山中には時折、ドライバーが休憩するための駐車場スペースが存在する。
ただ車を停めるだけ。インターチェンジと違って店もない。せいぜいが古びた自販機が1つ2つ設置されているくらいで、殆どのドライバーはトイレで用を足すためだけに車を停める。
デンジたちが乗車しているロングバンがその駐車スペースを訪れたのも、最後のトイレ休憩のためだった。
降りたのはナユタとレゼ、そしてここまでずっと運転していた公安職員の内山田。
内山田――横柄な性格の壮年のハゲ男は、車を降りがてら、車中に残っているデンジたちに向けてこう警告した。
「いいか、この車――リメンバー・クレスタ号は納車されたばかりなんだ。汚したり傷をつけたりするんじゃないぞ。あと一応、ないとは思うが、勝手に運転したりしたら許さないからな。いいな、絶対だぞ?」
「へえ」
「返事は、はいだ」
「ヘエ」
やたら念を押してから男子トイレへ駆けていく公安のハゲ男を見送って、デンジはだらしなくシートに寄りかかる。
車中に残っているのは、デンジと冤罪の悪魔。
この2人は特に仲が良いわけでもない。むしろデンジとしては、人を小馬鹿にする態度を隠そうともしない彼女が苦手だった。横暴なところはパワーに似ているが、冤罪の悪魔の言動には粘つくような悪意も付与されている。子どもの性悪と、大人の性悪、どちらがマシかは論じるまでもない。
デンジは低い天井をぼんやりと眺めながら事後策を考える。ここからどうしたら川遊びにもっていけて、水着姿を拝めるか。彼はまだ諦めていなかった。
「北風と太陽……」
教育テレビの寓話を思いだす。今からでも急にものすごく暑くなって2人の少女が服を脱がずにいられなくなったりしないだろうか。デンジは腕を組んで唸りだす。天気をどうにかできるような強力な悪魔……例えば太陽の悪魔とかがいたらいいのに。もしも今現れてくれたなら速攻で契約する――などと益体のないことを考えていると、デンジの耳に「しまった」と忌々しげな舌打ちが届いた。
ちらりと目を向ける。
冤罪の悪魔が親指の爪を噛んでいた。
「虫除けスプレーを忘れたわ」
「あ?」
「買いに戻らないと」
「悪魔でも虫に刺されんのか?」
「当たり前でしょ。血が流れてる生き物なんだから。……ああ、さっきコンビニがあったわね。戻るわ」
そう言うと、前方の席へと身を乗り出して、運転席に座ろうとする。
デンジ、もぞもぞと移動する形の良い尻を眺めながら、
「歩いて行けば?」
「嫌よ、めんどくさい」
「運転できんのか?」
「免許はプラチナよ」
「ふぅ~ん……?」
冤罪の悪魔はシートベルトをかちりと嵌める。バックミラーの角度を調整し、エンジンキーを捻った。
エンジンが、かかった。
「……え? マジで運転すんの?」
デンジは我に返る。成人女性のケツと体付きに想像を巡らせている場合ではなかった。
見れば、悪魔は既にサイドブレーキを下ろしていた。そのまま躊躇することなくアクセルを踏み込んだ。
車体が揺れるほどの轟音が鳴らされる。
しかしまるで進まなかった。
「おいおい」
「あ、ギアが入ってないのね。え~と?」
言いながら、運転席の周辺に目を動かした。シフトレバーを発見。握りしめたが動かなかったため、「ふんっ」と力を籠めた。ミシッと不吉な音が鳴った。
女は気付く。ブレーキペダルを踏んでいなかった。
「もう、めんどくさいわね。ゲームみたいにボタン1つで発進できればいいのに」
「ゲーム……?」
なんか、ヤバくね? とデンジは思った。
こいつほんとに運転できんのか?
