ようこそ希望が溢れる教室へ   作:第三希望

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前回はすみませんでした!!

後、溜めようと思ってるんですけど...どうやら私には向かないようです。完成したら早く見せたい欲求が強すぎるので!

※7話のタイトル変えました!中身は変わっていません!


劇

 最初の勉強会を開いてから2週間、僕たちは今日も何時もの様に図書館に集まっていた。

 

「うん、勉強会に参加してくれた皆はこの様子だといい点数とれると思うよ」

 

「問題は、参加してないメンバーだな。まあ、基本的に点数の高い奴らだから、心配はいらないと思うが...」

 

「その事なら大丈夫。私に任せてほしいな」

 

 神崎君が勉強会に参加していないメンバーに少し不安を覚えるが、どうやら一之瀬さんには何か考えがあるみたいだね。

 

「昨日出された課題をやってきました。答え合わせをしてください」

 

 白波さんが昨日僕が出した課題をまとめたノートを広げるので、マルを付けようとした瞬間

 

「上等だ!!テメエかかって来いよ!」

 

 僕たちより少し離れた所で、同じく勉強会を開いていた生徒同士がなにやら揉め始めた。誰かが止めに入りすぐに収まるかとも思ったが周りの生徒達もどうやら関わりたくないようだ。

 

「ねえ、場所移さない?あっちの男子がうるさくて勉強に集中できないよ」

 

 一人がそう言うと連鎖していくように他のBクラスの生徒達の集中力が解けていく。まったくいい加減にしてくれないかな。そう思った矢先に一之瀬さんが席を立つ。どうやら、向こうの生徒達に注意をしに行くようだ。僕はあの騒いでいる生徒をしっていた。だから、一之瀬さんの手を掴む。

 

「狛枝くん?」

 

「一之瀬さんは席に座って皆に勉強を教えてあげてよ。注意なら僕に任せてさ」

 

 こんなくだらない事で、一之瀬さんの手を煩わせる訳には行かないからね。

 

「でも...」

 

「そうだよ、一之瀬さん。あそこにいるのDクラスの須藤くんとCクラスの山脇くんだよ。暴力的で有名な生徒だから、ここは狛枝くんに任せようよ」

 

 須藤君は知ってるけど、山脇君は初めて見たな。同じDクラスの生徒だと思っていたよ。

 

「それにCクラスと言えば、最近クラスメイトの何人かが嫌がらせを受けたり、テスト勉強の妨害までされた子がいて困ってるらしいし...」

 

一之瀬さんは少し考える素振りを見せてから僕の眼を見る。

 

「狛枝君任せても大丈夫?」

 

「大丈夫だよ。殴られちゃうかもしれないけど殺されたりはしないと思うからさ」

 

 僕は一之瀬さんに笑いかけると一之瀬さんは何か僕に言っていたが、そのまま彼らの下に足を運ばせる。

 

 

 

「あのさぁ、五月蠅い(うるさ)んだよ...ここは図書館だよ?図書館では静かにしなさいって小学校で習ったよね?キィーキィーキィーキィー猿じゃあるまいし、騒ぐならさ...出ていきなよ、他の希望ある生徒の迷惑だ」

 

「なんだテメエ!部外者は引っ込んでろ!!」

 

 僕がそう言うと須藤君に胸倉を掴まれてしまう。

 

「やめて須藤くん...て、あれ?狛枝くん?」

 

 不意に僕の名前を呼ばれたので胸倉を掴まれたまま、首だけを動かすと見知った顔が僕を心配そうな目でこちらを見ていた。

 

「あー櫛田さん...だっけ?須藤くんがいるんだから当然、Dクラスの君がいても可笑しくはないね」

 

 僕が櫛田さんの知り合いだとわかると須藤くんが僕を掴んでいた手が緩んだから、手を払って距離を少し取る。

 

「全く他の生徒の迷惑も考えられないならさ、図書館で勉強なんてしないでよ。これだからは不良品は」

 

「え?」

 

 櫛田さんが僕の発言に驚いているのか目を丸くしていると、Cクラスの山脇くんが僕に便乗し始めた。

 

「ははは!此奴の言う通りだ!不良品が図書館で勉強なんかしてんじゃねえ!」

 

