【世界観が】ジョーカーアンデッドに転生しました【迷子】   作:ウェットルver.2

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 振り切るぜっ………!(頭平成にしながら)


走り続ける先

「クリスー? (部屋入って)いい?」

 

「………返事がない、マジでしんどいみたいだ。

 うん、わかるな。気持ちはともかく、やりたいことは、うん……よし……」

 

「寝てるかな。寝てるよね、」

 

「手を握るくらいなら、いいかな。

 ぃやーでも距離感とか……いや傍にいるだけでもギョッとするだろうし、いっそ握ったほうが伝わるかな……伝われ心配。むしろ伝わって。あいっ……うん、愛情。

 照れ隠しや誤魔化しはダメだよね、うん。愛だね、愛。

 ……愛だよチクショウ、認めるよ、だいすきなんだな、ボクは、」

 

「負けたよ。君に。」

 

「わかったから、もう、いそがないでよ。待てるから。」

 

 

 

「待っているから。」

 

 

 

 

 

 

 ふわふわと暖かな。

 雲に包まれているような全身の感覚。

 そこから離れた場所に、からだのいちぶに、なにかで包まれた別の感覚。

 

 なんだろう。まるで、だれかに手を包まれたかのような。

 

「クリスぅ………」

 

 ふと、どこか憶えのある匂いに気づいて。

 目の前にあるもの、自分を包んでいるもの、自分の手を覆うもの、それをひとつずつ確認しようとして……確認するよりも、思い出すことのほうが早く終わる。

 そうだ。自分は、彼と、同じベッドで寝たのだった、と。

 

 心も部屋の扉も閉じた自分へ、歩み寄った“はじめ”には振り返らずに。

 ひたすら眠るふりを続けたまま、本当に眠ってしまったのだった、と。

 

「クリスぅ……クリス………」

「………“はじめ”」

 

 なんども名前をつぶやく声。こぼれたような笑い声。

 声の出どころを見あげて、私は、ぎょっとするような、心臓を鷲掴みにされるかのような、でも、どこか安心してしまうかのような、なんだかよくわからない気分になった。

 

 いつまでも見ないのだろうな。

 そう思っていた表情を、「いつまでも見られるのだ」と思えるような。

 だれかに笑いかけるものや、だれかと楽しむものでもない、やわらかな表情があった。

 

 夢の中で、彼は今。

 わたしといっしょに笑っているのだろう。

 

「クリス………」

「………“はじめ”?」

 

 きっと。

 それが初めての、ありのままの気持ちなのだろう。

 

 だれよりも、だれかのために。

 自分の心から、志から独りになる。孤独の寒さ、苦痛すら置き去りにして。

 

 まるで、自分自身の心なんか要らないかのような。

 そこまでやって夢を叶えないと、心から幸せになれないかのような。

 

 “だれかの幸せを守る幸せ”。

 あの綺麗で頼もしく、わからずのままで恐ろしい愛情から動いたものが。

 

 今、わたしの目の前で、わたしの名前を呼びながら。

 幸せそうに、やわらかに笑っている。おなじ人間の子供みたいに。

 

 人間で、家族でいてくれる、みたいに。

 

「………“はじめ”、」

 

 きっとそれが、とても信じられなくて。

 本当にそうであってくれるなら、さみしくないことは間違いなくて。

 だからこそ、あんまりにも人間らしい怪物から、もっと人間らしい家族になった姿へ、どうしようもなく納得できるものを感じてしまう。

 

 そんな資格なんてないと、本当は逃げてしまいたいのに。

 わたしが戦えないせいで、彼は首に包帯を巻いているのだろうに。

 

「ほんとうに、まってくれるの?」

 

 そっと、手を握り返してみる。

 こんなにも近い寝顔を見つめてみる。

 

 ジョーカーだった頃の姿とは、なにもかもが違う。

 手はやわらかく、おたがいに握りあうことができる。

 声色だけで感情を伝える虫のような顔から、見るだけで伝わるひとの顔へ。

 こうやって思い出しながら見比べると、ああ、これだけでわかる。

 

 なにも変わらない。

 きっと表情があって、手が脆いだけで。

 元々、“はじめ”と人間が遠いわけじゃない。心だけは近かった。

 

