【世界観が】ジョーカーアンデッドに転生しました【迷子】 作:ウェットルver.2
「最近しんどい。」
「おう?」
それを言ったら、おまえ毎日しんどくないか?
思わず声に出しかけた思いをグッと抑え、俺はジョーカーの話を聞き続ける。人間の貌のせいか、いつもの比ではない子供らしさが見受けられる気はする。
「クリスちゃんが、こう、楽器をさ、取ろうとするんだよ。
でも、ないんだよ、親御さんから貰ったものらしいんだよ。
……ないんだよ。形見が。ヴァイオリンが。思い出して、なんだか悲しそうな顔でさ、笑うんだよ……どうしよう………」
ちがった。
もっと別の話題で精神的に追い詰められていた。
親の形見どころか多分、誕生日プレゼントとか“そのくらい”の大切なものだったんじゃあないのか。どこかの店でカネだけ置いて「貰ってくる」にせよ、さすがに代わりになるはずもない代物ではないのか。
「うん? ……ああ、なるほどな。
だから、『どうしようもない』ってことか?」
「うん。マジでどうしよう……会った街まで戻って探すにしても、クリスちゃんの親御さんって絶対顔が割れてると思うんだよ、有名になっちゃったと思うんだよ。
ってことはさ、クリスちゃんも顔が割れているわけで……ボクさ、そこのひとたち、放っておいて次の街に出かけたからさ……取りに行けなくてさ………?」
そりゃあ、そうだろうよ。
戦災地で音楽家として活動し続けていた、だなんて、とてもじゃあないが正気の沙汰ではないし、実践していたのであれば誰も顔を知らないはずはない。
いや、NGO活動としては問題ないのだろうが、結果として「お嬢ちゃんだけが生き残った」ということは、あまり警備を手厚くはできてなかったのだろう。
NGO活動ができる国籍のない組織ほど、国連での発言力がある大国の恩恵に左右されるものはない。国連の一組織であればともかく、本気で民間人がゼロから立ちあげたとあれば、やはり国家間の影響力がないなりの対応力が求められる。
医者であれば「まず自分が生き残る」必要があるし、料理人であれば炊き出しを途絶えさせないほど「食材を確保できない」と現地人との信用問題になる。
そして、そんな人間ほど。
「実は何も考えていない」タイプの連中に捕まると、ろくなことにならない。
女性というだけで知性も学も否定される国があるように、相手に富があり、腕があるというだけで果実をもぎ取るが如く、決断力だけはある連中に攫われる。
種を植えて、苗を育てて、果実が熟するまで面倒を見る、そんな農家のあたりまえながら簡単ではない仕事すら軽んじる阿呆がやってくる。
大国相手に人質を取って、「カネを寄こせ」と馬鹿なことを言う連中がそれだ。
当事者は大真面目でも、俺からすれば引きつった笑顔しか浮かばない。
具体的にどうやってカネを受け取る気なのか?
相手が国民である人質を見捨てない可能性は? うまいことダマされて人質を奪われてから皆殺しにされない手段はどれほど用意できる?
大雑把に人質ごと一掃する前提で行動されたあげく、「テロ組織の愚かな行為によって我が国の国民が傷つけられた」などと喧嘩を買われ。
最終的にバル・ベルデごと焼き払われない可能性は?
