転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!   作:Mr.You78

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史上最大の宣戦

 

『地球防衛軍に告ぐ……』

 

聞き慣れたあの声が、抑揚のない無機質な調子でそう紡ぐのを聞き、仲間達は唖然とした。

騒ぎを聞きつけ、長官や参謀達も集まってくる。

 

『地球防衛軍は直ちに、我々ゴース星人に降伏せよ。我々ゴース星人に降伏すれば、火星の地底都市に移住を許可し、全人類の生活を保障する。』

 

 

――火星の地底都市だって……!?

――おい、火星調査隊に連絡をとってみろ

 

 

『我々は強力な地底ミサイルを持っている。地球人たちは空と海の守りは堅いが、地底はまったくの無防備だ。』

 

 

――地底ミサイル? さっきのアレかっ!

――もしかして、空から投げ落とすだけでなく、地面の下からも撃てるのか……?

 

 

『降伏に従わない場合には、不本意ながら、世界各国の主要都市を一斉攻撃し、30億全人類の皆殺し作戦を実行する。』

 

 

――なに、世界一斉攻撃だとっ!?

――そんな、皆殺しが目的なの……?

 

 

『ハッハッハッハッハ!!』

 

 

困惑が支配する作戦室へ、最後に響き渡る高笑い。

ソガの背後には、青い肌の宇宙人達がずらりと勢揃いしているのが見える。

おそらく彼は、メッセンジャーとして敵に洗脳されているのだ。

 

狂気の嘲笑だけを残し、モニターからソガの姿が掻き消える。

 

 

「チキショー……30億皆殺し作戦とは、ほざきやがる……人類がやすやす負けてたまるか!」

「そうだ! 火星の地底都市でモグラになるんなら、死んだ方がマシだよ!」

「このままじっと待てというんですか!?」

 

サッと頭に血が昇ったのか、徹底抗戦の構えをとるクラタや警備隊のメンバー。

常に過激なV3隊長だけでなく、他の隊員もそれに同調しているところをみるに、ソガを使った挑発が思いのほか効いているのか。

 

しかし、その流れを止めたのは他でもないタケナカ参謀だった。

 

「待て諸君! ……これは、30億全人類の運命がかかった、史上最大の侵略だ。軽率に行動してはいかん!」

 

「は……」

 

皆も、その言葉で冷静になったのか、目線を下げる。

今後の方針を決定するのは、決して彼らではないと思いだしたのだ。

 

「奴らの言う通り、地底はまったくの無防備だ。地底ミサイルを撃ち込まれたら防ぎようがない……」

 

忸怩たる表情で、そう述べるタケナカ。

海上幕僚長でもある彼は、今まで自身の権限が及ぶ限りを尽くし、懸命に海の守りを固めてきたつもりであったが、よもや宇宙人に地底から襲われるとは思いもしていなかった。

 

こうなってしまっては、麾下の戦力も形無しだ。

握る拳に思わず力が入る。

 

しかし……

 

「いや、それに関しては……なんとかなるかもしれん」

 

「「えっ!?」」

 

 

不意に、隣のマナベ参謀がそう呟き、全員の視線を集める。

 

 

「ヤマオカ長官、以前の献策を覚えておられますでしょうか」

 

「うむ……地中迎撃機構の事だな」

 

「なんですって? 地中迎撃機構!?」

 

 

訳知り顔の長官とマナベ以外、そんな情報は初耳だ。

アンヌが咄嗟にアマギの方を見やるが、彼もまた、驚きを隠しもせず首を振った。

 

 

「ああそうだ……諸君、これを見てくれ」

 

 

周囲の困惑をよそに、マナベが一歩進み出ると、机の上に世界地図が広げられる。

大陸上には無数の点が散在しており、何らかの分布を示しているらしい。

 

 

「参謀……これは?」

「うむ。……ところで、キリヤマ君。直近で私の主導していたプロジェクトが何だったか、分かるかね?」

「は……確か……ノンマルトに関するものだったと記憶しておりますが」

 

 

隊長の言葉に、頷くマナベ。

 

 

「その通り。私は長官直々に、ノンマルトの主張する歴史の裏付け作業を拝命していたんだ。その関係で、MJ計画については、タケナカ参謀に一任することとなってしまった。……その節は、すまなかったね」

「いえ……」

 

マックスジョーは最終的に海軍所属となった為、サルベージからドックでの改修作業まで、ほとんどこちら側で準備を進める事となってしまったのを思い出し、恐縮するタケナカ。

確かにここしばらく、マナベは各地を飛び回っており、極東基地で見かけることは少なかったが……

 

 

「そしてその中で、各国基地と連携し、彼らの遺跡を調査、発掘したのだが……」

「……まさか」

「そう、この赤点が実際に掘り起こした地底遺跡。そして青い点が、位置のみ特定完了し、今後調査予定のものだ」

「こ、こんなにっ!?」

 

 

首脳部が勢ぞろいしている前だというのに、聞いていたフルハシが思わず素っ頓狂な声を上げた。

それほどに、地図へ記されていたマークが多かったのである。

 

赤点ですら、各大陸に数個はあったし、青点に至っては、連なって線のようになっている地域すら存在していた。

 

「驚くのも無理はない。かく言う私もそうだったからな。自分たちが住んでいる地面の下に、これだけ多くの地下遺跡が存在していながら、人類はそれにまったく気付いていなかったと言うのだから……ゴース星人の言うことも尤もだ。我々は地底に対し、全くの無防備だったのだよ」

 

「……なんということだ」

 

 

思わず声を失う警備隊。

 

 

