やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。 作:角刈りツインテール
前回のあらすじ。
ギロチンカッターが吸血鬼になった。
———なんて、簡単な言い方をするがこれはかなりの大ごとであることは言うまでもないであろう。この数日で痛感したことだが吸血鬼のステータスは人間の10倍以上は軽くある。とはいえ俺自身も吸血鬼なのだからコンディションとしてはドラマツルギー戦と同じ———とは問屋が卸さないのが現実だ。色々と違いはあるものの一番のポイントはやはり人間性である。
ドラマツルギーには確かに『正々堂々戦おう』という意思が見られたためフェアな戦いができた。あれがアンフェアに見えたのは純粋な俺の実力不足が理由なのは言い訳のしようがない事実だ。
だが、こいつは?
ギロチンカッター。
一般人を誘拐して、その上実験材料にしようとあうるようなこの男に武士道なんてもんがあるはずがない。これはエピソードに対して持っていた考えと同じだが、ギロチンカッターはエピソード以上に、異常に、勝つためならば何でもするのだろう。
何故なら。
「…お前は」
「はい?」
「お前は、なんで吸血鬼退治なんてやってんの?」
「まぁ、そうですね…」ギロチンカッターは少し考える素振りを見せてから「使命ですかね」と答えた。
使命。
嫌な響きだ。
「私が属している宗教では怪異の存在を否定しています。そして私は大司教であり、神でもあり、そして———特務部隊の隊長でもあります」
それ故に貴方を殺さなければならないのです、と。
まるで母に怒られるからテストでいい点をとらなければいけないと言っているかのような自然な口ぶりで話した。そんな丁寧な口調がいちいち俺を苛立たせる。
「つーかお前が吸血鬼になっちゃいかんだろ」
「いえ、かなり薄めてあるので時間経過で戻るはずです。エピソードにも協力してもらいましたから」
そう言ってギロチンカッターが拾った注射器には『弱』というラベルが貼られていた。洗剤かよっての———なんて冗談を抜かせるあたり俺も場数を踏んで慣れてきたということなのだろう。別にこんなことに慣れたくはないけど。
「ったく…あいつの知識量どうなってんだよ…」
言わずもがなだと思うが俺はこいつが嫌いだ。まるで、鏡を見ているかのようで———笑顔の君の悪さも、性格もそっくりだ。そう。ただの同族嫌悪である。そこまでならまだ、クラスの陽キャどもと同じレベルの評価なのだが、更に雪ノ下を誘拐したという事実が加わって、なんだかもう彼を殺したい気分にまでなっていた。
だが、そんなのは俺らしくない。
怒りに呑まれて冷静さを失うなんて、全くもってらしくない。
ギロチンカッターは自分のやり方を貫き通した。
だったら俺は。
「はっ」
俺のやり方で。
「馬鹿じゃねぇの、お前」
「…?とおっしゃいますと」
それを聞いて俺はニヤリとほくそ笑んだ。
「お前の宗教では怪異を認めていない———ならあの2人はどうなんだよ。矛盾してねぇか」
「ドラマツルギーとエピソードでしたら、あの2人は例外的そんざ」
「例なんてねぇだろうが。どこにあるんだよんなもん。だから例外なんて想定しようがないのに、存在する———何故か?そりゃ決まってんだろ。ただの、お前の感情だ。たかが感情如きにお前の信仰心は負けたんだよ。最初から、お前は適当だったん、———ッ!?」
ギロチンカッターは、背後で俺の頭部を鷲掴みにしていた。
いつ、動いたんだ。
見えなかったぞ。
どうして。
「———貴方は私の信仰心を、神である私を侮辱しました」
「えっ、は?ちょ嘘だ…ああああああああああ!?」
ふわりと宙に浮いた感覚に言葉が出なくなる。足元を見ると実際に足は地から離れており、それが彼の筋力の上昇を示唆していた。そしてギロチンカッターは俺をグルグルと振り回し始め更には———
———投球。
「ひ」
俺はろくな言葉を漏らすこともできないまま上空の遥か彼方へ飛ばされたのだった。
え。
これ、
やば————
「殺す気でいかせてもらいますね」
失いそうな意識の中で、ギロチンカッターはあくまで紳士的に、そう笑った。
♦︎♦︎♦︎
「———!比企谷、くん」
木陰からその様子を見ていた雪ノ下は心配そうに彼の名前を呟き、自身の手の中にある物体に視線を移した。
注射器。
『強』のラベルが貼られていた。
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後編へ続きます。感想・評価などもよろしくお願いします!
そういえばアンケートで傷物語完結後について質問させてもらっていますが今悩んでいるのはそのままこれの続きに投稿するのか、これとは別の枠で投稿するのかという…後者だったらお気に入り登録者数がどうなるか気になるところ…
完結後の番外短編(もしかしたら普通に続きになるかも?)では何を書いて欲しいですか?
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阿良々木との会話
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羽川との会話
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怪異にあった俺ガイルメンバーの話
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日常編
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その他(感想にてお願いします)