転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!   作:Mr.You78

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※注意

今話には、『ウルトラマンメビウス』本編及びストーリーに関する重大なネタバレが多数含まれております。

もしも今後、同作品を視聴予定かつ、初見時の驚きやワクワク感を大切にされたい方は直ちにブラウザバックし、ウルトラマンメビウス本編を視聴してからお読みになる事を推奨します。

大丈夫、セブン本編全49話と比べたら、ちょうど全50話なんてサラッと……いやこっちの方が長かったですね。

じゃあ……せめて冒頭の激戦を生き残った主人公がウルトラマンに変身するところまで見て!

いまさら気にしないよという方は、どうぞお楽しみ下さい。


愚者達の四月

 

「ブオンブオンとアクセル全開で、峠をビュンビュン走るオープンカー! その後ろを、これまた凄まじいハンドル捌きでひゅんひゅん風を切りながら追いかけるポインター! 両者一歩も引かないデッドヒート! しかしなんと! 宇宙人のオープンカーは違法改造がしてあって、ジェットエンジンが積んであるのだ!」

 

「……はあ、ジェットエンジン」

 

「いかん、このままでは振り切られてしまう! しかし、宇宙人はなんとも運が悪かった! 決して逃げる事が出来ないのは、はじめから決まっていたのだからな! ……なぜか分かるか?」

 

「……さあ、何故なんだアミーゴ?」

 

ディレクションルームの中に入ると、部屋中に響く程の大声で誰かが話している。

 

「分からんのか? なぜなら奴の通る検問所は……他ならぬ、このトリヤマ・ジュウキチが守っていたからだ!」

 

「いよっ! 出ました補佐官!」

 

「ハァ……そうだと思ったわ」

 

堂々と胸を張り、ドヤ顔で眼前の若者達を見渡す士官服の中年男。

 

彼はトリヤマ補佐官。

こう見えてGUYS JAPAN総監の右腕であり、組織のナンバー3である。

 

……まあ、総監代理のミサキ女史に頭が上がらなかったり、そもそも補佐するべき総監と直接会った事が無いなど、いまいち頼りないというか、威厳にかけるというか……普段のやらかしの数々から、GUYSクルーの面々からは完全に嘗められており、裏では『トリピー』などと渾名で呼ばれていた。

 

今も、拍手をしているのはお付きのマル秘書官一人だけであり、彼が必死に盛り上げようとする中、隊員達の表情は完全に白けている。

 

むしろ、この空気感の中で満足そうに頷けるあたり、意外と大人物なのかもしれない……

 

普通の地球人がこの光景を見れば、そのような呆れ半分の感想が湧き上がっただろうが、たったいま入って来たばかりの人物は、あいにくと空気の読めなさではある意味で似たり寄ったりだった。

 

首を傾げながら、手近にいた仲間の肩を叩く。

 

「テッペイさん。補佐官はなにをされているんですか?」

 

「ああ、ミライ君おかえり。……またいつもの大法螺吹きだよ」

 

「ホラ……吹き? ……ホラってなんですか? 吹くってことは、楽器の練習とか?」

 

「……うーん、確かに法螺は楽器だから語源的には間違ってないのがなんとも……今日の天然はいつにも増して冴えてるなぁ……」

 

「……??」

 

困ったように頭を掻くクゼ隊員の苦笑に、これまた純粋な瞳を向けたまま、もう一度同じ角度で首を傾げるミライ。

 

彼はなんというか、世間知らずここに極まれりと言うべきか……マリナに言わせれば、不思議ちゃんレベルMAXなところがあった。

 

「んん? 何を後ろでヒソヒソ喋っているんだ……おお! ヒビノ隊員じゃないか! 丁度よかった! ささ、君も私の武勇伝を聞いていきなさい!」

 

「アチャー……捕まった。こりゃ長くなるわね」

「ミライ君ってば何でも楽しそうに聞いちゃうから……」

「気を良くしてどんどん喋るんだよなぁ……」

 

マリナやジョージは言わずもがな、普段は控え目なコノミですら顔を伏せて残念そうにしている辺り、相当に辟易しているらしい。

 

「お、おい……ミライ。無理に付き合わなくてもいいんだぞ? なんか他に用事とかあるんじゃねえのか?」

「いえ! 補佐官のお話は面白いですから!」

「そ、そうか……」

 

なんとか補佐官とミライの二人による負の化学反応を阻止しようとするも、彼の輝く純真さにあえなく撃沈するリュウ。

 

「……じゃあ特等席はお前のもんだ。ここに座れよ」

「ありがとうございます! リュウさん!」

 

「生け贄にしたわね」

「生け贄にしたな」

「ミライ君かわいそう……」

「うるせぇ。いいんだよ本人が楽しんでりゃ」

「まあ、彼が相槌を打ってくれるなら我々は楽が出来ますしね」

「それもそうだけど、トリピーの声が普通にうっさいのよ。隊長止めてくんないかなぁ……」

 