ただの市民だった連中なら「絵空事だ」と鼻で笑うだろうが、俺は知っている。
似たような“疑惑”で焼き払われ、上層部が挿げ替えられた国など、有名がすぎる。
そういった国政の違いからくる対応の変化を知らず、戦術、戦略を語るにしても範囲が狭く、人質の交換が成り立つと本気で信じている連中もいれば、人質の交換を騙しの手段としか捉えない連中もいる。民主主義の国と聞いて「数年後には首脳は変わるし同じ手口が通用しなくなる相手なのだ」と悟れなければ、もう詰んでいるのだ。本来ならば。
軍人は政治家ではないし、軍人ですらない私兵とあれば猶更政治家の真似事など簡単ではないのだから、そりゃあ軍人崩れの俺からすりゃあ「ダメ」だろうがよ。
そうやって国の中だけの戦争に取りつかれ、夢をみて、善意でやってきた異国の民にすら手をあげて、ちっぽけな暴力が大国にも通用すると思い込んだやつらの暴走は目に余るものがある。子供の喧嘩じゃあねぇんだぞ。
………思考がそれた。年を取るとこれだから困る。
とにかく、そんな馬鹿に食われた御両親には、よくある話であるがゆえに「かわいそうだな」としか思えないが、名も顔も知れた有名人になってしまえば話は変わる。
死ねば遺品は丁重に扱われるかもしれないし、なんの知識も持たずに手に取って、手入れの仕方も知らずに遺志を継ごうとする者も現れるかもしれない。
しかし、その有名人の子供が「死神と共に街を去った」と知られれば、どうなるだろうか。生き残っていてよかったと思われるのか。逆だ。
「【自分たちの街を見捨てて、遺志を継がずに逃げ出した。】
……まあ、そう思われていても妙な話でもない、か………」
「うん………」
実際は、「死神と同じ道を歩む」と宣言されたようなものだと思うんだがなあ。
それが殺人であれ、死神を音楽で癒すことであれ、肝心の死神の目的は「バル・ベルデの紛争を終わらせること」であり、目的のためには戦士の命を平等に刈り取る。
つまり、あの“クリス”とかいう少女は、戦えない市民を逆恨みせず、戦える市民が犯罪者と化している現状を恨んでいる、というのが正しいのだ。
どのようなものであれ、先人たる御両親の遺志を継げていないのかもしれないが、今、彼女は自分の道を自分で選んでいる。御両親とは異なる道を歩んでいる。
そのうえで、戦えない市民でしかない者たちが。
ないものねだりを、責任のひとことで彼女に集り続ければどうなるのか。
ここまで、死神ジョーカーは悟ってはいないだろうが。
間違いなく、彼女の精神は変質する。欲望に目を晦ませた「おとな」すべてを恨み、その嘆きと悲しみと怒りで「おとな」の罪を告発するようにジョーカーにぶつける。
無垢
「………ろくなことには、ならんのだろうな」
「うん……行けない………」
であれば、俺たちが先んじて行き、ヴァイオリンを回収するほかあるまい。
ジョーカーが近づいても、ひとつの街だけを守ればよいわけではない目的を理解されなければ、出入りを繰り返すたびに余計な波乱が生じるはずだ。街内部で収まればいいが、ほかの街への逆恨みにまで発展すれば元も子もない。
「まあ、任せろ。
子供の背丈にあうヴァイオリンなんだろう?
きっと簡単に見つかるだろうさ。潜入なら、お手の物だ」
「え、いいの!?」
「なあに、これから曲が聞ければ、俺たちへの報酬には充分だろう。
子供が練習で引いたエチュードであれ、多少はヘタだとしても癒されるものさ。腕前云々は先行投資だと考えればいい、説得できなくもない。とはいっても、」
ひさしぶりに、“まとも”な仕事ができるかもしれん。
「………全部、まずは俺ひとりでやってみるがな」
さて、潜入捜査のうえで必要なことは、なにか。
相手に違和感を持たれないこと? ちがう、相手が関心を持ったとしても、その国での「どこにでもいる人間」だと疑われないことだ。
このバル・ベルデにおいては、まず服装は間違っても上質なものを着ず、使い古しのものを選び、血と泥が多少なりともついたままの服であることが望ましい。逃げた先で転んで怪我をしたのだろうな、くらいの汚れで「幸運な奴」、弾痕らしきものがあれば「よくいるやつ」、といったところだろうか。襟や首元がほつれていれば、なおよい。
都合がよいことに、こちらは戦士だ。
傷跡などいくらでもあるし、そこにあわせて服を破り、本当に弾丸で開けるなり、渇いた血を水で復元させて絵の具のように別の服に塗るなど造作もない。基礎訓練のついでに服を汚すくらいは簡単にできてしまう。
