やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。   作:角刈りツインテール

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ついに毎日投稿が途切れてしまいました…流石に一週間が限界ですねこれはw
まぁ更新速度は少し遅くなりますがまだまだ続きますので今後も何卒!


第十一話 そして、一つめの舞台の幕が上がり、祭りは最高にフェスティバっている。(中篇)

「おい」

俺は2階へ上がってきたドラマツルギーの背後から呼びかけた。む、と彼がこちらを向く。その距離およそ10メートル。彼が全速力で走れば2秒で追いつかれるであろうこの距離で俺が一体何をしているのか———答えは簡単。

回復力自慢である。これで相手がビビってくれたら万々歳だ。

「———む」

俺は千切れて肉が見えている部分から、()()()()()()()()()()()()()()。ばしゃばしゃと血が周囲にばら撒かれながら元に戻った俺の右腕にはツギハギになっている部分なんてない。むしろ脱皮のように、以前よりも美しくなっていた。

「…やるじゃん、吸血鬼」

俺はそう言ってから再び全力で走り出した。上へ向かって、屋上へ向かって。ただひたすらに走った。

「ふぅ…ふぅ」普段引きこもってばかりの俺。休みの日は引きこもってばかりの、まだ人間だった頃はこんな距離走るなんて不可能だったはずだ。なのに、一向に限界が訪れない。不思議と笑みが溢れ、いける、と感じた。

走る。とにかく走り切る。そしてようやくたどり着いた。雨は先ほどよりも強くなっており、台風でも来ているのかと思わせるほどで立っているのも大変だった。

俺は階段の上の屋根の上に軽く飛ぶ。そして待つ。

十秒ほど経ってギィ、というドアの軋む音が聞こえた。多分、もうそこにいる。

だから俺は———ドラマツルギーに向かって飛び降りた。

「———はぁっ!どうだこんにゃろ!さっきの恨みだよ!」

俺は倒れたドラマツルギーの腕を踏み、首を絞めながら叫んだ。流石に動けない状態で呼吸ができなくなれば危機感を感じるだろうと思って。しかしそれは間違いだと思い知ることになる。

 

 

俺の腕は、気づけば切断されていた。

 

 

「は…なんで」俺はもはや理解が追いつかず唖然としてしまっていた。そりゃそうだ。吸血鬼にこんなスキルがあるなんて聞いたことがない。ラノベにだってそんな攻撃をする奴はいない。

 

———腕を、大剣にする奴なんて。

 

「俺は『フランベルジュ』と呼んでいる」寡黙な男はそう言った。その剣の名前の話だろうか。あとから思えば『お前それ一本だけ長い毛に名前つけて話しかけるのとさして変わらないからな』とでも言いたくなるが、今の俺に冗談を抜かす余裕はない。まじで何だ今の攻撃。ふざけんな。俺は心の中で毒を吐いて、屋上に溜まった雨水で滑りながら後退した。腕がない今、それは第三者から見れば芋虫のように見えたかもしれない。

腐った目の、芋虫みたいな吸血鬼。

最悪だった。だがもっと最悪なのはこの現状の方で———俺はドラマツルギーの腕から生えている2本の剣に追われることとなったのだ。

ダンッ、ダンッ!と床が凹む音がする。俺は腕が再生するまで逃げるほかなかった。

「ちっ…最悪だよもう…うわっ!」

その時、俺の背中はフェンスにぶつかった。すなわち、それはもう逃げ場がないことと同義で、ドラマツルギーもそれが分かっているのかゆっくりとにじり寄ってくる。

(あれ、これ…詰んだ?)

冷や汗が雨とともに流れる。どうする、俺。

「…落ちるっきゃないよなぁ…」俺は何とか立ち上がって———力強く踏み込んで後ろへバク宙にように飛び上がった。

そして空中でドラマツルギーの驚いたような顔を見ながら、自分がやったことの重大さに気がつく。

 

———なんでもっと受け身を取りやすい姿勢で飛ばなかったんだよ。

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああやばいやばいやばい怖い!」

俺は落ちてからヘタレを発動していた。腕の再生を生で見たこともあってか、大分吸血鬼の体質に慣れてきたが心は人間のまま。怖いものは怖い。

また痛いのがくる、と覚悟を決めた。そしてクッションがあった、みたいな奇跡が起こるとかでもなく———期待を裏切らずに背中に激痛が走る。

「かはっ…いってぇ…は…」

俺は立ち上がりながら呼吸を整える。痛みから察するに折れていたであろう左足もとっくに治った。そしていつも間にか両腕も再生している。これでは芋虫というよりトカゲだ。いやあれは尻尾だけか。どうでもいいな。

俺は走り出す。走りながら考える。どこだ。地の利。どこでなら勝てる。思い出せ、俺の記憶を呼び覚ませ。

部室———違う。

教室———違う。

違う、違う、違う———!と混乱しそうになったところでようやくある場所を思い出した。

 

俺は転けそうになりながら90度方向転換し、ある場所———テニスコートへ向かった。

 

♦︎♦︎♦︎

 

突然だが皆様はテニスボールを踏んで転んだことがあるだろうか。ちなみに俺は一度も無い。何故なら他人がテニスをしている場所でテニスなんてしないからだ。体育の授業だって、いつも『体調悪いので自主練してていいっすか』と言って先生にはやる気だけを見せつつ一人を満喫しているのだ。だから、無い。だが横目で、よく陽キャグループがボールを踏んで、転けている人を見て笑っているのを目撃することがある。何が面白いんだよ、ったく。…おっと、話が逸れかけた。まぁ要するに俺が言いたいのはこういうこと。

 

「…雨の中の土って結構滑りやすいんだよな」

 

俺は、進学校にしてはだだっ広いテニスコートに敷き詰められたテニスボールを見て笑う。泥となった地面と、テニスボールの相乗効果。…いや、我ながら浅はかな作戦だとは思う。だがしかし、単純だからこそ工夫がしやすいのだ。この場合の工夫が何かといえば、俺が陸上部の倉庫をこじ開けて奪った砲丸である。吸血鬼の力ではテニスボールの投球なんて行動は完全に役不足———もちろん正しい方の意味だ。なら、鉄の玉ならどうだろうか。これでも及ばないか?わからんが効かなくても最終兵器だって用意してある。

反撃の狼煙をあげよう。俺が手の中で砲丸を転がしながら、テニスコートへ入ってきたドラマツルギーに向かってキザな笑みを浮かべ、そして上へ投げ———俺もジャンプし———そして。

「ふっ!」

 

ドラマツルギー目掛けてサーブを打った。

 

♦︎♦︎♦︎

 

「………八幡…?」

物陰でそんな俺を見ている人物がいたことを知るのは、もう少し後の話。

 

 

 

 




読んでくださりありがとうござます!

完結後の番外短編(もしかしたら普通に続きになるかも?)では何を書いて欲しいですか?

  • 阿良々木との会話
  • 羽川との会話
  • 怪異にあった俺ガイルメンバーの話
  • 日常編
  • その他(感想にてお願いします)
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