人間がウマ娘に負けるわけないだろ!いい加減にしろ!!   作:なちょす

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ちょこちょこと過去話の誤字報告を頂いております。ありがてぇ⋯⋯夜勤明けのクソみたいなハイテンションで書くからこうなんだお前はいつもそうなんだ。2度とするんじゃないぞ。
今回も夜勤明けです♡(手の平マンドリル)

基本サポカは回さない民ですが、ロブロイがまだ来ないと信じて激マブサポカ狙います。SSRカレンチャンと同じときめきと衝動を感じてしまった⋯⋯これが恋?あの日忘れてしまったトレンディ?こちとらエンジョイ勢、性能なんか二の次だオラッ!ポエム吐けッ!!

『星降る石畳を踏んで君はゆく。一歩半だけ先を(ry』


特別R : 花嫁讃歌

 June bride(ジューンブライド)

 それは6月に行われる結婚式の別名のようなものであり、世間一般的には『生涯の幸せな結婚生活』という意味もあるらしい。女性達にとっては1つの憧れが有るとか無いとか。

 

 

 さて⋯⋯本日勇者御一行がお邪魔しているのは、とある教会である。保健室では無く、マジな方の教会。と言うのも、何と雑誌の特集記事の仕事が舞い込んで来たのだ。

 

 その名も───『ミューズ特集』。

 

 ミューズとは何か⋯⋯ふふっ、実は俺も詳しく知らない。ビューティードリームカップと言うレース(?)に勝ったウマ娘達が選ばれる、何か特別な称号的なものだと相棒は言っていた。選ばれたウマ娘達には、ビューティー何とかさんという人からスペシャルな衣装を進呈されるのだとか。それならウチの子達が選ばれないわけが無いな。なんたってキュートでビューティーなんだから。何故デジタルが居ないのかは謎だが。

 

 勇者御一行からはカレン、マヤ、ボーノ。後輩ちゃんの所からはライスとベロちゃん⋯⋯もとい、エアグルーヴ。他にも何人かのウマ娘達が居るが、午前の部はウチらの撮影がメインである。

 

 あっ、トレセン内でも唯一抜きん出た精神安定剤のウララちゃんを忘れてはならない。うっらら〜。

 

 話が逸れてしまった。ビューティードリームカップ⋯⋯確かに俺はなんだか良く分からないのに、3人娘が出たいと言った時には秒でGoodサインを出してしまった節がある。

 

 

 カレン曰く、もっとカワイイカレンになりたいと。

 お前さん可愛さカンストしてんのにまだ上目指すの?お兄ちゃんそろそろEclipse First決めんぞ。ポニーちゃんの出走準備も整ってんだよ。整うな。寝てろ。

 

 マヤ曰く、もっとキラキラな大人のレディになりたいと。

 充分キラキラだよ?いつまでも純粋キラキラ可愛いマヤちゃんで居ておくれ。後はトレーナーちゃんの顔に助走つけて飛び付いて来なかったらバッチリだから。いよいよ腰いわすわ。

 

 ボーノ曰く、もっと皆でちゃんこになりたいと。

 なに?

 

 

 まぁそんなこんなで、現在ミューズの皆様方は花嫁姿に身を包んで写真撮影中である。因みにウチのオタクも撮影中だ。カメラマン側でな。

 

 

「はぁ⋯しゅてき⋯⋯ウェディングドレスから溢れ出るウマ娘ちゃん達の真っ直ぐな想いや愛がふつふつと滲み出て⋯⋯デジたんも頭がぐつぐつしそう⋯⋯♡匂い嗅ぎたい⋯⋯♡」

「お前の変態発言にこっちはお肌がぶつぶつだよ。何でいつもよかヤバみ増してんだ。」

「はぁ〜⋯⋯(クソデカため息)。」

「(クソデカため息)って口で言う奴初めて見たわ。そんなに?」

「そりゃそうですよ!ウェディングドレスというのは皆さんの想いが込められた本当の勝負服!言わば人生一度きりの正装!自分の気持ちという名のクソデカ感情を『これでもかッ!』と表現しつつ大切な人に綺麗な自分を見てもらいたいという健気な乙女達の儚くも美しい夢の形なんですよ!それに見とれずして何が変態か!!」

「近いって⋯⋯発電出来そうな熱量で迫るな⋯⋯。」

 

 

 先生は今日も絶好調。楽しそうでなによりです。

 

 しかしまぁ言っている事もよく分かる。普段は可愛いに身を包んだウチのウマ娘達だが、今日という日は綺麗を着飾っていつもとはまた違った印象だ。一緒に写真を撮っているマヤとボーノ然り、カレン然り⋯⋯なぁんで1人だけ黒ドレスなんですかねぇ?