問題は、戦士であるが故の筋肉量、体格の良さだ。
これは誤魔化しようもない。潰された街で肉体労働をやっていたと嘘をつくには、あまりにも筋肉の偏りがない。なので、「そのうえで」兵士として無理やり戦わされた、というバックストーリーを設定しておく。問われた際に語る順番は、たとえば酒を飲みながら下戸を装うなりして「兵士として戦わされ、うわさの死神によって潰れゆく組織の残党から抵抗しながら逃げてきた」ことを愚痴り、あるいは弱音を吐くように自分語りをして、そこを踏み込まれたのであれば「肉体労働者だった過去がある」と嘯く、というような手順だ。
戦士としての闘志を零す、己の鋭い目つきを誤魔化すには、伊達でもいいから眼鏡をかけてしまったほうがよい。とはいえ、眼鏡とて相応の価値があるので、つばのある帽子をかぶって誤魔化すことを努めるしかないだろう。農民を装うのであれば麦わら帽子が手っ取り早いが、今回は戦地で拾った帽子に傷をつけ、軽くライターで炙って、火事や不手際で火がついてしまったかのように演出しておく。
あとは数日かけて体臭を“作り”、寝癖を直さず、半端にカミソリで髭を切ったかのように“整え”て、身体を洗えていない流民を装い、空腹の音が目立つようになるまで食を控えておけば完成だ。それまでの間は本隊での移動で距離を埋めていく。
「………こればかりは、若い者に任せられんからな」
本当は数週間かけてやりたかったが、しかたがない。話を聞く限り、かつて“クリス”がいた街と拠点の間は相当な距離があり、戦闘を挟まなければ徒歩でも一週間弱はかかる。
最近の我が組織の進行度合い……死神ありきの市民との興和をもってすれば、彼の地までの占領は容易だろうが、今回のように道中の街までは車で移動するとしても、それぞれの地域の占領ありきでは時間がかかりすぎる。
軍勢の総数を誤魔化し、示威行為の行進で己のエリアだった街を「我らは健在である」と演じ続けて素通りするのも限度があるだろう。しかし。
ターゲットであるヴァイオリンの損傷が生じてしまっては、意味がないのだ。
「本当に行くんですか?」
訊ねる部下に振り返る必要ない。余計な不安を与えるだけだ。
「やるとも。
元より他の勢力の目を誤魔化すには、この“パレード”は必要不可欠だった。
あくまでも死神からの一時的撤退、そう錯覚させねばならん。ヴァイオリンひとつのためと言えば聞こえは悪いが、寝不足から死神が魂を刈り間違えるよりはマシだ」
「………そう、ですね」
見栄を張れるのも、ジョーカーの殺害方法では死体が残らないからこそ。
奇しくもノイズの炭化に似た「霧化」が、この見栄を成立させる一手となる。
あとはジョーカーの精神を安定させる歌姫の楽器を回収し、返還すればよい。
「では、行ってくる。
一週間たっても帰還しなかった場合は、俺の身柄を放置して行け。
……それほどの敵対勢力が占領している、ということでもあるからな」
潜入捜査の開始から一日半、ようやく到着した。
残すは四日間、ターゲットが有名人の遺品のひとつなのだから、さすがに発見までが易く早いと助かるのだが、ことはそう単純でもなかった。
「………こいつは、」
楽器だ。
古びた布、家畜のなめし皮、いろんな素材の太鼓が叩かれ、多くの民が曲を楽しんでいる。笛の音も聞こえるが、音階がない単純な笛でしかなくとも、リズムは軽快なものを感じさせる。
「………たいした仕事ぶりじゃないか」
どうやら、クリスの親御さんの努力が報われてはいる、らしい。
もっとも都市部である以上、農作物に恵まれているわけではない。近い土地から食料を持ってきた民への慰安なのか、あくまでも……演奏ができる人員を「売る」ための、実質的な奴隷商売に手を出してしまったのか。せめて、正常な音楽家としての活動であることを期待するしかない。
だが、なるほど、この方法であれば利用価値はあれども「略奪」はできない。
親御さんほどの腕前はなかろうとも、その偉業は音楽業界を復元させつつあり、確実に音楽家の需要と供給の流れを世に設けている。下手に毟り取っても、楽器職人と音楽家の両方が揃わなければ、いつまでも同じ娯楽を楽しむことはできない。なぜなら楽器が素人ごしらえで、素材からして簡単に壊れやすいものばかりだからだ。どちらか片方がいなくなれば、街での娯楽は手に入らなくなってしまうようになっている。
素人ごしらえならば誰にでもまねができる?
