やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。   作:角刈りツインテール

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鬼滅の刃全巻失踪事件。いやまじでどこ行ったの。そんな不思議な感じの19話、よろしくお願いします!


第十九話 つつがなく、会議は踊り、されど進まず。

「ふぅ…」

俺は戸塚、雪ノ下、由比ヶ浜と解散して15分後ほど経ってから学習塾跡へ帰宅、そのまま三つ並んだ椅子に寝転ぶ。時刻は午前6時20分で日も登ってきたし、何より色々ありすぎて疲れた。久しぶり———というかあんなに感情的になったのは初めてだったし。はぁ、とため息をついて顔を両手で覆う。

 

うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!

 

ちなみにだがこれは実際に叫んだわけではなく、あくまで心の中での猿叫である。一体全体どうしたのかと言うと。

 

 

  『もう少しだけ、このままで』———比企谷八幡

 

 

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」

 

今度は本当に叫んだ。ひと段落ついてから気がついた中学の頃以来の黒歴史セリフに俺はただただ羞恥心に溺れているのだった。まじで、死にてぇ。吸血鬼になったことよりもショックかもしれない。まじであいつらに合わせる顔がなさすぎる…と、俺は体を縮こめた。

「死ぬしかないじゃん…」

「帰って早々騒がしいのう。何かいいことでもあったのか?」

眠そうな顔で、古風な日本語を使って訪ねてきたのは迷う余地もなく勿論キスショットである。つかその決め台詞、お前まで使い始めたのかよ。流石にパクったらいけないだろ。

「まぁお前からしたらいいことだろうけどよ…」俺は未だ顔を覆ったまま返事をした。

「そうじゃの。これで不死性に関してはほとんど回復したと言ってよかろう」キスショットは自身の身体を見回しながら満足げに言った。

キスショットの腕をもう既に忍野が渡していたのだろう。指先から目だけを出して彼女の容姿を見ると、さっきまで15歳くらいだったキスショットが、今はもう立派な成人くらいの見た目になっていた。一度は同じ現象を見たものの、いざこうしてまた急成長するとやっぱすげぇよなぁ…。何処がって、胸とか?もうこの時点で大半の女性の大きさは超えているだろう。まぁ何はともあれ次で完全復活、あのボインボインのおねーさんに戻れるのだ。

「ならもう次の戦いはお前が出てもいいんじゃねぇの」

「いや、回復したのは不死性だけじゃ。まだ戦えるまでにはなっておらん」

引き続き頼むぞ、とキスショット。くそ、折角サボれると思ったのに。

「お前さんはこの場面でサボろうとできるのか。流石じゃの」

「生憎、俺の将来の夢は専業主夫なもんでね」

「そうか。センギョーシュフが何かは知らんが頑張れよ。…あぁ、そういえばうぬ。これは一体なんじゃ?」

「あぁ、これは…」

甘い匂いを思い出したのか(あとシェフってなんだ)、キスショットは直方体の箱の中身を問うた。ちなみにその中には先日、由比ヶ浜が差し入れで持ってきたミスタードーナツが入っている。今は空腹にならない体質なのでいつか食べようと思っていたがキスショットにあげてもいいかもしれない。餌付けみたいな絵面になりそうだけど。

「…食うか?」

「そうじゃの。万が一にも毒が入っていたら大変じゃ。だから儂には我が従僕の命の安全のために毒見をする義務がある。一つ食べさせてもらおう」

お前は由比ヶ浜をなんだと思っているんだ。ていうかお前、そんな小賢しい言い訳までするような食いしん坊キャラじゃないだろうに。まぁ別に一つくらいいいけど…。

「誠か!」と嬉しそうに言うキスショット。はっきり言って超絶可愛い。抱きしめたくなる。

そして彼女はドーナツを一個頬張り———

「おぉ…おぉ…!これがドーナツ…」と感動しているようだった。喜んでいただけて何よりです。その後結局、キスショットは全て食べた。どうやら一つというのは一箱という意味だったらしい。やれやれ、人間と違ってビッグな感覚を持ってるよな、ほんと。

「ふぅ、なかなか美味じゃった…特にこのゴールデンチョコレートは素晴らしいものじゃったの…かかっ、人間もたまにはいいことをするのぅ」

「それ褒めてんの?貶してんの?」

ドーナツくらいしか功績がないという皮肉に聞こえなくもないがまぁここは言葉通りに受け取っておこう。

閑話休題。

俺の心の傷はまだ癒えていないもののとりあえず一休み挟んだところで、俺の次の対戦相手について話を聞くこととしよう。

「えっと、次の相手なんだが———」

「おぉ、そういえば誰じゃったかな」

え。

忘れたんですか、キスショットさん。

「待て待て。すぐに思い出すから」

彼女は手で俺を制してなんの根拠もない発言をした。体は成長しても性格は変わんねぇな…なんて思っていたら予想外の出来事が起きた。

ぐしゃ。

キスショットは自らの頭に手を突き刺した。

「は?」

ぐりぐりぐり。

そして彼女は探し物をするかのように脳みそを掻き回し始めた。成人女性が脳味噌をえぐる光景。なかなかにエグいものだった。だけど不思議なもので、今までグロテスクなものを身過ぎてしまったせいで慣れが生じてきているようだった。なんか嫌だなぁそれ。

