見やったセブンの瞳がキラリと光った。
彼が透視した先では……この海底工場を覆う岩壁の一部が、まるで
なぜこの区画にだけそんな傷がついているのか。
分からない。分からないが……
(使える!)
彼がここからの脱出プランを採択したのと同時。
周囲の障害物が全て液体のように溶け落ち、もはや赤熱のしすぎで装甲が単色に染まってしまったアンドロイドの姿を露わにした。
セブンはゆっくりとそちらを振り向いたが、二三歩後退るだけで、直ぐに退路を断たれてしまう。
壁だ。彼の背中を分厚い金属と岩盤の二重隔壁が阻む。
アンドロイドは、もはやセブンが逃げも隠れもしないのを見てとり、敵の姿を真っ黒なすす汚れに変えてしまうべく最大出力で炎を吹き出し……
『デュ!』
セブンは床に突っ伏した。
蹲る彼の背中を、熱風が炙る。
そんな事をしても、アンドロイドは即座に火炎放射線の向きを変えてしまえばいい。僅かに数秒間生き延びただけ。
だが、そうはならなかった。
次の瞬間!
灼熱火炎砲の当たった場所が崩壊し、全てを押し流す勢いで猛烈な水流が流れ込んだのだ!
鉄砲水は一直線に壁の前に立っていたアンドロイドに直撃!
そして瞬時に沸き立ち膨れ上がった水蒸気が、さながらボイラー事故の如く一挙に爆発した!
『ジュワッーッ!?』
当然セブンも押し流されそうになるが、なんとか床の鉄材にしがみ付く。
幸いな事に、水流のカーテンとアンドロイドの爆風が互いに相殺し合った事で、どちらかによる致命的な結果には至らなかった。
だが、いざ大穴から飛び出そうとしても、工場内に流入する海水に押され、進めない。
『バババ爆弾ノ爆発ママでマででまデ。残リリリリリリリリリ……』
その時、ぷかぷかと流されてきたアンドロイドの頭部が、不吉な死の宣告を紡ぐ。
『デュワッ!?』
『シーモモーddddddddd起動。』
工場の中心に横たわっていたアンドロイドの屍が、眩い光と共に白熱し―――
――――――ダン!――――――
『デュワアアアッ!!』
真紅の弾丸が水面を突き破ると同時、海上に凄まじい水柱が発生した。
まさに間一髪。
自らを呼ぶ声に手を伸ばしたと思った次の瞬間には、ダンの体は海水の分厚い壁をぶち破り、眩い輝きの下にその身を晒していた。
ダンの持つ生への渇望が、彼に最後の力を与えたのだ。
『ダァー!』
(みんな、今行くぞ!)
すぐに駆け付けようと、飛行速度を上げるセブンだったが……その時彼の目は、海上で一本の白い筋が、自らの後を追いかけてきているのを捉えた。
(あれは……!)
それは、凄まじいスピードで海面を駆け抜けるアンドロイドの姿!
それだけではない。
『デュ!?』
サッと視界が暗くなり、海面に影が差す。
セブンが頭上を見上げれば……
太陽を背に、灰色の飛行機雲を引きながら、両腕を失った小型戦闘機が此方へ突撃してくるのを認識して、彼は自身の遅刻を悟った。
(あと少しだけ、待っていてくれ、みんな……!)
―――――――――
「敵は正体不明のフィールドを展開、本艦の射撃を無効化している模様!」
「砲戦で決着が付かないならば、馬力勝負で直接粉砕するのみ! アイアンアンカーを投錨せよ!」
「了解! アイアンアンカー投錨!」
次にマックスジョーは、左の腰に右手を伸ばし、大和級に巨大なイカリをむんずと掴むと、太く頑丈な鎖をジャラジャラと引き出す。
それを巧みに振り回し、鎖分銅の要領で投げ付けて、ニセセブンの胴体を絡め取る事に成功した!
『Dywaaaa』
「そうれ、錨を上げろ! ペダンエンジン全開!」
「巻き取り開始、ヨーソロー!」
「ヨーソロー!」
基部のウインチと右腕の腕力で、ニセセブンの体を力任せに手繰り寄せるマックスジョー。
対する偽物も、負けじと反物質のチェーンビームを指先から打ち出し、マックスジョーの右腕に絡ませて、それ以上動けないように引っ張った。
100万馬力vs脅威の超エンジン!
常識の埒外にある剛力重機達が、互いの最大出力をぶつけ合う。
両者一歩も引かない拮抗状態!
