新人トレーナーとシンボリルドルフがいちゃつくだけの話

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トレーナーとルドルフがいちゃつくだけの話。
百合だよ!


トレセン学園うまぴょい規則

トレセン学園規則

 

第xx条 トレーナーと学園生徒との交際、並びに学園外での過度の接触を禁ずる

 

トレセン学園裏規則

 

第一条 裏規則は原則として生徒会を除く一般学園生徒及びトレーナーには秘匿される。ただし、以下の項目に示す条件を満たした者には裏規則の存在と内容が知らされる。なお、裏規則を口外した者は以降の項目に記載された権利を失うものとする。

 

 

 その出会いは私にとってまさに運命だった。

新人トレーナーとしてトレセン学園に入ってから初めての選抜レース、ターフを駆けるウマ娘達の中で一際輝いていた彼女、デビュー前でトレーナーなど付いていなくてもその才気を存分に見せつけていた稀代の天才、シンボリルドルフ。この時既に私は彼女の走る姿に心を奪われていた。

 その後のことはよく覚えていないが、レースが終わった後、トレーナー達に囲まれていた彼女をその輪の外からずっと眺めていて…気が付けば辺りはもう暗く、人っ子ひとりいなくなっていた。

 そんなに長い間ぼうっとしていた自分自身に呆れつつ今日はもうこのままトレーナー寮に戻ろうとしていたその帰路、練習用のターフの近くを通ろうとして、月の光をその一身に浴びながら一人で走る彼女の姿に、私は再び目を奪われていた。しばらく見つめていると流石に向こうも気が付いたようだ。

 

「何か用かな?新人トレーナー君」

 

突然のことに思わず私のことを知っているのかと尋ねると、逆に知らないから新人だと分かったと返ってきた。曰く、一度見た顔と名前は忘れないらしい。それで何の用か、と再度問われたが…困った、用事などない。仕方が無いから素直に伝えることにした。

 

「用事はないかな。ただ貴女が走っているのを眺めてただけ」

 

怪訝な目でこちらを見られたが事実である。

 

「私が走るのを見ていて楽しいかい?」

 

「ええ、とても」

 

「なら君も、私をスカウトするのかな?」

 

「今のところそのつもりはないかな」

 

いよいよ分からなくなってきたとでも言いたげな困惑した表情が見てうかがえる。

 

「私ね、多分初めてなんだ。こんなにも誰かの走りに見蕩れてちゃったのって。貴女の走りに私も夢を見てしまいたいなんて思ったのって。」

 

「…どんな夢だい?」

 

「大したことじゃないよ。…貴女が、シンボリルドルフが、ずっと誰よりも先に、どんなレースでさえも先頭で走り抜けて、この世界のあらゆるウマ娘達を導いて走り続けて行く。そんな貴女の姿を、手が届かなくてもいい、ただ近くで見ていたいなんてね…。」

 

「…」

 

「回りくどい言い方しちゃったかな?言ってしまえば私は貴女のファンになってしまったんだ。トレーナーなのに、貴女を育てたいと思うよりも先に、貴女に夢を見たいと願ってしまったの…」

 

私の独白が終わり、辺りは再び静寂に包まれた。交錯していた視線は彼女の瞑目によって切られ、二人の間にはまだ肌寒い春の夜風が吹くばかり。そして沈黙は、またしても皇帝の言葉で破られた。

 

「君は私に夢を見たと言ったな」

 

「ええ」

 

「レースに絶対はないと言うが、それでも君の夢の中では私は勝ち続けるのかい?」

 

「もちろん」

 

「…例えそれで、他の者達の夢を破ってしまうことになったとしても、あるいは私が負けて君の夢が醒めてしまっても、それでも君は、私のファンでいてくれるか…?」

 

「愚問ね、その程度のことで醒めるようなら最初から夢なんて見てないわ」

 

一瞬の逡巡の後、覚悟を決めた彼女の瞳には、この世界に初めて見せつけた『絶対』の輝きが宿っていた。

 

「君ならダービーだって取れると言ったトレーナーがいた、自分なら私を勝たせてやれると言った者もいた。彼らは、クラシックレースも、その先のあらゆるレースでも私は活躍できるだろうと言って勧誘してきたものだが…、私のファンになったと言ったのは君が初めてだ。」

 

彼女はそこで一度言葉を切ると、改めてこちらを正面に据え、その先の覚悟を語った、

 