それは少し考えればすぐに分かることだった。
悪魔は戸籍を持っていない。だからたった今シフトレバーをドライブに入れたばかりの冤罪の悪魔が運転免許証を所持している可能性はゼロだった。おそらく彼女は、車の運転というものをゲームでしか経験していない。
デンジの脳裏に、パワーの得意げな笑みが浮かんだ。
「ちょ、待」
そして、
アクセルペダルが、ベタ踏みされた。
@
「――よし、トイレに3人入ったな。これで車に残っているのはターゲットのノコギリ男と護衛の女の2人だけだ」
駐車スペースを一望できる木の影から、アメリカのパクリ3兄弟が様子を伺っていた。
チャンスだった。標的がほぼ孤立した。
すかさず偽レゼと偽ナユタが立ち上がり、背後の三男に指を突きつける。
「今から俺たちがノコギリ男をここまで連れてくる! お前は待機! 分かったな!?」
「ふっ、ならば華麗にキメてやろう」
わけの分からない返答に、偽レゼと偽ナユタは苦虫を噛み潰したような顔をする。が、三男の正気を確かめている暇はない。本物のレゼとナユタがトイレから戻ってくる前に早川デンジを連れ出さねばならない。
2人の偽者は互いに頷き合うと、勢いよくロングバンへと走りだした。
三男はにへらと笑う。兄たちが離れたのを確認すると懐からスマートフォンを取りだした。淀みない操作で配信サイトに繋いでライブ配信を開始、ロングバンへと近付いていく2人の兄たちにピントを合わせる。
実況中継の始まりだ。
「Hey Guys! 待たせたな! 今日は予告通りに悪魔狩りのライブ映像をお届けしよう! ターゲットはあのノコギリ男、チェンソーマン! 今から兄貴たちが誘いだして、この僕が格好良くやっつけてやるって寸法さ! さあ、よ~く見てろよ? 奴の仲間に化けた兄貴たちが車に近付くぞ~……」
突如、ロングバンから轟音が鳴り響く。
後輪が猛烈な勢いで空転し、アスファルトに噛み合った。瞬間、急加速して――
2人、吹っ飛んだ。
きりもみ回転しながら人間が飛んでいく姿を、三男は初めて見た。
@
冤罪の悪魔も初めて見た。
デンジは見れなかった。
何故なら、彼はフロントガラスを突き破り、アスファルトを転がっている最中だったから。
シートベルトをしていなかった。
それが明暗が分けた。
一昔前のオープンワールド系ゲームの死体のようにぼてんぼてんと情緒の欠片もない跳ね方で10メートル近く転がっていき、ようやく動きが止まった。
「ぎ……、ぎ……」
吐血と鼻血が路面に広がっていく。
まさしく殺人現場そのものの有様。瀕死のデンジの傍ではたった今トイレから出てきたばかりの本物のナユタとレゼがあんぐりと口を開けて棒立ちになっていた。
「え、ええ……?」
「なに、この……なに?」
流石の支配の悪魔も、そして流石の元エリートエージェントも、困惑せざるをえなかった。
トイレに行って、戻ってきたら、デンジが死んでいた。
「い、生き……、」
近くには少女が2人もうつ伏せに倒れていて、更にフロントガラスを粉々に飛び散らせたロングバンが「私がここで撥ねました」と白状せんばかりに前面を大きく凹ませていて、挙句の果てに、
!?
