転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!   作:Mr.You78

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今回のお話は、閑話ですらなく、作品内の世界とは一切関係ありません。
それを踏まえて、どうぞ。


うたかたの夢、追い求め…

「うぅ……さ、む、いー!」

「ようこそ、レディ。我々は君の来るのを、待っていたのだ。さあ、そのお洒落なコートを預かろう」

「あらこれはこれはご親切に、相変わらずそういうところ()()は紳士的ね」

「やあ、先に始めさせてもらっているヨ。ささ、キミもはやく、こっちに来て暖まりたまエ」

「ええと、そうね。まずは二人とも、今日はお招きいただき、どうもありがとう」

「いやなに、この辺境の地で、寄る辺なく身を寄せ合う我々だ。たまにはこういった催しも風情があると思ってね。地球人はこの時期、帰省と称して、故郷に帰るのだそうだ。人間にも帰巣本能があるとはな……。だが、我々はそうもいかんだろう?」

「アナタ……よくも彼の前で、そんな事が言えたわね……?」

「おや、何かいけなかったかな?」

「アアもう、やめろやめロ。もういいんだ、コイツはそういう奴サ。キミの優しさは有難く受け取っておくガ、今ではすっかり慣れたものだ。腫れ物に触るように扱われるよりはずっといい……それより早く入れよ、これはあったかいゾ!」

「そう……それじゃあ失礼して……ああああ……あったかーい……」

「ふふふ、キミもどうやら、コタツトラップの餌食のようだな」

「コレにかなう奴なんテ、いくら宇宙広しと言えど、そういるまい」

「そうねえ……ねえアナタのそれ、なかなかいいわね。似合っているわよ」

「そうカ? どうやらハンテンという衣服らしい。(ロン)に貸してもらったんだヨ。キミも借りればいい」

「もちろんみんなの分まで用意しているとも。さあどうぞ、お嬢さん」

「ええありがとう。まあステキ、しかもあったかぁい……それにしても龍……アナタ、随分と染まったわねぇ……」

「ふふふ、隅から隅まで見渡して、随分と興味津々な子猫ちゃんだ……そんなに私の部屋が物珍しいかね?」

「ええ……アタシも異星の文化には、それなりに興味あるけど……ここまで揃えるとは……アナタもやるじゃない」

「地球では、郷に入れば郷に従え、と言うんだそうだ。我々のような異邦の民へ、土着の風習に問答無用で従えとは、なかなか傲慢な地球人らしい言い草だとは思わんかね?」

「その割に、まんざらでもなさそうだがナ……」

「……ねぇねえ、あのドアに飾ってあったあれは?」

「それはシメナワさ、この時期限定の民芸装飾品だよ」

「じゃあ……それも?」

「ほう。君にもカガミモチの良さが分かるとは、なかなかセンスがいいな」

「……なに、モチ? すると、さっきから我物顔でスペースを占有しているそれハ、さっきキミが食わせてくれタ、あのデンプン質の塊かい?」

「そうだとも。気付かなかったのか?」

「まさか食品を飾っているナンテ……理解に苦しム」

「ねぇねえ、カガミって、mirrorの事でしょう? どのへんが? 全然写らないわよ」

「それハ……ただ円形だからではナイカ? そこまで深い意味があるとは思えない」

「……ハッハッハッハ!!」

「なにがおかしいんダ?」

「全く君たちは……まだまだだな。いくぶんこの星に馴染んで来たとはいえ、やはり風流と言うものが、まるで分かっちゃいない」

「ふーりゅー、ですって……?」

「そうとも! これはね、彼らがよくやる()()()という奴さ。水面に映る月を表しているのだよ。大小のモチの間に水面、つまり鏡を挟んでいると考えるのさ。どうだ、なかなか洒落ているだろう?」

「……そう」

「ふーむ……それハどの文献に載ってイル? 私も読みたい」

「……はぁ、やはりまるで駄目だ。これぐらい、調べずとも読み取れるくらいでなければ、付き合いきれん」

「……もうコイツは放っておきましょ。それより、アナタさっきモチを食べたとか言ってたけど、あの海藻以外も食べられるようになったの?」

「アア、我々の医学をもってすれば、この程度の肉体改造は造作もない。ただ、必要に迫られなかっただけダ。いまではあの植物は高級な嗜好品だよ」

「それはよかったわ! なんでも明日は、オセチなる風土料理を龍が作ってくれるんでしょう? あなた一人だけ別のモノを食べるのは、心苦しいと思っていたのよ」

「キミは優しいね……ただ、今でもあまり動物性蛋白を積極的に摂取しようとは思えないな。食べ過ぎるとそれこそ、()()()()()()からネ。その点、モチはいい。植物由来のデンプン質で、カロリーを効率よく摂取できる。粘性が高いのも我々好みだ」

