【世界観が】ジョーカーアンデッドに転生しました【迷子】 作:ウェットルver.2
研究資料が散らばる、乙女の心を表す和風の部屋。
汚部屋、などと揶揄われた、合理性を突き詰めた(つもりの)私室にて。
フィーネキとも呼ばれた匿名の装者、並行世界の“風鳴翼”は、己の膝のうえで眠り続ける己の世界の“雪音クリス”の髪を梳かすように撫でて、悟る。
「………なるほど、そういうことなのか」
こことは異なる、“雪音クリス”によってめくられたカード。
ラウズカード。
そのスートは、ハート。カテゴリー2。
前回のバトル・ファイトの優勝者、人類種代表の
たかが1枚。
あらゆるアンデッドの力を引き出せる存在が、人類種の力を扱えるだけだろう。
そう調子よく、口笛を吹くような気軽さで「力を得たこと」を称賛する“掲示板”の者もいたが、そんなわけがないだろう。
己の愛する物語にすら、そんな都合のいい物語はなかったのだから。
「融合症例は、いずれ死に至る危険性を秘めて戦う。
私の知る『本来の物語』では、世界を救えると信じて翻弄された………ちっ、ダメだ、異世界の自分のことながら腹が立つ。そうだ、そんな都合のいい物語などない。
………我々にとっては、己の世界の運命こそが、真に『都合の悪い物語』だ」
バトル・ファイトは、繁栄する生物種を確定させる生存競争だ。
ラウズカードに封印された
つまり、ジョーカーニキと呼ばれた男の世界で、今一番重要な問題は。
ヒューマンアンデッドが封印されたことではない。
人類種代表のカードが、「ジョーカーの体内から生じた」ことが問題なのだ。
“雪音クリス”の歌、シンフォギア装者の資格ある者の歌、フォニックゲインを発生させる歌姫の力が原因であることが重要なのだ。ディケイドとやらは関係あるまい。
研究資料に乱雑に残されたサインを見つめて、そこにある櫻井了子の古代史考察を読み返す。満点だ、さすが並行世界の私の器。並みの人間よりも賢い。
だが、これを選んだ
そうだ、そもそも、この世界では。
自分たちが生まれた【シンフォギアの世界】では。
「………………負けるなよ、」
本当にグランギョニルを起動させて、自分から手を出そうか。
わずかに寝返りを打ったクリスが、私を見あげるように仰向けになる。
………やめておこう。今は、私のクリスを守ることに専念しよう。
この子の敵になりえる存在は、「フィーネ」が死んだ未来であろうと、そうでなかろうと、“立花響”が現れた世界であろうとなかろうと、たったひとりだけ変わらずあり続ける。
どういう皮肉なのだ。
そいつとほぼ同格の不死生物が、人類種代表のカードを得た、とは。
「私の想定しうる、最悪の可能性であれば。
我々の並行世界が融合する際、おまえの世界がすべての世界を………!!」
全人類絶滅。その運命を占うカード。
バトル・ファイトが開催されるまで、あと、どれほどの猶予があるのだろう。
遠い世界の私へ願う。
どうか、おまえの呪いを、すべての世界に刻まないでくれ。
私のクリスを、奪わないでくれ。
【世界観が】ジョーカーアンデッドに転生しました【迷子】3スレ目
96:ジョーカーアンデッド?(>>1)
………………みんなこないなぁ。
97:クウガ
みんな頑張ってくれているんだよ。大丈夫! (*OΨO)b
人間になれる。
そう気づいて、どれほどの時間が経ったのだろう。
手元のラウズカードを見るたびに、どこか、どうしようもなく心地が悪い。
まるで沼に沈められていくかのような、不気味な感覚がある。
「………どうしたの?」
気のせいだろうか。
ただ聴いているだけでも安らぎを与えてくれる。彼女の声がいつもよりも、その暖かさを増している気がする。声色も声量も、あんまり変わっていないのに。
ひょっとしたら。
ボクは、「ノイズと戦うこと」を選んだ、あの瞬間から、ずっと。
「なんでもないよ」
気づきは、先ほどの感覚よりも、ずっと怖い。
人間に戻るのが、怖い。
【ジョーカーニキは】隔離スレ【みるな】6スレ目
102:名無しのアンデッド
よし、ヒューマンアンデッドについては、ここまでにしておこうか。
未来のことばかり考えても、現実は見えてこないからな。
ジョーカーニキのあの反応、絶対さ、
人間に擬態するの、めちゃくちゃ怖がっているよな?
103:名無しのアンデッド
だよな。
104:名無しのアンデッド
間違いない。が、本質は人間に擬態することではないだろうね。
ジョーカーニキの欲望は、ヒューマンアンデッドに擬態した程度で満たされなくなるような代物じゃあない。罪の意識? まさか!