「わ……わたしの、クレスタあぁぁあぁあぁあぁぁ~~!!」
公安の運転手、内山田が慟哭していた。
「なぜだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~っ!」
山中の駐車スペースが混迷の坩堝と化していた。
ナユタは未だにフリーズ中。
レゼはほんの少し猫背になった。
「はあ~あ」
すとんと感情のシャッターを閉め降ろすしかない。
「レジャーごっこ、したかったな~」
呟きながら、呆けているナユタの襟首をむんずと掴む。
「んぐ」
漏れ出た声を聞きながら後方の女子トイレへと放り投げた。次いで、足元で血塗れになっている少年もベルトを掴んで投げ入れる。
「――」
こちらは特に反応無し。
最後に自身もトイレの内へと退避して、屈み込み、慎重に手鏡を使って外の状況を窺った。同時に、デンジの意識レベルも確認する。
「デンジ君? もしも~し? 自分の名字と生年月日は分かるー?」
言いながら、倒れているデンジに手を伸ばして衣服をまさぐった。上着を腹から捲くり上げ、硬い異物を指先で探り当てる。チェンソーマンのスターター。
「おトイレの間ぐらいはもたせてほしかったんですけどねえ」
引っ張った。
ブゥン
「はっ……! おあ~……し、死ぬかと思った」
「多分死んでたよ、キミ」
「マジで……?」
デンジ、むくりと身を起こす。しばらく忘我の顔で呆けていたが、徐々に眉間に苛立ちの皺が刻まれていく。
「あ、ああ~、あの悪魔野郎、だんだんマジでムカついてきたぜ……」
「何があったの?」
「あの女悪魔に吹っ飛ばされた」
「ええ? それって、冤罪の悪魔さん? なんで?」
と、手鏡の中で、事故車と化したロングバンのドアが勢いよく開いた。
運転席から1人の成人女性が降りてくる。冤罪の悪魔、平静そのものといった顔つきで辺りを見回した。駐車場に倒れ伏している2人の少女たちを一瞥し、近くで膝を突いて人生の悲哀を嘆いている公安の壮年男をガン無視する。落ち着き払った態度がかえって不気味だった。
「ふう」
耳にかかった髪をかき上げて、女子トイレの入り口から手の平を振っているレゼに気がついた。
大仰に腕を組む。
コツコツと歩み寄り、こう一言、のたまった。
「早川デンジが轢いた。私のせいじゃない」
「はぁ~!?」
思わずデンジは飛び出した。
「俺はやってねぇ! よくンな嘘が言えたモンだなあ!?」
「えっ!!?」
それは迫真の演技だった。
冤罪の悪魔は信じられないとばかりに口元を手で覆い、大仰に首を振りながら、じわじわと沸きあがる怒りを演技する。
「まさか人のせいにするつもり……!? この……人殺しがア!」
「コワっ!? レゼ、この悪魔、嘘つきだあ!」
「違う! 悪魔は嘘をつけない! 嘘をつくのは人間だけ!」
「んな設定ねーよ! テメエが証拠だバ~カ! 嘘糞野郎がよお!」
「レゼさん、私は誓って運転していないわ! そもそも悪魔が運転できるわけないでしょう!? 悪いのは早川デンジ! 本当よ!」
「逮捕だ逮捕! 嘘なんとか名誉なんとか罪で逮捕だテメエ!」
「あのさぁ……」
「ちょっと」
女子トイレから、亡霊のような顔つきでナユタがぬるりと現れた。
「静かにできる?」
「あっ」
冤罪の悪魔、頬をひくつかせて視線を逸らす。
「でっ、できるっ」
ナユタは微笑を浮かべる。悪魔特有の温度を感じさせない瞳で容疑者2人を見比べた。
「さっき、どごぉんって大きな音がしてたけど。あの公安の車で、そこに倒れてる人間を轢いちゃったってことかな?」
「そ! そうっ! でも、私じゃない!」
「俺でもねえ! テメーだろ!」
「……正直どっちが轢いたかはどうでもいいかな。私が決めることじゃないし」
「きっ!?」
リリリリリ
狭いトイレ内に電子音が反響する。
ナユタは頬の筋肉をぴくりとも動かさぬままポケットをまさぐった。
「もしもし。はい、はい――」
