やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。   作:角刈りツインテール

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第十二話です!よろしくお願いします!


第十二話 それでも彼の青春はまちがい続ける。

「お、ただいま比企谷くん」

忍野メメが笑顔で俺を迎え入れた。

「…うっす」

「はっはー、せっかく右脚を手に入れたと言うのにつれないなぁ」忍野は別にどうでも良さげに、椅子をギコギコと足で鳴らしながら言う。「まぁ何はともあれおめでとう」

「で、そのキスショットはどこなんですか」

「隣の部屋にいるよー」

その言葉を聞いて、返事をすることなく隣の部屋へと向かった。どうやら今日の俺は少し気分が悪いみたいだな。きっとそれは太陽が出ているからではない、もっとメンタル面での話だ。

———戸塚。

きっと、彼を傷つけないもっといい方法があったはずだ、それなのに。

「おぉ、ようやく帰ってきたか」

ドアを開けた瞬間、キスショットの声が聞こえた。振り向くより前に喋り出したんですが、背中に目でもついてるんですかね。

「おう。…はい、これお前の右脚」俺はリュックに入れた脚を放り投げた。普通なら失礼極まりない行為、というか倫理的にどうかと思うがキスショットはそんなことでは怒らない。彼女の長い人生において、こんなことはほんの些細なことなのだ。

…何歳なんだろ。

「なぁ、お前何歳なの?」

「ん?500歳じゃ」

———今、何だか途方もない数字が聞こえた気がする。

「…お前それ、サバ読んでない?ほんとか?」流石に大きすぎる、と思って尋ねた。

「は…おいお前さん、そ、そんなわけがなかろう?」とキスショットは目を逸らした。

おい。

分かりやすすぎるだろ…お前は由比ヶ浜かっての。…まぁ、別にわざわざ嘘に言及してまで聞きたいほど興味を持っているわけではないのでここらでこの話題はやめておいた。そもそもレディに名前を聞くこと自体が悪いことだしな。そこらへんの分別はつく。

「てか、これどうやってくっつけんの?」

「食う」

そう言ってキスショットは徐ろに、()()()()()()()()()()()。それはもう美味しそうに...。

って、いやいやいや、それは流石に...幼女が成人女性の足を食べている光景は流石に引くぞ...。

「………。」

「ん?何じゃ、レディの食事をそうジロジロ眺めるでない」と突然常識的なことを言い出したので俺は「はいはい」と言って部屋を出るほか無かったのだ。だが、出たら出たで「おかえり」と手をふるアロハシャツのおっさん。そろそろ保養がないと目が腐ってしまいそうだ。おっと、腐っているのは元からでした、てへっ。

「.........。」

これは流石に気持ち悪かった。まぁそれは置いておいて、さて次の相手の話でも———と思ったその時、思いも寄らない客が訪れた。

「あ!いたいた!やっはろー!…って、誰この人!」

「おはよう、比企谷くん。今日もいい目をしているわね」

「…っす…って、学校は」

制服姿の雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣。どちらも同じように失礼だった。

「ん、今は通学中。せっかくだから寄ろうよって話になってね」と由比ヶ浜。それに続いて忍野が喋り出す。

「はっはー、この子達が君の言っていた『協力者』かい?女の子二人をたぶらかして、いつ背中から刺されても文句は言えな」

「…あーこいつは()()()()()の専門家の忍野メメだ」俺は忍野の言葉を遮って紹介した。

「メメ…すっごい名前ですね」

「はっはー、よく言われるよ、団子頭ちゃん」

由比ヶ浜はすでに変なあだ名をつけられていた。何だそのダサいネーミングは。もっとあっただろ。まぁ初めて出会った時にビッチ呼ばわりした俺が言えることではないけど。

「比企谷くん、この人は信用できるのかしら」雪ノ下は俺に聞いた。

「あぁ、大丈夫だと思う。お金も払ったし」

「ち、ちなみにいくら…?」と由比ヶ浜が尋ねたので俺は素直に「200万」と答えた。

 

 

場が静かになった。

 

 