こうして仲間達がヒソヒソ喋っても聞こえない程度の大声なので、聴覚が常人以上に鋭敏なマリナからすれば鬱陶しさも2倍である。

 

彼女が一縷の望みをかけて隊長席のサコミズにアイコンタクトを送るが、視線に気付いた彼は苦笑しながら肩を竦めるばかりで、コーヒーカップを傾けながらくるりと壁の方を向いてしまう。

 

「ち、逃げられた」

 

そんな仲間達を余所に、補佐官の正面に御行儀よく座ったミライが何気なく質問する。

 

「それで補佐官、今日は何のお話なんですか?」

 

「うむ。よくぞ聞いてくれた! 今日は若い諸君らの参考になるように、私が地球防衛軍として戦っていた新兵時代の活躍を……」

 

「えっ!? 地球防衛軍!? ……それってもしかしてウルトラ警備隊の!?」

 

「うわびっくりしたなぁ……急に食いついてくるじゃないかキミぃ……いかにも! わしも若い頃は、かのキリヤマ隊長率いるウルトラ警備隊と肩を並べて、極悪な侵略宇宙人と切った張ったの大立ち回りだったのだよ!」

 

「すごい! 流石です補佐官!」

 

「そうだろう! そうだろう!」

 

「とてもそんな風には見えないけどな」

「切り張りされてたの間違いじゃね」

「有り得る」

 

「でもミライ君、ウルトラ警備隊の母体組織が地球防衛軍だなんて良く知ってたね。MAT以降は国連との持ち回り制だったから、あまり知ってる人少ないのに」

 

「ハイ! セブ……兄さんがよく話してくれたんです」

 

「お兄さん? ……ミライ君って兄弟いたんだ?」

 

「確かに末っ子オーラがバシバシ出てるわ。何人兄弟?」

 

「8兄弟です!」

 

「それは大家族だな!? ……マードレも大変だったろうに」

 

「じゃあ兄貴が7人いんのか」

 

「いえ、兄さんが8人ですよ?」

 

「じゃあお前入れて9人兄弟じゃねえか」

 

「違います、僕はまだ兄弟じゃありませんから」

 

「……は?」

 

微妙に嚙み合わない会話に、リュウが片眉を跳ね上げるが、そこへすかさずサコミズ隊長の助け船が入った。

 

「あ~、ミライが言ってるのはお世話になってる親戚の事だよ。彼とは家族ぐるみのお付き合いでね。血は繋がっていなくとも、本当の兄弟のようにお互いを大切に思っているんだ。そうだよね、ミライ?」

 

「あ……そ、そうでした!」

 

「「ふ~ん」」

 

普段からミステリアスなミライの意外な家族構成?の一端が垣間見え、仲間達はどこか釈然としないながらも興味深そうに頷いた。

 

その後ろから、わざとらしい咳払いが響く。

 

「ゴホンゴホン! ……えー、サコミズ隊長。話を続けても?」

 

「ああ、すみませんでした補佐官。どうぞ、心ゆくまで」

 

これ幸いと場の主導権を渡すサコミズ隊長。

補佐官の話で今のを有耶無耶にする腹積もりなのだろう。

 

――いや、この調子で心ゆくまで話されたら、たまったもんじゃないんですけど。

 

ミライを除く隊員達の顔には、ありありとそう書かれていたがどこ吹く風。

 

「話の腰を折るんじゃないよ、まったく……で、どこまで話したっけ?」

 

「補佐官がウルトラ警備隊と一緒に戦っていたという所までです!」

 

「そうだったそうだった。彼らを知っているなら話が早い! 何を隠そう、あの最強無敵と恐れられたキングジョーを倒した新兵器は、この私が運んだものなのだ! キリヤマ隊長直々に肩を叩いて頂き、『キミ、急いでくれ。地球の運命がかかっている』とお言葉を賜ったのを今でも覚えておるよ!」

 

「えっ! キングジョーを!? すごい!」

 

「……嘘くさ」

「確かにペダン星人の強力なロボットであるキングジョーは、当時新開発のライトンR30爆弾により人類の手で破壊されましたが……」

「それを補佐官が運んだって? あのドジの擬人化みたいな人が? ないない。ありえねぇって」

「途中で落っことすのが関の山だな」

「恵比寿さまの時みたいに?」

「えびすさま……がどうしたの?」

「シッ! コノミちゃん……秘密だってば」

「ご、ごめんなさい」

 

かつて、GUYSの運用するメテオール――地球外文明由来の技術や素材を基に開発された、人類科学を超越したテクノロジーの総称――のうち、失敗作として廃棄処分が決まった特殊薬品『グロテスセル』の輸送をトリヤマ補佐官が担当した事がある。

 

だが……その時彼が紛失したアンプルの捜索を強引かつ秘密裏に手伝わされた挙げ句、その結果として引き起こされた酷いケミカルハザード(ショーバイハンジョー!)の惨状を目の当たりにしたテッペイとコノミからすれば、到底信じられる内容ではなかった。

 