あったとしても、すでに乗り越えられるだろうさ! 抱えたままでね。
問題は、雪音クリス。
自分が守ってしまった「だれか」に、求められる姿を得ることさ。
「人間の」男と女、2枚のカードの組み合わせで起きることなんて、常にひとつじゃないか。
彼が忌避感を、そして恐怖感を抱いたもの、それは「男であること」さ。
ほかならぬ自分自身が、彼女を傷つけることだろうね。
105:名無しの装者
>>104
だまれ
106:名無しのアンデッド
>>104
フィーネキでなくともアウトだろそれ。セクハラ手前な。
107:名無しのアンデッド
>>104
そうかしら?
いくら頼れる殿方の姿になるとしても、それって、最初からジョーカーニキの姿のままでも愛せるってことじゃない。問題はクリスちゃんに、そのうえで「その気」があるかどうかしかないわよ?
108:名無しのアンデッド
御嬢様ネキ!?
109:名無しのアンデッド
っていうか。
愛や恋に浮つくのって、男でも女でも大差ないものなのね。
110:名無しのアンデッド
>>107 >>109
その性質上、恋愛に夢を見やすいのは男だからね。
ほら、かるく唇が重ね合っただけでもコウノトリが飛んでくるかのように錯覚する女の子が多ければ、コウノトリならぬ鶴が嫁入りにくると思う男もいる。
特に、男性の場合は傾向が顕著だ。
同じ欲望でもメカニズムから決定的にちがう。
であれば、孤独感から寄り添われただけでひとめ惚れするのも、やはり男であれば自然な現象だということでもある。わりとジョーカーニキを救いうる最後の切り札だと思うんだけどね。というかジョーカーニキがピュアすぎると思うんだ。
111:名無しの装者
>>110
きもちわるい
112:名無しのアンデッド
フィーネキが、つーか翼のほうがか?
精神的に参り始めてるからやめてやれ!?
113:名無しのアンデッド
>>111
あら、意外と初心なのね?
好きな相手がいるなら、聞いて損はない恋愛戦略だと思うわよ?
実際、後ろ姿が寂しい殿方ほど、ほどほどの距離感で接してあげれば頼りになる、それでいて勝手に頑張ってくれる相手もいないわ。
いい男になっていく過程を見るの、最高よ?
114:名無しの装者
だまって
115:名無しのアンデッド
フィーネキに恋バナはやめてさしあげろ。
つーか御嬢様ネキと色男爵ニキは黙ってくれ、フィーネの精神も翼の精神も焼き尽されるからマジで勘弁してやってくれ。
恋愛脳はかまわんが、特撮勢としてはNGだ!
………キバ*1とかグリス*2とかの前例があるから、本当は言えないけど!
116:名無しのアンデッド
やっぱり愛だよねっ!
117:名無しのアンデッド
>>116
それな。
フォーゼ*3もそうだけど、ライダーも結局、そこに行きつくよなぁ。
恋愛だけじゃなくて、もう全部の愛で平和をビルド*4するよな。
剣崎も「ひとを愛するがゆえに戦う」*5ライダーだし。
橘さん*6も「ある女性を愛したがゆえに逃げない」ライダーだもんな。
118:名無しのアンデッド
愛のない英雄譚とか、それ英雄じゃなくて戦闘マシーンだもんな。
どんだけ恋愛に初心で忌避感のある、夢見がちな、本気で恋をしたことのない人間が多いかって話よ。どんなに取り繕っても、真面目に夫婦にまで至る前提で、あるいは至れなくても愛を捧げよう、友達でいられないけど嘘はつかない、なんて生き様にまで背中をむけたら、それはもう仮面ライダーっていう英雄の皮だけを求めた無責任な野次馬だよな。
119:名無しのアンデッド
チェイスぅ………!*7 うわあぁぁぁ……ごめんよぅ…………!
120:名無しのアンデッド
あ、マッハ*8の転生者いたのか、ここ。
やっぱライダースレだから、ライダー関係者多めなんだな。
121:名無しのアンデッド
チェイスで思い出したけど、そういえば753もグリスもソウゴも、恋心を受け取ってもらえなくても、その愛を貫いて大切なひとを守り抜こうとした側の失恋ライダー*9だよな。
……思い出したわ。すまん、続けてもいい。
でもフィーネキに配慮してくれ。
122:名無しのアンデッド
はーい。
123:名無しのアンデッド
やれやれ、なぜ物語の恋は肩身が狭いんだろうね。
たったふたりの幸せを掴み取るための、最高の物語じゃないか。
フィーネの物語だって、つまるところは恋愛だというのに……ねぇ?