どうやら本気で引かれてしまったようだ。慣れていることとはいえ今日の夜は枕を濡らすことになりそう…まぁここに枕なんてないけども。あるのは寝心地の悪い椅子だけだ。あと住居不明のおっさんと幼女。

「…忍野さん。あなたはこのゴミにお金だけ払わせて逃げる、姑息な人間ではありませんよね」

「ちょっと待って今俺のことゴミって言った?」

雪ノ下は初めて忍野に向かって話しかけたが、そこには友好関係を結ぼうといった意思は微塵もなく、雪ノ下に浮かんでいるのはマッ缶のように警戒心MAXな表情だった。だが忍野は怯むことなく「はっはー」といつも通り笑った。

「おいおい、そんな怒るなって。ツンデレちゃんは元気がいいなぁ、何かいいことでもあったのかい?」

ツンデレちゃん…いや、こいつのどこがツンデレなんだよ。どちらかというとツンドラ気候って感じだぞ。ほら見ろよ。雪ノ下がゴミを見るような目で忍野を見始めた。気づけよそろそろ。刺されるのはお前になるかもしれねぇぞ。

「そういえばヒッキー、彩加ちゃんとなんかあった?昨日、LINEで元気なかったんだけど」

戸塚彩加———。

「いや、何もない」俺は言った。紛れもない嘘だった。由比ヶ浜は「そっか」と納得してくれたが、おそらく雪ノ下には気付かれている。その証拠に今すごく睨まれているのだから。怖いってば。何かいいことでもあった?

だが最終的には「そう」と言って目を逸らした。おそらくもとよりそこまで興味があるわけではなかったのだろう。彼女がサバサバした性格で助かった。

「じゃあ私たちは学校に行くけど、なんか欲しいものある?」

「ん、あぁいや、流石にそれは申し訳ないというか…」

「今更でしょう、そんなこと気にする必要はないわ。それに依頼だし」

「…そうか、助かる。なら、換えの服が欲しいんだが…あとは食いもん。お腹が減ってるわけではないけど何か口に入れたい」

自分が人間であることを確かめるために。

それからしばらく雑談をしたのだが、由比ヶ浜が時計を見て「げ」と言ったので俺は「行けば?学校」と返した。

「わかったわ。ではまた放課後に会いましょう」雪ノ下と由比ヶ浜はカバンを手に取りながら立ち上がった。

「じゃあねヒッキー!あ、忍野さんもよろしくお願いします!」由比ヶ浜は忍野にペコリとお辞儀をする。ちなみに雪ノ下はしない。愛想悪いなぁ。

「あいよ」

「じゃあな」

そう言うわけで俺と忍野に見送られて彼女たちは去っていった。

 

それを待っていたのだろうか、キスショットが扉を開いた。

「お…おぉ」俺は思わず感嘆の声を漏らす。

6歳ほどの幼女だった。キスショットは———12歳くらいの見た目になっていたのだ。体が本調子に近づいたからだろうか。「ふんふふーん」と上機嫌な口笛まで吹いていた。ヤベェかわいい。

「いいのぅ、元気が出てきたの!この調子で引き続きお願いするぞ、うぬよ!」

キスショットは、薄い胸を逸らしながら言った。ヤベェ、かわいい!

 

さて、この命懸けの試合。もとい死合い。それもあと2回。2回で終わる———はずなのだが俺はこの時、微かな違和感を感じていた。

「なんだ,,,?」

ドラマツルギー戦を乗り越えてからずっと感じている、このモヤモヤはいったい何なのだろうか。

「まぁ、いいか、後で」

気になったが知る方法もない。なので俺はそこまで気にすることなく「じゃあ忍野、次の相手について教えてくれ」と頼んだ。

 

「いいよ。次の対戦相手はエピソード。何を隠そう彼は人間と吸血鬼のハーフでね……」

忍野のひとり語りが始まる。

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか!感想・評価などお願いします!キスショットのサバ読みの件、すれ違ってて最高に好きです。

完結後の番外短編(もしかしたら普通に続きになるかも?)では何を書いて欲しいですか?

  • 阿良々木との会話
  • 羽川との会話
  • 怪異にあった俺ガイルメンバーの話
  • 日常編
  • その他(感想にてお願いします)
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