「そうだ、ロボットと言えば他にもいるぞ……ウルトラセブンですら敵わなかった強敵も、私が運転してきたポインターで突撃した事が撃破の鍵になったのだ! えーっと、あれは確か……ク、クレ……クレバーゴン? だったかな?」

 

「ポインターで突撃!? すごい!」

 

「あんな事言ってるぜ、アミーゴ」

「そんな名前のロボット怪獣はいません。クレージーゴンならいましたけど、こっちは車の回収用ロボットです。ポインターと言ったら当時のウルトラ警備隊専用車ですから、それで突撃しようものなら逆に食べられちゃいますよ」

「他の何かとごっちゃに覚えて適当言ってんじゃねえか?」

「うわ、ありそー」

「車なんか食べてお腹壊さないのかな……」

 

ついこの間行われたマケット怪獣の新規採用試験において、補佐官が怪獣の名前を……それも直前に説明されていたにも関わらずろくに覚えてすらいなかったのを、リュウはじめ全ての隊員が見ている。

 

事もあろうに、テッペイ以外の隊員達ですら知っていた『ゼットン』レベルの怪獣を間違えるなんて……逆にどうやればいいのか。

 

『デットン』ってなんだよ(※レジストコード『テレスドン』の別個体を、当時の防衛隊が新種と勘違いして命名した、いわゆる俗称ですね。どっちにせよ間違いの上塗りじゃねえか。無駄に高度な間違え方ね)

 

「あとは……そうそう、ギエロン星獣だ! 何度倒しても蘇る不死身の肉体を持ち、所構わず放射能を吐きまくる、まさに悪魔のような恐ろしい奴だった! 一緒に地上攻撃へ参加した同僚が、放射線病の後遺症で長らく苦しんでいたよ……キミ達も、そういう怪獣にはくれぐれも気を付けるように!」

 

「ああ……ギエロン星獣……さぞやお辛かったでしょう……」

 

「ギエロン星獣……?」

「どうしたテッペイ」

「いやあ、そんなに危険度の高い怪獣なら、アーカイブドキュメントに特記事項があるはずなんですが……そんなデータあったかなあ……」

「そりゃトリピーのデマカセだからだろ。高い再生能力で放射能吐きまくるって、モンストル映画かよ」

「でも不思議と聞き覚えあるような気も……どこで聞いたんだったかな……あ~モヤモヤする!」

「……あ」

 

テッペイが悔しそうに頭を掻く中、ポツリと声が漏れる。

 

「私……知ってるかも」

「え? コノミが?」

 

怪獣知識の豊富さならば、GUYSの中でも一番と自他共に認めるテッペイや、実は隠れウルトラファンであるジョージですらなく、よりによって一番それらとは縁遠そうなコノミから発言があった事に全員が驚いた。

 

「確か……人間の科学実験で死んじゃった怪獣が……そんな名前だったような」

「それだ!! 人類初の星間爆撃能力を持つ大量破壊兵器実験の、最初にして唯一の使用対象がギエロン星だ! あースッキリした」

「マジかよ……そんなのよく知ってんな、コノミ」

「うん……保育園のみんなと、遠足で平和記念公園に行ったんだけどね……そこに慰霊碑があったの。人間のせいで故郷が壊されちゃったなんて……すごく悲しい気持ちになったのを覚えてます。痛かっただろうな……って」

「そんなポーブレ(可哀想)な奴の名前を、逆にとんでもない怪獣の名前に使うなんて……いくらなんでも酷すぎるぜ、補佐官」

「いくら作り話でも、やって良いラインってのがあるじゃない。見損なったわ」

「いや……待つんだ」

 

義憤でヒートアップしたジョージやマリナを宥める声がする。

それは、いつの間にか近くに来ていたサコミズ隊長だった。

 

「ギエロン星獣が人類の犠牲者である事も、またその怪獣が放射性物質を拡散する恐ろしい脅威だった事も……どちらも本当の事さ」

「えっ? そんな記述はどこにも……」

 

困惑するテッペイに寂し気な微笑で答えるサコミズ。

 

「いろいろあったんだよ……ただ、ある人がギエロン星獣の名前だけは後世に残すべきだと強く主張してね。だからその怪獣を取り巻く事件について、ほとんどの詳細が表向きの項目から削除されても、慰霊碑や……ああして誰かが当時の事を語る事だけは禁止されなかった」

 

「そういえば……慰霊碑も花畑の隅っこにひっそりあるだけで、子供たちが見つけなかったら、私も気付かずに素通りしちゃいそうでした。昔に使ってたメカやロボットとかは、すごく丁寧に展示がしてあったのに……」

 

もしも隊長の語る事が真実ならば、そのような不祥事を隠したい勢力というのも存在しただろう。

だが、どれだけ地味で目立たないようにされていても、記録が完全に抹消される事なく残されて、そのまま未来を担う若い世代の目に触れる場所にあるというのは……それこそが人類の良心なのかもしれなかった。

 

「そんな兵器なんか……作らなければ……」

 

