私の周りには、才能持ちが多すぎる   作:神咲胡桃

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せっかくゲームでバレンタインイベントが来たんだから書いてみた。

それと話の内容的に、地の文は三人称です。


チョコをもらった奴は勝ち組(偏見)

2月14日。バレンタイン。言わずもがな、女の戦争である。

 

それはこのトレセン学園でも変わることなく、男性トレーナーの担当ウマ娘が自身のトレーナーへとチョコを渡し、女性トレーナーの担当ウマ娘もトレーナーに渡す。

 

本命チョコ、義理チョコ、友チョコ、逆チョコ、マイチョコ、ファミチョコ、意味深チョコなんてものまである昨今、誰が誰にチョコを渡すかなんてわからないものである。

 

そんな中、古今東西変わらない不文律がある。それは――

 

 

「さすがのチョコの量だな。生徒会長様?」

「……からかわないでくれ、ミライ」

 

どれだけチョコの種類が増えても、貰う奴はとことん貰うのだ。

 

それを示すかのように、生徒会室の机の上にはチョコの山が鎮座していた。当然、全てがシンボリルドルフ宛のものだ。

 

その山を見ながら、変わらず無表情のミライがため息を吐いた。

 

「毎年のことだが、お前が貰う量は相変わらずだな。そこらのイケメンより貰ってんじゃね?」

「といっても、ほとんど義理だろうがな。それでもチョコをもらうというのは、嬉しいものだ。忙しくて、お返しのチョコを用意できなかったのは申し訳ないがな」

「……これ、どうすんの?」

「さすがに食べきるのは無理があるからね。いくつか食べたら、後は気持ちだけ受け取って、エアグルーヴやブライアンの物と一緒に、近くの保育施設に送ろうと思う」

「そういや、あいつらもたくさん貰ってたな」

 

生徒会で活躍する3人は、生徒たちからも人気がある。

 

意欲的に活動し、それ相応の結果も残しているのだ。アイドル的人気の様なものとはいえ、この山のようなチョコを見ればどれだけ人望があるのか、一目瞭然である。

 

対してミライは、必要ないとはいえ式典等には出席せず、ましてや表舞台に立つことを好む性格ではない。そのため、生徒会にミライがいることすらあまり知られていない。

 

「どうする? ミライが欲しいなら、持っていっても構わないが」

「いや、甘いのは苦手だ。ま、そう言うことなら、これも追加しといてくれ」

「それは……」

 

ミライが懐から取り出した”それ”を、チョコの山の頂点に置く。

 

「それじゃあ、外回り行ってきまーす」

「待て、ミライ」

 

そのまま背を向け生徒会室を出ようとするミライに、ルドルフが”何か”を投げる。

 

ミライは飛んできた”何か”を見ることなくキャッチする。それはチョコ、しかもミライの好みに合わせたビターチョコレートだった。

 

「なんだこれ? ……チョコ?」

「もらった分のお返しを用意する時間がなかったが、私から渡す分は用意したんだ。……その、いつもありがとう、ミライ」

「そういうのは、エアグルーヴとかブライアンに言ってやれ。……ま、貰えるもんはもらっとくわ。サンキューな」

 

ぶっきらぼうにそう告げると、ミライは部屋から出ていく。

 

それを見送ったルドルフは、先ほどミライが置いて行った物を手に取る。

 

丁寧にラッピングを外すと、現れたのは既製品のチョコ。手作りじゃなかったのは少し残念だが、それはお互い様だ。それに、貰ったことが重要なのだ。

 

周りに誰もいないことを確認して、箱を開けて一粒口に含む。

 

「……ふふっ」

 

その後エアグルーヴが戻ってくるまで、ルドルフの尻尾は嬉しそうに揺れていた。

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、デパートの特設売り場。

 

バレンタインのチョコは前日までに買っておくのが基本なものの、当日にも需要はある。

 

その売り場の中で、ナリタタイシンは悩みに悩んでいた。

 

「……やっぱりこっちの方が良いかな……いやでも、値段が高すぎても迷惑だろうし……」

「ねぇねぇタイシーン」

「そもそも先輩って、チョコ大丈夫なのかな。というかチョコってこれまでと同じ関係でいたいとか、そんな意味だったような気が……やっぱチョコじゃない方が良いのかも」

「タイシンタイシン」

「マロングラッセとかキャンディにする? でもいろんな意味で重い気がするし、そんなんで引かれたくないし」

「タイシンタイシンタイシーン!」

「クッキーとかキャラメル……は駄目だ! 先輩が意味を知っていたら終わる。いやそもそも意味なんて気にする必要があるの? 意味をちゃんと気にしてる人ってどれだけいるか……ああもう、どれに、どれにすれば……」

「……スゥ――タイシ「ちょっと黙ってて」――う゛え゛え゛え゛え゛え゛!゛!゛タ゛イ゛シ゛ン゛か゛お゛こ゛っ゛た゛ぁ゛あ゛あ゛あ!゛!゛」

 

こ れ は ひ ど い 。

 

素気無く黙らされた涙目のウイニングチケットを、タイシンは冷ややかな目で見る。

 

「それで何? あたし今忙しいんだけど」

「た゛っ゛て゛タ゛イ゛シ゛ン゛、も゛う゛に゛し゛か゛ん゛は゛な゛や゛ん゛で゛る゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛」

「ちょっ、何言ってるか分かんないから一旦泣き止め!」

「何をしてるんだお前たちは」

 

タイシンがチケットを何とかあやそうとしていると、そんな二人の後ろから出てきたのは二人の友人でもあるビワハヤヒデだった。

 

「ハヤヒデ、そっちは決まったんだ」

「ああ。トレーナーとブライアンに渡す分をな。そう言うタイシンは、まだ決まらないのか?」

「いや、まぁ……」

 

