神医と呼ばれた男(中身アホ気味転生者)   作:アルマリ

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祝福を汚すな(ガチギレ医師の抗議電話)

医師の抗議には文だけではなく電話も存在する。

 

 

時は遡りライスシャワーがミホノブルボンの三冠を阻止した時まで戻る。

 

 

『国民の見ている放送で大人が寄ってたかって高校生の年齢の子供に心的外傷後のストレス障害(PTSD)になる可能性すらある罵倒とウマ娘の花舞台でのブーイング……医者に喧嘩を売りたいなら買ってやろう、年末に提供予定の最新薬や最新医療機器の特許を他国に渡す。もちろん俺も売国奴となるので医師は辞め、賠償金を払い資産は寄付して国外で一生を過ごす』

 

 

 

 

「謝罪!! 申し訳ございませんでした!!どうか挽回の機会をいただきたい!!!」

 

 

 

ヘドバンしそうな勢いで謝る理事長、いきなり掛かってきた電話は医療関係では全ての国で最新鋭を誇る日本の危機を告げる静かな怒りだった。

 

 

 

『む、理事長ですか? URAに繋げた筈……生徒の事だからと学園に繋げた? 今度は直通の電話番号を聞き出さないとな……オホン! 申し訳無いが理事長がURAにお伝えいただきたい』

 

 

 

 

 

「了解! 一言一句間違い無く伝えます!」

 

 

 

 

『ごめんね、やよいちゃん……では今すぐライブをやり直していただきたい、費用は俺が持ちます。ブーイングを行った愚か者共を下げて、肩身の狭い思いをしていた純粋なレースとライブのファンを前に出して欲しい。ライスシャワー君は2番人気だった筈、ファンが来ていない筈がない』

 

 

 

やよいの後ろでたづなが鬼気迫る勢いで言葉を文書化している。受話器から離れているが耳が良いようだ。

 

 

 

『多くは求めません、勝者に歓声を敗者にも歓声を。レースもライブも通常通りに戻していただければ満足です。その後の報道に関しては俺の名前を存分に使い、ルナ……シンボリルドルフが納得する内容以外の報道はURAで注意勧告を出して下さるなら前言の一切を撤回します』

 

 

 

「承知! 恐らく全て通るだろう!通してみせます!」

 

 

『ルナの所とココは伝えないでね、やよいちゃんとたづなちゃんを疑ってはいないし申し訳ないと思ってる。苦労はあるだろうけど君達の志は正しいと俺は信じている、出来れば俺や他の医師の世話にならない程度に頑張って欲しい……そろそろライスシャワー君に電話するから切るけど、医療関係なら遠慮なく俺に全てを投げていいからね』

 

 

 

「かっ、感謝!ぁありがとうございます!」

 

 

 

涙声だが礼を言うやよいを温かい目で見守るたづな、そして独特の音と共に通話が切れる。

 

 

ここで終わればいい話で済んだのであろうが、やよいとたづなは恐らく数時間はノンストップでURAや関係各署に電話をかけ続ける苦行が待っている。

 

 

だが自らの学園のウマ娘の為ならば苦はないと涙を拭い電話に向かう。

 

 

その後ろでスマホを4台スピーカーモードにしながら受話器を使い、同時に5人に連絡をとっているたづなの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

芙蓉ステークスの後に判明した骨折、それを今日退院できるけど明日までは泊まっていきなさいと言われた際の事。

保護者説明の際に出走手続への名前貸しのトレーナーしかいないと言ってしまい、ならばと先生のプライベートナンバーを交換した。

 

トレーナーではないが医師だからトレーニングやレース後に不調があれば連絡しなさい遠慮はしない事と、気軽に電話できないが急患が無い限り大丈夫な時間を教えてもらった。

 

 

何度か電話したがいつも嬉しそうに答えてくれるお医者さん

 

 

どうしてこんな時に、と思った

 

 

 

「もしもし」

 

 

 

『ライスシャワー君かい?君が大変な時に申し訳ない、でも関係がある事なんだ』

 

 

 

「関係?ライスなんかと?」

 

 

『……ああ、ウィニングライブは終わっていない』

 

 

「終わったよ……ライスはもう」

 

 

『終わってないさ、君が笑顔にならないと終わらないんだ。』

 

 

遮るように何度も終わっていないと繰り返す。

 

 

『心無い言葉に傷ついた君に無茶を言う俺を恨んでくれていい、君に少しでも勇気が残っているなら来た道をゆっくりでいいから引き返してもらいたい』

 

 

ライスは本当に先生を恨みたくなった。

 

あの場所に、戻れと言われたのだ。

 

あの場所は2色なのに、自分はいない方がいいのに

 

でも怖くて声が出ない

 

 

『君に怪我が無くて良かった』

 

 

 

医師らしい言葉

 

 

 

『君はヒールではない』

 

 

 

『君が一着になって良かった』

 

 

 

『俺は君の走りがカッコいいと思う』

 

 

 

『君の応援をして良かった』

 

 

 

一つ一つ肯定の言葉を心から言うように、ゆっくりと語りかける。

 

 

勇気を振り絞る。

 

 

 

 

『さあ行きなさい、君の名前の通り祝福が待っている』

 

 

 

信じてみたいと、思った

 

 

「ライスさん」

 

 

「ブルボンさん?」

 

 

 

『後は君達の時間だ。精一杯楽しんでくるといい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見渡す限りの青い光

 

 

 

「信じて良かった……お兄様」

 

 

 

 

 

ライスシャワーは祝福を改めて受け取る。

 

 

約束通り、最後は笑顔で

 

 

 

 

 

 

 

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