「…なあ、新人トレーナー君。私には夢があるんだ。『全てのウマ娘に幸福を』なんて荒唐無稽な夢が…。私の行く道はきっと茨の道だろう、あるいは道自体がないかもしれない。それでも、君が私に夢を見たのなら、君がいつまでも私のファンであり続けてくれるのなら…」

 

私と共に、夢を駆けてはくれないか

 

 

第二条 トゥインクルシリーズにて重賞以上のレースを勝利した者は、トレーナーに『うまだっち』し、トレーナーと他のウマ娘に自らの存在を積極的にアピールしてもよいものとする

 

 

 あの出会いからおよそ1年、メイクデビューから破竹の快進撃を続けた私の担当、シンボリルドルフは昨日もクラシックレースの前哨戦、弥生賞を快勝し紙面を賑わせた。

 レースの翌日と言うことも有り、今日は休養に充てるよう指示を出した筈の彼女は何故かトレーナー室に来て、私の膝枕で寛いでいる真っ最中だ。

 

「生徒会からも今日は休めと言われてしまってね。トレーニングもできなければかといって寮に戻るにも早いものだからここに来るほか無かったんだ。生徒会室は出禁、トレーニングもできん…ふふ、なかなかいい出来だな。」

 

いや来ること自体は構わないのだけど、どうして膝枕なんか…

 

「なに、クラシックレースの本番が近づいてきて、君も最近仕事が増えて忙しいみたいじゃないか。我々は一蓮托生、私の疲れはとるのに君が疲労困憊のままではどうも据わりが悪くてね。」

 

つまりは私も休めということか。この状態では流石に仕事はできないから、つまりは()()()の言うとおりという奴である。

 

「ふふ、良きにはからえ…とでも言えばいいかな?」

 

なるほど口では到底勝てそうにない、降参の証として、今日は一日案外甘えん坊な彼女の頭を満足するまで撫でてあげることにするのだった。

 

 

第三条 トゥインクルシリーズにてG1レースに勝利した者及びファン投票にて一定の票数を獲得した者は、トレーナーに『すきだっち』し、トレーナーと他のウマ娘に対し自らの好意を積極的にアピールしてもよいものとする

 

 

 季節は秋、クラシックG1レース最後の一戦、菊花賞を制し史上初の無敗の三冠ウマ娘となったルドルフだったが、その疲労が響いたためかジャパンカップを前に精彩を欠いていた。

 振るわないトレーニングとタイムに、出走取り消しを提案するも彼女は首を縦には振らなかった。

 そしてジャパンカップ当日、パドックを終えた彼女の控え室で、最後の話し合いは続いていた。

 

「なあトレーナー君、君の言いたいことは分かるさ。確かにこんな有様では勝てないかもしらないと不安にもなるだろう。だけど私は、私の夢のためにはこんなところで立ち止まる訳にはいかないのさ。」

 

それでも、私は貴女が心配なんだ…

 

「…今の私では、君の夢を背負うのに不足かい?」

 

その一言で、頭を殴られたような衝撃を受けた。そうか、私は彼女に夢を見ていたつもりが、何時の間にか彼女に夢を背負わせてしまっていたのか…。

 

「ごめん、ごめんね…」

 

思わずルドルフを抱きしめ、泣きながら謝るとこしかできなかった。

 

「トレーナー君…?」

 

こんなことになるまで気が付かなかった。本当は、最初に貴女と語り合った日に伝えたかったことはそんなことでは無かったんだ。確かに私は貴女に夢を見た、貴女に勝って欲しいと願った、けれどなによりも…

 

「私は、貴女が走っている姿を見たいだけだった」

 

「トレーナー君…」

 

どんな場所でもいい、ただ何時までも、真っ直ぐに前を向いて走る貴女を見ることができればそれだけで…。

 

涙に濡れた私の言葉を、ルドルフは静かに受け止めてくれた。どれくらいかは分からないが、私の涙が涸れた頃、見上げた彼女の瞳には、かつてよりも輝きを増した『絶対』があった。

 

「一つお願いがあるんだ」

 

「何かな?」

 

「トレーナー君…いや、私を無敗の三冠に導いてくれた勝利の女神よ。どうか私に、レースを前に敗北に怯える哀れなウマ娘に祝福をくれないか?」

 

「…喜んで」

 

チュッ…

 

私は彼女の額に、静かに口づけた…

 