 

 毎回思うけどお前さんの気合いの入り方だけ凄いんだよ。中等部が出していい色気じゃねぇんだって。そんなにお兄ちゃんを惑わしたいのか?喜んで狂い飛ぶぞ俺は。

 

 

「黒のウェディングドレスって、"貴方以外には染まりません"って言う意味らしいですよ。」

「ふむ、やはりガチか⋯⋯何で心を読んだの?」

「もしや口に出した自覚がお有りでない?」

「ヌッ!」

「しかも喜んで狂い飛ぶと仰る?」

「ヌヌッ!」

「わかりみが深い。」

「そういうとこ好きだぞ。」

「アタシもトレーナーさんの割とガバな発言は好きですよ。」

『へへへへ⋯⋯。』

 

 

 サラッと毒づかれたが許されたらしい。だが今のは非常に危なかった⋯⋯これがカレンの耳にでも入ろうものならお兄ちゃんが狼狽えている事がバレてしまう。動揺を見せるな。傍観者として過ごす撮影会とは言え、油断をしてはならない。

 あの芦毛の怪物は俺の抜け目を決して見逃しはしないのだ。少しでも隙を見せればすぐに手玉に取られてすっぴんわっしょいの大騒ぎ、ポニーちゃん改めヌヌヌの亀太郎も色欲アンテナビンビンからの朝まで寝床で運動会である。目玉の親父ならぬ、三十路の親父が大目玉だ。玉入れの会場はこちらになりまーす!中止に決まってんだろ。

 

 まぁ、今回はいつもみたいな距離感で詰められることは無いけどな。だって見てるだけだし。この分には最早父親の様な気持ちで彼女達の仕事ぶりを傍観するのみである。あーはっはっは!!

 そうしてふんぞり返っていたら、後輩ちゃんと同い年か、もう少し若そうに見える女性カメラマンさんがパタパタとこちらへやって来た。

 

 

「じゃあ次、トレーナーさんが新郎役でお願いします。」

「えっ。」

「皆さん写真映りが素晴らしいですからね。彼女達の事をよく知っているトレーナーさんと接すれば、最高の花嫁姿を見せてくれるはずですから⋯⋯と、予めアグネスデジタルさんから伺っています。」

「お前ぇッ!!」

「言いましたッ!今回はちゃんと言いましたぁッ!!」

「そんな記憶無いんだよ!嘘つくのはこの可愛いお口かオラ!ベビースキンがッ!」

「トレーナーさん『楽しみで寝れない』って遠足前の小学生みたいな事言って寝不足続きだったじゃないですか!知りませんよそんな事ッ!!」

「えっ、あっ、ご、ごめん⋯⋯。」

 

 

 普通に怒られた。めっちゃ凹む。

 ウチの愛バは自己肯定感の低いハイスペックウマ娘ではあるが、俺にはたまにこうしてカミさんというか⋯⋯おかんみたいに怒る。正直かなり怖い。普段温厚な子を怒らせてはならないと言うのは、人もウマ娘も共通らしい。

 

 

「場を盛り上げる小道具も、人数分学園側から提供して頂いたので、どうぞこちらも使って下さい。」

「使って下さいって指輪しかないじゃないですか⋯⋯花束とかじゃダメだったんですか⋯⋯?」

「YES/NO枕なら有ります!」

「1番自信満々に出されたくないものですよそれ。」

 

 

 ⋯⋯本当にやるのか。三十路の良い大人が、教え子の女子学生相手にプロポーズの真似事を。

 

 いやーキツイでしょ⋯⋯。

 マヤとかボーノにやるのにも気恥しさと抵抗があるのに、1人真似事じゃ済まなそうなのが居るんだって⋯⋯チラ。

 

 

「⋯⋯⋯⋯あはっ♡」

 

 

 ほらぁッ!!あの芦毛はこっちを喰う気満々なんだよ!ただでさえ弱み握られてんのに何で自分からポニーちゃんも握られるような真似しなくちゃならねぇんだ!大体何でもう乗り気なんだよ!さては俺以外全員知ってんな!?またこのパターンじゃねぇか!!