 だれも近寄れなかっただけで。

 

「………もうちょっと、寝よ……」

 

 手を包む手を、包み返す。

 

 たとえ力になれなくても。自分を信じられなくても

 そばにきてくれた家族の気持ちだけは、信じていたいから。

 

 手の感触に“はじめ”の手が震える。

 わずかに緩んでから、また包みなおしてくる。

 

 

 あたたかい。

 

 

 

 でも、力になりたかったなあ。

 

 

 

 

 

 

 ジョーカーアンデッド/はじめが鍛錬を始めるようになった日。

 義勇軍「レギオン」から”雪音クリス”へと提供された部屋に彼が入ったのと同時刻。

 たったひとりきりの女は、現代人にしてはめずらしく美容を気にせず、深夜帯にもかまわず起き続けていた。

 

 

 

 

 フィーネ/櫻井了子は、聖遺物の研究者だ。

 

 彼女の与り知らぬ遠い彼方、何処かへと去った神族のひとり、敬愛し恋慕する男神。彼の背を追いかける限り、その探求が尽きることはない。

 

 たとえ“旅行中”であろうとも、キャリーバッグひとつを許されれば最低限の資材を隠し持ち、部屋ひとつを許されれば聖遺物の研究を始めることなど造作もない。

 それほどまでに巧みであってこそ、他者の肉体に憑依できる彼女が肉なき亡霊として、あるいは名のある人間として、何世紀も暗躍を続けられたのである。

 

 ゆえに、紛争地帯に来てしまった旅行客、“雪音クリス”ら雪音家の消息を追ってきた音楽業界の関係者を名乗る女、「櫻井了子」に貸し与えられた部屋など、「フィーネ」にとっては簡易的な研究室たる学術的空間にできる。

 聖遺物に携わる研究者が覗けば、それだけで己の生涯を対価として差し出すに足るほどの知識と知恵を得られるであろう。……命の保証はされないだろうが。

 

「………まったく、苦労をさせてくれる」

 

 その彼女が研究を始めたものは、めずらしくも聖遺物ではない。

 いいや、研究のために聖遺物のかけらを利用した小規模な実験機材、いわば超小型のシンフォギアとも呼べる特殊な機材を使用するのだから、聖遺物の研究のひとつには含まれるのであろうが、肝心の機材からの特殊なエネルギー波、フォニックゲインを照射する対象が聖遺物ではない。

 太陽光を受けても反射光が弱い、絵の具のような液体だ。

 

「『シンフォギアでは、今の自分では間に合わなかった』?

 ああ、なるほど、小娘、貴様が言わんとした言葉はわかる。

 ホークアンデッドだったか。あれが音速移動した際に生じるソニックブーム、その原理と脅威を理解できずとも、おまえは直感で『敵わない』と思ったのだろう」*1

 

 不死生物(アンデッド)の血液。

 正確には、“はじめ”がホークアンデッドとの戦闘の際に重傷を負って出血した、ジョーカーアンデッドのものである緑色の血液。

 

「憎たらしいが、ああ、今の貴様ではどれだけ努めても敵わぬのであろう。

 だが臆するかぎり、聖遺物もまた使用者に十全な性能を保証できない。たとえシンフォギアという形に再構築させても、性能だけで最大出力は語れぬものが聖遺物だ」

 

 緑の血だまりに向けて、フィーネは光を照射する。

 色つきのスポットライト、そう例えるには無理のある、色鮮やかな光。

 分光器から放たれた光が近いのだろうか。照射される特殊なエネルギー波、フォニックゲインがジョーカーアンデッドの血液に影響を与え、血だまりは寄せ集まり、その中心に黒い肉を形成させる。

 急速なエネルギー供給。不死生物(アンデッド)の細胞にダメージを与えるほどの外的刺激により、自食作用が生じて血球を捕食、得た栄養分をもとに肉体を再構築したのだ。

 

「元より、シンフォギア、FG式回天特機装束は対ノイズ兵器だ。

 ノイズへの相互干渉に特化した特殊武装*2であって、不死生物(アンデッド)を前提とした特殊武装ではない。貴様の直感に間違いはないが、なぜ不死生物(アンデッド)にまで使おうとしたのか理解に苦しむな……いえ、わからなくはないのよ、充分な出力が得られれば勝算もあるでしょうけれど、でもねぇ、まず開発者に質問しなさいよっ……!」

