私の周りには、才能持ちが多すぎる   作:神咲胡桃

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お久しぶりです。

大人しく連載に設定しました。書きたい話とキャラが多いからね、仕方ないね。


SNSには社会の闇が詰まっている(偏見)

最近は便利になったものだ。

 

しょっぱなジジ臭い事を思ってしまったが、実際そうなのだから仕方ない。

昔だと考えられなかったようなものが、今では当たり前となっている。若者は柔軟な頭でそれが普通だと思っているが、今も普通に使っているそれも、自分たちが子供の頃には考え付かなかったものであるのだ。

 

ただまあ、便利になった分、悪いことにも便利になっている。

 

例えばSNSがその代表格だろう。

誰もが匿名で、情報を発信できる。それだけでも革新的なことだ。

まあ実際には完全な匿名というわけでもなく、管理する側には全てが筒抜けだが、その秘匿性と利便性はかなりのモノがある。

 

上手く使いこなせば、それこそ自身の地位や魅力を引き上げることにもなる。

 

例えば、

 

 

「ねーねー、ミライ先輩。写真撮っても良いですか?」

「ウマスタにあげないならな」

「何でですか?」

「お前と比較されてボロクソ言われて私が泣くから」

 

 

ベンチに座ってサボ、日光浴をしてる私にせがんでくるコイツ(カレンチャン)とか。

 

「えー。せっかく日光浴してるって投稿しようと思ってるのに……」

「そんなこと言って、どうせすぐに飽きたとか言ってやめるやつだろそれ。というかお前あれだろ? 有名になってる料理とか写真撮っただけで食わずに帰るあれだろ? そうなんだろ、おらそう言えよ。しょっぴいてやるから」

「そんなことしませんー! カレンはちゃんと食べてるもん! カレンはごちそうさま報告ツイートしてるから、ちゃんと証拠があるんだよ?」

「私からしたらSNSで人気な奴はみんな不良みたいなもんなんだよ。ごちそうさまって、お前らのバカみたいな声援ごちそうさまってか」

「偏見がすごい! ……バクシンオーさんとかもやってるよ?」

「いや、アイツも半ば不良みたいなもんだろ。バクシンバクシン言ってるし、絶対暴走族かなんかだよあれ。盗んだシューズと蹄鉄で走り出すから」

「……もしかして疲れてる?」

「そう思うんだったら、ほっといてくれ。せっかく仕事が一段落したんだから」

 

本当のところはまだ残っているが、急ぎの仕事は終わらせている。しばらくは余裕がある。しばらくは。

とはいえ、かなり急いで片付けたもんだから少し頭が回らない気がする。

カレンとの会話も、成り立っているかが認識できん。

 

「そうだ! じゃあカレンが膝枕してあげる! カレンのカワイイパワーできっと元気に――」

「断固拒否する」

「なんで!?」

「どうせ写真撮ってウマスタにあげるんだろぉ? 新手のイジメか? そんなことしてみろ。私はすぐに殺される。というか殺すつもりだろ。お前は自分の手を汚さずに私を社会的と物理的に殺すつもりなんだろ! キャー誰か助けてー!」

「ミライ先輩、やっぱり疲れてるよね!? というか止めて!? 周りに人いないけど誰かに聞かれたら大変だから! 大丈夫、何もしないから!」

「うるせー! イジメをする奴って言うのは大体そう言うんだよ!」

 

ベンチを蹴り倒さんばかりに立ち上がり、カレンに向かって指差す。

あれ? なんで私こんなことしてんだっけ?

 

「大体お前! こないだカフェに行きたいとか言って連れてってやったやつ。あれの写真だってあげてんの知ってんだからな!? その時点で信用なんかねえんだよ!」

「でもその写真、ちゃんと加工してミライ先輩は見えないようにしてましたよ?」

「なんだ!? 私は写真に写す事すらできないほど醜いってか!? 上等だ撮ってみろや! なにがふぉりょわーさんびゃくまんだ! しょーめーからかりゃってぇぇぇ~~」

「ちょっ、言ってることがめちゃくちゃだよ!? というか、顔色が悪くなって……ああ!?」

 

あん? なんか目の前が肌色、に…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「び、びっくりした~。急に倒れちゃうんだもん」

 

カレンの膝には、顔を顰めながら眠るミライ先輩の頭が乗っかっている。

急に立ち上がって叫びだした先輩だったけど、顔を青くして呂律が回らなくなったかと思ったら、カレンの膝の上に倒れ込んできた。

今はどうにかしてベンチの上に乗せて膝枕しているところ。

 

どうせなら起きたミライ先輩の驚く顔を見たかったけど、急に倒れたのだからこのままにしておくわけにもいかないよね。

寮長のフジキセキ先輩に電話を入れ、迎えに来てもらう。

 

「それにしても……先輩。カレンの投稿見てくれてるんですね?」

 

無防備な先輩が愛おしくなって、思わず頭を撫でる。

 

さっき先輩が言ったカフェの投稿。

あのカフェは先輩との会話の中で出てきて、カレンが一緒に行こうと押し切っ……誘って行ったカフェ。

あそこのパフェは有名だったし、カレンも近々行くつもりだったのでちょうど良かったの。先輩と一緒に写真も撮ったし。

 

でも、先輩にはカフェの投稿をすることも、加工した写真を上げることも伝えていなかった。もちろん、先輩に何か言われたら投稿は消すつもりだったし、加工はしたけどそこまで先輩が写真に写っていたわけでもなかった。だから、言おう言おうと思っていたのを、すっかり忘れてしまっていたのだ。これは反省かな。

