やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。   作:角刈りツインテール

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新シリーズ第一話です。この作品は短いやつを多く投稿していくスタイルにしたいと思うので、よろしくお願いします!


Ⅰ 鉄血篇
第一話 こうして彼らのまちがった青春が始まる。


♦︎♦︎♦︎

 

「そういえば先輩って、確か吸血鬼なんでしたっけ?」

 

総武高校3年、奉仕部に所属している孤高のぼっち。

 

千葉を愛し。

 

マッ缶を愛し。

 

妹を愛し。

 

戸塚を愛し。

 

孤独を愛する。

 

そんな愛に生きる男の名は比企谷八幡(ひきがやはちまん)。つまりは俺のことである。

 

俺は夏休みを終えてすぐのある日、吸血鬼に出会った。それはもう美しい、金髪の——————えっと、何?巨乳の吸血鬼に。

情報化だの機械化だのと騒がれる現代社会において何とも恥ずかしい出来事である。

少なくとも、もう2度とお天道様の下を歩けないくらいには恥ずかしい。

それは俺の数多い黒歴史のなかでも指折りで思い出したくもない過去のひとつなのだ。

だがしかし、俺はこの卒業を間際に控えたある日、その出来事をあざと可愛い後輩、一色(いっしき)いろはへと語ることとなってしまった。

「え、教えなきゃ駄目?俺これ誰にも言ったことないんだけど」

「駄目ですよー?知る権利ってやつです」一色は長いセーターで萌え袖にした指を自分の頬に添えて言う。

「なら黙秘権を行使する」

「ふふん、なら私の勝ちですねー」

知る権利より黙秘権の方が威力が弱いのか……そいつは初耳だ。いやそもそも威力って何だよ。ポケカかよ。一緒にする友達がいなくてしたことないから詳しくは知らんけど。待って何そのエピソード超切ないじゃん。

まぁそれは置いておいて、俺は一色に仕方なくこの黒歴史とも言える出来事を語ることとなってしまった。まぁある意味いい機会だとも言える。それは俺が、俺のせいで生きながらえてしまった鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードのことを改めて思い返すための行為へとなる。人生のターニングポイントであろうこのタイミングにそれを振り返るのは、決して無意味な行為ではないはずだ。

忘れてはならない、俺の人生最大の過ち。——————俺は首筋の噛み跡(キスマーク)を手で撫でながら思い返す。

それを、今から語ろう。

血が足りなくなるほどに語り尽くそう。

「お願いしますね、なるはやで!」

「うるせぇ。超絶長いから諦めろ」

えぇ〜、と一色が言う。聞きたいのか聞きたくないのかどっちなんですかね。

……まぁいいや。それじゃあ東西東西、お立ち合い。

 

 

これは、大いに間違った俺の青春の物語である。

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

追記:ちなみに俺は『青春』を『アオハル』と読むやつは滅んでいいと思っています。

 

♦︎♦︎♦︎

 

「ではそろそろ帰りましょうか」

「オッケー!」

俺、そして由比ヶ浜結衣、そして雪ノ下雪乃。この奉仕部に所属している人員であり、今部室に存在している人数である。部活というよりかはほぼ同好会のような規模だが、別に好んではいないのでやはり部活でいいのだと思う。まぁそんなことは言葉の綾であり至極どうでもいいことなのだが。

 

「いや悪い、俺平塚先生に呼ばれてるから先に帰ってていいぞ」

 

そう、俺はこの日、部活後に俺の担任でありこの部活の顧問———平塚静先生に呼ばれていた。

彼女がどんな先生か、と聞かれれば男勝りな女性で、今時珍しいハードボイルドな教師だと言う他ない。実際に俺も何度か———というよか何度も鉄拳を喰らっている。あれはまじで痛いからやめてほしい。

おそらくそういう部分が未婚である原因なのだと思うが、それに気づくのはいつの話になることやら。

「あなた、また何かしでかしたのね。あなたの脳みそは節穴かしら」と毒を吐くのは雪ノ下。

「脳が節穴だったら死んでるけどな」正しくは目、である。

「まぁ、それは間違っていると言わざるを得ないけど。あなたの目は確かに存在していて、そして腐っているのだから」

「君ら、俺相手なら何でも言っていいと思ってない?俺だって傷つくこともあるからね?……まぁあれだ。雑用」

生徒に雑用をさせるのはやめてほしい。職権濫用である。

「平塚先生って本当ヒッキーのこと大好きだよね…私も手伝うよ?」と由比ヶ浜。

「……それは流石に申し訳ないっていうか、友達に見られたら勘違いされるっていうか……」

「は?」

おっと、伝わらなかった…これがジェネレーションギャップか。『ヒッキー友達いないじゃん』みたいなツッコミもなく普通に引かれてしまった。実に悲しい。今日は枕を濡らす羽目になりそうだ。