「おぉ、思い出したぞい」と言ったかと思えば手を抜いた。そこに出来ていた真っ赤な穴は一瞬にして消滅しており、不死性の完全復活を示唆していた。

というわけで、俺は改めてキスショットに尋ねる。

「キスショット。次のハンターって人間なんだよな?」

「そうじゃぞ。そしてあの3人のなかで最も実力のある人物じゃ」

「実力があるっつっても人間だろ?なら今までに比べたら———」

「たわけ」

「ひゃい?」

キスショットは俺を睨むように一瞥して言った。え、何が?驚きのあまり噛んじゃったんだけど。

「うぬも気付いておったのじゃろう?あやつの狂気性に」

そういえば、と俺は初めて彼を見た時に感じた恐ろしさを思い出した。そうだ、確か俺はあの時、彼を最も警戒すべきだと判断して、雪ノ下の姉———陽乃さんに似ていると評したのだ。まぁ正直そんなことは微塵も覚えていなかった。だけど。

「だけどそりゃあいつら二人が吸血鬼だと知らなかったからこその判断で…流石に人間相手で負けねぇだろ」

「では聞くが、うぬは人間を殺せるのか?」

まるで俺を試すように、キスショットは尋ねた。そして気がつく。一回戦目はボールを投げただけで、二階戦目は怒りに身を任せていたからこそエピソードの首を絞めることができた。だが無害な人間ならどうだろうか———答えはNOである。

「そういうことね…一応用心しておくか」

「それにな、他の二人と違って彼奴は使命で動いておる。あのアロハシャツはエピソードを遊び人として警戒すべきだと言っておったが、儂からすればあの大司教のほうがよっぽど何をしてくるか分からんわい」

ふむ、なるほど。そいつの人となりはなんとなく理解できた。要するにヤバいやつだ。狂気を帯びた人間の思考なんて分かるはずもない。それに加えて大司教とキスショットは言った。言葉通りに受け取ればそれは彼が宗教か何かに関わっているということで、意志の強さを示している。段々、次の戦いの危うさが分かってきた。なら次に聞きたいのは彼の戦闘スタイルだ。以前会った時、あいつの手には聖書らしきものしか無かったはずなのだが…流石にルフレよろしくギガサンダーを繰り出してくる訳でもあるまい。あれ、ルフレじゃなかったっけ?

「戦闘スタイルか…んーっと…あぁそうそう、確か彼奴は素手で戦っておった———おっと、人が来たようじゃぞ」

キスショットはそう言って、警戒するようにして言葉を止めた。ここにくる人といえば雪ノ下か由比ヶ浜くらいしか思いつかないが彼女たちは家へ帰っているはずなので(ちなみに由比ヶ浜は母に『雪ノ下の家に泊まる』と告げているらしいのでその通りに雪ノ下の家に泊めてもらうらしい)、ひょっとすると戸塚かもな、と思った。いや、でもここの場所教えてないし…いやでも…ま、まさかギロチンカッター…?なんて最後の最後で最悪の結末を想像してしまったせいでヘタレを発動してしまい冷や汗をかきながら目の前のドアが開かれるのを見ていると、それは一周回って予想していなかった人物だった。

「や…やっはろー…って何そのポーズ。ウルトラマン?」

 

雪ノ下の家へ帰ったはずの由比ヶ浜結衣。何故彼女はここにいるのだろうか。…なんて誤魔化してみても、理由は分かりきっている。大方、由比ヶ浜が一度死ぬ前に残した言葉についてだろう。

   

     『私…ヒッキーのこと———』

 

 

「あのさヒッキー」

「は、はい!なんでしゅか!」

「話、あるんだけどいいかな」

 

 

 

まぁ、俺はこんなことで驚きはしない。訓練されたぼっちは勘違いなんてしないし、まさかこれが告白なんて考えもしないまさに百戦錬磨の人間なのだ故に今回も———

 

   

     『———ヒッキーのこと、好き』

 

まじで?

背筋に冷や汗が流れた。




お、これは由比ヶ浜ルート…?まぁとりあえずは次回をお楽しみにしててください。

完結後の番外短編(もしかしたら普通に続きになるかも?)では何を書いて欲しいですか?

  • 阿良々木との会話
  • 羽川との会話
  • 怪異にあった俺ガイルメンバーの話
  • 日常編
  • その他(感想にてお願いします)
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