 

話を戻して、カフェの写真の事を知っていたと言うことは、先輩はきっと私の投稿を見てくれている。SNSは苦手だと言っていた先輩が。

 

……なんか、言いようのないものが込み上げてくる。

お姉ちゃんにカワイイって言ってもらった時のような、そんな感じのモノ。

 

「……でも、カレンのマナーを疑ったところは減点かな。カレンと一緒にいたんだから知ってるはずなのに」

 

カレンの膝枕で眠る先輩をパシャリと撮る。ウマスタ用じゃなくて、個人用に。

普段はとても大人っぽい。佇まいというよりは、なんというか、懐の大きさ的な大人っぽさ。

 

だけど、先輩はどこか他人との間に一線を引いている。いつもの接し方だから皆気づかない、というよりは、先輩が気づかせないようにしている。

当然だ。だって先輩はそんな事を感じる暇もなく、その人が望むように他者と距離を詰めていくから。誰だって心を許している人を疑いたくないもの。逆に言えば、だからこそ分かりづらい。見えなくなってしまう。灯台もと暗しと言えば伝わりやすいかな。

 

まるで魔法のよう。

 

カレンが気づいたのは……そう、なんとなく。カレンも今まで色んな人と()()()したから、だからフッとそう気づいた。偶然なの。

 

なんでそんな一線を引いているのか、そんなことはどうでもいい。こんな無防備な先輩を見れるのは今だけなのだ。

 

パシャリ、パシャリと、熱に浮かされたように写真を撮っていく。

 

「先輩が初めてなんだよ? カレンの心を、こんなに乱して、ざわめかせたのは。お姉ちゃんも可哀そうだなぁ。先輩がいなかったら1番目だったのに、2番目になっちゃったし」

 

縦持ちにしたスマホを掲げて、カレンが写るように写真を撮る。

スマホを少しだけ移動させてもう一枚撮る。

 

最初に撮った写真を付けて、ウマスタに投稿する。

 

 

♯学園の隅 #で #ひなたぼっこ #癒される #カワイイカレンチャン

 

 

投稿して十秒ほどで次々とコメントが流れて来るのを確認して、別のアプリを開く。

それは月数百円で入れるメンバーシップを売りにしているアプリ。課金必須だけど月数百円だし、その分、ウマスタとかの他媒体では投稿しづらい写真とか話とかを投稿できる。課金版SNSと言えばいいかな。

SNSが苦手、尚且つ最低限の見る専である先輩は知らないみたい。まあ、知ってたら絶対に問いただしてきそうだしね。

 

その時を想像して苦笑しつつ、手早く文章を書く。

張りつける写真は、さっき撮った2枚目の写真。ベンチに座るカレンと――――その下らへんに見える()()()()()

 

慣れた手つきで投稿すれば、ウマスタ同様次々とコメントが流れてくる。

 

『日向ぼっこしてるカレンチャン可愛いすぎる!』

『日々の癒しですありがとうございます』

『ウマスタのと同じ?』

『下の耳誰?』

『え誰か膝枕してる?』

『うらやまてぇてぇ』

『カレンチャンの被害者かな?(同じ穴のムジナ感)』

『エンダァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! あっしゅき……』

 

思った通り、ウマスタに上げた写真と違うことに気付いて、カレンが膝枕している『誰か』の存在に、()()()()()()()()()にメンバーたちが騒ぎ立てる。これでも()()()()と比べたら全然おとなしめな方なんだけど。

 

こっちのメンバーシップでは、先輩の手だとか耳だとか、先輩の一部分が()()()()()()()写真を上げている。少しずつ、少しずつみんなが違和感を感じなくなるように調節したりしながら。

”写真に写りこんでいるしまうほど仲の良いウマ娘がいる”という認識が広まってくれれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()、概ね好意的に受け取ってくれるはず。そうでない人が居たら、そこはカレンの腕の見せ所だね。

 

先輩がこっちで受け入れられれば、ウマスタ等のSNSでも先輩とのツーショットとかも、先輩の同意は必要だけどたくさん載せることが出来る。

先輩のカワイイ所とかもそれとなく紹介していって、ゆくゆくはカレン・ミライペアとして認知されていくだろう。

 

「……それまで辛抱だね。ちょっと残念だけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、ミライは私が部屋に連れていっておくよ。ありがとうね、カレン」

「いえ! それじゃあ、失礼しまーす!」

 

フジキセキ先輩にミライ先輩を預けて、トレーニングのためにお姉ちゃんの元に向かう。

 

…………本当は、まどろっこしい手段なんて使いたくない。正面から気持ちを伝えたいし、一緒にウマスタやったりしたい。そっちの方がカワイイと思うから。

 

でもミライ先輩は未だにカレンとの間に一線引いてる気がするし、何より他人をすぐに誑かしてしまうから性質が悪い。

 

正直言って、カレンにはライバルが多すぎる。だから必要なの。立場だとか、間柄とかそういうのじゃなくて、あの人と一緒にいるための”数の力”が。

 

別にカワイイは大好きだし、カレンを応援してくれる人たちにカワイイを届けたいと思う気持ちも変わってない。ただ、そこに一つだけ加わっただけなの。

 

「カレンは欲張りさんだから……待っててね、ミライ先輩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




努力型の愛され系、カレンチャン。

SNSという簡単に皮を被れるコンテンツを扱っているからこそ、こういった他人の内面性に敏感……だと思いたくて書いた。

一人ぐらいは主人公の本質というか、裏側に気付いていても良いと思うのよ。なお沼る模様。
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