周囲を警戒しているレゼ以外の視線を集め、淡々と受け答えしている。デンジと冤罪の悪魔は不安げに小さな悪魔を伺った。この場で最も幼い少女が場の主導権を握っている。
「ん」
ナユタは携帯電話を差しだした。
「わ、私に?」
受け取ったのは、冤罪の悪魔。
慎重な手つきで耳元にあてると、
『岸辺だ』
「う……」
本当の処遇決定権を持っている男の声がした。
『全部見ていたぞ。お前、ちょっとそこに居ろ。すぐに行く』
「待って! これは何かの間違い……そう、冤罪なのよ!」
『お前がそれを言うか』
と、その時、レゼが声をあげた。
「あ。デンジ君、ナユタちゃん、見て」
指差す先は、すぐ外に転がっている2人分の死体。
「格好が、体格も変わった。成人男性……。悪魔の力で姿を変えてたのか」
2人の少女だったはずの死体。
それが、いつの間にか2人の中年男になっている。ぴくりともせずに息を止めている姿はどう見ても日本人ではない。更に悪魔の力で変身していたとなれば民間人ではないだろう。
「……」
「……」
『……』
冤罪の悪魔が得意げに口元を歪める。
「フフン、やっぱりね」
「ああ?」
「こいつらが刺客よ! どうやら気付いてたのは私だけだったようね!」
「はああ? んだそれ?」
デンジは不満を露にしながら破れかかったサーフパンツと血に汚れたスポーツウェアを見下ろした。ぼろぼろのぐちゃぐちゃだ。
「納得いかねええ~! なんか前にもこんなことあった気がするんだけどよお!」
「わぁははははー!」
レゼは努めて感情を表に出さないようにしながら辺りを見回した。
田舎の駐車場。
凹んだロングバン。
細かいガラス片が飛び散るアスファルトに、2人分の死体が倒れ伏している。
惨劇だった。
これでもし相手が民間人だったらどうなっていただろう。きっと洒落では済まない事態になったに違いない。もっとも、故国で起こった事故なら全てが隠蔽されただろうけど。
岸辺は無慈悲に宣告する。
『冤罪の悪魔。お前はそこ動くなよ』
「え?」
『本当に刺客か、調べないと分からんだろ』
「はァ~? 想像力をもう少し働かせてもいいんじゃない? 姿を変えて近付いてくるような連中が刺客じゃないわけないでしょ?」
『じゃあお前、そこで倒れてる男どもの素性が分かるのか?』
「敵よ、敵!」
『どこの誰だよ』
「そんなの、」
分かるわけがない。
仮に、死体の男たちが有名なデビルハンターだったらレゼも顔を把握していただろう。だが未だ警戒を解かずに周囲を窺っている少女は「知らない」と首を振った。
同様に、ナユタも知らなかった。
デンジも「知るかボケ」。
そして、電話の向こう側にいるであろう公安職員たちも揃って回答を持っていなかった。
『つまりお前が轢いたのは運の悪かった民間のデビルハンターって可能性もあるわけだ』
「…………ちっ」
女は旗色が悪いと察知した。
長い長い溜め息で正論を遮って、
「はあぁぁああ~~~あぁ~。これだから腐れ金玉は」
『あ?』
「また悪魔差別。ほんとクソ。手が震えて涙が止まらない」
『何言ってんだ?』
「黙れ。私は共感しか聞きたくない」
言うが早いか冤罪の悪魔は飛び出した。
アスファルトを蹴って弾丸の勢いで飛び出していく。超人さながらの跳躍力。
あっという間に姿を消した。
一陣の風が駐車場の開けた空間をひゅるると通り抜けていく。
『マジか』
ナユタはゆっくりと携帯を拾って、ぽつりと呟いた。
「逃げたね」
次に、デンジも。
「ありゃ戻ってこないパターン」
レゼはくるりと振り返る。たっぷり五秒間だけ見つめたが、早川兄妹が前言を撤回する様子はない。
「嘘でしょ? 日本ってこういうのアリなの?」
「あー、ナシなんじゃね? でもあいつ悪魔だしなあ」
「一緒にしないでほしい」
「あっそう。じゃあ公安がヌルいんだ」
『……あいつはとっ捕まえる』
「それで済むんだ」
レゼはぐるりと全周を見回した。近場の建造物は勿論、遠く風景となっている山中の木々の1つ1つにまで。何者かが潜んでいないか、あるいはその痕跡が残っていないか。望遠レンズよりも精緻に眼を光らせた。誰にも聞こえないよう口の中で囁く。