 

 カレンの顔は完全にこっちを手玉に取るソレだ。今まで何度も見てきてはすぐさま実行に移されたんだから俺は良く知っている。

 可愛い+綺麗+お兄ちゃん以外に染まらない意志を着飾ったウマ娘相手に、たかだか童貞に何が出来ると言うんだ。これにはヌヌヌの亀太郎改め子泣きじじい⋯⋯もとい俺の子並みじじいもヒヒンと泣かざるを得ない。

 お前泣いたら固くなる妖怪なんだから絶対泣くんじゃねぇぞバカヤロウ。

 

 仕方なく指輪を受け取りつつ教会の壇上に立つと、1番手にマヤちゃんが前に立った。

 はぇ〜⋯⋯すっごい綺麗⋯⋯印象がガラリと変わるのね。その黄色を基調としたドレスはよく似合ってるぞマヤ。ビューティー何とかさん、グッジョブ。

 あっ、でもそんなにデコルテ出して寒くない?建物の中そこそこ冷房入ってるからトレーナーちゃんちょっと心配。

 

 

「トレーナーちゃん⋯⋯マヤね。キラキラした大人の女になりたいっていつも言ってたけど⋯⋯それって、トレーナーちゃんにちょっとでも近付きたかったんだ。」

「うん。」

「この勝負服にも、マヤのそういう想いとか、大好きっていう気持ちを沢山込めたの。だから⋯⋯だからね。トレーナーちゃんの言葉が欲しいな、って。」

 

 

 普段ならこの段階で真っ赤になる純情トップガンのマヤちゃんだが、今日は恥ずかしさの中にも決意がこもった眼差しである。成程⋯⋯勝負服と言うのも納得。女性とは服装でこうも変わるものなのか。

 

 これにはトレーナーちゃんも気の利いたイケメン台詞を⋯⋯⋯⋯いや浮かばねぇな。そもそもさっき聞かされたのに用意出来るわけがねぇ。身長差30cm、目線の高さが犯罪臭に拍車をかけている。大人としての良心と抵抗が⋯⋯いや。俺は大人である以前にトレーナーだ。ならば彼女達の想いに応えねばなるまい。

 

 こちとら友人の結婚式は出席率100%の、言わばブライダル童貞!俺を無礼るなよ!!

 

 

「マヤ⋯⋯今日のマヤはいつもよりキラキラしてるよ。凄く綺麗で⋯⋯キラキラしてて⋯⋯⋯⋯綺麗だ。」

「はいカット!!」

 

 

 相棒の声が教会に響いた。えっ?何そのこっち来いってジェスチャー。ダメ出しあるの?

 

 

「トレーナーさん⋯⋯語彙力、何処に置いてきちゃったんですか?」

「だっ、だって⋯⋯用意してなかったし⋯⋯折角なら記憶に残る日にしたいじゃん⋯⋯。」

「だからって無理に格好つけようとしなくても良いんです。いつも通りのトレーナーさんの言葉が、皆さんは欲しいんですよ。思った事をそのまま言ってあげて下さい。そして早くアタシに可愛いウマ娘ちゃん達のナイスショットを。」

「この野郎。」

「トレーナーさん!!」

 

 

 突然大きな声を出して、カメラマンさんが走ってきた。

 

 

「どうしました?」

「あの⋯⋯この枕、YESしかないんです!」

「貴女は何の話をしてるんですか。」

 

 

 気を取り直してtake2⋯⋯とは言うものの、思った事って何を話せばいいのよ。『綺麗』とか『可愛い』ではありきたりすぎやしないか?だって毎日の様に言ってるぞ俺。

 ヌッ⋯⋯詰み。砂かけババアならぬ、愛バからのけしかけバ場は稍重です。

 

 

「トレーナーちゃん⋯⋯やっぱり、マヤだとダメかな?魅力⋯⋯無い?」

 

 

 アッ!マヤちゃんが分かりやすくしょんぼりしちゃった!

 いかん、頭をフル回転させろ!今日はある種の記念日だ。こんな顔をさせるのはトレーナーとして頂けないし許されん。デジタルにもボコボコにされちゃう!!