手に持った紙袋を掲げて見せるハヤヒデに、タイシンは歯切れが悪く答える。

 

「……変わったな。お前も」

「何が?」

「フッ……いつも私たちとつるんでいたお前が、あの皐月賞の前後から『ちょっと用事があるから』なんて言い出したら、さすがに気づくさ。そんなにあの先輩とやらが気に入ったのか?」

「なっ!?」

 

真正面から放たれた言葉に、タイシンの顔が真っ赤に染まる。

 

「べ、別にそんな、そういうわけじゃ……!」

「なんだ。そういうわけとはどういうわけなんだ? 一緒にファミレスに行く程度の仲だろう?」

 

狼狽するタイシンにそう話すハヤヒデの顔は、明らかに面白がっていた。

 

そしてタイシンも、それを分かっていながらハヤヒデの言葉に慌てざるを得ない。

 

やがて満足したのか、ハヤヒデはタイシンをからかうことを止めた。

 

「まあ、お前がそこまで気を許せるのなら、私としても歓迎するさ。何せお前がバレンタインのチョコを選ぶだけで、2時間もかかるんだ。それと、チケットのことも少しは許してやれ。あいつも心配してたんだ。タイシンがあの先輩に掛かりきりになるんじゃないかとな」

「……別に、そんなわけないでしょ。ハヤヒデとチケットだって、その……ともだち……なんだし」

「そうか。ならば、その友達からアドバイスだ。別に物にこだわる必要はないんじゃないか? お前からの気持ちが籠っていれば、先輩も喜んでくれるさ」

 

そう言うと、ハヤヒデは紙袋から取り出した小箱をタイシンに渡し、なんか蚊帳の外にいるせいでまた涙目になっているチケットを宥めに行った。

 

渡された小箱を見ると、それはクリスマス限定のコスメセットだった。

 

せめて、少しは奇麗に見てほしい。そう思って調べてみたものの、今までそういったことに関心を向けてこなかったタイシンには難しく、詳しそうであったハヤヒデや同室のスーパークリークにも恥ずかしくて聞けずに結局断念したのだ。

 

ハヤヒデが何時何処で知ったのか問いただしたくなったが、これもハヤヒデの心遣いかもしれない。少なくともハヤヒデは、タイシンの背中を押しているということなのだろう。

 

やり方についてはどのみち聞かなければならないが、物があるかないかでそのハードルはぐっと下がる。

 

「(気持ち、か……)」

 

ハヤヒデに言われたことが、頭の中で反芻される。

 

気持ちが籠っていれば……とは言うが、その気持ちを物の意味が表しているのだ。

 

なんとなしに首にかけている、先に大きなリング――というか腕輪がついた、少々不格好なネックレスを手に取る。

 

「(何かあるかな。そういうのが……あ)」

 

その時、タイシンの頭にそれが舞い降りた。

 

「チケット、ハヤヒデ……お店、移動していいかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんかいつもより疲れた気がする……あんのやろ~」

 

夜。ミライが疲れ切った表情で寮の自室に戻ってきていた。

 

「ただいまー」

「……あ、おかえり」

「ほら、これバレンタインのチョコ」

「……ん。あり、がと。これ、私からも」

 

先に帰っていたルームメイトとチョコを交換し、ベッドに寝転がろうとすると、そのベッドの上に花束が置いてあるのが目に入った。

 

「なにこれ? おいおい、まさかこれもお前から?」

「違う。私が帰ってきたときに、ドアノブに引っ掛けられた」

「お前宛じゃないの?」

「……そこ、見て」

「ん?」

 

赤・ピンク・白といった色とりどりのバラの花束に巻かれたセロハンに、一枚のメモが付けられていた。

 

『先輩へ お返しは期待してるから』

 

ミライの頭に、一人のツンデレが浮かんだ。

 

「(そういや、家が花屋とか言ってたっけ……。やれやれ、明日花瓶買ってこないとな)」

 

そんなことを思い出していると、横目でミライを眺めていたルームメイトが立ち上がった。そのまま部屋を出ようとしたので、ミライは思わず呼び止めた。

 

「どうした?」

「ちょっと、外歩いてくる」

「そうか。あんまり遅くなるなよ」

「……分かってる」

 

どこか面白くなさそうに、前髪の青メッシュを弄るルームメイトは、どう見ても拗ねているようにしか見えなかった。

 

「(何あったんだろ、あいつ)」

 

パタンと扉が閉まるまで見送ったミライは、手に持った花束に視線を戻す。とりあえず、応急的に近くにあった花瓶に水を注ぎ、バラを差す。

 

ふむ。こうして見るとなかなか奇麗なものである。

 

中々に粋な物を渡された。

 

ミライはバラを眺めながら、頭の後ろに手を当てる。

 

 

「(お返し、どうしよ……)」

 

 

 

 

 

 

 




いかん。ルドルフとタイシンが書きやすくていかん。二人しか書けん。

他のキャラはまあ、要望があれば書きます。




チョコ:あなたと同じ気持ち

マロングラッセ:永遠の愛

キャンディ:あなたが好き

クッキー:友達でいよう

キャラメル:安心する存在

バラ:愛・美

赤いバラ:愛・あなたを愛しています

ピンク色のバラ:感謝・上品・しとやか

ホワイト:深い尊敬・純潔









「ブライアン。今日はバレンタインだからな。ほら」
「……別に構う必要はないんだがな。まあ、せっかくだ。もらってお――――アネキ。これはなんだ?」
「複数の野菜が材料に使われている野菜チョコレートだ。これでお前も、野菜嫌いを克服するための第一歩をだな……」
「アネキ……」

ぶっちゃけこれが書きたかった。
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