 

 フィーネは確信した。

 フォニックゲインは、不死生物(アンデッド)の細胞への影響力がある。

 であれば、シンフォギアのシステムを拡張するアタッチメント、これだ。

 そいつさえ実現すれば、ある程度までは理論上可能となるはずである、と。

 

「―――、よし。

 これさえわかれば、あとは覚醒状態の確認だけでいい。

 問題はアタッチメントの外装と形状だが、まあ、モデルに沿って製作してやろうではないか。そのくらいの浪漫は私にもわかる……」

 

 ふとフィーネが見やるは、拾い集めたジャンク品。

 

 先進国から発展途上国へと投げ売りされた中古品は、意外と侮れない。

 ほんの数世代前の車がICカードリーダーを搭載したまま売られ、そのICカードリーダーこそが日本製であることを保証する目印になるなど、めずらしい話でもないのだ。

 それと同じ現象はバル・ベルデ共和国でも起こっており、西暦2000年代ではなく西暦2100年代なのではないか、とも噂される彼女たちの世界における発展途上国では、平成生まれの魂が転生したにすぎないジョーカーアンデッド、“はじめ”では想定しえない未来科学の結晶、その廃棄物たるジャンクパーツの宝庫となっていた。

 

 しかし、手に掴むものは、それほどの未来科学製品とは不釣りあいの装飾品。

 

不死生物(アンデッド)の細胞を利用した、聖遺物のための新兵器。

 細胞がシンフォギアに癒合するのだから、そうだな……英語では融合を意味するFusionが癒合の翻訳のひとつだからな、そちらではなんとも言えんか。ややこしい。シンフォギアに塗る、いや、塗りはしない、載せる……乗せる………」

 

 室内照明を照り返すは、魔女の指に掴まれた帯の中央に輝く、金属部。

 

「―――シンフォギア専用武装癒合機。

 ふむ、【ライダー・システム】とでも名づけるか?」

 

 ()()()()()()()()

 

「ギアインナーの腰部(ようぶ)を中心に固定することで予期せぬ脱落を防ぎ、ラウズカードに封印された不死生物(アンデッド)の細胞が持つ力はフォニックゲインで制御し、半覚醒状態の不死生物(アンデッド)の細胞を生体武装として構築させる。

 武装構築手段はシンフォギア同様に粒子化、定着させるものとして、拡散する粒子を制御できたシンフォギアと都合がちがう、異なる手段がよい。不死生物(アンデッド)の力は……ジョーカーアンデッドが人間になると同じ、板状の力場に収まらせればいいな。モデルケースから逸脱した癒合過程は何が起きるか未知数だ、別の機会で実験するとしよう。

 ……とはいえ、やつからラウズカードを借り受け、ある程度の実験をしなければならんな。どのような表向きの口実を用意したものか」

 

 ライダー・システム。

 同じ名前を持つ特殊武装のバックルは、仮面ライダーの世界では。

 

 

 

 ジョーカーアンデッドの能力を参考に開発された、という。

 

 

 

 

 

 

【ジョーカーニキは】隔離スレ【みるな】9スレ目

 

404:御嬢様ネキ(与太担当)

 クリスちゃんは「戦わなくて正解だった」? どゆこと?

 

405:名無しの装者

 >>404 うむ。

 最大の問題はソニックブームだ。

 衝撃波と表現すると、漫画的表現もあるので誤解を生みかねないが、な。

 大音量のスピーカーや太鼓から伝達する空気の振動も「衝撃波」だ、音も衝撃波だと認識してもらってもかまわない。人間の歌声を高周波で生じさせればガラスのコップすら破壊できるように、また医療用で超音波メスが活用されるように、「衝撃波」、すなわち音波は物質破壊が可能なものだ。

 

 ホークアンデッドの超音速移動を相手に戦った場合、シンフォギア装者ではエネルギーリソースであるフォニックゲインを供給できない、すなわち「衝撃波で鼓膜が破れ、歌えなくなる」可能性があるどころか、精密機械であるシンフォギアの集音器が故障して、もはや無理に歌っても音は拾えない、フォニックゲインの供給ができない状態になる危険性もある。そうなると絶唱*3に挑んでも成功はしないだろう。

 

 すくなくとも、シンフォギアでは戦ってはならない天敵だ。

 はじめニキが封印しなければ、別の機会で装者が全滅する未来もあったかもしれん。

 

406:名無しのアンデッド

 >>405 勝 て る 気 が し ね ぇ

 

407:名無しのアンデッド

 >>405 あきらかにラスボスじゃん。

 

 あきらかにラスボスのスペックじゃん!