「……だが! この調査によって、幸運にも私達はその事実へ気付く機会を得た! 奇しくも、ヤオ代表からは、いずれ地底より強力な怪獣が出現する可能性を示唆されていたこともあって、地下警戒網の構築を秘密裏に進めていたんだ。……君たちが知らないのも無理はない。これはあくまで内への備えであって、対外的にはMJ計画こそが主だったからな」

 

 

そのマックスジョーも、サロメ星人のアンドロイドゼロセブンとの闘いで大破し、現在は地下格納庫で修理中だ。

 

折られた右足だけはなんとか間に合わせで繋いだものの、艦橋となるペガ円盤との回路が切断したままな為に操縦不能であり、先ほどの戦いでも出撃不可の置物になるしかなかったのである。

 

故に、手も足も出ないかと思われたところへこの情報を聞かされたタケナカからすれば、まさしく瓢箪から駒が出てきたような気分だった。

 

 

「よもや、それがこうして侵略者への対抗手段になり得るとは思いもしなかったが……備えあれば憂い無しだ」

 

「……いえ、流石のご慧眼です。長官」

 

キリヤマ達の敬礼へ、鷹揚に頷くヤマオカ長官。

フルハシやアンヌがしきりに感心する中、アマギだけはふと、この壮大な構想の発案者というのは、案外自分たちの身近にいたのではないか……というような邪推をしかけて、慌ててそれを思考の端へ追いやった。

あまりにも突飛な、根拠に乏しい思い付きだったので、我ながら馬鹿馬鹿しくなってしまったからだ。

 

 

「で、どうだね? 使えそうか?」

 

「まだ試験段階で効果は未知数ですが……元はハイドランジャーに搭載されていたローレライシステムを、グランドソナーへ転用したものです。既にあちらでの成果は出ていますので、後は……やってみるしか、ありますまい」

 

「よし……キリヤマ隊長。我々は各国首脳を集めて、対策会議の真似事をやる。出来るだけ、長引かせるから。ウルトラ警備隊はなんとか、敵の基地を見つけてくれ」

 

「はい!」

 

恐らくこちらの動向を伺っているであろうゴース星人への囮として、『降伏を真剣に検討しているので待ってくれ』というポーズだけは実施し、それを隠れ蓑に使って、各基地と地中迎撃機構に関する連携作業や敵の捜索を行うつもりなのだ。

 

事ここに至っては、自身の命と肩書すらも敵を欺く武器として使う。

それが、現場で銃を撃たない防衛軍上層部としての、戦い方だった。

 

しかし……

 

「アッ!? グランドソナーに感アリ! G地点よりモスクワ基地へ向けて地中を移動する物体を捉えました!」

「パリ本部より入電! P区画より地底潜行物の発射を観測!」

「ワシントン基地、通信リンク最大稼働! これよりニューヨークへ侵入する、地底ミサイルと思しき目標の迎撃に入ります!」

 

各地点から数発のドリルミサイルがほぼ同時に放たれた。

世界各地の主要都市に向けて猛進するそれらだが、どれもほぼ近郊に防衛軍の支部が存在する。

各国基地への先制攻撃が目的なのは、明らかだった。

 

「バカな!? もう攻撃してきたのか! 早すぎるっ!」

「……けっ、なにが降伏だ。向こうさんも、はじめからそんなつもりは無いとよ」

 

幸か不幸か、極東基地へ向けて発射されたミサイルは無いようであったが、それは逆に他基地が壊滅した場合、残った最後の地球防衛軍として、孤立無援で戦わなければならないという事だ。

 

「もう、迎撃システムに賭けるしかないっ!」

 

「各基地、マグマライザー緊急発進! 地底魚雷発射!」

 

 

地中迎撃機構といっても、中身は単純。

半量産化に成功したマグマライザーには元々、無人戦車の指揮車両として無線操縦機能が備わっていた。

 

おまけに無補給で2週間は連続稼働が出来るという化け物じみた持久力を持っていることを利用し、マグマ自体を数台単位で無人戦車群としてリンクさせ、休眠状態で地底にあらかじめ待機させておく。そしてそれぞれのグランドソナーの測定値を元に、地底移動物体の進路を三次元的に算出するというもの。

 

あとはその進路上に地底魚雷を一斉に発射、最悪の場合は車体自体を対象に激突させる事で迎撃する。

 

そしてその結果は……

 

「め、命中! 命中です! ニューヨーク、防衛成功!」

「ロンドンも同じく迎撃完了!」

「シドニー、地底魚雷命中せず! しかしマグマ本体の衝突により対象破壊!」

「パリ本部、ベルリン支部との共同迎撃に無事成功したとのこと!」

「モスクワより入電、ワレ第二次防衛線上デ迎撃成功セリ」

 

各国から次々と無事の知らせが舞い込んできた。

歓喜に沸き立つ作戦室。

 

「やった……やったぞー! へへ、見たかゴース星人め! ご自慢のミサイルも大した事ねえな!」

「すごい……これなら!」

「やりましたね、長官」

「うむ」

 

ようやく敵の思惑を崩せたと、晴れやかな顔で頷き合う一同。

 

……しかし。

 

「……カイロ基地より返答がありません」

「なに?」

「……迎撃したミサイルの地底爆発で、地磁気でも狂ってるんじゃないのか。もしか、地震でも起きて混乱しとるんだろうぜ」

「呼びかけを続けます」

 

クラタが楽観的な台詞を口にするが、内容に反してその表情は非常に厳しい。内心では別の事を懸念しているのが明らかだった。

皆も一様に押し黙り、通信士のカイロ基地呼び出しに返事が返ってくるのを固唾を呑んで待つ。

……そして。

 

