爆進!ウマランナー!! ~逆転☆熱血青春編~   作:はめるん用

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ダービーは地方が勝ちました。以上!(ムジヒな介錯)


真介錯・東京優駿編

「ふぅン? 『日本ダービー、ついに中央の手から離れる! 一強時代の終焉かッ!!』だそうだ。なんとまぁ今さらなことを騒ぎ立てているのだろうねぇ。そんなもの、2年ほど前にオークスで敗北したときからだろうに」

 

「そんだけ日本ダービーが特別ってことだろ。騒ぎたくなる気持ちはわからなくはねェよ」

 

 

 学園から彼に与えられたトレーナールームにて、彼が持ち込んだノートパソコンでニュースを確認してはケラケラと笑うアグネスタキオン。そんな彼女を冷めた眼で見ながらも、エアシャカールもなんて下らないことを騒ぐのかという部分には同意していた。

 GⅠを中央が独占していたことは知っている。それを理由に中央トレセン学園のウマ娘が特別視されていることも知っている。一強と呼ばれるのもまぁ理解できる。

 だが、それを今さら騒ぐのが理解できないのだ。日本ダービーより前の段階でGⅠはいくつも敗けているし、勝ったレースもかなりの接戦が多いのに。

 

「特別。特別、ね。あぁ、今回の日本ダービーは特別面白い展開だったねぇ! 地方のひとりが先頭。1バ身遅れて中央、そこから3バ身ほど離れて地方のふたりが3番手争い。そして──そこから大差で残りのウマ娘たち。いやぁ、実に面白い展開だった!」

 

「勝負になってたのは事実上ひとりだけ。さすがは皐月賞ウマ娘ってか? ハッ! 今度こそセンパイ方からも油断は消えるかねェ。オレならハナからそんなマネしないがな」

 

 サブトレーナーからスキルを学んだウマ娘たちと違い、関わりの薄い上級生たちの中には、未だに地方のウマ娘たちを侮っている者がいた。

 トレーニングは本気で真面目に取り組んでいるし、トレーナーたちの言うことを素直に聞いてはいるが、肝心のレースで油断をしているようでは全てが台無しである。

 

「……どうだろうね。皐月賞でもかなり苦戦していたが、油断だけが理由だとするのは早計ではないかな?」

 

「ほ~? なら、ほかにどんな理由があるって?」

 

「それがわからないから情報を集めに来たんじゃないか。ま、十中八九スキル関係の話になると思うけれど。いやはや、サブトレ君がいないのが残念だよ」

 

 おそらく、彼のトレーナールームは学園で1番セキュリティが甘い場所である。トレセン学園そのものが警備が厳重だからとカギすらかけてない。

 さすがに普段交流のないウマ娘たちはズカズカと入り込むことはないが、そうでない顔見知りのウマ娘たちは勝手知ったるなんとやら、である。

 知り合いとはいえ、トレーナーとはいえ男性の私室に無断で入るのは如何なものかって? いやいや、ただの仕事部屋なので大丈夫だよ。みんなの部屋さ。

 

「皐月賞のふたりといい、ダービーでは4人とも。オレたちもスキルは覚えたが……違ェな。もっと異質なナニか。この手のオカルト系はカフェのほうが得意なんじゃないのか?」

 

「彼女も何かしら感じたようだがね、どうもそういう話ではないらしい。となれば……カラクリがどこかにあるはずで……ふぅ~~む?」

 

 

 

 

「ふたりとも、ちょっと休憩するの! もうすぐ出来上がるよ」

 

 

 

 

「……だ、そうだ。とりあえず知識の空白よりも空腹を満たすのを優先しようじゃないか」

 

「そうだな……。ラーメンを放置して作業を続けるのはロジカルじゃねェ」

 

 

 ◇◇◇

 

 

「まずは紅ショーと、バターと粉チーズと~♪」

 

「えぇッ!? ジョーダンさん、そんなに調味料ラーメンに入れちゃうの~?」

 

「いやいや、とんこつラーメンはデコるのがマジ最高なんだって。むしろこうすることでとんこつに対するケーイってヤツ? 逆に払いまくりだし。マジとんこつラーメンリザレクションってヤツ!」

 

「なに甦らせんだよ」

 

「とりあえず感謝の気持ちは伝わっとるからええんちゃう?」

 

「うわぁ。本当にちゃんとラーメンの匂いがするなぁ。へへっ、なんだかソワソワしてきちゃった!」

 

「カップ麺を食べたことがない、とはねぇ。ライアン君らしいと言えなくもないが」

 

