転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる! 作:Mr.You78
道に迷ったラリーの女学生が、山中で謎の発光によって道を踏み外し、立ち往生していた。
「ねえ、さっき光ったの何だったんだろ?」
「稲妻よ! 山の中で多いのよ」
「でも光っただけで音は無かったわ……」
「アラ? これ見て!」
彼女たちは、車のヘッドライトの下に、真っ赤な石が転がっているのを見つけた。
それが、一体なんであるか、彼女たちはまったく知る由もない。
その時突然! 地面が揺れ、山中に謎の叫び声が響き渡った……!
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「隊長、観測所からの報告が入りました、震源地はアオサワ山岳地帯です」
「同じ場所だ……」
警備隊では、この頃頻発する、局発性地震を追っていた。
徐々に規模が大きくなっていく地震、報告ではなんとマグニチュード6.5!
流石に看過できず、タケナカ参謀も唸る。
「キリヤマ隊長、今度のは大きいな……これはうっかりできないぞ。データをもう一度検討しよう」
「ソガ、ダン。イワムラ博士のところへ行ってこい」
「ええッ!? もういっぺん行くんですか? ……だめですよぉ! なぁ、ダン?」
「何が駄目だ?」
「カンニンしてくださいよ。隊長の命令なら、宇宙の果てだろうと、地獄の果てだろうと、喜んですっ飛びますが……イワムラ博士のところだけは……」
俺とダンは、ついさっきイワムラ博士のラボに迎えに行って、門前払いを食らったばっかりなのだ。
旧知の仲とは言え、あのヤマオカ長官をクン付けで、急用があるならそっちから来い! ……と言い放つようなお人だぜ? そりゃあ、この極東基地の地下建設にバリバリ協力してたってんだから、あの態度も納得だけどさ……
なにより、怒鳴り声がうるせえんだわ……もう二度と会いたくない。
そこへ、フルハシとアンヌが作戦室に戻ってきた。
ナイスタイミングだ!
「隊長! フルハシ隊員が適任です!」
「イワムラ博士? ……と、とttとんでもない!」
「そ……そうだ。アンヌ隊員が最適任です!」
「ええっ?」
もうイワムラ博士がどんな人か、新入りのダン以外は大体知ってるから、みんなでたらい回しだ。
……てか、おいアマギ……なに一人だけわろてんねん!
お前はいいよなぁ!? 博士のお気に入りだもんなぁ!?
マグマライザーの共同開発で、随分可愛がってもらったそうじゃねえか!
というかお前が行けよ! なぁにが、『彼の頭脳を、研究以外に使うなど、けしからん!』だよ!
それは俺も同意するけどさ……だからって、所用でアマギを寄越すと逆に怒られるって、何なんだ!
一人だけ安全圏だからって、面白そうにニヤニヤ笑いやがって……俺は絶対行かねえぞ! 前世のボス、つまり研究室の教授を思い出すからホント苦手なんだよ、あの手合い……
「頼むよ。アンヌ隊員……」
「ええ、いいわ……ねっ、ダン!」
だよなあ! アンヌならそう言ってくれると思ってた!
ダンと一緒なら、たとえ何処だろうと、デートみたいなもんだしな、君たち。
いってらっしゃーい。
ところが、博士は一足早く、山岳地帯に行ってしまったという。バイタリティーがすげえなぁ……
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今度はそこにフルハシを加え、アオサワ山岳地帯に向かった三人。山道の途中で立ち往生していた、ラリーの女学生二人を拾って、イワムラ博士の借り上げたコテージに運よく転がり込む事になる。
地球防衛軍の協力者でもある博士は、この群発地震が、宇宙からの侵略者によるものではないかと、いち早く察知して動き出していたのだ。
「やあ、早かったですねぇ」
「アッ、サカキさん!」
「ん……? お前たちはサカキを知ってるのか! この男はワシの右腕だ。若いが優秀な科学者だ」
「そうでしょう。博士の助手が務まるくらいなら、もう何だって務まりますよぅ……」
「フン! ……ウム? なんだこれは……? どうしたんだ?」
フルハシの皮肉に臍を曲げかけた博士であったが、そこで女学生達の持っていた赤い鉱石に気付く。
「ひ、拾ったんです……」
「拾った……? ……サカキ、これを見ろ!」
「……ハッ! 先生ッ……!」
「そうだ……ウルトニウムだ!」
「ええ、これは大変なことになりますよ!」
博士やサカキが言うに、ウルトニウムとは地球の中心を形作っている中心点、つまり核を構成する物質であり、そうそう地上に転がっているものではないとの事。
恐らく地下深くから、誰かが運び出したに違いない!
このまま大量のウルトニウムを掘り出されてしまうと、核を失った地球はバラバラになってしまう!!
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至急、マグマライザーが空輸され、フルハシ、アマギそしてダンの三人は、地下へと調査に乗り出した!
ドリルの付け根から、超振動レーザーを霧のように噴射し、地層を爆破すると、ぽっかり空いた空洞へ突入していくマグマライザー。
どうやら俺の相棒は、今日も元気に活躍しているようだ……
え? 俺は何してるかって?
大型輸送機の駐機作業だよ……
元々、多目的支援機の3号として設計されたこの輸送機、安定性とペイロードを重視し過ぎた結果、全長40ⅿ弱と1号と大差ないくらいの大物になってしまい、余りに機動性が無いってなもんで、設計はそのまま、半分以下に小型化したホーク3号を、普段は偵察機兼、支援機として使っているという経緯がある。
そして、途中からは完全に戦闘を度外視して組み直されたこの輸送機……離着陸にかかる手間が半端ないのだ。
積み荷を降ろしたコンテナのハッチを閉めて、エレベーターを上げた後に、ジャッキアップの足を格納し、そんで機体内に戻ってきたコンテナを固定して……一人でさせんな!! こんな作業!
そりゃあ搬入作業なんて複数人前提だからこうもなろう……アンヌ、助けて……
そうだ、アンヌの所へ行かないと!
俺がコテージに着くと、女学生二人組しかいない。
イワムラ博士はいずこ?
え? 助手の落とし物を渡したら、血相変えて出て行った?
しまった! もうそんなトコ!?
この回は、博士を嫌がる警備隊メンバーが面白いのなんの……特にソガとダンの嫌がり様よ。
アンヌに先を譲るダンの顔の情けなさったら……お前、宇宙人相手にするより嫌がってないか?
あとソガが、フルハシ、アンヌと押しつけ合ってたらい回しにしているシーンの、ほくそ笑むアマギは必見です。
この話書くために見返していて、作者また笑っちまったもん。