やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。   作:角刈りツインテール

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登場人鬱が増えたことだし折角だからエピソードくんをちょっと強くしてみました。というかオリ設定が加わってるし何ならテラフォーマーズのセリフパクってます。そんな超ウケる感じの第十六話、よろしくお願いします。


第十六話 そして、比企谷八幡は敗北宣言する。

♦︎♦︎♦︎

 

VS EPISODE

 

♦︎♦︎♦︎

 

「後遺症が残らない程度に殺してやるよ」

12時ちょうど、俺たちの戦いが火蓋を切った。俺たち、というのはエピソードと俺のことであって、それはかつて日本史で見た『ロシアvs日本』の風刺絵のような力差の戦いであった(何戦争だったかは知らん)。吸血鬼としての慣れも、戦いへの慣れも俺より段違いにある。まぁ、それだけならドラマツルギーの時も同じだったのだが…その時との大きな違いは、彼とは種族が異なるということである。異なる、と言うと多少語弊が生まれるのだが…。ドラマツルギーは完全な吸血鬼で、だからこそフェアな戦いができた。だが比べて目の前のこの男はどうだろうか。

忍野曰く、遊び人(プレイボーイ)

彼は吸血鬼と人間のハーフだ。きっと十字架も日光も耐えてくる。だから———日が昇る前に決着をつける必要がある。

 

「おらぁ———!」

俺は勢いをつけてエピソードへ駆け出した。このまま捕らえられれば万々歳だ。まぁ、そう上手くはいかないと思うが…。

「超ウケる」

そしてその予想通り、彼は俺のパンチをかわした。まぁ予想通りの行動だ。だが予想外だったのはその方法———()()()()()()()()()()()。まるで煙のように、水蒸気のように。

あの時と同じだ。

なんだ、この能力は。

 

「おせぇよ」

後ろから声。急いで振り返ると、40メートルほど先にエピソードが立っていた。全力疾走———なんてわけではないと思う。なら、これは一体何なんだ。考えろ。考えろ比企谷八幡———

だがエピソードが俺に思考の間を与えてくれることはなかった。彼は思いっきり振りかぶり———投げる。何を、と言われればそりゃあ。

「…おいおい嘘だろ」

彼の持っている十字架だ。吸血鬼の弱点。触れると焼ける。

「ヒッ———」

俺は小さい悲鳴をあげて走り出す。だがありがたいことに軌道はまっすぐで、それゆえに横に逃げることができた。

できたのだが。

 

 

「あ———あああああああああああああああああああああっ!?!?!?!?」

 

 

何故か、脇に逸れた俺の真横を十字架が通り過ぎ———俺の腕を抉った。

 

 

「いっってぇぇぇ…」俺はジタバタと床を転がりまわる。「は…はぁ…な、何をした…なんの能力だそりゃ…ッ!」

「はっ、これは吸血鬼の能力じゃねぇぜ。1867年に突如現れた“人類最初の魔球” 『カーブ』とそれを支える『マグナス効果』さ。テストにゃ出ねぇぜ」エピソードはそう言って笑った。

 

あぁ、そうか。今分かった。

人間と吸血鬼の中間———それは肉体の話だけではない。思考だって人間よりなのだ、こいつは。

理性なんてものは無い。だがしかしそれでも彼は人間で、なら俺たちと同じように幼少期に野球選手に憧れて真似たり、学校で授業を習ったりしている、ということなのだろう。彼は人間側の知識も身につけており、それがさらに吸血鬼としてのエピソードを強化している。

エピソード。

予想以上の難敵かもしれなかった。

「にしても…治んねぇぞ、腕……」

ここはやはり伝承で少し変化した部分なのだろうか。触れたからと言ってその部分から燃え始めるなんてことはなく———代わりに豆腐のようにいとも容易く千切れ、そして再生しなかった。いや、よく見ると本当にゆっくりだが再生しているのが窺える…が相手は再生を待ったりなんてしない。それにもしこれが胴体だったら———想像しただけでゾッとする。

