転生したはいいが、同僚の腹パンが痛すぎる!   作:Mr.You78

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とある事情で24話はパス。
先にこの山場からやってしまいます。

当初は時間制限の無かったセブンが、著しくエネルギーを消耗し、これ以降は時間制限という弱点を付与されてしまうエピソード。

ソガはポール星人の侵略計画を挫く事ができるのか!?


零下40度の対決(Ⅰ)

不吉な雲の流れが、地球防衛軍の上空をみるみる暗くしていった。

それはあの恐ろしい事件の前兆でもあったのだ。絶対零度の死の世界が、やがて……

 

パトロール中のポインター。

運転席にはダンはあまりの猛吹雪に、寒そうに眉を顰める。

やがてポインターのホバーも止まり、雪の中で立ち往生してしまう。

 

(これはただの吹雪ではない。いったい何がこの異常寒波を……?)

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

作戦室に戻ってきたアマギ。

彼の防寒服やヘルメットには、びっしりと雪と霜が貼りつき、真っ白に染め上げていた。

たった数十分、周辺調査に出かけただけで、これだ。

 

「基地を中心としたこの一帯は、冷凍室のような異常寒波に包まれているんです」

「異常寒波?」

「隊長。富士測候所に、問い合わせてみたんですが……」

 

言葉を切り、首を横に振るフルハシ。

いくら真冬とは言え、先程から急激に気温が低下し、日本ではありえない程の猛吹雪に見舞われてしまっていた。それも基地周辺のみ……

 

「原因不明の異常寒波か……アマギ、表の気温は?」

「零下112度!」

「冗談じゃないぜ! わが故郷北海道だって、せいぜい零下40度だってのに……」

 

そう答えるフルハシだったが、アンヌの淹れたコーヒー一口含むと、その温かさに考えを改めた。

 

「……まあ、零下112度の寒波ゾーンに包まれたからといって、そうビクビクすることはねえさ。地下18階の動力室では、原子炉が赤々と燃えているんだ。人類の科学、万万歳だよ!」

 

お前も飲めとばかりに差し出されたコーヒーを、ごくりと飲み干し、白い吐息と共に、絞り出すように感想を口するアマギ。

 

「……うまい!」

 

最高の一杯へ彼らが舌鼓を打っていると、作戦室に無線が入る。近場のアンヌが応答すると、そこにはしかめっ面のダン。

 

「こちら、作戦室……あ、ダン!」

「隊長、ポインターがエンストです。いったい、この寒波は……?」

「よし、ポインターを捨てていい。すぐ基地に戻れ」

「……はい」

 

了解の返事をしたものの、窓の外を見やると、言葉を失うダン。

今まで、隊長の指示には2つ返事で従ってきたダンが、珍しく躊躇っているではないか。

あのイワムラ博士の所へ行けと言われた時でも、こんなに嫌そうな顔をしなかった。

 

「どうしたんだ? ……ダン?」

「ダン、暖かいコーヒーがあるわよ。早く帰ってらっしゃいよ……」

「ああ……」

 

そんな時、ダンの映るビデオシーバーの画面に、横合いからひょっこりと顔を出す者がいた。

眉尻を下げたダンの顔ですら、ずいぶん控え目な……いや、爽やかな笑顔と言っても過言ではない程、露骨に顔を歪めた、助手席のソガ隊員だ。

 

「どうしたんだ? ……じゃありませんよ! 我々を生鮮肉かなんかと勘違いしてらっしゃるんですか、隊長! 外はいったい何度だと思ってるんです?」

「先程の報告では、零下112度だそうだが……」

「零下112度!? そんなんバナナで釘が打てるどころの騒ぎじゃない! 宇宙食じゃないんだから、そんな中を生身で歩いたら、フリーズドライになっちまいますよぅ……」

「ええい、うるさい奴だな……だいたい、お前が無理やり付いて行ったんじゃないか。後からつべこべ言うんじゃない! アマギ特製の防寒着があるだろうが!」

「そこをなんとか! 後生です隊長、ホークで回収をお願いしますよ……出来ればコーヒーの出前付きで」

「少しは自分の力で、できる限り頑張ってみようとは思わんのか? ……仕方のない奴め、今から行くから、そこで待ってろ! 私直々に修正してやる!」

「それでいいから、早いとこお願いします……こんなとこでかき氷にされるくらいだったら、鉄拳制裁の方がずっとマシです!」

「……そんなにか……」

 

ソガの言い草に呆れた隊長が、シーバーを切ろうとした時、いきなり下から突き上げるような衝撃に基地が揺れた!

 

誰も立っていられない程の地震、床に転がるコーヒーカップ。あっという間に停電し、真っ暗な闇へ包まれる作戦室。揺れが収まると、キリヤマはライターの明かりを頼りに、すぐさま動力室へ確認をとる。

通信機の向こうからは、ムカイ動力班長の困惑しきった声が聞こえてくる。

 

「作戦室より動力室へ……いったい、何が起こったんだ!」

「原子炉がやられました!」

「なにッ!? 原子炉がやられた!? 原因は何だ?」

「何がなんだか、わかりません……!」

「何がなんだかわからんじゃ、さっぱりわからんじゃないか! すぐ調べて、連絡してくれ! フルハシ、アマギ。地下に降りて原因の調査!」

 

突然の事態に、軽いパニック状態の作戦室。まるでハチの巣を突いた様な騒ぎだった。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「突然切れてしまいましたが……いったい、何があったんでしょう……?」

「さぁ、何がなんだか分からん……」

 

