食事というのは人間にとって重要なものだ。食事を摂らなければ飢えて死ぬ。
それだけではない。腹が減っては戦ができぬ、という諺があるように動くエネルギー源となる。
ここでの食事も前の生活の時と似た感じだった。原生生物の肉やこの星の果物や野菜を収穫してそれを調理して食べるといった生活だ。
まぁ、調理と言っても肉はただ焼くだけで野菜はお汁物の具材や炒め物として使ってるぐらいだが。
最初の食事は苦労したものだ。人体にとっては有害か無害かもわからない物を食べれるわけがない。
それを知ってなのか彼女達がここの技術を使ってある程度の食材の情報を提示してくれた。
そこら辺は本当に感謝している。
そういうこともあってかある程度の食事はできるようになったのだけど、一日がこの食材に全てを持ってかれる。
なにせ、彼女達のほとんどがこういうことに無関心なのだ。
たまに手伝ってくれるのが闇カナメと闇マキナだけ。それ以外は完全にノータッチ状態だ。
それ故、一日に使用する分の食材を集めるということに甚大な時間を使う。むしろ、それだけで一日を消費することだってある。
そんな日々だ。朝食に肉を食べるなんていう時はそうそうない。下手したら胃もたれする可能性があるのだ。
だけど、現状、主食と呼べるものは肉しかないのだ。文句は言ってられない。
「…………」
対面に座っている闇フレイアが食事をしているところをオッドアイの瞳でこちらをジッと見てくる。思わず、食べるのを躊躇してしまう。
こちらを見ているのか、それとも食べ物を見ているのか少しわかりづらいが人に見つめられながらというのはどうも食べにくい。
ここは彼女に手を付けてないお肉を彼女に差し出す。
差し出されたお肉をジッと見つめる闇フレイア。
こうして見るとまるで幼稚園児みたいだ、と思う。所々、子供っぽさが出ている。というより行動がほとんど子供と言ってもいい。
さしずめ、さっきのは物欲しそうに見つめる子供と言ったところだろう。
「いいの?」
彼女がこっちを見て首を傾げる。流石にそんなに見られると食べづらい。
だから、自分は頷いた。そうすれば彼女はこちらを見つめる事もしなくなるだろう。
「……っ!」
目を大きく見開かせ、嬉しそうにお肉にかぶりつく。本当にこうして見るとただの子供だな、と認識する。
多分、ヤミキューレの中で一番接しやすいだと思う。
他の子たちのように何を考えているかわからないというような気配がしないのだ。
子供の無邪気さが表出ているのだ。これで実は何かを企てていたならもう何を言えまいだろう。
そんな彼女を見て自分は野菜の炒め物を半分くらい彼女に分け与える。
「美味しい!」
ニカッとこちらを見て笑ってくる。それはあまりにも眩しすぎた。そして、彼女は野菜炒めにも手を付ける。
手で取って口に含んで噛んで食べるというのを繰り返す。食べ方をあまり分かっていないようで、手は油だらけだ。言ってしまえば手が汚れている状態だ。
「……?」
闇フレイアがこちらを見て首を傾げる。思わずため息をついて席を立ちあがってしまう。
こちらの動きに目を大きく見開いて驚く彼女。
そんな彼女を気にせず、彼女の手首を掴んだ。そして彼女を席から立たせるように優しく引っ張る。
そしてある場所へと連れて行く。
理解をできていない闇フレイアを他所にそのまま彼女をそこへと連れて行った。
台所だ。蛇口をひねって水を出す。その様子を見て全く理解しやいない彼女の手首を掴んで彼女の両手を水道水へと突っ込んだ。
「!!」
冷たい水へと突っ込んだからか彼女の身体がピクリと揺らいだ。
汚れを落とすためにはただ水で流すだけでは終わらない。
彼女の両手を触れてある程度の動作を行わせる。
彼女に手洗いの基本を行わせて引っ付いている油や汚れを落としていく。
綺麗になった彼女の両手を見て水を止める。
壁にかけてあるタオルを手に取る彼女の手を拭く。
手のひら、手の甲、指、指の間の水分をタオルで拭き取っていく。
これではまるで保育士だな、とふと思う。
それだけならまだ良かったな、ともおもってしまう。それもそうだろう…こんな環境ならそう願いたくもなる。
Yami_Q_rayの中ではまだ闇フレイアは他の4人と比べて無邪気さがあり少し幼さを感じる。
「?」
こちらの行動に理解出来ないのかこちらを見てキョトン、と首を傾げる。
とりあえずこの行動の意味を教えてみる。そしたら───。
「どうして、綺麗にするの?」
と返ってきた。
彼女達、人工知能は普通の人間とは違う。聞くとこによると彼女達はワルキューレの歌をただ学んで育ったAI。人が育つ過程をほとんどスキップして存在だ。
そんな彼女達にこんな事を聞かれてはなんと答えていいものか……。
とりあえずここはこう答えてこう。人は綺麗な人が好きなんだ、と答えておいた。
正直、この質問の本当の正解を自分は知らない。
この答えに納得したのか頷いてくれた。
そして翌日の朝。先日の闇フレイアに朝食の一部をあげたことを後悔する。
朝食の席へと着くとカタン、とあるものが目の前に置かれた。
「〜♪」
鼻唄を口ずさみながら闇フレイアが笑顔でこちらを見てくる。
自分を闇フレイアが置いたあるものを見た。
皿の上には様々なものが置かれている。黒焦げの虫、そこらへんに生えている雑草。そして他にもどこから拾ってきたかわからない黒焦げなもの。
それは料理とは呼べないものだった。
これはマズい、と感じる。少し逃げるように席を立とうと思った時だった。
「よかったわね。この子が貴方のために料理を作ってくれたのよ。食べるわよね?」
ガッ、と背後から両肩に手を置かれた。闇レイナが背後から顔を出す。
完全に逃げ出すタイミングを失ってしまった。
「……?」
食べないの?と言わんばかりに闇フレイアが首を傾げる。
色々とマズい。闇フレイアに悪気がないのは見てわかるし、ここで強引に逃げ出してしまえば闇レイナが闇フレイアに何を言い出すかわからない。
早く食べなさい、と闇レイナが急かしてくる。
ゴクリと固唾を飲み込む。覚悟を決めるしかないようだった。
置かれたスプーンを手に取り、
ふぅ、と一息ついてから一気に口に運ぶ。思わずうっ、と零したくなるが闇フレイアの前、それも食べたものと一緒に胃にしまう。
───!
味がどうのというよりもどちらかと言えばお腹に異常がきたす。お腹が痛い以前にお腹が捻じ曲がってるような感覚。
お腹がこれを食べるのが拒否してるようだった。
そんな自分を見てワクワクしてるような表情でこちらを伺ってる。
これは…子が親に泥団子を出して食べさせようとして美味しいかどうかを聞いている時の表情だ。
自分は笑顔を作りながら美味しいよ、と答えてみせる。
「───!!」
パァッ、と満面の笑みを浮かべながら嬉しそうにはしゃぐ。
それと同時に彼女の髪についている逆ハート型の感覚器官『ルン』がピカッと光る。
こちらを見ていない状態ならなんとかできるか?と思いもするがそれも束の間。
「ほら、ちゃんと完食しないと」
闇レイナが耳元で囁いてくる。流石に全部食べるしかないようだ……。
それから数日間、自分は部屋に寝込んでいた。
そして暫くは自分が作った料理しか食べないようにしよう……。
映画の闇フレイアの動作がいちいちセクシーなのすこ(
あと制服の闇フレイアがクッソ可愛い