「でもねコノミちゃん。この技術があったおかげで地球が助かった例もあるんだ。もしもこの時のデータがなければ、妖星ゴランや小惑星レッドローズと衝突して、地球は粉々になっていたかも。……ほら、僕らも以前、似たような事があったでしょ」

 

「ああ! オオシマ彗星か!?」

「そっか、今の私たちにはシルバーシャークGがあったからなんとかなったけど」

「昔は巨大ミサイルで迎撃してたのか……」

 

「補佐官の話に、隊長やコノミちゃんの言ったような背景があったなら、確かに痛ましい事件だけど……それは人類にとって必要な事だったんだと、僕は思うな」

 

「うん……でも……」

 

テッペイの見解に、煮え切らない返事をするコノミ。

そんな二人の肩へ、サコミズ隊長の手が優しくそっと置かれた。

 

「テッペイの言うことも、コノミの感じたそのモヤモヤも、どちらも間違いじゃない。それは、我々人類がこの先ずっと抱えていくだろう大きな課題なんだ」

 

「大きな……課題」

 

「科学が発展していく事には、良い面もあれば、悪い面もある。大事なのはそれを扱う人間が、使い処を正しく見極める事と、その技術に頼り切りにならないように自分を諫める事だよ。我々の使うメテオールの使用可能制限が一分なのも、今みたいな数々の教訓をもとに定められているからさ」

 

「強力な技術に、俺達が頼り切りにならねぇように……ですね」

 

「そうだ……そしてその教訓は、メテオール以外の事にだって、ちゃんと活かされているんだ。ギエロン星獣や隊員達の犠牲は、決して無かった事にされたわけじゃない」

 

ハッと顔を上げたコノミに、微笑みながらしっかりと頷きを返す隊長。

 

「その証拠に……キミ達の着ているその隊服や、ガンフェニックスをはじめとした全ての機体には、耐熱耐冷、各種有害物質へのフィルタリング機能だけでなく……現時点で可能な限りの放射線防護能力が付与されている」

 

「そ、そうなんですか!?」

「……確かに! 僕らはこのままの恰好で、宇宙空間にだって行けるんですよ、皆さん」

「そういや、ガンクルセイダーで大気圏外へ出撃した時も……この服のままだったな」

 

リュウは、現在のサコミズ隊長指揮下として集められた新生GUYSではなく、セリザワ隊長率いる旧CREW GUYSとして最初の……そして最後の出撃となってしまったあの日を思い出していた。

 

「そして、隊員ユニフォームの仕様をそうするように提言したのが誰か、みんなも分かるだろう?」

「もしかして……トリヤマ補佐官?」

「俺達が……放射能怪獣と戦っても大丈夫なように?」

「カタログスペック上でも、宙域戦闘を考慮しているにしてはえらく過剰な数値だと思っていましたが、まさか急激な放射能汚染に対する不本意な被曝まで想定していたなんて……」

「じゃあ、さっきの話は本当に……?」

 

頷くサコミズ隊長。

普段は余計な口出ししかしない上官の、思いがけない配慮を知り、各々ひとしきり感激する中……ふと我に返るリュウ。

 

「待てよ? ……じゃあなんで補佐官は今ああしてピンピンしてんだ?」

「……本当ですね。仲間が重篤な後遺症を患う程、大量の放射線を浴びたなら、補佐官も何かしらの健康被害が顕在化しているはず……それなりにご高齢ですし」

「お友達の話は本当で、本人はその場にいなかったとか……?」

「そこんとこ、どうなんです隊長」

「さ、さあ……私もその時はその場にいなかったから……なんとも」

「……そっか。トリピーの若い頃なら、隊長もまだ赤ちゃんか」

「う、うーん……そうかもしれないね……ハハハ」

 

奥歯にモノの挟まった微妙な表情を浮かべながら、まるで逃げるようにそそくさとその場を離れるサコミズ隊長。

 

その後ろ姿を不思議そうに見つめる隊員達の背後から、一際大きな叫びが響く。

 

「わたしが、きっと助けてやるからなっ!!」

 

「うわ! びっくりしたぁ……」

「もうちょっとボリューム抑えて欲しいんだけど……」

 

トリヤマ補佐官の武勇伝も佳境に入り、ますますボルテージが上がるにつれ、声量もうなぎ登りのようだ。

 

「頑張れ! 息子君が生まれるんだろう! 彼女を悲しませるつもりか……! 私が背負ったカジをそう励ました……その時だ! キーン! ズバババ! ビュビューン! 私が空を見上げると、黄色い雲の切れ間に銀色の翼がピカッと光るのが見えたっ! ウルトラ警備隊の到着だ! 助かったぞ! 私はカジを救護室に運び込むと、すぐさまウルトラガンを引き抜いて、戦場に戻った! 皆さん! 私が地上から援護します! 空と陸で挟み撃ちにしてしまいましょう! 助かったぞトリヤマ隊員! 君の力が必要だ! 奴をカチコチの冷凍漬けにしてしまおう!」

 

