やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。   作:角刈りツインテール

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第八話です。次!次こそ本当に戦いますから!


第八話 いずれ彼ら彼女らは真実を知る。

俺は今、工場跡の三叉路が交差する点に立っていた。特に嗅覚が強化された今では錆びた鉄の匂いが臭い。だがそんなことはさして問題ではなく、一番の問題はそれぞれの道からこちらへ歩み寄ってくる3人の吸血鬼ハンターだった。

筋肉隆々の大男。

金髪チャラ男。

そして神父。

 

「……来いよ」

 

一体どうしてこうなったのか、それは五時間ほど前、すなわち由比ヶ浜と雪ノ下が俺の部屋にいた時にまで遡る。

 

♦︎♦︎♦︎

 

由比ヶ浜の号泣で「何があったの!?」とやってきた小町を何とか言い宥めて撤収させた後。

俺たちは吸血鬼ハンターたちから体の部位を回収する方法を考えていた。

 

「まず、敵を知りたいのだけれど…その…キスショットは今どこにいるのかしら?」厨二臭い名前を呼ぶのが恥ずかしいのか、雪ノ下は少し吃りながら言った。

「あいつならまだ学習塾跡にいるはずだぞ。詳しくは知らんが結界が貼ってあるらしい」

全く、どこまでもぶっ飛んでいる。結界なんて言葉、材木座かラノベの中でしか聞かないと思っていたのに。

「ただ名前だけは聞いたよ!えぇっとねぇ…何だっけ」由比ヶ浜は団子頭を弄りながら、思い出そうとする。「カミツルギとエピローグと…えっと…?」

「ひとつポケモン混ざってんぞ。もう一方も違うし。ドラマツルギーとエピソードとギロチンカッターだ…多分」

ヒッキーだって多分じゃん、とむくれる由比ヶ浜。うるせぇ、一般人でこれなら大したもんだろ。なんだこの覚えにくすぎて一周回って覚えやすい名前は。海外じゃ普通なのか?

「名前だけじゃどうにもならないわね」雪ノ下は髪をなびかせながら言った。「容姿くらいは知りたいけれど…無理を言うのはやめましょう。時間も時間だし、私たちだけで学習塾へ向かうのは危険だわ」

危険———その言葉に俺は疑問を抱いた。

「危険って…なんでだ?結界も貼ってるしキスショットだって弱体化してるんだぞ」

「そのよくわからない結界を信じろと言う方がおかしいでしょう?今のキスショットが本当に人間に無害なのかどうかも怪しいところよ。あなたって皮肉家な割にすぐに人を信用するわね」

なるほど、それは…実に彼女らしい疑念だ。そして正しい。確かに俺には目の前に起きている非常識を信用しきっている節がある。そりゃあ怪異である。結局は俺が今まで観察してきたリア充たちの関係のように嘘まみれの存在なのだろう。

だが、ひとまずキスショットのことは信じたいと思う。それは彼女が俺を助けてくれたからで———流石に命の恩人を疑うような真似はしたくない。

「ま、そこはいい。体格は気にしないにしても、どんな攻撃をするかは想像できるだろ?そこを知っていれば対策のしようがある」

「うん、いいねそれ!」由比ヶ浜が親指を立てる。可愛い。

ここにまとめましょう、とノートとペンを取り出す雪ノ下。お前それバッグにいつも入れてんのか。

「あ———そうそう」取り出しついでに、と言った風に言う。「これは私個人の見解だけれど…体型差に関しては気にしなくてもいいと思うわ」

「あ?なんでだ———って、そりゃそうか」

「えぇ何が?関係あるくない?」

「ねぇに等しいだろ。人間vs人間じゃねぇんだから」

あぁ、と由比ヶ浜は俺の言葉を聞いてコクコクと頷いた。

「で、吸血鬼なのだけれど———まずは私の知識をまとめてみてもいいかしら?」

「了解」

「おっけー」

その後、俺と由比ヶ浜はス○ブラを始めた。最低だなこいつら。いや俺だったわ。

 

♦︎♦︎♦︎

 