いいや、逆だ、同じ商品は同じ素人の腕前でしか生まれない。どんな歪んだ笛だろうと、同じ手癖を真似して作れる人間など今や皆が皆戦場へと駆り出させることしか考えていないのだから、下手の横好きをさらに下手な奴が真似ても、碌な仕上がりにはならん。
布の太鼓だってそうだ、同じ生地の太鼓を狙って作り続ける酔狂がいつまで保てる。
気づいているのかいないのか、意外にもこいつが妙手になっている。
それどころか街の四方から聞こえる曲を聴く限り、なにかと新曲を作っていく傾向が生まれているらしいことも把握できる。「ちゃんと考えている」やつからすると、この街の自由を奪えば現状を楽しめなくなるぞ、と警告されたようなものだ。
もっとも、「実は何も考えていない」連中のほうが多いわけなのだが。
「………なおさら、ことを急がんと、な。
こいつは骨が折れるぞ、そう簡単に手に入るか………?」
ようするに、この街は。
クリスの御両親の遺志を一片でも継ぎ、再興しつつある。
とあらば、クリスの姓は、ええと……ユキネだったか。
ユキネ夫妻の遺品が、なんらかのかたちで保管されていてもおかしくはない。だが、「この街から立ち去った」クリスの楽器がどう扱われているのかだけが未知数なのだ。
特に問題は、ユキネ夫妻の存在をどう遺そうとしているのか。
墓か? 記念碑か? それとも楽器を野晒しにして墓に見立てたのか?
記念館でも作って、遺品を集めておいてあるのか? わからんことだらけだ。
「………ちょっといいかい?」
「なんだい、見かけない顔だね」
「前に……まあ、その、なんだ。
珍妙なやつの噂を知らないか? そいつに助けられてな。
ついでに『この街を通ったことがあるらしい』とも聞いたもんで、ひょっとしたら静かに暮らせるかもしれないなあ、と思ったんだ。そしたら賑やかで、賑やかで………」
「………ああ、その弾丸の痕、そういうことかい。あんたも苦労したんだねぇ」
「おうさ。なもんで、なんつーか、びっくりしてんだ、俺」
とりあえず、近くの御婦人に訊ねてみる。口調は変えておいた。
「何週間くらい前だろうねぇ。
音楽家の夫婦が死んじまって、街が寂しくなったのさ。
こりゃたまらんと思った若造が、自分の身体を叩いて曲を作った。
……で、すぐ忘れた。楽譜もない、置いてあっても読み方がわからないんだ、自前の即興の曲なんざ覚えられなくて、最初のひとりは馬鹿馬鹿しいと諦めた。でも、まあ、なんだい、楽器ならあるじゃねぇかよと、また別の若造がゴミを漁ってゴミを楽器に使った。めちゃくちゃ聞くに堪えない音だったねぇ。
そこからだよ。うるさい、へたくそ、ああでもない、こうでもないだろ、じゃあおまえがやってみろ、おうともやってやらぁの繰り返し。気がついたらこうさ」
呆れるようにボヤキながらも、なんだかんだ目元は笑っていた。
「酒と一緒さね。楽しいことは、やめないものさ。男は特に。」
「………なるほど」
ひょっとすると、喧嘩が曲作り、楽器作りに置き換わったのだろうか。
「墓はどこに? ちょいと会ってみたいな」
「演奏会があった場所だよ。
……いや、あんたは知らないねぇ。そこの角を曲がってすぐだ。
使っていた楽器が置いてある。行方知らずの娘さんのヴァイオリンもそこさ。
せめて、楽器だけでも傍にあったほうがいいと思ってね、あたしも墓づくりを手伝ったよ。ああまったく、どこに行っちまったのやら………」
そうつぶやくと、うとうとと頭を漕ぎ始める。
どうやら、思ったより印象はいいらしい。問題はクリスが、この街に一度でも戻ったうえで、楽器をもって去ってもよいのか、だけ……なのだろうか?
ちがう、これはまずい。
御両親の楽器が街の音楽の象徴、娘の楽器が死者を想う心の象徴か?