「ギエロン星獣を氷漬け……ハッ! 補佐官! それってソガ隊員ですかっ!?」

 

「そうだ! ソガ隊員と私で……えっ?」

 

その時、突然ミライが立ち上がり、補佐官の顔を間近で覗き込みながら、ある名前を叫んだ。

 

すると、さっきまではまさしく独擅場と言った様子で喋りまくっていた補佐官の動きがピタッと止まる。

 

それは良いところへ水を差され興醒めしたというよりも、不意に見知った単語が、思いも寄らない人物の口から出て来た事に驚いた……という風に見えた。

まさしくハトが豆鉄砲を食らったような、というアレだ。

 

「……なーんで君があの人の事を知っとるのだね?」

 

「もちろん知っています! ソガ隊員、アンヌさん。フルハシ隊員にアマギ隊員。そしてキリヤマ隊長! ……ですよね?」

 

「う、うん……その通りだが、若いのに詳しいね……ヒビノ隊員……」

 

「ハイ! 兄さんやアンヌさんが何回も話してくれましたから!」

 

「アンヌさん……?」

 

もちろん、ウルトラ警備隊のアンヌ隊員と言えば、当時の防衛隊員みんなの憧れのマドンナだったが、それをまるで近所の奥様かのように親しげな雰囲気で呼ぶミライに、トリヤマ補佐官は目を剝いた。

 

「あー補佐官。彼の親戚はウルトラ警備隊の知り合いらしくてですね……たまに話を聞く機会があったんだよね、ミライ?」

 

「ハイ! 特にソガ隊員の事は、彼らから耳にイカが出来るくらい聞きました! 僕の憧れです!」

 

「へ? そうだったの? ……あれ? でもアンヌ隊員は確か……」

 

「まーまー、細かい事はいいじゃありませんか。それよりほら、ミライがうずうずしてますよ補佐官」

 

サコミズ隊長に耳打ちされて視線を向けると、期待で瞳をキラキラと輝かせた――なぜか物理的に光っているようにも見えるが多分気のせいだろう――ミライが、続きを今か今かと待っている。

 

それがトリヤマ補佐官には、孫の飼っているわんこがエサを待っている時の表情とダブって見え、パタパタ振れる尻尾すら幻視できた。

 

「そうかそうか、ソガ隊員が憧れか」

 

「ハイ! もっと聞かせて下さいソガ隊員のこと! お二人は仲が良かったんですか?」

 

「仲が良いなんてもんじゃない! 私たちはまさに一蓮托生! 無二の相棒だよ! 二人で何度も作戦を共にした」

 

「すごい! あのソガ隊員と!? トリヤマ補佐官、そんなに凄い人だったんですね! 全然知りませんでした!」

 

「そうだろう、そうだろう」

 

「ミライ……どうした?」

 

ミライが変な事で無邪気にはしゃぎ出すのはいつもの事だが、それはどちらかと言えば、無垢な子供が新しい事を知って驚くような、新鮮さを喜ぶ反応が多い。

 

だが今回のように、何か既知の事について興味津々に知りたがるというのは……少し珍しい事だ。

 

それこそ彼がこのような反応を見せるのは、テッペイが過去に現れたウルトラマン達について語るのを聞く時が近いか。

 

「その……ソガ隊員ってのはそんなに凄い奴なのか?」

 

「知らないんですかリュウさん!? 防衛軍イチの早撃ちの名手で、いつでも百発百中! 狙った的は決して外さないんですよ! 聞いたことありませんか? おかしいな……すごく有名な人だと思ったのに……」

 

「ミライ君、ミライ君。流石に歴代の防衛チームのメンバー構成まで細かく覚えてる人なんて珍しいよ。かくいう僕だってそうさ。隊長格ならまだしも……逆にミライ君がそんなに詳しいとはびっくりしたね。僕もまだまだだって事かな……」

 

「そうなんですか……射撃と言ったらまずソガ隊員だってくらい、僕らの間では代名詞みたいな人なのに……」

 

「……へぇ、生粋のスナイパーって事か。なんとなくジョージみてえな奴だな」

 

「確かに、ジョージさんもメテオールショットで三体同時に敵を撃ったり出来ますもんね! ソガ隊員みたいで格好いいと僕も思ってたんです!」

 

「お、おう……ありがとなミライ。でも()()()()()()()()なんじゃなくて、()()()()()()()()なんだからな? まあ、俺並みの動体視力の持ち主ってのが本当なら、実際に会ってみたかったが……」

 

「あ、対抗心燃やしてる。ホント負けず嫌いなんだから……」

 

ジョージはスペインリーグで活躍していた元プロサッカー選手であり、超一流のエースストライカーだった為か、非常にプライドが高い。

人並み外れた動体視力と空間認識能力で、得点王の名を欲しいままにしていたが、その能力はGUYSクルーとなってからも射撃やメカの操縦に活かされていた。

 

