やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。   作:角刈りツインテール

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そういえば、MJの映画が公開されるということで折角だから花より男子と俺ガイルのクロスオーバーも書き始めました。よかったらご覧になってみてください。

『花より男子8(エイト)』
https://syosetu.org/novel/276237/


第二十話 されど、その部屋は終わらぬ日常を演じ続ける。(後篇)

♦︎♦︎♦︎

 

答え。

「ちょっと考えさせてくれ」

である。

 

♦︎♦︎♦︎

 

…いや、まぁ言いたいことが山々あるのは分かる。男ならその場で返事をしろと言いたくなる気持ちもよく分かる。よく分かるのだが。

「…まじかぁ」

流石に自分がここまでのヘタレだとは知らなかった。あっちがあれほど勇気を出してきてくれたのにこの有様だ。泣きそう。

時刻はもう既に夜6時を過ぎており、太陽はとっくに沈んでいる頃、同じように俺の気持ちも沈んでいた。

だがそれと同時にドキドキもしていて。不思議で。恥ずかしくて。

なんかもう、めちゃくちゃだった。

「あぁぁぁぁもうどうすりゃいいんだよぉぉぉぉお」

「今日は朝から晩までうるさいのぅ我が従僕よ。儂に色恋沙汰はよく分からんが何故もっとシャキッとせんのじゃ」

「だからそれについて落ち込んでんだよもう黙れよ!」俺は頭を抱えて寝転がった。穴があったら入りたいという言葉に最も共感した瞬間である。

あぁ、それとあと、気になったこともあるんだった。由比ヶ浜は朝、俺はいつか雪ノ下と付き合うことになる、と言った。一体どこを見て言ったのかは知らんがあの時の彼女の顔は今まで見た中で最も真剣な表情だった。

 

  雪ノ下雪乃。

 

「はっ…まさか、んな訳」

まさかあいつが俺に好意を持つなんて、それこそ天変地異があってもありえないだろう。何なら友達になることすら許可されないのに…そう、俺が『友達になろう』と言おうとしたら『だ』の辺りで言葉を遮って『それは無理よ』なんて突っぱねてきたのだ。手乗りタイガー並みの嫌われ方な気がするのだがそれは俺だけなのだろうか。分からん。ただそこには由比ヶ浜にはそう見えたという事実があるだけで、俺にはどうしようもない。だったらもう目の前の問題に真摯に向き合った方がいいだろう。時間は有限だ。

「そういや、忍野は…?」

「あぁ、あのアロハシャツの小僧なら今は最後の交渉に向かっているはずじゃぞ」

小僧って…まぁ吸血鬼目線で言えば赤子も同然なのかもしれないけど。何にせよ安心した。今の俺の状況を見られたら揶揄られるに決まっている。

…いや、てか今一番の問題は俺が吸血鬼から人間に戻ることじゃなかったか…何惚気てんだよ俺。それこそ恥ずかしいわ。

というわけで一度閑話休題といこう。

次の敵はギロチンカッターとやらの人間だ。そう、ただの人間。

そのはずなのだが俺はそいつに対して、嫌な予感を感じずにはいられなかった。

当たり障りが無いようでそれでいて何処か不気味な第一印象に加えてキスショットの言葉によってそれは増幅した———まぁ今となっては由比ヶ浜のおかげで相殺したも同然なのだが。その点においては感謝しなければならないだろう。今までの2回の戦いで体感したことだが恐怖というものは想像以上に人間から正常な判断力を奪うらしい。故の感謝だ。言わんけど。

「…そういや、あれ読んでねぇな」

俺はふと、2人からの手土産を思い出し紙袋を引き寄せた。

中身を視るとそこには全22巻の『めだかボックス』が入っていた。知らない人のために説明をしておくがこれは一時期週刊少年ジャンプにて連載されていた異色の作品である。斜に構えているようで実は王道なストーリー、そして厨二病心をくすぐるようなスキル名と名前。特に球磨川という男は素晴らしかった。

球磨川禊。

全てを無かったことにするスキル『大嘘憑き(オールフィクション)』を持つ不気味な男。中学時代はあいつに憧れて自室で『時間を「なかったこと」にした!』とかやってたなぁ…っと、これは黒歴史じゃねぇか。危ない、傷口を深掘りしてしまうところだった。忘れよう忘れよう。

で、昔は愛読書だったがいつだったか廃棄してしまったのだ。今思うともったいなかったな。もうどこの書店にも置いてないし…まぁひとまず読むか。球磨川が出てくるあたりからでいいかな。

俺は7巻のページをはらりとめくった———その時のことだった。

 

バンッ!とやかましい音が聞こえ、何があったとその音がした方を向いてみるとそこには息を切らしている忍野が立っていた。

そこに、余裕の表情はない。

ざわ、と胸の奥に嫌な予感を感じた。

「お、おい。なんかあっ」

「悪い、しくじった」

忍野は俺が言い終わるのも待たずに、謝った。

謝った———何を?

いつもならここで焦らしてくるのだが不思議なことに今回はすぐに答えを示してくれた。そして知る。

 

 

「ツンデレちゃんが、攫われた」

 

ギロチンカッターの本当の恐ろしさを。

どうやら俺は吸血鬼に成り上がってから、人間を舐めていたらしい。警戒はしていたものの、それでも深層心理では負けるはずがないとたかを括っていたのだろう。そして今、それが一気に覆された。

冷や汗が背中をたどる。

「雪ノ下が、攫われた?」

 

 

 

 

そしてこの後、俺は人間の狂気というものを更に思い知ることになる。

 

 




いや誘拐されるのそっちなんかい!って感じですがまぁ今後もよろしくお願いします。

完結後の番外短編(もしかしたら普通に続きになるかも?)では何を書いて欲しいですか?

  • 阿良々木との会話
  • 羽川との会話
  • 怪異にあった俺ガイルメンバーの話
  • 日常編
  • その他(感想にてお願いします)
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