 

 

「マヤ。俺にとってはさ⋯⋯マヤは出会った時からずっとキラキラしていたんだよ。純粋で、物分りが良くて、たまに駄々をこねるけど素直な子で。『夢中になっちゃった?』ってマヤは聞いてくれるけど、夢中じゃなかった時なんて無いさ。」

「トレーナーちゃん⋯⋯じゃあ、えっと、今のマヤ⋯⋯キラキラ、してる?」

「キラキラっていう言葉じゃ足りないな。」

 

 

 地面に膝をつき、マヤの左薬指へと指輪を通した。

 

 

「とっても素敵だよ、マヤ。これからもずっと一緒に居てくれないかな。」

「⋯⋯はい。」

「はいカットー!!OKでーす!」

 

 

 フゥ⋯⋯良かった、マヤの表情を見るに納得していただけたようで。

 

 ウチの相棒もこれには満足───いや逆ぅーッ!!なんでお前がカメラやってんの!?それ隣で枕持ってる人の仕事だから!カメラマンさんも枕でYES表示されても分かんねぇよ!それYESしかねぇんだろッ!?仕事しろ!!

 

 

「はい、ではどんどん行きますよ〜!」

「⋯⋯良いけどさぁ。」

 

 

 思う所があるが、取り敢えず新しい指輪を受け取り壇上へ。うぉっ、ヒシアケボノさんおっきぃ⋯⋯女神⋯⋯。普段の勝負服が青と白を基調としたパティシエチックなものに対して、ドレスはピンク⋯⋯ピンク!?やはり女神は実在した。

 頭のお団子もいい塩梅である。ただデコルテを出してるせいで、勇者御一行随一の大きさを誇る"アケ"と"ボノ"が物凄い存在感。ダスカといいドトウといい、ロブロイといい⋯⋯どうなってんだ中等部!

 だが動揺することは無い。ボーノはウチの女神。真っ直ぐな気持ちで向き合えばなんてことは無いんだ。例えどんな面白発言が飛び出してもな。

 

 

「トレーナーさん。」

「うん。」

「あのね⋯⋯うーん⋯⋯言いたかったこと、いっぱいあったんだけど⋯⋯忘れちゃった。」

 

 

 カワイイな。

 

 

「でもちゃんと言おうと思ってた事は分かるよ。あのね⋯⋯私に居場所をくれて、ありがとう。」

「えっ?」

「私、怪我でもう昔みたいに走れないでしょ⋯⋯?皆は普通にお話してくれたりしてくれるけど、やっぱり気にはしてたの⋯⋯自分だけちゃんと夢を追い掛けられない事。それでも、ここに居てもいいのかなって。でもトレーナーさんは、『必ず自分が治すから居て欲しい』って言ってくれたこと、本当に嬉しかったの。デジタルちゃんにも、皆にも、いっぱいありがとうって言いたくてね⋯⋯あれ?これだと花嫁っぽくないかな?」

「いや、良い。良いんだ⋯⋯ボーノ。」

 

 

 鼻の奥がツンとしてきた。普通にそんな事言われるなんて思ってなかったもの。いつものちゃんこ発言どうしたの?あっ、泣きそう。なんなら相棒はダメだったらしく、嗚咽が聞こえてくる。

 

 

「必ず約束は守る。皆が好きだった、ダイナミックな走りをするヒシアケボノを取り戻してみせるから。これからも一緒に居てくれ、ボーノ。それから⋯⋯毎日美味しいご飯、ご馳走様。」

「⋯⋯うん!」

「ビューリフォーッ!!」

 

 

 相棒かと思ったらカメラマンさんだった。あの人⋯⋯何なんだろう。

 

 とは言えだ。ボーノの本心をちゃんと聞けたのは嬉しいし、俺もトレーナーとして今以上に頑張らなければならないと改めて思う事が出来た。それだけでもやって良かったと思うのは単純だろうか。

 

 ⋯⋯⋯⋯よし。決意が漲ったぞ。ふぐふぐ嗚咽を零している相棒から最後の指輪を受け取りつつ、壇上へ。

 

 

 さぁ残す所最後の一人となりました。ブライダルステークス1枠3番1番人気のこのウマ娘。

 

 

「お兄ちゃん♡」

 

 

 カレンチャンでぇぇえええすッ!!