最近ではその自尊心の高さもなりを潜め、今でこそチーム内で孤立するような事はなくなったが、やはり同じような技能で比較されたりすると、どうしてもライバル視してしまうらしい。それが例え、何十年も昔の人物であったとしても。

 

「それだけじゃないぞ! ソガ隊員はな、人間離れした第六感があって、敵の行動を事前に察知していたとしか思えない行動で、数々の企みを打ち砕いて来たのだ!」

 

「聞いています。初めて見る怪獣なのに、弱点や攻撃方法を次々に言い当てて見せたとか。僕もなぜそんな事が地球人に出来るのか不思議に思っていましたが、マリナさんが戦いの中で攻撃の予兆を感じ取ったり、テッペイさんが有効な作戦を思い付いたりするのを見て、本当の事だったんだと驚きました!」

 

「確かに俺達もマリナの警告で助かった事が何度もあるな」

「ああ、あれが無かったら命がいくつあっても足りなかったぜ」

「ま……まあね」

 

元バイクレーサーであるマリナは、常人離れした超聴覚の持ち主で、怪獣の発する特殊な周波数や空気の微妙な流れを感じ取り、仲間に危機を知らせる事が多かった。

 

人一倍正義感が強く、勝ち気で男勝りな彼女自身、地球を守る為に持ち得る能力を最大限発揮するのは当然だと思っていたが、それを改めて感謝されると面映ゆい。

 

「そんな事言ったら……私やジョージの感じた事を、テッペイ君がちゃんと怪獣の生態と照らし合わせてくれるから、その後の作戦に繋がるんだし」

「いやいや、それほどでも……僕は後方で皆さんのバックアップをしてるだけですから」

 

テッペイは医大生だが、子供の頃からGUYSに憧れており、趣味が高じて過去に出現した怪獣のデータ等にかなり詳しかった。

 

医者の卵と言うだけあって――あるいは単にオタク気質なのか――科学知識にも精通しており、それらの情報を組み合わせる事で、怪獣撃破に繋がる助言をしたり、問題解決の糸口を見つけるなど、高い実績がある。

 

オペレーターというよりはまさにチームのブレーンであり、本人の謙虚さとは裏腹に、誰もが彼の頭脳を頼りにしていた。

 

「それってつまり……ミライ君の言うソガさんって人は……ジョージさんの動体視力だけじゃなくて、マリナさんの聴覚と、テッペイさんの知識まで持ってるってこと?」

 

「どんなスーパーマンだよ」

 

「それに、心の底から地球を愛する熱血漢でありながら、相手が例え宇宙人であろうと、すぐに誰とでも仲良く出来る、優しい心の持ち主だったとか。リュウさんやコノミさんみたいですよね!」

 

爽やかな笑顔で言い切るミライだったが、それを聞いたマリナは顔を顰めて額に手を当てた……

 

「うわー……コイツみたいな熱血バカなのかー……それだけでアタシの中の評価ガタ落ちかも」

 

「オイ、そりゃどういう意味だよ? 地球を守る精鋭なら、それに見合ったガッツがあって当然じゃねえか。最後に笑うのは……」

 

バシン! と自らの力こぶを叩くリュウ。

 

「根性のある奴さ! な? ミライ? ソイツはさぞかし優秀な隊員だったんだろうぜ」

 

「……ほらね。どうせこうやって暑苦しい事ばっか言ってたんじゃないの?」

 

「いや待てよマリナ。コノミみたいに優しい奴だとも言ってたぜ。二人を足して2で割ったら、丁度良いくらいになるんじゃないか?」

 

「いやー……それはどうかな……ジョージさんの言うように上手く中和されてニュートラルで穏やかな性格になってくれれば良いですけど、逆に振り幅の最高値がそれぞれの場合……ジェットコースターみたいな激情家だった可能性もあります。もしそうだったなら、振り回される周囲からは地獄ですよ」

 

「そんな……二人の性格が交代交替に出て来るんじゃ駄目なんですか? 僕は凄く素敵だと思いますけど……」

 

「……いや、ヒビノ隊員。これは先達として忠告しておくが、友人はなるべく精神的に安定している方がいいぞ。……キミはどちらかと言えば振り回す方っぽいが」

 

「え、僕がですか?」

 

ミライの肩に腕を回し、しみじみとそう語る補佐官の言葉には、先ほどまでとは違って妙な実感というか説得力があった。

 

だからこそミライ以外の隊員達は、少なくともこの言葉だけは間違いなく補佐官の本心からくるものであろう事と……件のソガなる人物の性格は、ミライが夢見るような理想的人格者というよりは、むしろテッペイの予想こそが近しいものだったんだろうな……という事を悟ってしまった。

 

「ま、これで分かっただろう。つまりキミ達の普段の活躍というのは、ソガ隊員ひとり分みたいなもので、それを間近で見ていたわしなどからすれば、あと少しばかり物足りないという評価になってしまうのだよ。まだ若いんだからもう少し気張れるんじゃないか? ん?」

 

「……はぁ?」

 

またしても余計な一言を付け加える補佐官に、リュウやジョージのこめかみに青筋が立つが……

 