「――ッ!? こ、これは……隊長、パリ本部経由で送られてきた情報です。アフリカ方面の各駐屯部隊からの報告であると……」

 

未だにカイロと通信を試みる隊員とは、また別の通信員が、電信機から吐き出されたテープをもぎり、手渡してくる。

その声は微かに震えたものだった。

 

「……カイロ基地……消滅……」

「なに、消滅!? バカな! 何かの間違いではないのか!」

「そうだ、信じられん。例え迎撃に失敗したとして、カイロ基地は砂漠の熱砂にも負けぬ特殊耐熱バンカー群だぞ。被害がいくら甚大でも、どこかの区画が生き残っているはずだ」

「映像、出ます!」

 

モニターに荒い映像が映し出される。

おそらくカイロから遠く離れた小都市の駐屯地が、望遠レンズを用いて撮影したのだろう。

 

だというにも関わらず、画面上にはモニターを覆い尽くす程に巨大なキノコ雲の根元が、ハッキリと映っており、カイロ上空は朦々たる黒煙によって、夜と見紛う暗さとなっていた。

 

「カイロ基地の周囲半径30キロは壊滅状態。爆風の影響範囲まで含めれば、被害は絶望的との事です」

 

たった一発。たった一発のミサイルで一つの都市が丸々、地図から姿を消してしまったのである。

 

地球の核兵器など、目では無い程の破壊規模。

先ほど、富士要塞へ投げ込まれた爆弾は、これと比べれば花火にも等しいと言えるだろう。

 

ゴース星人の本命はこちらだったというわけだ。

 

「なんという威力だ……」

 

思わず椅子にへたり込み、沈痛な面持ちで瞑目するヤマオカ長官達。

 

もしも迎撃機構がなければ、先ほどの攻撃で地球防衛軍は事実上の壊滅状態に陥っていたのは明白だ。

 

そして敵は、恐らくまだまだ残弾を残しているはず。

ミサイルの波状攻撃を一度でも取りこぼせば、その瞬間には、そこが第二のカイロ基地となる運命なのだった。

 

「……こうしてはおれん! さっきの攻撃を逆探知するんだ! そこに敵のミサイル基地がある!」

「至急、各基地とデータリンクを行います!」

 

タケナカの指示で先ほどの観測結果が集積され、電算機がその航跡を弾き出す。

 

そして、各大陸に散在するいくつかの地点を割り出した。

 

「……ん、待てよ? これは……まさか!」

 

ハッと何かに気付いたマナベが、計測値と先ほどの世界地図を照らし合わせてみれば……

 

「やはり! 思った通りだ!」

 

なんと、地下遺跡を示す青点……つまり、まだ手つかずの地底建造物があると目される場所と、ぴったり合致するではないか!

 

「そうかっ! 奴らめ、既にある地下空間を利用して、急拵えの前哨基地に改築しやがったんだ! どおりで工事が早いと思ったぜ!」

「各国基地、精鋭による突入部隊を緊急編成し、マグマライザーでの揚陸制圧を試みるそうです!」

「でかした! そのどれかにソガ達もいるはずだ!」

「頼むぞ……!」

 

ただでやられてばかりの地球防衛軍ではない。

即座に反撃態勢を整え、敵の攻略に乗り出していく。

 

やはり初擊を凌げた事は非常に大きかったと言えるだろう。

残念ながら極東基地は、先の空襲によるダメージから回復しきっておらず、地底基地攻略は他国の部隊に任せざるを得なかった。

 

仲間の為にも、突入部隊の健闘をただ祈るしかない。

 

そんな時だ。

 

「……モスクワ基地より入電。……えっ!? 都市部に怪獣飛来っ!?」

「なにっ、怪獣といったか! ……よもやパンドンではなかろうな?」

「……いえ、モスクワ基地は過去資料より、ペギラと断定した模様!」

「な、ペギラ!? ペギラだと! そんなバカなっ!」

 

その声に思わず椅子を跳ね飛ばして、誰よりも速く通信機に飛び付いたのは、なんとクラタだった。

 

「クラタ。確かペギラは、南極基地建設の際に、我々で倒したのではなかったかっ?」

「そうだ。俺たちの飛行隊で、奴の口にありったけのペギミンHをお見舞いしてやったんだ。他でもないこの俺が倒したんだぞっ! 何かの間違いだっ! 露助の言う事なんざ信用できるかっ!」

「それがなぜモスクワにいるんだっ!?」

「待って下さい!」

 

思わぬ怪獣の登場に、珍しく動揺する隊長達に待ったをかけたのはアマギだ。

 

「確か、過去の記録によればペギラは一度、東京に姿を見せた事がありますが、それは南極から北極へ向けて渡りを行う途中だったのではないかと考えられています。今回現れたのはその時の個体で、クラタ隊長達が倒したのは、まだ南極に残っていた個体なのではありませんか?」

「しかし、だとすれば奴はなぜ、北極基地の飛行場を敷設する時に襲ってこなかったんだ。北極は南極と違って、潜って身を隠せるような地面もないんだぞ。今までどこにいたんだ!」

「それは……」

 

冷静な指摘に言い淀むアマギ。

いかな彼と言えども、怪獣の生態に関しては殆ど未知の分野だ。ある程度の仮説までは立てられたとして、確証のある事ではない。

 

「これより、即応可能な砲兵隊で飽和攻撃を実施し、直接火力による目標の粉砕を試みるそうです」

「噂の戦車大隊か……だが奴相手に地上部隊では分が悪いぞ……!」

 