「僕からしたらDもCも変わらないよ」

 

「なっ!?こいつら不良品と一緒にするな!?」

 

 山脇くんは顔を真っ赤にして怒りを露にしながら僕に怒鳴りつける。須藤君とは違って胸倉を掴んで来ない辺りはまだ知性はあるみたいだね。

 

「僕はね君たちと同じ不良品なんだよ。確かに所属はBクラスだけど他の皆と違って、お飾りに過ぎない矮小な存在だよ」

 

「それでもね?この学校は僕をBクラスに所属させたんだ。正直僕なんかが一之瀬さん達と同じ空気を吸ってることすら恐れ多いのにだよ?これってさ幸運でしかないよね?そんな運だけの人間がBクラスに選ばれたのに、君たちは選ばれなかった。Cクラスの人間が不良品と呼ばれるのはしょうがない事だと思わない?」

 

「だからさ...僕と同じ不良品に過ぎない君たちが希望を持つこと自体がおこがましいことなんだよ...テスト勉強なんて今すぐやめて、僕の様に希望ある生徒の踏み台にでもなってなよ」

 

 僕がそう言うとDクラスもCクラスの生徒達は僕の言ってることがわからないのか、間の抜けた様な顔をしている。須藤君だけは相変わらずだけど。

 

「こ、狛枝くん?なんだか入学式の時と変わったね」

 

「僕は何も変わってないよ。それより残念だよ櫛田さんに須藤くん」

 

 残念?と首を傾げる櫛田さん。僕に名前を呼ばれて睨みつける須藤くん。

 

「須藤くん...僕はねよく部活動の見学をしてたんだよ。もちろんバスケ部にも足を運んだ。君の才能は素晴らしいよ。おそらく近いうちに1年生でありながらレギュラーを取ることも出来ちゃうかもね」

 

「お、おう」

 

 須藤君は僕がそう言うと褒められた事と貶されたことが混ざり合って複雑な顔をしている。

 

「そして櫛田さん、僕は君の才能だけは高く評価してるんだよ?人を恐れないコミュニケーション能力と醜い自分を隠し通す演技力をね?」

 

 そういうと櫛田さんの顔はまるで信じられない物を見たかのように絶望した顔を一瞬だけ僕に見せた。

 

「だからこそ残念だよ...夢を壊された気分とでも言うのかな?君たちの素晴らしい才能がまさか不良品だったなんてね...不良品なんて呼ばれてる才能は希望の象徴に相応しくないんだよ」

 

「こ、狛枝くんが何を言ってるのかわからないな...」

 

「解らなくたっていいよ?もう僕は君に興味なんてないからさ」

 

「もう...仲良くしてくれないの?」

 

 櫛田さんは俯きながら、呟くように僕に言う。

 

「仲良く?ああ、そういえば入学式の時君は僕なんかと仲良くしてほしいって言ってきたんだっけ?ハハッ!お断りだよ。君が不良品だってわかってたら仲良くする訳ないでしょ?おばあさんにだって席を譲ってないよ」

 

「私...帰るね」

 

 それだけを言い残し櫛田さんは自分の鞄を持って図書館を飛び出るように出ていった。

 

「おまえ!櫛田ちゃんに謝れよ!!」

 

 Dクラスの生徒が、椅子から立ち上がり僕を指さして怒鳴りつける。全く今日は怒鳴られてばかりでウンザリするよ。

 

「謝る?なんで?」

 

「な、なんでって...おまえ」

 

「さっきから聞いていれば貴方の言い分がわからないわね」

 

 黒い髪を腰まで伸ばした目つきの鋭い女子生徒が僕に何か言いたいことがあるみたいだね。

 

「解りやすく言ったつもりなんだけど?どこが解らなかったのかな?」

 

「貴方がどうしようもなく最低な人間だという事はわかったわ。でもね、私を貴方の様な人間と一緒にしないでほしいのだけど」

 

「そ、そうだ言ってやれ堀北!」

 

 堀北という生徒が僕に反論してくるとDクラスの生徒が我を取り戻したように応戦する。

 

「ちょっと待った!」

 

 僕が彼女に言い返す前に一之瀬さんが僕の前に割って入ってくる。

 