「名前間違ってんじゃねぇの…お前がギロチンカッターだろ」

「よせよ。俺はアイツほどイカれちゃいねぇ」

「言ってろ」俺は再び走り出す。前回とは異なり今回の戦いに関しては完全な時間制限付き。しかも時間経過であいこではなくエピソードの勝利になる。アウェイすぎるだろ、これ。

 

だが、まぁ一つ言えるとしたら。

 

少なくとも教室での俺よりかはアウェイでは無い。

 

つまるところ、この状況は。

 

「———ベストコンディションだ」

俺はニヤリと笑いながら失っていないほうの腕で殴りかかる———がやはり寸前でふっ、と消えてしまう。吸血鬼に瞬間移動の能力なんてあったか…って、あれ?

「あぁ…そういうことかよ」

これは瞬間移動ではない。雪ノ下がまとめてくれたノートには少なくともそんな性質はなかった。だが、ひとつだけ瞬間移動の代わりになるようなスキルを持っていた。どういうことか、それは至って単純な事実で———エピソードは今、()()()()()()()ということだ。

 

……まぁ、だからなんだという話だ。俺が理系選択なら化学を駆使して戦ったり出来たのだろうけど生憎古文や現代文で霧の性質の学習はしない。

 

さて、どうしようかと後ろを振り返って辺りを見回———す暇もなく眼前に十字架が落ちてきた。恐ろしく固いはずの床に、何故か突き刺さる。まるで、もともとあった穴にすっぽり埋まったかのように。

「っぶねぇ!くそっ…」俺は回復した右腕を鳴らしながら駆け出す。というか逃げていく。

が、それも叶わず。

 

「はっ———逃げんのかよ?」

逃げた先には十字架を持ったエピソードが立っていた。逆方向を向く。

「っ!」

だがそこにもいる。なら右は。

「あぁもう!」

そこにも。左は。そこにもいる。嗤っているエピソードがいた。

「なんなんだよ…ッ!」

そこにも、そこにも、そこにも、そこにも。そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

そこにも。

 

「ああああああもう…」俺は頭を掻きむしる。「何人いるんだよ、クソリア充が…」俺はそう、空元気で毒を吐いたが内心かなり焦っており、なんなら策略の一つでさえ思いつかない。まじでどうすんだよ俺。考えろ、考えろ、考えろ———

「もう、終わらせるか」エピソードの飽きたような声。

いや、まだだ。まだ終わっていない。もう少しだけ。あと少しの時間さえあれば———

「じゃあ、行くぞ」

そう言ってエピソードは俺に向かって駆け出した。最初の俺のように無鉄砲に。完全に舐めているようだった。

遊び人。

まぁ、そうでもなきゃこんなエゲツない作戦思いつかないわ…。

負けた。俺はそう確信した。

その時のことだった。

 

 

 

「おーいっ!!!!!!!!!!」

 

 

 

女性の高い声。

「は……?なんでここにいるんだよ…」

「はぁ———ヒッキー!」

俺にとって、さらにエピソードにとっても予想外の事態が起きたのだ。

それは部外者が来訪すること。そしてそれが———

「由比ヶ浜……それに…雪ノ下…」

「…さ、さっきぶりね、比企谷くん」

 

 

 

汗だくで息を切らしている俺の知り合い2名だったということだ。一人は俺に明るく手を振る由比ヶ浜結衣。もう一人は胸の下あたりで腕を組みいつもの笑顔を見せつつも息切れを隠しきれていない雪ノ下雪乃。つまり、奉仕部が集結したということで、もしこれが映画なら感動の場面なのだろうがそうはいかないのが現実だ。

 

 

 

 

いや、お前ら結界どうやって解除したんだよ…ていうかそれよりもそんなところにいたら危な—————————

 

絶句。そして体を寒気が襲った。

何故なら、先程まで飽きたような表情を浮かべていたエピソードが、()()()()()()()()()()()()()()のだから。

 

 

 

「逃げろお前らッ!!!!」




ゆきのんとガハマさんが到着。傷物語をすでに知っている方は次の展開が予想できますね。
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