大口径砲の集中運用による、火力と物量にあかせた破砕射撃は、ロシア方面軍のお家芸だ。

横殴りに吹き荒む鉄の雨が齎す、純粋な質量の暴力は、これまで数多の巨大生物と侵略者を屠ってきた実績がある。

 

だが、それは裏を返せば、彼らの装備の殆どが、旧来の通常兵器群から長らく更新されていない事を意味していた。

ただでさえ広大な土地へ、満遍なく部隊を配置しなければならないのに、劣悪な極寒環境下において、高価な上、メンテナンス性に難がある超科学兵器たちを維持運用し続けるのは、実質不可能に近いと判断されたからだ。

 

クラタの脳裏に、あの時の光景が蘇る。

特殊弾頭ミサイルを致死量まで投射するために、援護のスノーモービル部隊が怪獣を惹きつける役目を買って出てくれたが、ペギラの引き起こす絶対零度下の無重力現象によって、出て行く端から木の葉のように吹き散らされていったのを、彼はよくよく覚えていた。

 

切り札の特効薬があった時ですら、あれほどの激戦だったのだ。

ましてや急に現れた怪獣に対し、使い処の限定される特殊弾の備蓄など、あろうはずがない。

 

果たしてどうなるか……クラタが臍をかむ。

 

「しかし、なんて間の悪い奴だ。よりによってこんな時に襲ってこなくても……」

「こんな時に、か……」

 

フルハシの呟きを拾いつつ、険しい顔で意味深に目配せし合うクラタとキリヤマ両隊長。

 

……嫌な予感が、する。

 

そしてそれを裏付けるかのように、凶報はこれひとつで留まらなかったのだ。

 

「今度はワシントンのボガード参謀から通信です!」

「よし、繋げ!」

 

モニターに、金髪碧眼の参謀が映る。

会議で頻繁に顔を合わせている上層部はさておき、ウルトラ警備隊の隊員達とは随分久方ぶりの邂逅となるが、それがこのような形になってしまった事を、決して喜ばしいと思っていない事が、彼の表情からありありと見てとれた。

 

『ヤァ、ウルトラ警備隊の諸君。いきなりで悪いが、バッドニュースを伝えなければならない』

 

「モスクワの件は聞き及んでおりますが……」

 

『そうじゃないんだ。実は……ニューヨークにも巨大なモンスターが出現した』

 

「なんですって!?」

 

ざわめく作戦室。

 

『これより、ワシントン基地はその対処で手一杯となるだろう。極東基地が深刻なダメージを負ったと聞いていたが……残念ながらそちらの救援には行けそうもないんだ。すまなく思う。……君達の方では異常ないか? 様子だけでも聞いておきたくてね』

 

「は、お気遣い痛み入りますが……今のところ、何も」

 

『そうか、それはグッド。モスクワに続きニューヨークにも……となれば、他の基地が不安になってね』

 

「……やはり」

 

ボガード参謀もまた、似たような懸念を抱いているようだった。

まだハッキリとそう決まったわけではないが、言い知れぬ不安感が、皆の胸中に広がっていく。

 

「もしやその怪獣は、パンドンではありませんか? 赤い体表に、二つの頭を持つ悍ましい怪獣です」

 

『……いや、そのような異形ではないが……見て貰った方がはやいな。コイツだ』

 

ボガート参謀が共有してくれた映像が、作戦室のモニターに大写しとなる。

 

そこには、純白の体毛と強烈ないかり肩を持つ、雪男を彷彿とさせる巨大猿人が、エンパイアステートビルによじ登り、所構わず冷凍光線を吐きまくっている姿があった。

 

「あっ! あれは……ギガスじゃないか!」

「まさか! ギガスは日本アルプスで撃破したはずだ! なぜニューヨークに!?」

 

そう、それはかつて日本アルプスに出現した冷凍怪獣ギガスだった。

 

尤も今映っている個体は、ウルトラ警備隊が倒したものより、二回り以上もでかい。それでもその独特なシルエットは、例え大きさが変わろうとも、決して見間違える事のないものだ。

 

あの時は、新型気化爆弾のテストも兼ねた、ホーク二機の絨毯爆撃の前に木っ端微塵となり、セブンの出る幕もなく終わってしまったが、過去に出現した個体と比べて小型だった事から、先の個体の子供か、さもなくば、つがいの雌だったのではないかと目されていた。

 

恐らく今、摩天楼を我が物顔で暴れ狂っているのが、正真正銘、成体のオスなのだろう。

 

「ここまで大きくなるのか……」

「前に戦った奴より、ずいぶんデカいぞ!」

『なんだって!? 前に戦っただと!』

 

するとその声を聞きつけたのか、ボガート参謀の肩越しに、サングラスの伊達男がカメラを覗き込んできた。

 

「あっ、貴方はマーヴィン捜査官……!」

『久しぶりだな、クレイジーガイズ。そんな事より、サスカッチと戦った事があるってのは本当か!? キミらはどうやって倒したんだ? 教えてくれ!』

「サスカッチ……?」

 

興奮した様子のマーヴィンを訝しむ警備隊に、エージェントの傍らに立つ美女が、豊かな金髪を揺らして情報を補足する。

ワシントン基地の誇る才媛、ドロシー・アンダーソンだ。

 

『はい。レジストコード、サスカッチ。巨体に似合わぬ俊敏さで、ビルディングの高層を跳び回るため、ニューヨークの部隊は今、とても対処に困っているのです』

『おまけにあのタフネスだ……やっとの思いで攻撃を当てても、一発二発じゃ痛くも痒くもないらしい!』

 

ビル街が死角となり、戦車隊はうまく仰角がとれず、代わりに上空から、コンクリートの合間を縫って接近に成功した攻撃ヘリが、機銃でピンポイント射撃を試みるも、ギガスは当たった場所をポリポリ掻くばかりで、ちっとも効いた様子がない。

 

ただでさえ、分厚く引き締まった筋肉が、鋼鉄の如き頑強さを発揮するというのに、ギガスはその毛深さで、自分へ飛んでくる銃弾の勢いを全て減じてしまうのだ!