吸血鬼とは、生命の根源とも言われる血を吸い栄養源とする、蘇った死人または不死の存在。

ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』、シェリダン・レ・ファニュの『カーミラ』など、多くの創作において登場してきた。生と死を超えた者、または生と死の狭間に存在する者、不死者の王とされる。凶悪な犯罪者の通称としても使われる。獲物である人間を惹きつけるために、美しい容姿を持つとされることが多い。

一般に吸血鬼は、一度死んだ人間がなんらかの理由により不死者として蘇ったものと考えられている。

 

吸血鬼に生き血を吸われた人間や、吸血鬼に殺された人間が吸血鬼になるとされており……

 

…………………

 

…………

 

……

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

「うわぁ…」

20分かけて作られた1ページにはぎっしりと、それもフォントかと突っ込みたくなるくらい綺麗な文字が詰め込まれていた。流石ユキペディアである。こいつ本当に知らないものなんて無いんじゃないだろうか…。

「———私の知識ではこれくらいなのだけれど。何か追加情報はある?」と尋ねられたがあるはずがない。俺と由比ヶ浜は首を横に振った。

「知ってそうなのは材木座くらいだが俺は電話番号を知らん」

「ヒッキーくらいは知っててあげようよ…」由比ヶ浜が苦笑いする。仕方ないだろ。どっちもぼっちなんだから。どっちもぼっちって何か、いい響きだな。今後使っていくこととしよう。

 

「———で、弱点は、と…」俺はノートを見下ろす。そこに書かれていたのは、

 

・日光

・十字架

・にんにく

・銀の弾丸

・炎

・聖水

・(姿が映らないため、正体を見破られるという点においては鏡も弱点)

 

といったものだった。意外と弱点多いんだな、吸血鬼って…。

「まずは日光。夜に戦えば問題なしね」

雪の下は日光の文字の上から斜線を引いた。

「ニンニクも大丈夫そうだよね」

「だな」

同じようにニンニクにも線を引く。

「銀の弾丸、か…日本で銃を持ってる奴がいるとは思えんが腐ってもハンターって言ってるんだから警戒はしとくか」

「えぇそうね。比企谷くん、珍しくいいことを言うじゃない」

「ばかお前、能ある鷹は爪を隠すって言うだろうが」

「あら、自分を鷹だと思っているのかしらヒキガエルくん。勘違いも甚だしいわ」

「…今日も随分と冴えてますね、雪ノ下さん」

「ありがとう」

「あはは…まぁまぁ二人とも落ち着いて」見かねた由比ヶ浜が俺と雪ノ下の間に割って入った。

だから俺を小学校の頃のあだ名で呼ぶのはやめろ。最終的には『カエル』と呼ばれていた悲しい記憶が蘇ってきちゃうだろうが。

…と、そこで不意に———それは自分の意思とは反してのことで———

 

「…はっ」俺はつい笑みをこぼした。二人が怪訝そうな顔でこちらを見るがそんなことはどうでもいい。こうやって誰かと協力して、しかも自分の問題を解決しようと動くのは初めてだったから、新鮮だったのだ。そして、楽しいとさえ思ってしまった。

恐らく今教室に行ったとしても、そこでは確実にいつもと変わらないぼっちライフを送ることになるだろう。だが、ここには由比ヶ浜と雪ノ下がいた。それはつまり友人がいるということで(違うとか言うなよ雪ノ下)、その事実に多少感動したりもする。

あぁ、先ほどからいろいろな感情が飛び回っていて上手くまとまらない。

だがまぁ。

俺が言いたいのは要するにこういうことだ。

 

「じゃあ———いよいよ計画立ての時間だ」

 

なかなか、悪くないんじゃねぇの。

 

 




次回マジで戦います!
感想・評価などくれると嬉しいです!!!

完結後の番外短編(もしかしたら普通に続きになるかも?)では何を書いて欲しいですか?

  • 阿良々木との会話
  • 羽川との会話
  • 怪異にあった俺ガイルメンバーの話
  • 日常編
  • その他(感想にてお願いします)
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