退魔世界の一般人   作:てんたくろー

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柊幻魔・17

 昼前になって、俺と楓夏ちゃんと京子ちゃんは、近場のスーパーマーケットへと買い出しに出かけた。

 軽い気分転換も兼ねてだ──この二人、俺が気負ってるのを察してやたら、気を揉んでくれているからな。

 ちょっと外の空気を吸いながら他のことを喋ってたら、俺も彼女らも色々、気持ちの切り替えもできるはずだ。

 

 それに、ああいうセンチメンタルさを心配してもらえるってのは、ありがたいと言えばありがたいけど、気にされすぎるとそれはそれでこちらが申し訳なくなる。

 むこうだって無論ながら、気を遣いすぎて疲れるだろう。

 そうなると逆に良くないのだ。

 あんまり気にしないでね、ということだね、つまりは。

 

「お昼は惣菜として、晩は私が作りましょうか。幻魔さん、何かリクエストはありますか?」

「うーん、そうだな……」

 

 スーパー内でカゴ車を引く俺を、先導するように前を歩く楓夏ちゃんと京子ちゃん。

 並ぶ背姿はさながら姉妹だ。

 楓夏ちゃんが高校3年、京子ちゃんが中学3年だから年齢差もそれっぽいし。

 そもそも魔法少女の子たち自体、七人揃って姉妹めいて思えている俺だったりする。

 さながら俺は、七人姉妹の親戚のおじさんってところかね?

 

 さておき、考える。

 何が食べたいって言われても、何でも食べるよってのが正直な気持ちだ。

 でも作る側からすればそれが一番困るというか、嫌な返事らしいしな。

 ここは一つ、真剣に考えましょうかね。

 

「鍋は、昨日したし……カレー、はそれこそ、こないだ京子ちゃんがしてくれたしな。あれは美味しかったよ、ごちそうさま」

「えっへへ! よろしゅーおあがり、です!」

「なるほど。それでしたら、ふむ。和食なんてどうです? 焼き魚に、煮物。あと味噌汁」

「そりゃ、願ってもないけど……手間じゃない?」

「幻魔さんに料理を振る舞うことの、何が手間なものですか」

 

 そう言って、クールに笑う楓夏ちゃん。

 この子、魔法少女の中でも特に料理上手っていうか、家事万能なんだよな。

 その上で勉強もできるし運動もできるんだからなるほど、千早ちゃんが優等生と賞するわけである。

 

 ちなみに他の魔法少女について言うならば、ざっくりそこそこできる子とまるでできない子に二分されるのが実際だ。

 千早ちゃん、京子ちゃん、そして四代目魔法少女『フォース・アーム』こころちゃんがそこそこできる派。

 美琴ちゃん、日葵ちゃん、あとは五代目魔法少女『フィフス・スティック』玲奈ちゃんがまるでできない派だ。

 ……こうして並べるとあれだな、ダントツで家事のできる楓夏ちゃんを除くと、ちょうど半々なんだな。

 バランス良いね。

 何のバランスか知らんけど。

 

「俺としては、和食も久しぶりだし嬉しいよ。お願いできるかな?」

「ええ、お任せください。京子も良ければ食べて帰るといい。特に用事がなければで構わないけど」

「ありがとうございます、ご馳走になります! 料理の手伝いもしますね!」

「ああ、助かるよ」

 

 仲睦まじくも笑い合う二人。

 微笑ましい、心温まる光景だ。

 しかも夕飯は何だかんだ共同作業で作るみたいだ。ありがたいったらないな、もう。

 

 こうなると俺も何か手伝う方が良い。

 さすがに子どもたちに全部させて、俺だけふんぞり返るってのは、大人として良くない姿だものな。

 とはいえ俺は料理がそこまでできるわけじゃない、やるとなれば荷物持ちとか、できて食後の食器洗いか。

 あ、あともちろんながら買い出し費用は全部俺持ちだ。

 いくらなんでもそれはね、常識的にね。

 

「なら、必要なものを買い揃えようか。あ、せっかくだしお菓子とかジュースとか、二人が好きなものも買っていこう」

「え、そんな、悪いですよ」

「二人がしてくれることへの、せめてもの対価だよ。俺からの感謝の気持ちってことで」

「ありがと! 幻魔の兄さん!」

 

 うんうん、京子ちゃんはとても素直に受け入れてくれるね。

 日葵ちゃん共々、年少組のこの二人は純真さが眩しい。

 一方で楓夏ちゃんはちょっと控えめなんだよな。

 奥ゆかしいっていうか、凛としつつ楚々としている、昔ながらの大和美人って感じの振る舞いが熟れている。

 

 でも俺から見ればまだまだ子供な年頃なんだ。

 楓夏ちゃんだけじゃない。京子ちゃんだってそうだし、言ってしまえば今年成人した千早ちゃん以外はみんな、法の上では子どもなわけで。

 ただでさえ大変な身の上なんだから、こんな時くらい大人を頼ってくれたって良いんだよ、と率直に思う。

 どんなに些細なことでもいい、頑張る君たちを応援したいんだから。

 いつも護られているばかりの無力な俺だからこそ、何かしてあげたい気持ちに駆られる。

 

「楓夏ちゃんも遠慮しないで欲しいな。たまには大人らしいことさせてくれよ」

「幻魔さんほど大人らしい大人の方、そうはいませんよ。わかりました……ありがとうございます。ご厚意に甘えさせていただきます」

「ん。良い子だ二人とも」

 

 そう言って笑いかけると、楓夏ちゃん、京子ちゃんは笑い返してくれた。

 とても可愛い、素敵な笑顔だった。




(^∇^)ノ♪<年上のおじさまに内心夢中な和風美人すき
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