 

そればかりか、惚けた顔で周囲をきょろきょろ見渡したかと思えば……

 

『Oh!?』

「危ないっ!」

 

見つけたヘリコプターへ向けて大跳躍!

真っ白な巨体が向かいのビルに着地し、衝撃で割れ砕けた窓ガラスやコンクリートが、粉吹雪のように舞い上がる。

 

当然、パイロットも咄嗟に離脱を試みたのだが、少しでも射撃の威力を高めようと接近していたのが災いしたのだろう……怪獣の右手にはしっかりと攻撃ヘリのテイルローターが握られていた。

 

そして、片手が使えない状態だと言うにも関わらず、そのまま両足と左手を器用に使い、まるでボルダリングでもしているのかと思うほど軽やかに、ビルの壁面を登っていくギガス。

 

彼は大昔に、寒冷地仕様の運搬用生物として産み出された際、これまた太古の山岳に棲息していた高原竜の、強靱な下半身を参考として設計されていたので、脚部のみでも、凄まじい登坂力を発揮できるのだ。

 

傾いたビルの屋上へ辿り着いたかと思えば、左手で掴んだ避雷針を軸に回転し、遠心力をのせた円盤投げの要領で、持っていたヘリコプターを投擲!

 

遠巻きに見守っていたもう一機の武装ヘリすら撃墜してしまうではないか!

 

『コオォーッホッホッホッホッホオオォォーゥ!』

 

愉快そうに上下左右へ肩を揺すり、台車もかくやと言うべき広く扁平な自身の胸部を、両の掌で叩きまくっては、歓喜の咆哮を上げるギガス。

 

彼は今まさに、このコンクリートジャングルへ絶対的な王者として君臨していた。

 

『――マイガッ……!!』

『だいたい……サスカッチだと言うなら西海岸の奴らの管轄だろう! それをよりによってロッキーじゃなく、アパラチアから降りて来やがるなんて……とんだ観光客だ!』

「俺達の時は、拓けた山岳地帯に出やがったから、新型気化爆弾を山ほど落として、粉々にしてやったんだがなぁ……」

『気化爆弾だって!? おいおいフルハシ、そんなデンジャーなものを市街地の中心で使えって言うのか!? 奴が死ぬ頃にはニューヨークは焼け野原だ!』

「それくらい分かってらぁ! ……ちくしょうめ、街中で戦うと、こんなに厄介だったのか……!」

『しかし、このまま手をこまねいていれば、奴を暴れさせたままと、我々が街を破壊するのと、どちらがマシか分かったものではない。こうなったら爆撃も考慮するしか……』

 

苦渋の決断を迫られるワシントン基地。

 

「……いや、まだ手はあります!」

『本当か、ミスターアマギ!?』

 

先ほどから、基地のデータベースで何かを検索していたアマギが顔を上げる。

その瞳には、あの頼もしき叡智の閃きが宿っていた。

 

「気化爆弾は元々、強力乾燥ミサイルの威力を落とし、より広範囲の空間へ長時間効果を及ぼすように改良したものです……でもそれは、現行の材料で本物を完全再現する事が不可能だったが故の、言わば苦肉の策に過ぎない。ですがアンダーソンさん、貴方なら……!」

『ワタシに、あの兵器を復活させろと仰るんですか? そんな……とても出来ません』

 

突然の指名に、物憂げな瞳を伏せて、尻込みするドロシー。

 

「大丈夫。本物を100%再現する必要は無いんです。そもそも怪獣一体を丸々凍結させるような威力は過剰すぎる。その半分……いや四分の一以下の出力で充分なんです」

『それであのビッグフットが倒せるのか?』

「ああそうだマーヴィン。いくら大きくなろうとも、奴の躰の造りが霊長類のソレに近しいと仮定するなら、うなじの部分には重要な神経や血管が集中しているはずだ。そこへ正確に撃ち込む事が出来れば……!」

『奴はダウンして真っ逆さま、か!』

『確かにそれならば……ワタシにも、出来るかもしれません』

「今からデータを送ります。……ああそれから、ゴーロン星人との戦闘記録と、超猿人の脳波パターンも入れておくよ。何かの役に立つかも知れない」

『頑張ります!』

『サンクス、アマギ隊員。これであのモンスターにひと泡吹かせてやれるだろう。我々だけでもやってみせるさ』

『こっちが終わったら、すぐに応援に行くからな! ……おい、例のサムライボーイズを呼び出せ! 奴らの腕が必要になるかも知れないぞ! ビッグフットにはドラゴンだ!』

 

ワシントン基地との通信が切れる。

 

「ドロシー達、うまくいくかしら……」

「成功するに決まってるさ! なんてったって、一緒にキングジョーを倒した仲間なんだからよ!」

「ええ、あとは時間の問題でしょう……ですが……」

「ですが? ですが、なんだってんだ?」

 

言い淀むアマギ。

フルハシが見渡すと、首脳陣の表情も皆一様に優れない。

 

「諸君、どう思うね」

「……余りにもタイミングが良すぎるかと」

「私もそのように思います。これで終わるとは、とても……」

「そうだな……」

 

そしてその懸念は、残念ながら的中してしまう事となる。

 

「パリ本部より通達! 市街地に突如としてネロンガ出現! 現在、警戒の為に展開していた部隊で応戦中!」

「やはりか!」

「ついに本部を狙って来やがったな!」

「映像、出ます!」

 

画面には、炎と煙の燻るシャンゼリゼ通り。

凱旋門の向こう側では、稲妻を纏った巨大な影が、美しい街並みを破壊しているのが見えた。

 

……パリが燃えている!