124:名無しの装者
それを言うな。文句を言えなくなる。つらい。
125:名無しのアンデッド
女を誘惑するのは蛇だが、男を誘惑するのは女の笑顔さ。
そのうえで話を聞いてほしい。
男はオオカミ、そう恐れる女の子もいるけれどね。
本当に恐ろしいのは、「自分の幸せを自分で掴めない」人間なんだよ。
そういう人間は恋愛にしか、己の幸せを得られる空間を見つけられない。
どれほどの名誉と財に囲まれても、たったひとりの異性に陥落してしまう原因でもある。
孤独。満たされない欲望。
これらが恋愛を歪ませる最大の原因なんだ。
126:名無しの装者
うぐ
127:名無しのアンデッド
>>126
恋愛に振り回される自覚がある人間ほど、恋を恐れる者はいないのさ。
君は大丈夫だろう。
だから、ジョーカーニキは。
【シンフォギアの世界】での欲望を、新しく見つけるしかない。
前世の自分、仮面ライダーの運命とは別の、今生の自分自身のために。
ああ、もちろん、「クリスちゃんを傷つけないために」。
128:名無しの装者
うん?
思ったより、その、色男爵ニキ、でいいのか? かなり真面目なのか?
129:名無しのアンデッド
大まじめだとも。
特に恋愛はね、おもちゃじゃあない。女の子も然り。
だからこそ、フィーネキ。
フィーネの物語も、素晴らしいものを生んだんじゃないのかい?
130:名無しの装者
…………口説いているならフっておくぞ?
131:名無しのアンデッド
うーん残念。その物語が素晴らしい。
あたま、が、いたい。
「うそつき!」
「いやいや、契約通りだ。
ちゃんと会わせてやったぜ、おまえのパパと、ママだ。
…………首だけ持ってきてやったけどな! ひゃあはははは! あばよ!」
女の子の泣き声が聞こえる。
ええと、だれだっけ。
「ジョーカー? ジョーカー!?」
雪音クリスだ。そう呼ばれていた子のはずだ。
だれにだっけ。手のひらのうえにある、長方形の砂の塊はなんだろう。
あれ、長方形だったけ? なんだっけ、この砂。
なんで、こんなの、持っているんだっけ?
「なにをしたの! なにを、したんだよっ!
答えてよ、ジョーカーになにをしたの!?」
なんだか、どこかの昔話でみたような、なにかが。
目の前のこを泣かせてる。なにしてんだよ、やめなよ。
「あん? まだ人格を保てるのか?
まあいいか、これで私たちの時間に繋がるだろうしな」
おおきなひとに、て、はらわれた。
ころんだ。どうしてころんだんだっけ。なにしてたっけ。
「せっかくだから、教えてやるよ。
今、私の相方の………おまえと契約したほうのイマジンが、おまえの記憶をたどって、おまえのパパとママが死んだ時間に飛んでいるのさ。そのタイミングにあわせて、ええと………………まあ、ようするにジョーカーの心を壊すんだとよ。
私は別の未来のおまえのおかげで、こうしてテメーを……おらぁっ!」
いまじん
って、なんだっけ? たたかわなきゃ。
「ジョーカーから、引き剥がせるってわけだ!
そうら、さっさと『この時代』のアイツに会わせてやるよ!
それでこの並行世界は滅びる、私達の時間に繋がるってこった!」
「やめ、やめろっ! たすけて、おきてよ、ジョーカー!」
―――“バトル・ファイト参加資格者を発見。”
―――“あちらの方角に向かえ。戦え。戦え。戦え。”
「聞こえねぇってさ!
ひゃはは、ついに人格がなくなりやがった!」
136:名無しのアンデッド
………そういえば、あいつ。
クリスちゃんの歌に、なんの忌避感もないんだよな?
137:名無しのアンデッド
そうよね。寝起きに聴かされても、印象がいいくらいだもの。
歌が好きなのかもしれないわね。なにか思いついたの、名探偵?
138:名無しのアンデッド
思いついた、っつーのとは違うな。
どっちかっていうと、だれの物語が一番重要になるか、だ。
ジョーカーニキか? それもそうだろうな。
だけどな、【シンフォギアの世界】には、ひとつだけディケイドを引き寄せるかもしれない時間軸がある………しかもフィーネ、たぶんヤツのせいだ。
フィーネキじゃないぞ。おまえは信じてる。
みんな思い出せ。“雪音クリス”は、どうして原作でああなった?
どうして歌えなくなった?
なぜ、ジョーカーニキの世界の“雪音クリス”は「歌を歌える」?
これから起こりうる、“雪音クリス”の過去と言えば?
139:名無しの装者
………………まさか、くそっ、おのれ、
「やはりな。
【シンフォギアの世界】……いや、
わざわざイマジンが飛んでくるとは、よほど時空が歪んでいるらしい」
「ああ? だれだ、お前は!?」
「通りすがりの仮面ライダーだ。憶えておけ」
140:名無しのアンデッド
………まさか。ウソでしょ?
ディケイドが破壊するのは、ジョーカーニキの物語じゃなくて、
バル・ベルデ
その答えは、ただひとつ。
というわけで、今回から【仮面ライダーディケイド】タグ追加です。