 

408:名無しのアンデッド

 >>405 通りすがるだけで装者弱体化&無力化ってどういうことなの

 

409:名無しのアンデッド(隔離スレ担当)

 >>405 あー。その理屈なら、音速移動ができる仮面ライダーファイズ(アクセルフォーム)とか仮面ライダーアクセル(トライアル)とか、仮面ライダードライブ(タイプフォーミュラ)とかが軽く通りすがるだけでシンフォギアの主要キャラが全滅する危険性もあるのか?

 あんまり気づきたくなかったな。*4

 

410:名無しのアンデッド

 シンフォギアが弱いってのか?

 

411:名無しの装者

 >>410 勘違いするな。*5

 それぞれの特殊武装としての想定された運用法と環境が異なるだけで、音速移動ができるだけの相手に特務二課との連携で対処できない、とは言っていない。

 というか、その仮面ライダーどもがノイズに対処できるかは別ではないのか?

 

412:名無しのアンデッド

 >>411 ファイズ、ドライブは特殊武装を全身に装備するタイプ*6*7だから、直接はノイズの影響を受けないかもしれないが、別位相に存在できるノイズへと攻撃が通じるわけじゃないだろうな。どっちも人間界の科学技術の産物であって、どうこうできるとは思えないし。

 同系統でもカブトとかならあるいはかもしれんが、まあ話題にないのでパス。*8

 

 例外がアクセルだな。あれは「地球の記憶」っていう情報エネルギーによる改造人間が正しいから、ノイズに通じるかもしれないし、超人化した肉体が炭化をある程度は防げるかもしれない。*9

 

413:名無しの装者

 >>412 お、おう、よくわからんが、いることはいるのだな。

 

414:名無しのアンデッド

 はじめニキがアンデッドなのに戦えるのなんでだ?

 

415:名無しのアンデッド

 ひとつ考えがある。長文いいか?

 

416:名無しのアンデッド

 どうぞどうぞ

 

417:名無しのアンデッド

 OK、長文始めるぞ。

 そもそも“統制者”はSF映画とかで稀にあるモノリスに似た形状をしているわけだが、無機物だったりコンピューターだったりするわけじゃない。

 物理的な破壊が不可能な存在だが、接触可能な物体としても同時に存在する。

 これをシンフォギア関連の各事象に置き換えると、「別位相に存在するから破壊できない」、または「情報体なので物質体を破壊されても復活する」現象みたいになる。

 

 つまり、肉体や物質に依存する人間界の存在ではない。

 ひょっとすれば、超古代文明の科学力で別位相に存在できるノイズよりも、より別位相に存在できる特殊なもの……というか、別位相こそが本来ある場所である可能性もあるわけだが、まあ、そのあたりの真偽は置いておこう。

 

 こういった“統制者”への解釈として、だ。

 原作本編では、「地球上の各生物種の進化欲が具現化した意識総体」っていう解釈があるわけだ。つまり、【元から霊的な存在じゃねーの?】説ってことだな。

 

 で、霊的なあれこれって言うと、魔術的には……某ライトノベルでの説明が有名だと思うんだが、ようは人間界、物質界よりも高次の世界にあるはずの存在なわけで。

 最初から別位相の存在なわけだな、霊的なあれこれが。

 そのあたりの魔術的理論を抜きにしても、あれだけの超常怪奇な“統制者”を生み出せるだけの進化欲が、自分たちの代表者であるアンデッドを生みだしたのなら、そりゃあ霊的感情的かつ純粋なエネルギーの塊でもあるわけで、元から人間界の範疇に収まらない。

 

 宇宙空間にいようと死なないアンデッドの生命力の根源が、惑星上の生命体の意識総体から供給される感情エネルギーってことは、やっぱり肉体を破壊した程度じゃあアンデッドは死なない。実際には肉体ありきのエネルギー生成機関じゃあない。

 肉体は影で、本質が霊的存在だとすれば、“統制者”ともども高次元の存在だ。

 “統制者”と同系統の霊的存在なら、別位相にも存在できるんじゃないか?