「その通りです、トリヤマ補佐官! GUYSのみんなは、まるで話に聞いていたソガ隊員のように凄い人達なんです! こんな素晴らしい仲間と一緒に戦う事が出来るなんて、僕はそれが嬉しいんです!」

 

「ミライ……」

「ミライ君……」

 

「そして、ソガ隊員の活躍は、仲間のみんなと連携したからこそだと、兄さんはいつも言っていました。一人一人があの人のように凄い力を持つ僕らGUYSだからこそ、その力を合わせればきっと、今よりももっと凄い活躍が出来る! ……って、そういうお話ですよね? とても感激しました!」

 

「……そ、その通りだ! ヒビノ隊員! 私もそれが言いたかったのだよ! いやあ、キミは見所があるなぁ!」

 

持ち前のポジティブさで、嫌味を正反対の意味で捉えた結果、ますます尊敬の念を高めて褒めちぎるミライに、補佐官は良い気になったのかチームに小言を言う事なんてすっかり吹き飛んでしまったらしい。

 

「……なーんか、ミライ君の純粋さの前ではトリピーもタジタジってカンジ?」

 

「でも、ミライがただ前向きに受け取っただけではなくて、補佐官の真意もそこにあると思うよ。少しばかり、伝え方が悪かっただけでね。でなければ、ミライがあんな曲解の仕方はしないさ。彼は我々が思っている以上に悪意には敏感だ」

 

「……隊長!」

 

「私から見ても、君たちは良いチームになった。最初はあれだけバラバラだったのに。補佐官がそれを心配して、何度も私にどうにか出来ないかと言ってきたものさ」

 

「……そうだったんだ」

 

その言葉に、ちょっと困ったところのある、それでいてなんとも憎めない上司の方を、もう一度振り向く一同。

 

「ではキミにとっておきのエピソードを聞かせてやろう! これはソガ隊員直々に協力を依頼された共同作戦の話だ!」

 

「えっ! ソガ隊員との共同作戦!? それはどんな!?」

 

「地球人に化けて潜伏している侵略者を追い詰める為の作戦だ! ソガ、ダンの両隊員を投入している事からも、相当に凶悪で恐ろしい奴だったのは間違いない」

 

「ダン! モロボシ・ダンですね! つまり最強のコンビだ!」

 

「そうだ! しかしそんな優秀な二人ですら取り逃がすような危険な相手! 宇宙人の女は違法改造されたオープンカーで峠を右へ左へと駆け抜ける! それを追い縋るソガ隊員のポインター! ブオンブオン! このままでは逃げられてしまうぞ!」

 

「それは大変だ!」

 

「そこへ響く凛々しい声! 『待てぇい! そこな車、止まれぇい!』私は素早く道の真ん中へ飛び出して、堂々と敵の前へ立ちはだかった! 慌ててハンドルを切りブレーキを踏むスポーツカー! このトリヤマ・ジュウキチに恐れをなして、突破は不可能と悟ったのだ! ギュルルル! キキーッ!」

 

「すごい! なんて勇敢なんだ!」

 

「……さっき、ジェットエンジン搭載とか言ってなかったか?」

「ああ、言った」

「じゃあわざわざ止まる必要なんかなくない?」

 

「降りてきた女に私は言った『命が惜しくばそこで止まれ! 先に進みたいならこの私を倒してからにしろ!』とな! ちょこざいにも女は再びアクセルを踏む! 検問所を無理矢理に突破する気なのだ!」

 

「危ない! 補佐官避けてください!」

 

「降りたり発進したり忙しい女だな」

「どう考えてもスピードの乗った状態のまま突っ切る方が合理的ですよね。まあ、嘘なんでしょうけど」

「その方がお話としては面白い……かも」

 

「いや、私は避けなかった! それどころか、こちらが一歩も退く気がない事を見てとった敵は、私の気迫にたじろいだのか、すぐ横をギリギリですり抜けていった! しかしそれこそが奴の運命を決定付ける。 カチッ! ズガガガアーン! なんと敵の逃走ルートをはじめから予測していた我々によって、道には地雷が埋めてあったのだから!」

 

「自分に向かってくる車から逃げずに!? すごい!」

 

「いや、地雷て」

「そんな事できるのか?」

「使用可能なルートをピンポイントに封鎖出来たとしても限度がありますから、とても現実的な策じゃありません。まあ、十中八九が嘘でしょうね。敵の目的地がはじめから分かってるわけでもあるまいし」

「というか公道に地雷埋めるとか普通に考えて有り得ないでしょ」

「他の車が通ったら危ないですもんね……」

「え? そうかい? 未来じゃあれくらい過激でも普通なのかと思ってたんだが……やっぱりこの時代からしてもマズかったか。ハハハ」

「そりゃそうだろ。それこそ補佐官がガミガミ言ってきそうな……ん?」

 

補佐官の語る、あまりにも嘘くさい武勇伝に呆れる面々の溜息に混じって、どこからか朗らかな笑い声がする。

 