 

既にネロンガは体を透明にしているのか、遠目では全体像が把握できず、着弾により舞い上がった土埃と硝煙がその輪郭を縁取る事で、辛うじてそこに『何か』が存在しているのだと確認出来る。

 

そして怪獣がいると思しき空間を、本部直属のメーサー車部隊が薙ぎ払うが、パラボラから発された大出力の殺獣光線は、一点に差し掛かるやたちまち屈折して、それぞれあらぬ方向へ飛んでいってしまうではないか。

 

決して出力不足な訳では無い。都市防衛の要を担う虎の子である光学兵装は、本来であれば怪獣の耳など一撃で消し飛ばす威力を持つ。

 

しかし、10万ボルトの熱量でニュートリノを生成し、敵の細胞へ叩きつける事で対象を焼き切ってしまう秘密兵器も、ネロンガ相手となれば形無しだ。

 

この怪獣は、触角から放つ電撃で強力な磁場を発生させる上、表皮組織の光波偏向による透明化を持つ為、メーザーやレーザーでの攻撃に滅法強いのである。

 

だが人類側も負けてばかりではない。流石は防衛軍本部のお膝元。効きが悪いと悟ったのか、パリ防衛隊は一旦メーサー部隊を下がらせ、実弾兵器を中心とした攻撃に切り替えるようだ。

 

救国の英雄の名を冠したド・ゴール広場に、長距離砲やロケットランチャー部隊を布陣させ、一斉攻撃の準備を速やかに整えた。

 

その中には、弾頭を特殊噴霧装置に換装したミサイルもあり、ネロンガの透明化を無効化してやろうという腹積もりらしい。

パリジャンは、ロレーヌ十字の名の基に、侵略者への反骨心で満ち満ちている!

 

殺意に溢れた陣容を見て、満足そうに鼻を鳴らすのはクラタだ。

 

「ふん、メーサー部隊を擁するパリ本部に透明怪獣をぶつけたまでは褒めてやるが、ちと詰めが甘かったようだな」

「それ見た事か! パリ本部にはどんな兵器も一揃いあるんだぜ! 今だ、やっちまえ!」

「……ん? いや待て!」

 

画面内の僅かな違和感に、キリヤマが気付いた時には遅かった。

 

地面に亀裂が走ったかと思った瞬間、集結した部隊の足元から、何か巨大なシャベルの如き鋭角の物体が、石畳をかち割って、広場の中心に堂々と突き立ったのである!

 

その茶色い大きな三角形は、パティシエがケーキでも切り分けるような容易さで、凱旋門の根元に大穴を穿ち抜くと、地中からずるりとその巨体を引き抜き、起き上がる勢いそのまま直上にある勝利のシンボルを、頭突きでいとも簡単に突き崩してしまう!

 

地獄門をぶち破り、地上へ姿を現した土気色の悪魔は、節くれ立った爬虫類が、後ろ足で直立したような姿をしていた。

 

スコップを彷彿とさせるほど薄く鋭い口吻を持つ、その怪獣の正体こそ……

 

「テレスドンだ!」

「二体目の怪獣だと!?」

 

テレスドンは、いかにも目付きの悪い邪悪な顔で、眼下の地上部隊を睨みつけたかと思えば、ぎざぎざの歯がずらりと並んだ口から、マグマと同等の熱量を持つデプス火炎を噴射して、彼らを全て火の海に沈めてしまった!

飴細工のように蕩けていく地上部隊。

 

灼熱に歪んだ空気の中、真っ黒に焼け爛れた鉄の荒野を、蜥蜴の怪物がのっしのっしと歩き回る様は、まさに地獄の蓋が開いたよう。

 

近くの戦車隊が急いで回頭し、テレスドンの侵攻を阻止しようとするも、怪獣の表皮には傷一つ付かない!

地中深くマントルの圧力に鍛えられた外皮は、ダイヤモンドや鋼鉄すら軽く凌駕するのだ。

 

地底怪獣が自慢の尻尾を一振りすれば、破壊されたアーチの残骸が、今度こそ完膚なきまでに粉砕され、大量の石礫となってレジスタンスを襲う。

 

それに巻き込まれ撮影者がやられたのか、モニターが暗転したのを見ると、クラタが歯を噛み締めて、苛立ち紛れにパチンと指を鳴らした。

 

「これで決まったな……どいつもこいつもゴース星人の手先に違いない! ……見ろ! その証拠に縄張り争いどころか、互いに見向きもしなかった!」

「それどころか、連携しようとしていたようにすら見える……ビームの効かないネロンガ、砲撃に耐えるテレスドン……」

「パリ本部は、一連の怪獣出現をゴース星人の地上破壊工作と判断したようです!」

「これにより、鹵獲要塞『シャール・ド・ディノゾール』の投入を決定! 無人戦車群の援護のもと、玉砕覚悟で二体怪獣の撃滅を図る模様!」

「激しい戦いになるぞ……」

 

そして極めつけとばかりにロンドンへ、岩石怪獣ゴルゴスが、攻撃円盤の編隊を伴って現れた事で、いよいよそれが敵の第二次攻撃なのであると確信したウルトラ警備隊。

 

ゴース星人は、地底ミサイルが思ったように戦果を上げなかった時の為に、奥の手として怪獣達による同時侵攻すら準備していたのだ!