 

418:名無しのアンデッド

 >>417 おぬし、己の知識と妄想を自慢したいだけではないのか?

 

419:名無しのアンデッド

 >>417 チラシの裏に書けやwww

 

420:御嬢様ネキ(与太担当)

 >>417 んー……ロジックが長い。まわりくどい。

 私なら、「ノイズはアンデッドを参考に開発されたのだ!」とかの、こう、オカルト系の専門出版社みたいな、アホみたいでスカッとするのが好きかしら。

 

 真面目に言うわね。ノイズが存在できる「別位相」ってやつが“統制者”と同じ位相だから通用するんだ、って理屈は可能性あると思うわよ?

 ほら、なんかラジオやスピーカーって電磁波とかどうとか、法律上は受信しちゃいけない電波を受け取るとか、別の場所からの電磁波の影響を受けるとかあるらしいじゃない。私機械に疎いけど、なんだっけ、電波の混戦??

 

 そういうアレじゃないかしら、別位相にある、っていうのは。

 

421:名無しの装者

 >>420 元より、シンフォギアは別位相に存在するノイズを「人間界に引きずり落とす」のが可能な兵器だ。例えれば、「共振作用によって対象の周波数を操作する」とも言える。

 御嬢様ネキの解釈も間違いではないはずだ。

 

422:色男爵ニキ(昼ドラ担当)

 まあまあ、アンデッドって、ほら。

 一定値以上のバイオリズムに達すれば、機械で探知できるらしいし。

 アンデッドの細胞が持つ特殊な生体活動による波動が、シンフォギアみたいにノイズに影響を与えたりするのだろうさ。きっと。

 

423:名無しの装者

 >>422 それを はやく いえ

 

424:御嬢様ネキ(与太担当)

 色男爵ニキ、あなた本当そういうところよ!?

 

425:名無しのアンデッド

 >>422 そういえば、どこにいるのかは簡単にわかるんだっけか。

 アンデッドサーチャーって名前だったか?*10

 

426:名無しのアンデッド(隔離スレ担当)

 >>422 あー、なるほどなー?

 シンフォギアに必要な「歌」だって立派な生体活動のひとつで、フォニックゲインも【仮面ライダー剣】の世界観で言えば、人間固有のバイオリズム波形のひとつだから、か?

 で、アンデッドだと細胞単位で生じるノイズへの妨害電波もどきとして、アンデッドサーチャーで探知可能な、アンデッド固有のバイオリズム波形が生じて干渉できる、と。

 

 うん、それで確定じゃないか?

 

427:名無しのアンデッド

 すまん、俺の解釈妄想だらけだった

 

428:名無しの装者

 >>427 安心しろ、最初の頃の論文なんてそんなものだ。

 

429:名無しのアンデッド

 フィーネキが優しい……だと……

 

430:名無しのアンデッド

 フィーネキが真面目にアドバイスした……だと……

 

431:名無しのアンデッド

 今日の夕餉は餡蜜とやらを出す……じゃと……

 

432:名無しのアンデッド

 ちくわ大明神……だと……

 

433:立花響

 翼さんが先生やってる……すごい………!

 

434:名無しの装者

 きさまら!!!

 

435:御嬢様ネキ(与太担当)

 みんな。そういうの、からかっちゃダメよ?

 

436:名無しのアンデッド

 おい、なんか今、響っぽいヤツいなかったか?

 

437:立花響

 気のせいですよ?

 

438:名無しの装者

 響、IDもコテハンも同じやつが言ったら誤魔化せないぞ

 

439:立花響

 そうなの!? って、IDってなんですか? コテハンって?

 

440:名無しのアンデッド(隔離スレ担当)

 ………本当に響だコレーッ!?