「まぁ大丈夫だし。別に……」

「どうしたの、由比ヶ浜さん?」

「べっべつに!?なんでもないよゆきのん!」と由比ヶ浜は突然慌て始める。その恋する乙女のような表情と仕草に思わずドキッとしてしまう。危ねぇ、俺が訓練されたボッチでなければ告って振られてるところだった。振られちゃうのかよ。

「そう、なら私も一緒に———と言いたいところだけれど残念ながら今日は姉さんと予定があるのよ。いや、ありがたいことに、と言うべきかしら?」

「そ。別に元から呼ばない予定だったしいいけど……まぁ何?その……助かった、由比ヶ浜」

これが小町ちゃんの言ってた(ひね)デレか…...と呟く由比ヶ浜。おーいガハマさん、聞こえてますよー?

あ、ちなみに小町というのはお米ではない。愛する我が妹である。控えめに言って戸塚と同じレベルの天使なので俺は常日頃から小町への男子の目線に気を配らなければないのだが、それを本人に話したら以前『そのシスコンっぷりのは流石に引くけど……でもそんなごみぃちゃんも大好きだよ?あ!今の小町的にポイント高い!』と言われた。最後のを言わなければ良かったのに。惜しい。

「では私は帰るけれど……由比ヶ浜さん、もしこの変態に襲われそうになったらすぐに電話しなさい。すぐに然るべき機関へ連絡するわ」

「いやお前を挟む意味あんの……てかしないからそんなこと」

「どうかしら」と目線をそらす雪ノ下。出会った頃から常々思っていたことだがなんでこんなに憎たらしいんだこいつは。美人なのにもったいない———とは流石に言わない。そういう台詞を吐いて引かれないのは葉山くらいだ。彼に言われたらむしろ惹かれるかもしれない。……あぁ、なんかイライラしてきた。爆発しねぇかな。

「あはは……まぁまぁ二人とも」と宥める由比ヶ浜。「じゃあウチらも今から行くからゆきのんも途中まで一緒にいこ!」

「えぇ、いいわよ。比企谷くん、電気は忘れずに消しなさいよ」

それは成り行きで最後に教室を出た人が消すものじゃないのか?と思いつつそんな議論は意味を持たないと思ったので口に出すのはやめた。

 

「じゃ、消すぞ」

俺はパチリ、とボタンを押し、消灯する。視界が一瞬真っ暗になったがビルの明かりに加えて今宵は満月なこともあり、すぐに慣れた。

さすが都会である。さすが千葉である。

 

 

さて——————平塚先生にはこれからどうパシられるんだろうな?俺は未来に絶望を感じながら部員二人の後ろを歩いた。

 

 

 

青春とは嘘であり、悪である——————そんな、全ての始まりになった作文を何の毛なしに思い出しながら。

今思うと、それは走馬灯に近しいものだったのかもしれない。まぁ別に、ただの戯言だが。




はい、そんな感じでした。感想、評価など宜しければお願いします。

[登場人物]
・比企谷八幡(ひきがやはちまん)
今作でも原作でも主人公。総武高校2年F組に所属している男子生徒。座右の銘は『押してだめなら諦めろ』。超高校級のぼっち。己の経験を集約した「青春とは嘘であり、悪である」と題する作文を書き、平塚静先生によって懲罰名目で奉仕部に強制的に入部させられる。

・雪ノ下雪乃(ゆきのしたゆきの)
総武高校2年J組に所属している女子生徒で奉仕部の部長。座右の銘は『目には目を、歯には歯を』。幼少期から他人に妥協せずに我が道を貫いてきたため、周囲から疎まれ、その美貌と完璧さに多くの男子生徒に好意を寄せられ、女子生徒からは常に嫉妬の対象となっていた。えぐい毒舌。

・由比ヶ浜結衣(ゆいがはまゆい)
総武高校2年F組に所属している女子生徒。座右の銘は『命短し恋せよ乙女』。葉山や優美子を中心としたクラス内カースト最上位のグループに所属している。奉仕部に依頼に訪れた際に自分とは正反対のタイプの雪乃の姿に感銘を受けたことから奉仕部に出入りするようになり、後に部員となる。

・一色いろは(いっしきいろは)
今作にはほとんど出ない。総武高校1年C組に所属している女子生徒。性格や制服の着こなしこそ、ゆるふわ系ギャルだが、その実は他人から見られることに慣れ、その上で自身の容姿や他人が求めるキャラクター性を理解し発揮しているもので、八幡曰く「非天然」。

完結後の番外短編(もしかしたら普通に続きになるかも?)では何を書いて欲しいですか?

  • 阿良々木との会話
  • 羽川との会話
  • 怪異にあった俺ガイルメンバーの話
  • 日常編
  • その他(感想にてお願いします)
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