転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!   作:Mr.You78

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はっちゃけさせていただきます。


アンドロイド破壊指令(Ⅳ)

《お客さまにお知らせします。午前零時の時報とともに、アンドロイドゼロ指令が発令されます。あとしばらくお待ちください》

 

デパート二階の服飾売り場。

マネキンの立ち並ぶ異質な空間。

昼間は多くの女性客で賑わうだろうが、ひとたび照明が落ちれば、もはや別世界だ。

 

ドレスを着飾った不気味な人形たちの間を、ゆっくりとすすむ俺達。

背後に気配を感じ振り向くと……

 

「ヒェア!! ……なんでい、マネキンか」

「落ち着け」

 

マネキンが倒れてきて小さく悲鳴を上げてしまった。

ダンすら呆れて、ため口効いてきやがった。

まったく驚かせやがってコイツ……って

 

「んな訳あるか!」

 

構えたウルトラガンの引き金を引くと、マネキンの頭部にレーザーが命中!!

ぐらりと倒れたマネキンは。勢いよくその頭を床に叩きつける。

 

ガシャァアアアアン!!

 

砕けた頭部から、ただのマネキンでは到底必要ないであろう、よくわからない電子部品を飛び散らせ、アンドロイドが沈黙する。

 

「ハハハハハハ!! やったぞ!! その顔は忘れんと言ったろうが!! ウオォオオオ!!」

「すごい……やりましたね、ソガ隊員!」

 

いよっしゃああああああ!!

腹パン回避ぃいいいい!!

思わずガッツポーズしてしまうが許して欲しい。

気絶するような威力の腹パンなんぞ食らってられるかってんだ!

 

原作ではこの後、俺達二人は迫り来るオモチャ兵器と、このアンドロイド01に追い詰められ、絶体絶命に陥る。

隣にソガがいるから変身できないと悩むダンは、あろう事か仲間に腹パンして気絶させるという力技に出る!

正体バレを防ぐ為に仲間に腹パン入れるヒーローなんて、セブンくらいのものだろう……いや、いるかも知れないが、あまりにも酷い。

 

それで今回はこのアンドロイド01の早期破壊を狙っていたのだ。

コイツさえいなければ、セブンに変身するまでもなく、俺が腹パンされる必要もないというわけだな!

 

だいたいこっちは、タイミングすら分かってんのに、避けも身構えもせず食らえなんて無茶いうな。

後はおもちゃ軍団だけだ。ガハハ、勝ったな、風呂入ってくる。

 

再び流れる館内放送。

 

《お客さまにお知らせします。午前零時の時報とともに、アンドロイドゼロ指令が発令されます。あとしばらくお待ちください》

 

「何?」

「アンドロイドは今、破壊したぞ?」

 

まだ諦めてないのか……?

確かにおもちゃを装備した子供の軍隊が本命だもんな。

まあそりゃそうか。

 

三階のおもちゃ売り場へと進む。

 

《お客さまにお知らせします。午前零時の時報とともに、アンドロイドゼロ指令が発令されます。あとしばらくお待ちください》

 

 

「貴様は何者だ?アンドロイドゼロ指令とは何だ?」

「お答えしよう」

 

暗闇に向かって吠えると、ライトアップと共に姿を現わす、おもちゃじいさんとアンドロイド。

 

なに? もう一体いたのか?

もしかして……さっきのただのマネキンか?

ぬか喜び……?

いや、よく見るとジジイの横にいるのは単なるマネキンの顔をしている。ゼロワンなら起動時は人間のような顔をしているからな。

ただのハッタリか……さもなくばより低性能のプロトタイプか。

 

「アンドロイドゼロ指令、簡単に言うと先ず、催眠周波を子供たちに送って催眠状態に置く。それからあのおもちゃ、実は本物なんだ。機能は止めてあるがね」

 

知ってる。

 

「そのためにワッペンを……」

「さよう、あのワッペンは子供たちに催眠周波を与え、おもちゃを実戦用の武器に切り替える役目をするんだ」

「そんなことが出来ると思っているのか」

「出来るね。見ていたまえ……午前零時の時報とともに、子供たちのおもちゃが一斉に凶器になるんだ。私のばら撒いたおもちゃがな……催眠状態に置かれた子供たちは、私の思い通りに操ることができる。子供たちが持つ最新鋭の武器は、地球上のいかなる武器よりも強力だ。まして地球の大人たちは、子供には武器は向けはしないだろう。だから子供たちは、何の苦労もなく、ごく平和的に、東京を、日本を、いや全世界をたちまち占領してしまう、というわけだ!」

 

なんと恐ろしい計画だ……ここで俺達に邪魔さえされなければな。

 

「どうです、おわかりかな? ゼロ指令の内容が……」

「ふん!ばかばかしいや! おもちゃが本物に……死ねッ!」

 

まるで相手にしていないフリをして、会話の途中からの不意打ちを決める!

しかし、ウルトラガンから放たれたレーザーは、おもちゃじいさんの眼前で、横から差し出された真っ白いマネキンの手に防がれる。

ばかな、完全に決まったと思ったのに……!

 

「このアンドロイド00の性能を見くびっていたようだな」

「ダブルオー……だと……!?」

「さよう、貴様ら程度には潜入暗殺用のゼロワンで十分だと思っていたが……やはり、こやつを起動させることになるとは」

「何!? 暗殺用!?」

「ダブルオーは初めから純然たる戦闘用として、設計してある。おかげで、人間への擬態機能は後回しさ」

「……ハッタリめ!」

「では、納得させてあげよう。……ダブルオー」

「ハイ、オトウサマ。」

 

アンドロイド00がカギのようなデバイスを取り出し、それを右耳に差し込む。

 

「チェンジ!」

「スイッチオン! ワン、ツー、スリー! ゴー!」

 

おもちゃじいさんの号令に合わせ、そのカギを捻りこむと、マネキンの外装が砕け散り、その真の姿が露になる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

骸骨のようにつるりとした頭はクリアパーツに覆われ、内部の機械部品が丸見えになっていた。そしてその眼窩では、ランプか、もしくは複眼のような瞳が、怪しい光をたたえ、無表情な不気味さに拍車をかける。

そして最も特徴的なのはそのメカニカルなボディ! 正中線を境として、左右で赤と青のツートンカラーに分かれた四肢は まるで人体模型を彷彿とさせた。

マネキンの時には、確かに存在していた豊かな胸部は弾け飛び、その跡地では、リング状のクリアパーツに囲まれたファンのような部品が、激しく音をたててスパークしているではないか。

まさしく、光渦巻く稲妻回路の悪魔が、そこに屹立していた。

おもちゃじいさんは、にやりと口ひげを歪ませて笑う。

 

「今度の相手は、ダブルオーで、どうだ?」

 

……こんなの、知らない。




《読者さまにお知らせします。午前零時の時報とともに、アンドロイド破壊指令が発令されます。あとしばらくお待ちください》


クロスオーバータグもつけようかと思いましたが……
別にそのままのキャラクターがしゃべる訳ではないので……お目こぼしを。
あまりに苦言が多いときはタグ付け検討します。

だれがなんと言おうと、こいつはアンドロイドダブルオーなのです。

ああ? 良心回路? ねえよそんなもん。

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