 

441:名無しの装者

 実名から話しかけられて正直に話す馬鹿がっ……おまえだったなっ………!

 いいか、そこの欄は実名を書く場所ではなく、そこに実名を書いたら別の名前に変換されるとかの機能があるわけでない、書いた名前がそのまま固定のハンドルネーム、コテハンとして他人に見られてしまうのだ、本当に隠したいならコテハンをせめて「名無しの装者」みたいなものにするか、いっそ「名無しのアンデッド」に戻しておきなさい!!!

 

442:名無しのアンデッド

 あーあーもうめちゃくちゃだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なんだ、これは」

 

 起床して間もない”はじめ”に、”雪音クリス”のいる目の前で頼み込んででも借り受けたラウズカード(♡6)。

 それを半覚醒状態にさせて不死生物(アンデッド)の細胞を供給させ、シンフォギアを強化するように設計した武装癒合機「ライダー・システム」の試運転に不調が見つかった、わけではない。

 むしろ、想定以上に好調だと言える。彼女は、それこそが理解できなかった。

 

「馬鹿な、フォニックゲインが弱点なのではないのか!?」

 

 通常の生物であれば、熱線、急激なエネルギー供給を受けた細胞は破壊される。

 だが、不死生物(アンデッド)の細胞は熱線では破壊されず、フォニックゲインの照射によって活性化していた。これを外的刺激により受けた損傷を自ら補う不死細胞の自己再生、自食作用のひとつだと、彼女は、「フィーネ」は、「櫻井了子」は認識していたのだ。

 

 実際は真逆だった。

 

 フォニックゲインの影響を受けた不死生物(アンデッド)の細胞は、フォニックゲインを帯びて黒く変色し、まったく別のエネルギー波を発生させながら活性化、一定値を超えると安定化していた。

 

 まるで睡眠状態にある動物の呼吸のような、独特な波形を生じさせながら。

 

 彼女の持つ簡易的な実験機器では、残念ながら不死生物(アンデッド)のバイオリズム波形までは計測できなかったが、吸収したフォニックゲインの周波数を変質させ別の周波数のエネルギー波として放出する「不死生物(アンデッド)の血液だったもの」を観測することはできたのである。

 

「なんだ……なんなのよ、これ………?」

 

 半覚醒状態になったラウズカードから、封印を解かれる気配はない。

 始めはフォニックゲインによってバイオリズムを阻害され、コントロール可能なほどに弱体化したものと思っていた彼女は、かえって計器の正常さに理解が追いつかない。

 

「おまえたちは……本当に、なんなのだ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

☆今日の櫻井了子

 

 え、なあにクリスちゃん? はじめくんと戦えない?

 ああもう、ピーピー泣くのをやめなさい、いいの作ってあげるから!

 ええと、とりあえずジョーカーアンデッドの力をベースにできないかしら。

 あ、シンフォギアで制御できるわねこれ、じゃあパパっと作っちゃいましょう!

 

 とりあえずバックルで外れないようにして、試運転でラウズカードを通して起動させておいてデータ収集を……は? え、一発成功?

 

 うっそでしょ制御不良や不調が一回は起きるものでしょどうなってるのよ!?

 

 計器は? はい? 異常なし……?

 試運転用に使った聖遺物の欠片からのアウフヴァッヘン波形に変化は? はあ?

 ライダー・システム側にアウフヴァッヘン波形とは別の波形パターン???

 

 

 

 ど う し て

(※仕事だったら徹夜確定の案件すぎる、再現性があるかも怪しい謎挙動に愕然としながら)

 

 

 ……なにがなんだかわからないけど、もうクリスちゃんが戦えるならヨシ(いいわね)っ!

 

 

 

 

 

☆今日のフィーネキ(翼)

 

 アンデッド固有のバイオリズム波形?

 フォニックゲインが、「歌」が人類固有のバイオリズム波形説!?

 

 それを早く言わないか馬鹿者! というかだ、”あっち”の私は気づけているのかッ?

 ああ、もうっ、【アンデッドがノイズを倒せる】時点で違和感を持ってッ。持てぇ~っ!!

 

 (※持ってませんでした。)

 

 って、響ィ!?

 あなっ、あなあな、あなたっ、このっ、このおっ!