「一之瀬さん、ここは危ないから席に戻ってなよ」

 

「――――狛枝くんに任せたのが間違いだったよ」

 

 一之瀬さんは僕に背を向けたまま冷たく言い放つ。

 

「狛枝くんが何を言ったのか私には聞こえなかったから解らない。でもさっき図書館から出ていった子泣いてたよ?一体何を言ったの?」

 

「間違ったことは何一つ言ってないよ?ただ事実だけを言っただけ...それよりも凄いや!櫛田さん泣いてたんだね。一之瀬さんすら騙せるなんて!」

 

 僕が何時もの様に笑顔で一之瀬さんに言うと一之瀬さんが振り返って僕の肩を掴む。

 

「どうして笑ってられるの!?」

 

「一之瀬さんこそどうしてそんなに怒ってるのか僕にはわからないよ」

 

「!?――――悪いことしたって自覚がないの?」

 

「悪い事...ああ―――人を注意するだけなのに時間を掛けすぎたから怒ってるんだね!ごめんね...僕は本当にどうしようもないダメな人間だよね」

 

 僕がそう言うと一之瀬さんは僕にちがう...そうじゃないよって繰り返すように言っているが僕にはわからなかった。一之瀬さんの僕を掴む手がゆっくりと離れていくと、DクラスやCクラスの生徒に向き直り、頭を下げ始める。

 

「皆ごめんなさい!狛枝くんがすごく失礼なことを言ってしまって!狛枝くんにも謝って貰おうと思ったけど、本人自身が何が悪いのか分かってないのに謝られても困ると思うから私が変わりに謝ります」

 

「なっ!? 一之瀬さんが謝る事なんて何もないよ!!」

 

「狛枝くんに自覚がないから私が謝ってるの!」

 

 凄い剣幕で怒鳴られてしまった。こんな一之瀬さんは始めてみた。どうやら僕は本気で怒らせてしまったらしい。

 

「僕が謝るよ」

 

「悪い事をしたって思ってもないのに?」

 

 僕は言い返せなかった。事実何処が悪いのか解らなかったから。でも、何故か謝らなければ行けない気がした。

 

「悪いと思ってるよ」

 

「なら、さっき出ていった子。追いかけて謝ってきて、ここは私に任せて」

 

 僕はでも、と続けようとしたが、これ以上僕が何を言っても無駄だと思ったので大人しく櫛田さんを追うために図書館を出た。出るまえに背中越しに何度も謝り続ける一之瀬さんを後にBクラスの皆も一之瀬さんに続いて僕の代わりに謝っていた。

 

 

―――どうして、Bクラスの皆が僕なんかの代わりに頭を下げれるのかがわからなかった。

 

 

 

――――

 

 図書館から少し離れた公園に少女が黒いオーラを纏いながらベンチに座っていた。

 

「むかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつく」

 

 私は、人気がないのをいい事に小声でひたすら呟いた。これだけむかついたのは堀北以外にいなかった。ちょっと前なら本性をぶちまけて物などに当たれば気は晴れた。だが、最近同じクラスの綾小路くんに見られてしまったから、何も考えずにストレスを発散できなくなってしまった。

 

「はぁ...」

 

 大きなため息が私の口から吐き出される。私は出会った人間がどんな人間か大体わかる。それだけ色んな人と出会ってきたから、くだらない人から面白い人、綾小路くんのような他人に無関心な人とか、でも、アイツは違った。今まで出会った事のない人種で気味が悪かった。

 

―――狛枝凪斗

 

 あのバスでの出来事、アイツは笑顔で席をおばあさんに譲っていたけど、アイツはおばあさんじゃなくて私を見ていた。だから私は下心でおばあさんに席を譲ったんだと感じた。でも違った。アイツは私に目もくれず声もかけずにバスから降りていく、声を掛ける勇気のない人だと思って声を掛けたのが運の尽きだ。自己紹介を受けた時アイツの笑顔はどこか薄っぺらいもののように感じた。

 

 何故その様に感じたのかわからない。これは感だが、アイツの笑顔は...

 

「あ、いた、よかった。そう遠くには行ってなかったんだね」

 

「・・・・・・・・」

 

 今一番合いたくない奴...