「まだまだぁ!」
「ライザーハンド接続!」
食い下がる紅蓮の悪魔を圧倒するべく、ダメ押しとばかりに左腕を振り上げて、そこへ装着された巨大ドリルの基部を鎖に噛ませると、モーターの回転数をプラスする黄金機神。
マックスジョーは、各破損箇所の修復に使う部品取りの為に、本来の左腕を犠牲にしていた。
その代わりに低下した戦力を補えるよう、同じく足回りが修復困難となったマグマライザーの後部を切り詰め、義手代わりに装着していたのである。
「ばかなっ! ゼロセブンがパワー負けだとっ!? 理論上のゲイン値は、本物の1.5倍あるんだぞ! 有り得ん……」
地面を抉りながら、じりじりと引き寄せられていく巨大アンドロイドの姿に、サロメ星人は驚愕を隠せない。
「奴を捕まえろ! クレイジークレーン展開!」
マックスジョーの背面から、同じ金色の輝きをもつ巨大アームが伸びて、距離の近付いた偽物の首をガッチリ掴んで離さない。
そのまま万力のような力で敵を締め上げていくハサミは、機能停止したクレイジーゴンの右腕を、そのまま取り付けたものだ。
バンダ星人の資源回収メカは、奇しくもキングジョーの装甲と同じペダニウム製であり、その造りも頑丈さと拡張性をただただ追求した、よく言えば単純かつ信頼性の高い……悪く言えば非常に古臭いローテクの塊だったので、異星由来の鹵獲兵器とは思えないほど容易く付け替える事ができた。
旧式と侮るなかれ、その剛性と馬鹿力は本物だ。
かつてのセブンも、決してそのハサミをこじ開ける事は出来なかったのだから。
「侵略者風情が……恥を知れっ! 貴様のような相手を彼と戦わせてやるものか! このマックスジョーが必ず撃滅してくれる!」
「セブンの真なる強さは、その魂の高潔さ! 平和を愛する勇気の志ぞ! それが上っ面を真似ただけで、彼の力にあやかろう等と……片腹痛いわァー!」
「これ以上我々の戦友を貶めてなんとするかぁっ! 貴様、そこへ直れ! 修正してやる!」
マックスジョーの三本指が、堅く握りしめられ……
「歯を食いしばれェーっ!」
これぞ海軍魂、文字通りの鉄拳制裁!
金属と金属が激しくぶつかり合い、盛大に火花を散らす!
ニセセブンの頬が僅かに凹んでいるように見えるが、マックスジョーの腕力を称えるべきか、ゼロセブンの頑丈さに驚愕すべきなのか。
「……ええい、分かっていてもあの顔を殴るのは気分が悪い。さっさと化けの皮を剥がしてやれ!」
「アイ! アイ! 左舷ライザードリル再起動!」
すっかり怒髪天の乗組員達は、このまま勝負を一気に決めるべく、右手で白銀の仮面を押さえつけ、左腕を大きく振り上げた。
『グワッシ』
『Dywaaaa』
両腕でマックスジョーの義手を受け止めるパワーファイター!
銀の円錐が彼の瞳を穿たんと徐々に迫る。
「そのまま押し込め!」
その時、ニセセブンの双眸が激しく瞬いた。
殴られた衝撃でカメラアイが接触不良でも起こしたのか?
……否! いくら贋作であろうとも、ウルトラセブンがこれで終わるはずがない!
『Dywaaaa』
アンドロイドセブンが咆哮するや、地面に打ち捨てられたままになっていたアイスラッガーが、マックスジョーの背後でふわりと浮き上がり、無線操縦に従って、黄金色に輝く太く頑丈な右脚部の膝裏にピタリと鋭い刃を当てた。
次の瞬間!
「な、なんだ!?」
マックスジョーの足を軸にして、その場で地面と水平に高速回転を始めるアイスラッガー。
傍目から見ると、さながら機械兵の右膝で回転鋸でも回っているかのようだ。
金属同士の擦れる不快な高周波が辺りに響き渡る。
「ハッ! いけない!」
敵の意図へ真っ先に気付いたアマギが叫んだ。
「マックスジョー! すぐにセブンから離れてください!」
「なんだとっ!」
「もう少しで倒せるんだ!」
「いえ、倒されるのはこちらです!」
「馬鹿なっ!」
「……ああっ! もう遅い!」
一際大きな破砕音と火花が巻き起こり、高速回転していたアイスラッガーが弾き出される。
と、同時。
警備隊が見守る中、アンドロイドセブンが片足を大きく振り上げて……
『Dywaaaa』
マックスジョーの右膝を、真正面から踏み抜いた。