 

第四条 トゥインクルシリーズでの活躍が著しく、学園に大きく貢献したウマ娘は、URAからぱかぷちが製作、販売される。ぷちぱかが製作された者は、トレーナーに『うまぴょい』してもよいものとする。ただし、相手との関係やその後の学園生活については十分に考慮にいれて行動すること

 

 

年の暮れ、有馬記念も終わり無敗の五冠ウマ娘となったルドルフは、やはりその翌日に私の膝枕で寛いでいた。

 

「ふむ、やはりこうしていると中々に落ち着くな」

 

…光栄ですよルナ様。

 

「ふふ、良きにはからえ…」

 

どうやら今日も皇帝の玉座はトレーナー室のソファ、背もたれは私の膝に決まったらしい。

 しばらくそのままゆっくりしていると、何やらルナ様の方には用件があるらしい

 

「そういえばトレーナー君、今度発売される予定のぷちぱかのサンプルが届いたんだ」

 

ダービーを勝ったあたりから、製作するという知らせは受けていたが随分と時間が掛かっていたらしい。

 

「どんな風になるかは事前に知らされていたし、チェックも済ませたんだがね…。その、自分のぬいぐるみを自分で持っているというのはどうも気恥ずかしくてね。折角ならトレーナー君の部屋にでも置いてくれないか」

 

ここに?

 

「それでも構わないが…、我々は比翼連理、可能なら持ち帰って、私室で愛でて貰える方が嬉しいな」

 

そう語る彼女は、この後ぬいぐるみをトレーナー寮まで持ってきてくれるらしい。少し早めのクリスマスプレゼントとのことだ。ついでにカフェテリアで行われるパーティーにも参加することになった。

 

 

 パーティーを終えた後、約束通りルドルフはトレーナー寮までぬいぐるみを持ってきて、否、担いで来てくれた。まさか等身大サイズとは思ってなかったよ…。

 

「ふふ、喜んでもらえたかな?」

 

「サイズには驚いたけど…うん、ありがとう。コーヒー煎れるからちょっと待っててね」

 

静かな部屋にポットからでた湯気の音だけが聞こえていた。ふと振り返って目に入ったのは、いつかと同じ、いやそれ以上の輝きを見せる皇帝の瞳だった。

 

「このぬいぐるみだが…、サンプルではあるんだけども特注品でね。実はこれの尻尾は、私自身の毛を使っている」

 

その言葉に、思わず全身固まってしまった。

 

「ウマ娘が尻尾の毛を贈る。その意味を知らないとは言わないだろう?」

 

…相手よって意味が変わったりもするがおおよその意味は、憧憬、親愛、そして…恋慕。

 

「ここまで来ると私も引き下がる訳にはいかなくてな。どうか返事を聞かせてはくれないか?」

 

何時の間にかルドルフはすぐ目の前まで来ていた。少し身じろぎすれば触れてしまいそうなほどの距離で、その瞳は真っ直ぐに私だけを見つめていた。

 

「君がいたから、私はここまで来ることが出来た。君が見ていてくれるから、私は何時までも走り続けることができる。だからトレーナー君、私の勝利の女神よ、どうかその祝福を、永遠に私だけのものにする栄誉を頂けないか…」

 

返事は決まっていた。

 

静かな部屋にポットからでた湯気の音だけが聞こえていた…

 

 




「で、ボクが生まれたってわけ」
「何番煎じですのそのネタ?」

絶対にトレーナーを自分のものにするという強い意志を持ったルドルフ概念…あると思います。
ルドルフにもテイオーみたいに夢を駆けさせたいと思った結果がこれだよ!
今回思いついた最初のネタは
『トレセン学園には実は裏の校則があって、実績さえ積めばトレーナーとうまぴょいしてもいい』
だったんですがあんまり生かされない設定になってしまったから、誰か同じような設定で書きたい人はどうぞ自由にこの設定を使ってやってください。使うのは自由にしてもらって構わないけど、もし投稿するなら作者も読みたいので教えて貰えると嬉しいです。
なお『うまだっち』と『好きだっち』については具体的になに、とは決めていませんが『うまだっち』はウマ娘なら分かる程度のアピール、『好きだっち』は人間にも伝わるくらいのアピール、という風に考えています。

良かったら作者の別作品『ウマ娘に転生したけど元ネタがなにかおかしい』もよろしくね!

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