 

「またしても地底からか! 地中迎撃機構は作動していなかったのか?」

「いえ、それが海からの侵攻だそうです。直前まで流氷に擬態していたようで……」

「なに、海から!?」

「ロンドン支部の海軍相手に真っ向から喧嘩を売ったのか。とんだ自信家だな」

「警戒に集まった艦隊の中心で、突如生命活動を開始したらしく……怪獣に応戦しようと回頭したところへ円盤が急速接近、そのまま乱戦にもつれ込んだ模様」

「ゴルゴスの発する強力な磁性に引き寄せられ、航行不能に陥る艦が続出しているようです……」

 

ロイヤルネイビーも決して油断していたのではなく、むしろこのタイミングで現れた謎の巨大氷山を怪しんで、いつでも攻撃できるように取り囲んだのが仇となった。

 

動きが鈍く、大質量の体当たり以外はこれといった武器を持たない代わり、耐久力に優れるゴルゴスを被害担当艦とし、攻撃力は円盤の空爆によって賄う事により、精強なイギリス海軍に痛打を与える事に成功したのである。

 

「これまで怪獣だけで攻めてきていたのは、これを狙ったのか……なんて巧妙な……」

「ゴルゴス、以前に出現したものより巨大になっているとのこと。海底の沈没船や氷を取り込み、耐久性を増しているものと考えられます!」

「その再生力で防衛艦隊の包囲網を正面突破し、テムズ川より遡上中!」

 

そうしている間にも、各地から届けられる苦戦の知らせ。

さしものヤマオカ長官と言えど、この状況には焦りを隠せないのか、皺の刻まれた顔を、冷や汗が滴り落ちる。

 

「まさか、これほどまでの戦力を用意しておったとは……この怪獣総進撃は、明らかに迎撃機構の関連施設破壊を狙ったものだろう。システムに綻びが出た途端、ミサイルの第二波を撃ち込んでくると見て、間違いない……今の我々は、ザイルにナイフを添えられているようなものだ」

「しかし長官、敵に王手をかけているのは、こちらも同じです! 地底基地を突入部隊が制圧するのが先か、各国基地が陥落するのが先かの根比べ。奴らも切り札の怪獣を全て繰り出して、最後の悪足掻きをしようとしているに違いありません!」

 

タケナカがそう励ますと同時、全員が待ち望んでいた福音が、ようやくもたらされた!

 

「マグマライザー全車、各ミサイル基地に到達! 制圧部隊、突入を開始しました!」

「よっしゃあああーっ! やったぜーーっ! そのままやっちまえ!」

 

先ほどまでの暗く沈んだ顔を一変させ、晴れやかな笑顔で頷き合う隊員達。

 

参謀達も、思わず握り拳に力を込め、ようやく額の汗を拭う事が出来た。

 

――あともう一押しだ。

 

誰もがそう思った時、再び作戦室のランプが点滅し、モニターに砂嵐が巻き起こる。

 

ゴース星人の電波ジャック!

またしても画面に浮かび上がったソガの顔。

 

「へっ、なんだ? 今にも負けそうだってんで、慌てて詫びでも入れにきやがったか? 降参するから許してくれなんて、虫のいい話がいまさら通るかよ!」

 

普段の威勢を取り戻したフルハシが、モニターに対して啖呵を切る。

 

次の瞬間には、ソガのいる画面内へ突入部隊が雪崩れ込み、敵を叩きのめして彼を助ける場面が映り込むだろうと信じて疑わなかった。

 

だが……

 

『……』

 

「……? おい、なんだぁ? もしかして電波が途切れて止まっちまったのか?」

 

一言も発する事無く、不気味な無表情のまま、微動だにしないソガ。

 

わざわざ向こうから繋げて来たにもかかわらず、無言を貫く意図が分からない。

 

放送事故かと訝しんだフルハシが、モニターに手刀を叩き込むべきか悩んだ時だ。

 

「……! マグマライザー全車、及び突入隊員の反応ロスト!」

「なにっ!?」

「同時刻に、各地点から小規模な振動を観測したと……」

「全て地底基地が……突入部隊諸共、一斉に自爆した模様です……!」

「そんなバカなっ!?」

「現に映像はまだ……続いているじゃないか……!」

 

アマギが震える声で指し示す先、ソガの口角がにやりと吊り上がり、底意地の悪い嘲笑を浮かべた。






「いきなり知らん怪獣出て来た……こわ……」
……と、防衛軍と同じく困惑された方への解説。


◆岩石怪獣ゴルゴス
ウルトラQ第7話「SOS富士山」に登場。宇宙から落下した謎の隕石が周囲の岩石を吸収し、生命活動を開始した姿。
体が全て磁石で出来ているので、コアを破壊しない限り、いくらバラバラにしても再び寄り集まり復活する再生力を持つ。
コア自体は警官のピストルで破壊できる程度の硬さしかないが、背中にある穴(しかも人間一人がやっと通れるくらいの狭さ)の奥にあるため、外からの攻撃で狙うのは至難。
今作でのコイツが、登場回のように富士山での出現ではなく、ロンドン上陸担当になったのは、ちょっとした名前ネタ。