 目の前に立った芦毛の怪物はニコニコと微笑んでいた。魔性の笑みである。遠目に見たら黒ドレスしか気にならなかったが、こうして近くで見るとより一層大変な事になっているじゃないか。

 

 まず何だそのスケスケお耳は。普段カチューシャみたいな耳カバーで隠してるのに、何でここでそんなものを出してきた。お前さんは軽い気持ちでシースルーにしたかもしれんが、お兄ちゃん流石にseeスルーは出来んぞ。

 

 確かに以前、カレンとマヤ2人のお出かけに付き合った時はそんな話も出たさ。『お兄ちゃんは多分こっちの攻めた方が好きだよね♪』とか言われて『うん好き。』と賢さ下がり切った返答もしたよ。

 

 絶対今じゃねぇだろ!?何でこのブライダルのタイミングでスケスケハレンチャン状態になるんだよ!小物として用意された筈のYES/YES枕が小物で済まなくなるんだぞ!?あとその脇出しスタイル!所々に装飾されたレース生地!お前さん300万人以上に可愛さバレてるのにその攻めに徹した格好なんなの!?300万人<お兄ちゃんを堕とす♡って優先順位おかしいから!全力をそこに注ぐんじゃないよ!ジューンブライドどころか不純ブライドだわ!!

 

 

「お兄ちゃん?どうしたの?」

「何でもないぞ。うん。今日のカレンは、YESだね。」

「ありがと♡」

 

 

 はぁんカワイイーッ!!待てポニーちゃん落ち着け。バクシンしようとするんじゃない。落ち着いて思った事をそのまま口にするだけでいいんだ。簡単な事じゃないか。

 

 カワイイ⋯⋯いや、違う。カレン相手にカワイイは、俺に童貞と言ってるぐらい今更だ。なんだと?

 なら、いいスケスケだ⋯⋯違う違う、そうじゃない。事案発生だよ。

 

 あっ、ダメだ何も出ねぇ。出るには出るが人前で口に出しちゃいけないわこれ。

 デッ、デジタル!助けてデジタル!!何言ったらカレンが喜ぶのかお兄ちゃん分かんねぇよ!!

 なに?なんだそのジェスチャー⋯⋯『グッときて♪Chu』?ふざけているのか貴様ッ⋯⋯!お前は俺を社会的に殺したい程恨みがあるのか!?カレン相手に出来るわけがねぇだろう!『ギュッとして♡天誅』されるわ!

 

 

「なんだかドキドキするね?」

「⋯⋯そうだな。きっとカレンが、いつも以上に魅力的に見えるからだと思うよ。」

「本当にそう思ってくれてるー?」

「本当さ。」

 

 

 ヌッ!?お、お前そっちからお兄ちゃんの手を握るのはレギュレーション違反だぞ!!待て、指を絡ませるんじゃあないッ!!それは実質指ぴょいだ!あぁ〜〜〜手袋の素材こだわってるぅ〜〜〜ッ!

 

 

「⋯⋯お兄ちゃん。今日のカレン、本気だよ。」

 

 

 犯行予告かな?

 

 

「本気のカレンが、本当に"カワイイ"勝負服を着て、お兄ちゃんの前に居るの。お兄ちゃんならきっと⋯⋯この意味、分かるよね?♡」

 

 

 本気のカレン

 ↓

 お兄ちゃん以外に染まらない意志

 ↓

 分かるよね?(威圧)

 

 

 分かりたくないよぉっ!!DEAD ENDじゃん!どう足掻いても美味しく頂かれちゃうじゃん!!この世は諸行無常かもしれんが、何が悲しくて教え子からの無情な所業で最後を迎えねばならんのだチクショーッ!!

 これに回答しろと?100点満点のスパダリムーブを披露しろと??無理に決まってんだろこんなもん!

 

 あぁ、三女神様⋯⋯やるだけやってみせますから、どうか何事も無く全てが平和的に終結しますように⋯⋯。

 

 そうしてカレンの指に指輪を通し、小指で指切りをした。

 

 

「⋯⋯気の利いた言葉は、カレンに言えないけれど。約束も、運命も、糸みたいにこうして繋がっていたから、俺は今日こうしてカレンの前に立てているんだと思う。だから───もう一度約束を誓うよ。俺はいつでも、カレンの傍に居る。」

「⋯⋯お兄ちゃんらしいね。だから好───。」

『パーフェクトッ!!』

 

 

 デジタルとカメラマンさんのけたたましい声が教会に響き渡った。やかましいよ。今カレンが何か言ってたでしょ?何でちょっと2人で仲良くなってるんだ。本来なら俺もそっち側だったんだぞ⋯⋯クソ⋯⋯。