いいかげんに楽器を回収すれば、この街の作曲と楽器作りの流れが絶える。
メメントモリ。これが街を活気づかせている原動力なのだ。
かりに街を占拠して、彼女とジョーカーの居場所にするとしても、ここで彼女が演奏をしてしまえば、それだけで「プロ」と「アマチュア」の境界を設けて、結果としてアマチュアでしかない彼らの音楽活動を“自重”させてしまう可能性だってある。
落としどころがわからない。
とりあえず、帰還しよう。
このままでは、すべてが悪い方向に転ぶ。
後日。事情を説明してみたところ、
「コラボでライブとかどうかな?」
「………お、おう??」
ジョーカーが変なことを言いだした。
「あの街、歌は聞こえてきたの?」
「………………言われてみれば、」
まったく聞こえてこなかった。
あくまでも作曲と楽器作りが手いっぱいで、歌は二の次らしいことが伺える。
わからんでもない。曲に合わせて歌詞を設けて、音階を意識して歌うなど、すべて個人でやるには相当な技術力が必要となるだろう。下手の横好きにだって、ひとりでやれることの限界はある、ということなのだろうか。
「だが、それもそれでマズいんじゃあないか?」
「即興なら、NaNaNaとか、RaRaRaとかでもよくない?」
「………………………………お、おう? なあ、そういうものか?」
あまり詳しくはないが、そういうものなのだろうか。
ふと、クリスのほうを見てみる。少女は迷いのない目つきで、両手を胸の前で握りしめて、きっ、と俺を見つめ返す。
「………やって、みる。」
「マジか。」
「おじさん、かたく捉えすぎなんだよ、たぶん。
案外、”歌ってみた”ひとが増えるだけかもしれないよ?」
さらに後日、改めて変装をして、クリスを連れて街まで行き、演奏会の企画を比較的有名そうな音楽家に提案。どういう曲で歌うかで語りあい、当日にむけて宣伝をしてもらい、あらかたの準備と警備を整えてから、さらに数日後の演奏会当日。
なんか、俺が思ったより、あっさりと楽器の返還が終わった。
念のために数週間後、そのくらいの間をおいて街に顔を出してみると、ジョーカーが言及したとおり、なんの歌詞もなく歌の音をあわせて出し続ける音楽家たちが現れただけで、衰退の傾向はなく、むしろ競い合いからか盛りあがりをなくす素振りすら見えない。幼子であるクリスという前例が現れたからか、女子供まで歌い始めている。
おかしいな。
こういう計略って、けっこう手間がかかるものなんだが。
「………え、音楽って、こういうもの……だよ?」
そ、そういうものなのか。そうか。クリスは詳しいな。
………軍人あがりのおじさんには、分からん世界だなぁ……。
「なあ、最近ボスが頭抱えて酒飲んでんだけど、どうしたんだろうな、アレ。
こんな活気のある街なのにさ、なーんであんな調子なんだろうな?」
「さあ? あ、でも、元が規則にうるさい軍のひとだったっけか?
“あーいうノリ”が、いまいちわかんねーんじゃねーの? 音楽隊だっけか、あれだってけっこう格式ってもんがあるんだろ?? お堅いんじゃね???」
「………俺らもやってみっか。そうすりゃ感覚でわかるだろ、たぶん」
ただいま本編執筆中です。
フィーネがやらかします。天の道を行きます。次回予告は以上です。
頭で考えるより、心で動いていることってありますよね。
自分がというより、周りがというか。複雑に構築された合理性のある、脳内でシュミレートされた仮想世界に引きこもっていても、現実がそうであるわけではありません。「楽しい」なんていう数値の入力だけで、がらっと変わったりするものです。
そんな経験則と現実のギャップ(※好循環)に悶絶するナイスミドルの回でした。
前回の小説「【世界観が】ジョーカーアンデッドに転生しました【迷子】」は、
「上梨 ツイナ」さま
の、誤字報告の提供でお送りいたします。
ほかの方の誤字報告の提供につきましては、現在「誤字として扱っていいのか」を再考したのちに検討させていただきます。こちらの操作ミスによる誤字報告の削除につきましては、申し訳ありませんが、後書きによる「曖昧な記憶」からの紹介は控えさせていただきます。