 

「えーと、さっきはごめんね?どうやら僕は言いすぎちゃったみたいなんだ?」

 

 なんで、謝りに来た本人が疑問に思ってるのよ

 

「―――それ、狛枝くんの意志で自分から私を探しに来たの?」

 

「いや、クラスメイトに言われて君を追いかけてきたんだよ。正直に話したのは、君なら僕の嘘なんて簡単に見破られると思ったから正直に白状したんだよ」

 

「べつに、怒ってないからどっか行ってくれない?一人になりたいからさ」

 

「そうだよね、僕の顔なんて見たくもないよね?目的は果たしたし大人しく帰るよ」

 

 そういうと狛枝は私に背を向けて帰ろうとする。

 

「まって」

 

「―――なにかな?」

 

 私は彼を引き留めた。どうしてもこれだけは聞いておきたかったから。

 

「どうして、私が演技してるって思ったの?」

 

「・・・・・・・・」

 

 狛枝は黙って私を見つめる。言葉を選んでるのか?そう思ったがこいつに限ってそれはないなと思った。 

 

「―――最初からだよ」

 

「え?」

 

 狛枝が沈黙を破ったかと思えば、信じられない言葉が出てきて耳を疑った。

 

「最初から、君があのOLをかばっておばあさんに声を掛けた時から」

 

 狛枝は続けるように説明する。

 

「君が演技をしていると思った理由は二つある。その一つが目線だ」

 

「目線...」

 

「君は、おばあさんを心配して声を掛けたはずなのに、君は、おばあさんよりも周りの視線のほうが気になってたみたいだから、ひょっとしたら、おばあさんを心配して、良い事をしている自分を周りに見せつけたいんじゃないかな?って思ったんだ」

 

「・・・・・・・・・」

 

 あってる

 

「理由2つ目、君がバスの中の乗客全員に声を掛けたことだ。おばあさんに席を譲ってくださいってね?あれさぁ、効率悪いと思わない?全員に声を掛けちゃったら自分が直接言われた訳じゃないから誰かが席を譲る。だから自分は関わらないって気になると思うんだよ。でも、君が、おばあさんの近くの席の人に一人ずつ話していけば、きっと僕が席を譲らなくてもすぐに席をどいてくれたはずだよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

 むかつく

 

「よって、君は皆に注目されたいだけの人だと思った。でも、僕は君の演技に目を奪われたのは事実だ」

 

「え?」

 

「だって、あんなマネ普通出来ないよ...それも君の様な下心がある人間が、あんなに堂々と人を欺けるんだから才能としか言いようがない!だからこそ本当にこんな結果になってしまって残念な気持ちでいっぱいだよ」

 

 私は今までにこんな人間を見たことがない。大体私の本性を知った人間は私を拒絶する。それなのに此奴はこんなに目を輝かせて凄いなんて言ってくる。不思議と悪い気はしなかった。相手がこいつじゃなければ。

 

「流石、気持ち悪いランキングと根暗そうランキングの2冠を取ってるだけはあるね」

 

「なにその不名誉なランキング?」

 

 もっともイケメンランキング、背が高いランキング、良い人ランキングでも上位に組み込んでいる。だが、教えてやる必要なんてない。後でこっそり死んでほしい男子ランキングに名前を刻んでやろう。

 

「僕はもう行くよ、戻って謝らないといけない人達がいるからね」

 

 狛枝はそういうと、私に背を向けて図書館に戻っていく、相変わらず薄っぺらい笑顔を向けて、ああ、そうか―――なんでアイツの笑顔が薄っぺらいのかようやくわかった。

 

「――――私に向けた笑顔じゃないからか」

 

 

 

 私は狛枝凪斗という人間を少しだけ理解した。アイツは人を才能があるかないかでしか判断できない。それと多分―――今まで出会った事がないような可哀そうな奴なんだって、この時私はアイツなんかを理解してしまった。

 

 

 




かなり暗いストーリーになりました!DクラスやCクラスファンの皆様大変申し訳ありませんでした!物語の都合上、仕方のない事なんです!!

何時も感想ありがとうございます!創作の励みになっています!!もちろんおかしい点があれば遠慮なく書いてください!!

何時も誤字の報告ありがとうございます!気を付けてるつもりなんですが...

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