「その医療設備を提供してやった私に対しても、もう少しばかり感謝の念を表明してくれたって、良いのだよ……?」

「その点については、本当にありがたく思ってイル……だが……キミのその居丈高な態度だけは、どうにかならないのか?」

「君のような皮肉屋に言われる筋合いは無いなぁ……」

「……はーあ、ずいぶんと仲のよろしい事ね……」

「おやおや、まるで君の瞳はサファイアのように美しいと思っていたが……本当に眼窩へガラス玉を入れているのかね、フロイライン?」

「……仲がいいと言えば、彼女に声を掛けなくて良かったのカ? ああいや、もちろんあっちの文通相手のほうじゃナイ。姦しくて仕方ないからナ」

「もしかしてララの事? もちろんお誘いはしたけど……彼女来るか分からないわよ? あんまり興味ないんじゃないかしら、こういうの。今日だって、ずっとジムに籠りっぱなしだと思うわ」

「いやはや、後藤君もよくやるね。もっとも、いくら鍛えたところで、外骨格に覆われた彼女の筋肉が、これ以上パンプアップするとは思えないのだが……」

「知らないわ、そんな事あのコに聞いてよ。筋繊維の事に関してだけは、今じゃあアタシ達の中で、一番造詣が深くなってるじゃない……」

「やはりレディというよりは……単なる戦士だな」

「地球でハ、彼女のような人種を、アマゾネスと呼ぶらしいゾ? なんでも戦士階級の女性個体だけで構成されタ、戦闘民族らしい」

「彼女にピッタリじゃないか!」

「「アッハッハッハッハッハッハッ!」」

「……呆れた。なんて失礼な男どもなのかしら。覚えてなさいよ? もし今日あのコが来たら言いつけてやるんだから」

「ララが気にするとは思えないガ」

「そうかしら? あれで結構、一途な乙女なのよ? ……まあその……このまえ銭湯の洗い場で、右肩の火傷跡をウットリしながら指でなぞってたのは……ちょっとアタシも引いたけど……」

「オオゥ……」

「奴のどこがそんなにいいんだカ……まったく理解に苦しむよ、彼女も……キミもネ」

「ちょ、ちょっと! 冗談じゃないわ! やめてよね!」

「……ほらほら、あんまり騒ぐもんじゃない。さあさあどいたどいた、年越しそばが茹で上がったよ。コタツを揺らすと、ツユが零れてしまうじゃないか……」

「ありがとう、龍……しかし、ソバ……か。地球人は本当にデンプンが好きだナァ……」

「ちょっと! 話を逸らすんじゃないわよ! こっち向きなさい! それともそのテンプラを横取りされたいの!?」

「すまない、それは、できない。……おや、また誰カ来たようダ」

「……ははあ、さてはアイツだろう。今度も私が出るよ。なにせ、家主だからな」

「助かる。どうにも一度入ると、二度と再び立ち上がる事が出来ないのは、コタツの欠点ダ」

「じゃあついでにミカンとってきて、そしたら大人しくしてあげるわ」

「はいはい仰せのままにマドモゼル……」

「なァ、賭けをしようじゃないか。誰が来たと思う? こちらが勝ったら、そのコタツの下で足を蹴るのをやめてもらう。キミが勝ったら……次にミカンをとりに行く時は、こちらが立とう」

「のったわ。じゃあそうね、アタシは……」

 

 

「……ようこそ……我々は、君の来るのを待っていたのだ」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「ふぁああああ~ぅ」

「あら、大きなあくびだこと、ソガ隊員。相変わらず寝坊助さんなんだから……寝ぐせ、ついてるわよ?」

「え? アンヌか、おはよう。まいったなぁ……これから冴子さんと初詣なのに……」

「うらやましいわぁ……」

「キミもダンと行って来いよ」

「でも彼、今日は珍しくまだ起きてこないのよ……どんな夢を見ているのかしら……ねぇ、ソガ隊員は、いい初夢を見られた?」

「そうだなぁ……あんまりよく覚えてないんだけど……少なくともナスビは居たような気がするんだ……多分」

「そうなの? 良かったじゃない、縁起がいいわ! ……だったらどうしてそんなに難しそうな顔をしているの?」

「うん……なんとなくワルナスビだったような……これもナスビに入るのかなぁ?」

「ウフフ、新年早々おかしな人ね……ああそうそう、忘れるところだったわ。ソガ隊員、あけましておめでとうございます」

 

「こちらこそ……明けましておめでとうございます。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします!」




これにて、新年のご挨拶とさせていただきます。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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