◆冷凍怪獣ペギラ
ウルトラQ第5話「ペギラが来た!」及び第14話「東京氷河期」に登場。
生息地は南極とされ、初登場では観測隊を襲撃したが、後にその翼を使い長距離飛行で東京に襲来。都市部を氷河期に陥れ、大暴れした。
例の如く普通の武器は通用しない上、飛行能力はあるわ冷凍光線は吐くわで、その寝ぼけた顔からは想像できない程の強豪だが、唯一、南極の特殊な苔に含まれるぺギミンHという物質が弱点で、どちらの回でもそれを使った攻撃により逃げていく。しかし、それもあくまで忌避効果しかないのか、撃退止まりで死亡描写はなかった。Q怪獣最強と呼ばれる所以である。
もちろん寒冷地を襲うのにピッタリだからという理由でゴース星人にチョイスされたのだろうが、メタ的にも有翼怪獣が襲うのはモスクワでなければならない。

◆冷凍怪獣ギガス
ウルトラマン第25話「怪彗星ツイフォン」に登場した巨大な雪男。
こっちも冷凍怪獣だが、ドラコと引き分け、レッドキングに負け、イデ隊員の新兵器に倒されるというオイシi……マイナー怪獣の誹りを免れぬ不遇な役どころ。前座の鑑。ペギラを見習ってどうぞ。
ウルトラマンとの戦闘経験も無い為、ぶっちゃけ怪獣の『格』としては、下の方から数えた方がはやいと思われ、怪獣墓場ではフォルムに反して肩身の狭い思いをしている事だろう。
腕部の可動域もかなり特殊であり、本作のような大活躍が出来るかは疑問。こまけえこたあいいんだよ。なにしろ作者のお気に入り怪獣なので、存分にシーンを盛りに盛られている。
ただし、タフさに関してだけならば、終始押され気味だったとはいえ、飛行能力持ちの宇宙怪獣相手に善戦した後、豪腕で鳴らすレッドキングからド突き回され、その上で生還しているのは相当な打たれ強さと言っていいだろう。これがチャンドラーやマグラなら死んでた。というか現にドラコはそれで死んだ。
近年、ウルトラマンZに再登場した際も、セブンガーと激闘を繰り広げ、ロケットパンチのお披露目被撃破というオイシイ役を……いっつもやられてんなコイツ。
せめて二次小説内では雪辱を晴らしてもらうべく、設定上でしか存在しなかった技である冷凍光線を吐きまくり……と思っていたら、なんとブレーザーにも登場し、悲願であるウルトラマンとの直接対決を果たしたばかりか、冷凍光線でアースガロンやブレーザーを氷付けにして窮地に陥らせるという大金星を上げた。
執筆が遅れた影響で、冷凍光線が紛うこと無き原作再現技となり、作者は小躍りして喜んだ。
ニューヨークの摩天楼で暴れる怪獣として、コイツ以上の適任がいるだろうか。いや、ない。


◆透明怪獣ネロンガ
ウルトラマン第3話「科特隊出撃せよ」登場。
ただでさえ、体を透明に出来るというだけでも凄い個性なのに、放電攻撃まで持っている贅沢な奴。これが3話の怪獣か?
とはいえ、多芸な代わりに電撃の威力は控え目なのか、ウルトラマンに効かないのは当然としても、科特隊のアラシ隊員にブチ当てた時すら、気絶させるのが精々だった。
尤も、当時は発電施設の出力も低かっただろうし、科特隊や防衛軍の妨害でまともに電気を吸収できていなかったので本調子では無かったと思われる。
近年再登場する度に、脅威度が上がっているのがその証拠。(逆に電気の無い時代では、侍に妖怪として退治されるくらい弱体化していた)
シンウルで透明化の用途や運用思想が解説されていたのでこれ幸いと流用した。
パリ担当なのも、かの地に浅からぬ縁があるから……いや、本人には無いのだが。せめて小説の中だけでも親戚の鬱憤を晴らして貰おうと任命した。


◆地底怪獣テレスドン
同じくウルトラマン第22話「地上破壊工作」にて、地底人が地上攻撃の尖兵として放った怪獣。
防御力の高さに定評があり、その強靱さはビートルで爆撃したキャップが思わず「凄いやつだ」と漏らす程。
ただ、それだけ固いからには皮膚の密度も相当なものなのか、シャープな体躯や機敏さに似合わぬ超重量級怪獣であり、なんと全身が岩石である上記のゴルゴスすら越える体重をもつ。
マン兄さんにそこへ目をつけられたのが運の尽き、投げ技の連打で地面に叩き付けられ、内臓が衝撃に耐えられなかったのか、自重が仇となって圧死した。流石は怪獣退治の専門家である。恐ろしや。
ジェロニモンに蘇生され再登場するも、隊員達は皮膚の硬さを重々承知だった為、スーパーガンの出力を増加させたトリプルショットで心臓を狙われ倒されている。物防特化型なのだろう。
コイツだけ他の面子と違い、パリ担当である事に何の元ネタも存在しないが、凱旋門だけはなんとしても「根元から現れた二足歩行爬虫類」にブチ破ってもらわねばならなかったので、やはり元祖地底怪獣にこそ、その画が一番映えるだろうと白羽の矢が立った。

貴方は原作『ウルトラセブン』を観たことが

  • ある
  • ない
  • なかったが、本作をきっかけに視聴した。
  • 他昭和ウルトラシリーズは観ていた
  • 平成ウルトラシリーズは観ていた
  • 令和からだゼェェット!
  • そんなにシンが好きになったのか(完全新規
  • その他(感想欄かDMにでも)
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