 

 

「いやー流石ですよトレーナーさん!これで編集長の顔面に有無を言わさず写真を叩きつけられます!」

「そうですか⋯⋯。」

「じゃあ午後からはハーバーと他の皆さんの撮影になりますので、一旦休憩にしましょう!トレーナーさん、こちらも差し上げます。」

「指輪⋯⋯まだあったんですね。他のメンバーの分が足りなくなるのでは?」

「いえいえ、間違いなく勇者御一行さんの分ですよ。人数分(・・・)用意してもらいましたから。では!」

 

 

 嵐のように彼女は行ってしまった。フレッシュというか爽やかというか⋯⋯方向性間違えたバクシンオーみたいな人だな、あの人。

 

 しかし人数分と言われても、もうウチのメンバーに勝負服を纏った花嫁はいないワケで。

 

 

「ウマ娘ちゃん達のブライダルショット⋯⋯はぁ⋯⋯♡」

 

 

 ⋯⋯相棒はビューティードリームカップに出ないのだろうか。いや、自己肯定感クッソ低いからなこの美少女。多分出ないだろう。すると何が起きるか?

 花嫁のアルバムに相棒が居ないのだ。

 

 いや⋯⋯うん⋯しょうがないとは言え⋯⋯⋯⋯見てぇ〜〜〜ッ!

 見たら見たで何か悲しい気持ちになりそうな気もするが、それでも見たい欲の方が強い。

 

 あっ、そうじゃん。返答待ちの3人娘が合流したら、勇者御一行完全結成記念で撮影して貰えば良いんだ。恥ずかしながら俺が可愛いもの好きというのはチームメンバー全員にバレてるし、皆心は乙女だから多分誠心誠意頼んだら着てくれるかもしれない。最悪カレンだけでもこちら側に引き込めれば、実質ボスみたいな可愛いムーブで説得してくれるはず。

 今日の勝負服ほど煌びやかなガチ衣装では無いかもしれんが、そこはまぁ⋯⋯自費で出来る範囲。

 

 そうと決まれば、皆に指輪を渡したわけだし⋯⋯よし。

 

 

「デジタル。」

「うぇへへ⋯⋯はい?」

「指、出しな。」

 

 

 そうしてデジタルの左薬指に、指輪を通した。

 

 

「いつか、ちゃんとした物用意するから。その時に交換な。」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯えっ?」

「よーし、皆休憩しようか。」

 

 

 恐らく午後からも忙しくなるだろう。あのカメラマンさん結局最初の方しか仕事してなかったし、何よりウララちゃんの晴れ舞台もバッチリ撮っておかねば。今日来れなかった彼女のトレーナーに申し訳が無い。俺は約束を守る男なのだ。ふふっ。

 

 

「トレーナーちゃん⋯⋯デジタルちゃん、動かなくなっちゃった。」

「えっ。」

「今度は何言ったの?」

「何か言った前提なの?」

「うん。」

「えぇ⋯⋯。デジタル?おーい、おデジ!⋯⋯ダメだこりゃ。」

 

 

 結局、引き摺りながら一時教会を後にすることになった。




読者兄貴たちにお知らせと謝罪を。
当作品では、アグネスデジタルがアプリ版隠しイベント"マイル王"達成済みの為に既にマイル7冠、有馬も勝ってるので実質8冠ウマ娘になっておりますが⋯⋯有馬の部分を修正させて下さい。理由は以下の通りです。

・ロブロイとの辻褄が合わなくなる
・公式ロブロイの口から"クリスエス"の名前が出ちゃった
・ロブロイ編、及び聖啼祭編に登場予定のガチロリ(未実装)に影響が出る
・クリスエスのぶっちぎり有馬、やっぱり無かったことにしたくなかった

主にロブロイの事とクリスエス実装を読み取れなかった初期構想段階の自分のガバです。感想でもクリスエスの事聞かれてたのに何でちゃんと直さなかったのおバカ!へっぽこ!だから因子周回も根性☆1しか出ないのよ!
どのように修正したかは、追って前書きで書かせて頂きます。兄貴たちゴメンね⋯⋯ところでデアリングタクトが実装するなら牝馬9冠の女王もワンチャン⋯⋯?あっ、ヤベぇ。(聖啼祭編のメモを見ながら)

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