振り返ってみると、ディレクションルームの入り口で、赤い縁取りのサングラスをかけた、不審な男が大口を開けて笑っていた。

 

見慣れないカーキ色のズボンに、よれたワイシャツ。脱いだ上着を片手に持って、それをかったるそうに肩からかけた姿は、その辺の草臥れたサラリーマンのようでもある。

 

「……は?」

「ん? なんだい?」

「いや……アンタ誰?」

「別に誰だっていいだろ? ご覧の通りの風来坊さ」

「いいわけねぇだろが! オイ、アンタ! ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ!」

「そいつぁ困ったな。風来坊ってのは何処にでも溶け込める魔法の言葉だと思ってたんだが、俺の時代より随分とセキュリティがしっかりしたらしい」

「オイ! 聞いてんのかよオッサン!」

「オッサンて。見た目で人を判断するのは良くないぜキミぃ……因みに私、何歳くらいに見える?」

「は? 何わけわかんねぇこと言ってんだ!」

 

リュウの怒声で、ようやく過去の栄光から現実へと帰ってきたのか、胡乱げな表情のままこちらを向くトリヤマ補佐官。

 

「こうして我々は……我々は……なんだ騒がしいな」

「ああ、すまんね。本当は着いたら連絡するつもりだったんだが……この方が、面白いだろ?」

 

そのままツカツカと部屋を横切って補佐官の方へ歩み寄る男。

しかしその二人の間に長身の人物がスッと割って入る。

いつも補佐官の影のように付き従うマル秘書官だ。

 

正直なところ、補佐官を煽てる役はさっきまでミライが自主的にこなしてくれていたので、これ幸いと存在感を消して休憩していた。

 

「こらこら、なんだねキミ、待ちなさい! この方をどなたと心得る!」

「そうだマル! 言ってやれ!」

「こちらには御座すは、GUYS JAPANのナンバースリー! GUYS総監の右腕であるトリヤマ補佐官であらせられるぞ!」

「ナンバースリーなら左腕では?」

「あ、確かにそうかもしれません。右腕はミサキさんでした。ご指摘ありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそ」

 

折り目正しく深々と礼をする二人。

 

「わたくし、補佐官の秘書を務めております。マルです。どうぞお見知りおきを」

「おー! 素晴らしい! マルさんや。こうして実際に会えて嬉しいよ。いつも大変なお役目、ご苦労様です!」

「え? は、その……いえいえ私なぞはそんな大したものでは……」

 

しまいには、和やかな雰囲気で握手までし始める始末。

マル秘書官の顔は、もうすっかり歓迎ムードである。

 

「おい! なーにをすんなり懐柔されとるんだ!」

「あ、これは失礼しました! でも補佐官。このひと良い人ですよ~」

「どこが良い人なんだ! 思いっ切り不審者だろうがっ!! だいたいなんだ、私に向かってその尊大な態度は? わしをトリヤマ・ジュウキチと知っての無礼か!」 

 

良いところを邪魔されて腹に据えかねたらしい補佐官も、最近たるみがちな頬をブルドックのようにぶるぶると震わせながら男を睨めつける。

 

「だいたいね、私にそんな偉そうな態度をとって良い人間というのは限られるんだ! 総監でしょ、ミサキ女史でしょ、そして……ひゅ」

 

ところが、急に何かへ気付いたらしく、その顔はみるみるうちに蒼ざめていき……

 

「そりゃ悪かった。あんまり偉ぶってたつもりは無かったんだが……そんな寂しい事言うなよ。俺達の仲じゃないか」

 

「あ、あ……あなたは……」

 

男がサングラスをとる。

その下からは、目尻に皺を湛えた瞳が、茶目っ気たっぷりにウインクした。

 

「……な、トリピー?」

 

「「「え? トリピー!?」」」

 

まさかそんな渾名をこんな公の場で!?

それも、明らかに年下の者からそのように軽んじられるとは。

 

流石の補佐官もこれには怒るのではないか?

驚愕する皆の視線がトリピーの顔へ集中する。

 

ところが、腰が抜けたようにヘナヘナと椅子へたり込んだ当人の口からは……ただ一言。

 

「……そ、ソガさん……」

 

「よぅ。久しぶりだな」

 

 

 

 

「「「……ええっ~~っっ!?」」」

 

 

 

 

 

 

者達四月

 

 








パパパ♪パパパ♪パーン♪


はい、ここでいつものタイトルコール!

からの~?

今すぐでーきる♪ 事はなーんだろー♪

なーんだろー♪

いや、OP前のAパートにしてはちょっと長過ぎましたかね。

というわけで、今年のエイプリルフールはトリヤマ補佐官の盛りに盛りまくった武勇伝でお送りしました。

みんなごめん、本来は3話構成のはずだったのに、会話書くの楽しくなって5話になっちゃった……

まあ、四月は火曜日も五回あるしちょうどええか!
ヨシ!

気になる?

  • 8番目
  • 保安官
  • 補佐官
  • 星雲荘
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