「あんまり体にイイものじゃないけど、たまにみんなでワイワイ食べるくらいどうってことないの!」

 

 出入り自由な彼のトレーナールームには大量のカップラーメンの備蓄がある。手の込んだ料理はもちろん美味しいものだが、たまにはジャンクな食べ物を身体が欲するので仕方ない……というのが彼の言い分である。

 それを独り占めするのではなく、ウマ娘たちも自由に食べてよしとするあたりが実に彼らしい。ついでに冷蔵庫の中の物も、腐らせて廃棄するくらいなら胃袋に。

 

 さて、そんなカップ麺の楽園で現在数名のウマ娘たちが放課後という夕食までの時間的にあまりよろしくないタイミングでパーティーを開催している。

 ことの始まりは雑談の最中、メジロライアンがカップラーメンを食べたことがないと発言したことにある。

 そんな、なんてもったいない! とファインモーションとトーセンジョーダンが騒ぎだし、それを見てなんとなく不安になったアイネスフウジンとタマモクロスが同行する形となった。

 多少、金勘定に思うところがあるアイネスとタマであるが、それならGⅠを連勝するようになったら出世払いで返してやろうと割り切って楽しんでいる。

 

「って、あー! タマさんも! それ、それどうするつもりですか!?」

 

「んー?」

 

 タマモクロスが選んだのはカップ焼きそば、すでに湯切り済みでわかめスープも誕生している。麺は濃いめのソースをしっかりとまとっており、青海苔と紅ショウガのふりかけもすでに湯気の中で踊っている。

 そこまではいい。だが完成したはずのカップ焼きそばの上で作業を継続するタマの手元には、なんと“めんたいポテトサラダ”と印刷されたビニール製のパッケージがあるではないか。しかも周囲にはお皿の類いは存在しない。つまり──。

 

「どうもこうも……からしマヨネーズの親戚みたいなもんやからヘーキヘーキ! はいどーん☆」

 

「あーッ!」

 

「まだまだ! ウチのターン、賞味期限間近の温泉たまごをドロー! 焼きそばフィールドに特殊召喚や!」

 

「なーッ!?」

 

「いや、そこまで騒ぐほどのこっちゃないやろ。それになファイン、よー見てみぃ。ウチが手掛けとんのはカップラーメンやない。カップ──焼きそばやぁッ!!」

 

「ッ! 言われてみればそうだった! なら安心だね!」

 

 

「あはは……ファインモーションって、けっこう賑やかな子だったんだね……」

 

「ラーメンにかける情熱はエアグルーヴさんのお墨付きなの。ライアンちゃん、はい、お箸」

 

「ありがとうアイネス。どれどれ……おぉ、想像よりずっと赤いかな……」

 

 カップ麺初心者であるメジロライアンが選んだのは、よりによってトウガラシ系の真っ赤なパッケージであった。

 なぜわざわざそんなものを選んだのか? 様々なカップ麺が並ぶ中でライアンの知っている単語がそこに書かれていたからである。

 カップ麺は知らないが、カプサイシンなら知っている。別に辛いものは苦手じゃないし、インスタント食品ならばそこまで辛くもないだろうという判断である。

 止めるべきか悩みつつ、これもまた経験だろうとアイネスは黙ってのむヨーグルトを用意した。

 

 データもないのによくまぁイロモノを選んだものだと感心しつつ、エアシャカールも自分のラーメンの仕上げに取りかかる。

 乾燥タイプではない生の具材を後入れすることで味と食感を立体的にし、そこに彼のお手製である山椒オイル入りの肉味噌を加えることで輪郭と奥行きを与える。

 

 アスリートがこの手のジャンクな食べ物を摂取することはロジカルではないと言う者もいるだろう。それを否定はしない。

 しかし、カップ麺は理屈で食べるものではないのだ。コストパフォーマンスを求めて店物のラーメンの代替品として食べる者もいるだろうが、それだけではない。

 

 ラーメンの替わりではなく、カップ麺が食べたいのだ。そこにロジカルな思考は必要ない。

 

「……それでタキオン、油断だけが理由じゃねェと言ってたが、なにか仮説のひとつくらいはあんのか?」

 

「ふぇ?」

 

「いや、いい。飲み込んでから喋れ。ほっぺたリスみてェにパンパンになってんぞ」

 

「んぐ……んぐ……ふぅ。仮説らしきものはなくもないよ。全部を説明すると時間が足りないのでね、結論から言わせてもらうけど──スキルには3段階あり、GⅠに勝利している地方のウマ娘たちは、1番上の“ナニか”を会得しているのだろうね」

 