ポインターの中で首を傾げる俺達。

といってもまあ、オレは知ってるんだけど……

今頃、基地の動力ケーブルがガンダーに襲われて、全機能が麻痺っちまってる頃合いだ。

あーあ、こうなる前にホークで回収して欲しかったんだが……ままならんね。

 

「しょうがねぇ、こうなったら隊長の仰る通り、ウルトラ越冬隊員になるしかねえや……ダン、お前はポインターで待ってろ。せっかく定員分あるんだ、防寒具も二枚重ねにしとけ」

「えッ!? そんな、僕も行きますよ!」

「扉開ける前から、そんなガタガタ震えてるような筋金入りの寒がりを、こんな吹雪の中で歩かせられるかっての。さあ基地についた、振り返ったらお前がいない……なんてのは、嫌だぜ?」

「いや、しかし……」

「まあ任せろって! 先輩の北海道育ちの前にゃとても自慢できないが……山陰のべしゃべしゃ雪で何回転んだと思ってるんだ。ジイサンバアサンの家が木造でさ……これがまた、正月に寒いのなんのって! 俺が暑がりなの、知ってるだろ?」

「ソガ隊員……」

「俺が助けを呼んでくる。お前は絶対動くんじゃないぞ!」

 

このために、雪がちらついたと思った瞬間、無理言って同行したんだ。このために……

ウルトラセブンにも弱点があった。光の国М78星雲から来た彼は、普通の人間以上に寒さに弱かったのだ。

おまけに雪の中で失神して、ウルトラアイを落とす大ポカをやらかす始末。苦手な極寒環境で、延々探し物をする羽目になったセブンは、エネルギーがすっからかんになり、これ以降、他のウルトラマン同様に変身時間に制限がつくようになってしまう。

そんな事、させてられるかっての。

 

いやまあ、零下112度、ひいては最終時点で140度とか、別にセブンでなくても大体の生物が弱点なんだが……()()()()()()()()()()()()()んだから、珍しく俺の方がダンに勝ってるわけだ。

人間がウルトラマンに勝てるなんて、そんなチャンス滅多にないぜ?

うおお、今日から番組タイトルはウルトラソガだ! 頑張れ、俺!

ウオオオ……さっぶ。

 

―――――――――――――――――――――

 

 

非常灯で赤々と変わった視界の中、鉄火場のような様相を呈した動力室で、ムカイ班長が矢継ぎ早に檄を飛ばしていた。

調査の為に降りてきたフルハシとアマギ。

動力室の壁面にはぽっかりと大穴が開いており、動力ケーブルがズタズタに引き千切られてしまっていた。

 

「こっち来て! 足元、気をつけろよ……ライト右回せ!」

「ムカイ班長! これはいったい……?」

「見てください! この基地の心臓部をグサリと一突きだ! 人間なら即死です!」

「やっぱり、爆破されたんですか?」

「爆破じゃありませんよ。ドリルのようなもので、突き破られたんです!」

 

ムカイ班長の説明で、事態が想像以上に深刻であると分かったアマギは、作戦室からの確認の電話へ、困り果てた様子で損害を告げる。

 

「ハイハイぃ!……はい! アマギ隊員! キリヤマ隊長からです」

「アマギです……ハッ、被害は想像以上に大きいです……ハッ、この調子じゃ当分回復の見込みは……」

「何!? 見込みが立たん? 地下ケーブルはこの基地の命だぞ。全力で復旧作業に取りかかれ!」

 

ムカイ率いる動力班が復旧作業に取り掛かろうとした時、フルハシとアマギは、隔壁に開いた謎の大穴を調べていた。

こんな場所にいったい何者が、どのような手段で破壊工作を行ったのか?

マグマライザーのような地底戦車を有する者が、攻撃を仕掛けてきたのだろうか?

ならばその兵器はいったいどこへ……?

 

フルハシの向けたライトの先で、何か巨大な影が蠢いた。

ぎろりと光を反射するそれは……歯だ! 巨大な怪物が、穴の中に潜んで、大口を開けていたのだ!

怪物はライトの光を嫌ったのか、雄叫びを上げて、口から猛烈な勢いで低温のガスを噴射した!

 

『カ゜カ゜ロロrrrrrrrrrrrrrr!!』

「うわぁああああああ!!!??」

「下がれー下がれー! 退避だあああ!

「怪物です! 基地の地下に怪物が!」

 

動力室からの報告に、作戦室でヤマオカ長官が眉を跳ね上げた。

よりにもよって、この極東基地の動力室が、怪獣によって直接襲撃を受けているなど、防衛軍長官として看過できぬ事態である。

 

「怪物がいるというのは本当か!」

「はっ、目のようなものを見ました! 原子炉を破壊したのも、異常寒波の犯人も、どうやらコイツです!」

「この下にいるのか!」

「はっ、冷凍光線を吐き続けて、とても近寄れません!!」

 

動力室からの悲鳴に近い救援要請に、長官が唸る。

 

「マグマライザーは?」

「はっ、シャッターが開かないんです。原子炉と地下ケーブルが復旧しない限り、ホークそのほかの超兵器も使用不能です」

「うむ……すると素手で戦うより、方法はないというのか……」

「隊長! 武器を! 特科兵器庫からアレを持って来て下さい! 備え付けの火炎銃では、歯が立ちません!」

「わかった! 直ぐに行く! なんとか持ちこたえろ! アンヌ、ウエニシ、ヨシダ、ウエノ! ついて来い!」

「ハッ!」

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