……やる気あんのかな。
@
三男は思わず望遠スコープを伏せた。
レンズの反射光でこちらの位置がバレるかもしれないと思ったからだ。
勿論そんな心配をする必要はないとは分かっている。自分が身を隠している位置は山間の影、例え相手が悪魔並の視力をもっていたとしても発見されることはないはずだ。
けれど、それを理解していてもレゼという少女の眼光の鋭さに怖気を感じた。
猛禽類さながらの冷徹さ。
どんな獲物も見逃さないという意志と威圧感。
ただ1人警戒を怠らなかったあの少女――レゼと呼ばれる武器人間の姿形は知っていた。
つい先ほどスーパーですれ違い、兄が化けた造形も間近で確認している。若い女、ただの美女、そんな印象を持っていた。しかし、つい先ほど遠目から望遠レンズを通して確認した彼女の眼光はとても同じ生き物とは思えなかった。中身がまるきり変わってしまったようだった。
あれは、本物だ。
自分たち3兄弟が目指しても届かなかった、本物の裏の世界で活躍するプロの仕事屋。
気がつけば後ずさり、逃亡していた。
少しでも距離をとるために道の無い山中へと分け入った。
逃げて、逃げた。
辿り着いた先にあったのは幅の狭い尾根道。
見上げれば濃い緑に色づいた葉が頭上を覆い隠して、木漏れ日さえも阻んでいる。まだ14時にもなっていないのに日没前のように暗い。尾根道をどう進めば下山できるのかも分からない。
そんなもの、スマホの位置情報と地図を照らし合わせればすぐに分かる。
画面を見る。
ライブ放送がまだ生きていた。
「はは……」
画面の中では視聴者たちが激論を交わしている。
放送事故、轢かれた仕掛け人、日本の公安職員の正当性、放送者のモラルについて、デビルハンター業界の倫理観、正義とは、悪魔とは、政府が布くべき法とその整備――
馬鹿ばっかりだ。
こいつらは議論をしたいだけ。他者をコメントでやり込めたい、何か大きな流れに参加して当事者気分になってみたい、そんな、虚構で気持ち良くなりたいだけのろくでなしども。
だからこうしてちょっと過激な事件を提供してやればすぐに食いつく。崇めたい盛りのお子様と、批判したい病のナルシストが、勝手に場を熱くして再生数を伸ばしてくれる。
ほぉら見ろ、真面目に働くのが馬鹿らしくなるほどの勢いでドルマネーが積み上げられているじゃないか。
愚民どもは好き勝手な議論を交わしていたが、望んでいる展開は誰もが同じ。
続きを見たい! もっとやれ!
「ははは……」
やってやろうか。
適度に戦い、安全なうちに逃げてしまえばいい。デビルハンターとして悪魔を狩るよりよっぽど儲かる。そして何より、信じられないくらい多数の人間がこの自分に注目し、肯定してくれる。こんなに気持ちいいことはない。
けれど。
所詮、顔も名前も知らない他人どもが放り投げてくるだけの、その場限りの賛同だった。
「兄貴たち、ほんとに死んだのか……?」
呟きがするりと耳に入りこむ。自分で喋ったくせに知らない男の声のよう。
兄たちが死んだ。
その認識がようやく頭に入りこむ。
「どうして」
知っている。車に轢かれたからだ。
仕事の途中でしくじったからだ。
今回の仕事は特に危険だと言われていた。こうなる覚悟もしていたはずだ。
でも、じゃあどうしてそんな危険な仕事を引き受けたかというと――
――大金が要るんだよ。引退しても暮らしていけるようにな
全て自分のためだった。
精神の限界を迎えつつあるこの自分をデビルハンターから引退させるために敢えて危険に突っこんだ。
もっと安全で楽な仕事もあったのに。
兄たちは、他人ではなかった。
それをようやく思いだした。
「Hey Guys……。聞いてくれ。兄貴たちが死んだんだ。僕はデビルハンターとして引き受けた仕事をやり遂げなきゃいけない。応援……してくれるよなぁ!?」
はい。
さて、明日からチェンソーマン第二部が始まります!
楽しみですね。ではまた。