「3段階、か。なんとなくそんな気はしてたが」

 

 形のハッキリしたデータを重視するエアシャカールは、もちろん過去のレースの映像もチェックしている。スキルを学ぶようになってからは、特に例のトレセン学園のウマ娘の映像は細かく観察していた。

 スキルにはもうひとつ、上のランクが存在する。とことん数値化して分解と再構築を繰り返すことで、そこまでは自力でたどり着いていた。それをサブトレーナーに確認したときにアッサリと肯定されたときはつい舌打ちをしてしまったが。

 

 だが、さらにその上についての言及はなかったはずだ。古巣に贔屓した? いや、それはない。もしそのつもりならスキルのことそのものを黙るべきだ。環境で優位な中央がスキルを使いこなせば地方の勝ち目はさらに低くなるのだから。彼は良くも悪くも平等なのだ。

 あるいは、それでも地方のウマ娘たちが勝つと信じていることの裏返しなのか。それはそれで面白くないが、地方のGⅠウマ娘たちの不気味な強さを感じてしまった今ならわかる。

 

「サブトレ君がなにも言わないのは……彼自身がそれを教えることができないから、だろうね。それが可能ならば、いまごろGⅠは根こそぎ地方に持っていかれただろう」

 

「ふーん? でもそのうちアタシらも使えるようになるんでしょ? そのヤバいスキルのスゲーヤツ。だって地方のコたちが使えるんだから。アタシらだってスキル使えるワケじゃん?」

 

「前向きで結構なことだねぇ。ま、私たちもサブトレ君からスキルを学んでいる以上、新しい可能性を導き出さなければなるまい? ウマ娘たるもの、トレーナーの期待に応えなければ」

 

「「…………」」

 

「君たち。言いたいことがあるならハッキリ言いたまえよ」

 

「目の前のタキオンさんはニセモノなの」

 

「ホントに遠慮がないねぇ!?」

 

「日ごろの行いが悪い。ま、新しい可能性を~っちゅうのはウチも賛成やけどな」

 

 

「そうだろうそうだろう? ということだ。新しい可能性を探しに──パソコンの閲覧履歴でも開いてみようかな」

 

 

「なんでやねん。どーゆー流れでそうなんねん」

 

「自分で検索をかけると同じようなページを巡るだけで終わってしまうからねぇ。これも新しい閃きを求めるが故の行動なのだよ。さてはて、皆はどんなお宝ページを検索しているのかなぁ?」

 

「お宝? インターネットに宝物が隠されたページがあるの? それってどんな──」

 

「ファインさん、アタシのとんこつラーメンひと口どう?」

 

「え、いいの? ありがとう!」

 

 

「ふぅン? 『タブレット 漫画 広告』と。これはこれは。自分の携帯端末に検索履歴が残るのをイヤがったのかな? あっはっは! いまどきの女子校にも、なかなかピュアなウマ娘がいるものだねぇ!」

 

「マンガを探すのをイヤがるの? 広告で出てくるってことはオススメされてるんじゃ──」

 

「ファイン、ウチの焼きそば食べてみるか?」

 

「え、いいの? ちょっと気になってたんだ!」

 

 

「あんまり褒められたシュミじゃねェな。つーか完全に楽しんでるだけだろテメェは」

 

「ちょっとした息抜きじゃないか。いくら私でも研究ばかりでは頭が疲れてしまうよ。それに、この程度で個人につながる情報など得られないだろう? プライバシーは守られるさ」

 

「みんなが使うパソコンだからね~。そこまで変なことに使う勇者なんてそうそういないの」

 

「パソコンを使うだけで勇者になれるの!? すごい、ファンタジーだね! ところでそれはどういう──」

 

「ファイン、トウガラシ麺も試してみるかい?」

 

「え、いいの? ひと口食べてみたかったんだ!」

 

 

「ま、冗談はともかく。ここは素直に先輩に相談してみるしかないかな? 日本ダービー以降、なんだか精神統一ばかりしているらしいし、そこになにかヒントがあるかもしれない」

 

「精神、心の在り方がどうのってか? オレの専門分野からは外れるんだが。出遅れている以上、手段を選べる立場じゃねェ……か」




ゲームの趣味は似るものなんだなと実感した次第です。

公式からガイドラインが発表されたことで、自分の作品を見直す流れもあるようですね。
本作も、タグやタイトルで予防線を張っているから……と開き直るようなことはせず、表現方法と真摯に向き合いながら書き進めていこうと思います。

下ネタそのものは好きなんですが。浦安鉄○家族とか生徒会役○共とかゴール○ンカムイとか。
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