 

 (※言語化できませんでした。)

*1
音速移動する物体が通りすぎると、ガラス製品は高周波の衝撃波により破壊されるが、人間の場合は衝撃波で()()を破壊される。シンフォギア装者が戦闘を行う際に必要なエネルギーである「フォニックゲイン」を供給するには装者自らが歌わなければならず、鼓膜破壊は歌唱を困難にさせてしまうため、シンフォギアの出力が低減する。

*2
簡潔に言うと、ノイズの炭化機能、侵食作用を防ぐ機能、ノイズを物理攻撃が有効な状態にさせる機能があり、ノイズ以外のものを前提とした「防護服」としての性能にかぎって言えば、通常時は特別高いわけではない。通常時でなければ宇宙空間だって行ける。

*3
シンフォギア装者に可能となる、命がけの自爆攻撃に近い必殺技のひとつ。ある程度の負荷を軽減する方法もある。

*4
全員音速移動が可能。音速に至らずとも移動時の風圧、気圧変化で集音器に雑音が混じる、または呼吸困難になる可能性も否定できない。なお、()内は通常形態から再度変身した強化形態の名称。

*5
特撮【平成仮面ライダーシリーズ】における、俗称「2号ライダー」恒例のツンデレをともなう典型的な台詞。作品によっては言いそうで最後まで言っていない、ほぼ同義にしか聞こえない台詞を言い続けた2号ライダーもいる。主に時の魔王(ジオウ)を倒そうとした救世主(ゲイツ)など。

*6
特撮【仮面ライダー555】における仮面ライダーファイズへの変身に使用される「ファイズギア」は人工衛星から転送される特殊武装のための変身ツールであり、特殊武装は「フォトンブラッド」という特殊な物質を使用して怪人「オルフェノク」の細胞への決定的なダメージを与える各兵器のエネルギー源、いわばエネルギータンクが搭載された防護服である。

*7
一方で特撮【仮面ライダードライブ】における仮面ライダードライブへの変身に使用される「ドライブドライバー」こと“ベルトさん”および各ツールは、それぞれの認証により所持者への変身許可が通り、「重加速現象」の生じた領域でも活動可能な特殊武装を展開する。

*8
特撮【仮面ライダーカブト】におけるライダー・システムとは、タキオン粒子を利用して特殊な時間軸での移動を可能とするもの。あくまでも高速移動はその観測結果であり、同様に特殊な時間軸での活動を可能とする宇宙人「ワーム」と戦うための特殊武装である。対ノイズ兵器であるシンフォギアとは運用法や設計理念が近いが、こちらはノイズに相当する敵ワームと同じ位相での戦闘が目的。

*9
特撮【仮面ライダーW(ダブル)】における仮面ライダーアクセルとは、地球の記憶のひとつである「アクセル」の情報を得た生命体が変貌する肉体変化型の仮面ライダー。外見が「加速(アクセル)」に関するもの、おもに無機物である「バイク」の特徴で構成されており、発言者が「ノイズの炭化現象に対抗しうる」と言及した理由は、有機物であった肉体の表層が無機物化しているため。

*10
アニメ【戦姫絶唱シンフォギア】における聖遺物が発する「アウフヴァッヘン波形」と同様に、不死生物(アンデッド)の細胞が持つ固有のバイオリズムの波形によって個体識別や現在座標の探知が可能となる。




 ヒント:仮面ライダーの力は敵勢力と同じ。逆も然り。

 ようやくライダー・システムを出せました。ようやくライダー・システムを出せました。大事なことなので二回言った。二回言ったのは意味がある。
 なおブレイバックルでもギャレンバックルでもレンゲルバックルでもない。
 そもそも使うカードが「A」ではないし、各「A」にあわせた設計もされていない。
 ほとんど聖遺物内部の限定解除機能任せ。

 そんなのでだいじょうぶかって? それでどうにかなっちゃったのがXDのコラボギアなんだよなあ……。(※おもにゴジラとか進撃の巨人とかのこと。ゴジラ細胞案件とか某意志案件とかのこと。聖遺物のプロテクトが凄い。)

 

 ………クリスティーナ???
(※公式がやってくれたおかげでやりやすくなったけど思考が追いつかない。)

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