「5月10日です。納呉須区域で26名が大口に殺害されました。またこの事案にて幕安部隊に所属の金霧氏が死亡しました。」
「また妖災のニュース。もううんざりだよ、、、人が死ぬ話は」
それにしても真夏に入るというのに今日はやけに寒い。
「やけに冷えるなぁ、、、マフラーも持って行こうかな?」
今年、16才になる雨童は昨年両親を国の役人に殺された。理由は危険な怪異と契約をしたから。親がいないのでお金もなく悩んでいたところに先月、突然に特例入学として江戸高校と徳川学園から声がかかった。なんでも入学すれば、授業料と生活費を多少は負担してくれるらしい。
「今日も学校か、、、嫌だなぁ」
入学してすぐに上級生に目を付けられたせいでいじめを受けてしまっている。
いつものように高校に行くために蒸気電舟に乗るとやけに奉公人が多い何か危険な怪異でも現れたのだろうか?
「あ」
怪異警報が発令されている。
(どうりで寒い訳だ。急いで家に帰らなきゃ。)
しかしそんな思いとは真逆に電舟は発進する。
数時間後
霧が濃くなり窓の外から低く唸るような音がなっている。
突然船内が赤く光り何かがぶつかる音がする。
「なんだ、、、ッ!?」
ガコン!バキッガガがガガが!!
電舟から吹き飛ばされる。
何かが這いよって来る。
大きな怪異だ。
それは霧のフィルターを通り越して目におぞましいフォルムを焼きつけて来る。
(逃げなきゃ、、、死ぬ)
明確な死のイメージが冷たく溶けた鉛のように身体にのし掛かってくる。
「グワァン」
怪異が大きな口を開けて近づいて来る。
(死にたくない、近づくな、、死、、、)
グバン
「こちら怪異対策科亜部門、、、怪異獣種を討伐しました。死者一名を回収、、、恐らく遺体の着ている服から江戸高校に在学していたと思われます。」
「雨童 起きろ。」
重たい身体を起こして辺りを見渡す。
(綺麗だ、、、)
自分が寝ていたのはどこかの屋敷の縁側だった。
綺麗な桜と丸い月がまるでこの世にあるとは思えないほどの美しさでそこから見えていた。
(ここは何処だろう?)
自分はさっきまで怪異に襲われていた
「こっちだ」
障子を開いて奥へと進んでいる。
和室の奥にはおたふく面を着けた女子が正座している。
「これはウエサマの為の遊戯だ、受けるかどうかはお前が決めろ。」
そう言って2枚の札を渡して来た。
「これは、、、?」
「片方は楽の道、即ちその場での死を示す。また片方は鋼の道、即ち長く苦しい生を示す。選べ。」
「僕は、、、」
二枚の札がキラリと光る。
楽の道は綺麗な花が描かれている。鋼の道は人が鋼の茨に閉じ込められている。
「僕はこの世を苦しくても生きてたい。」
楽の道を面を着けた少女に渡す。
「汝の願いを聞き入れた。そしてこれは鋼の道を歩くための草履だ。」
様々な武器が現れる。
「好きな物を選べ」
剣 銃 手裏剣からチェーンソーまで無数の武器が畳の上に並べられる。
「、、、これは?」
「鋼廻しだ。」
(聞いたこともない武器だ、、、槍に幾つもの歯車がついている。)
「これにしても良い?」
「あぁ、珍しいこともあるものだ。」
少しずつ夢が溶けていくように辺りが光輝な光に包まれてゆく。