やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。   作:角刈りツインテール

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残り3話ほどで終わる予定です。もうしばらくお付き合いください。
それから、今週はテスト期間につき更新が遅れます。大変申し訳ないです…!


第二十五話 春は、降り積もる雪の下にて結われ、 芽吹き始めるはずだった。(前篇)

The Iron-blooded,hot-blooded,yet cold-blooded Vampire.

Kissshot Acerolaorion Heartunderblade

 

♦︎♦︎♦︎

 

俺は。

 

比企谷八幡は、気づいていないふりをしていた。

 

知らない方がいいこともある、と自身を騙し。

 

いつもの自分を作っていた。

 

そして今回それが裏目に出てしまったのである。

 

その結果が、目の前でキスショットの食糧とされているクラスメイト———相模南(さがみみなみ)の姿だった。

 

どうしてここにいる?いや、そうじゃなくて…。

 

 

———どうして食われている?

 

♦︎♦︎♦︎

 

「はぁ…?」

ばさりと腕からビニール袋が落ちる音。それに気がついたキスショットはこちらを振り向く。もぐもぐと口を動かし、その周りは血塗れなまま、俺に話しかけた。

「おぉ、我が従僕よ。意外に早かったのぅ。それにしても、あの団子頭と黒髪の非常食は持ってくなかったのか?」

「ひ」

非常食———ってまさか雪ノ下と、由比ヶ浜?

どうしてそんなことを言えるんだこいつは、と体が震え、足が後ろを向きそうになるがなんとか堪えて尋ねる。

「ひ、人を」

「ん?」

俺は何とか言葉を紡ぐ。

「———流石に人を食っちゃまずい、だろ…?」

ふむ、と既に死に絶えている相模の顔を見ながら考える素振りを見せた。そして再びこちらを向き、当たり前のことかのように一言。

「じゃが…()()()()()()()()?」

そう。俺は必死に目を逸らそうとしていたのだ。非常食、と言う言葉を聞いたときになんとなく嫌な予感はしていたし、自身の空腹の所以にも気がついていた。

 

俺はこの吸血鬼としての生活で。

一度も人間の血を吸っていない。

 

そしてキスショットにしてもそれは同じことで、つまりそれは。

 

 

俺のせいで、人が大勢死ぬ。

 

 

「…嘘だろ?」

その事実が俺に重くのしかかり後悔する。どうしてもっと早く言及しなかったんだ、と。あとでまだ話す時間はある、と勘違いをしていたのだ。なんて馬鹿さ加減。呆れて物も言えない。

全部、気が付いていたのだ。

キスショットの思いも、自分の愚かさも全て。

 

相模南。

文化祭では周囲に多大なる迷惑を被った挙句途中で失踪までした俺の苦手な人間の1人。だが勿論、それは死んでもいい理由にはならない。

現状は由比ヶ浜のときと同じ。だから。

だから、まだやり直せる———!

 

「———っ!」

「な」

俺は高速移動を用いて相模の動体を奪い取った。そして。

「う…うぉおおおおおおおッ!」

ぐしゃり。

由比ヶ浜にした時と同じように、頭に指を突っ込み引っ掻き回した。

ばしゃばしゃ、ばしゃばしゃ。

「ぐっ…はぁ…あっ!」

そして幸いなことに四股と顔のない彼女の胴体は血がかかればかかるほど再生していき、1分もかからないうちに完全に生き返っていた。———まぁ服に関しては言及するまい。

「はぁ……はぁ…はぁ…」

「…お前さん。そこまでする必要があるのか?此奴はお前さんの()()でもなんでもないのであ———」

「———ほら、な、キスショット」俺は痛みに耐えながらもニヤリと笑った。

「何がじゃ。儂は今食事を邪魔されて苛立っておる。考えて喋れよ」

「俺に嫌われたかったんだろ?」

 

一瞬の間。

 

「…言っている意味が分からぬ」彼女は真正面を向きながら、真顔で、だがそのなかに僅かながら悲しさを漂わせながら言った。誤魔化そうったってそう簡単に俺の観察眼を潜り抜けられると思うなよ。

「もしキスショットがあいつらのことを本気で非常食だと思っていたなら、お前は俺が色恋沙汰で悩んでいる時に違和感を抱いてなけりゃおかしい」

 

人間が豚に恋をしないのと同様に。

吸血鬼だって人間に恋などしない。

 

『人間は食べ物』が共通の理解だと思っていながら恋愛について迷っていた俺に言及しないのはおかしいのだ。よって、それは嘘だという仮定を見出せる。

あ、と口に出したキスショット。それはもはや同意に等しかった。

「それに、だ。普通食料に対して『友人』なんて言葉使うかね?色々おかしいんだよお前の発言は。更に言うと恐らくそんなことになった理由は俺を人間に戻すことにある。———教えろ、キスショット」

「…はぁ」

俺が語り終えた時、キスショットは諦めの籠ったため息を吐いた。

そして。

「あは」

キスショットは———

 

 

 

「あはは!!「はは!!!「はははは「「「ははははは「はは「あは「「ははは!「あは!!「「はは!」」あはははははは」はは!!!」あはは!」」ははは!!!」」はは!!!!」はは!」

 

 

 

激しく笑った。

耳をつんざくほどの大きな声が、虚しく建物内に響き渡る。一分くらい笑ってたのではないだろうか、笑い終えたキスショットが本当におかしそうに言う。俺はそれをじっと睨み続けた。

「計画が台無しじゃわい…お前さんに隠し事はできんのぅ」

流石儂の眷属じゃわい、とキスショット。

「それ、ただの自分褒めだろ」

「…なぁ我が従僕よ。頼みがある」

彼女は俺のツッコミを無視して言った。

頼み、ねぇ。

「…できる範囲でな」

「儂を」

 

 

 

 

「儂を殺してはくれんか」

こうして俺たちの物語の最終章が幕を開ける。

夜はまだ、始まったばかりだ。

 




多少解釈違いな部分もあるかもしれませんがご容赦を…原作と少し変えたいなと思った結果がこれです。感想を教えてくれると助かります。

完結後の番外短編(もしかしたら普通に続きになるかも?)では何を書いて欲しいですか?

  • 阿良々木との会話
  • 羽川との会話
  • 怪異にあった俺ガイルメンバーの話
  • 日常編
  • その他(感想にてお願いします)
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