×月○日
283プロダクションへの所属が決まった。
プロデューサーはすぐに両親にも挨拶を済ませ、俺をトップアイドルにしてやると息巻いている。
俺も今まで以上にやる気が湧いてきた。
彼に早くも絆されてしまったのだろうか。
×月÷日
今日は初めて283プロの事務所内に入った。
ようやくレッスンを受けられるのかと思ったが、トレーナーさんとの調整もあるとのことで、レッスン開始は来週かららしい。
そのため今日は歌とダンスの実力を測るテストと事務所の案内で一日が終わってしまった。
成長のチャンスだと非常に楽しみにしておりコンディションも完璧に整えてきていただけあって残念だ。
プロデューサーは相変わらず忙しそうにしていた。
どうやらまだ人材をスカウトしてこなければいけないらしい。
「芹沢あさひ」と同時期にスカウトされるような283プロのアイドルなんて、もう名前を言っているに等しいようなものだが。
×月☆日
今日は283プロ事務員の「七草はづき」さんと出会った。
アイドル顔負けの美貌とスタイルを有している彼女は人当たりもよく、事務所に慣れていない俺にとても優しくしてくれた。
甘いものは好きですかー、と美味しいカステラも貰ったし、非常に満足である。
その後の自主練もかなり気合いが入った。
×月Д日
とうとう今日が283プロでのレッスン開始日である。
本日は歌や発声の練習を行う「ボーカルレッスン」を受けた。
2時間ほどの練習時間ではあったが、やはりカラオケでの自主練習では得られないものがある。
指導を受ければ受けるほど、俺の歌唱力は目に見えて上がっていった。
トレーナーは「芹沢あさひ」の成長力に驚いていたが、彼女を画面の外から見てきた俺にとっては当然のことだ。
むしろ「俺」が足を引っ張っている分、もっと努力を重ねなければいけない。
×月Ю日
プロデューサーのスカウトにひと段落ついたらしい。
ぎりぎり先輩になるな、なんて笑いながら言っていた。
とはいえ新しく入ってくる彼女たちは「芹沢あさひ」と同じくアイドルになるべき才能の塊だ。
少しばかり早く練習を始めたから一体なんだというのだろう。
もっと努力しないと、ユニットにおいても迷惑をかけるようになってしまう。
黛冬優子と和泉愛依。
「芹沢あさひ」とユニットを組むことになる彼女たち。
俺は果たして、二人と並べる存在になれるだろうか。
×月ш日
今日は初めてのダンスレッスンを受けた。
なんでもかなり偉くて忙しい先生を雇ったとのことで、週に1度しかレッスンがないらしい。
初対面時はかなり気難しそうな印象を受けたが、いざレッスンが始まれば、とても厳しく熱心に指導してくださった。
先生は賞とかも色々とってるすごい方とのことだが、40代ほどの外見であるのに全くキレの落ちていない動きを見れば納得である。
ただ、俺が踊ってみせた後に先生がプロデューサーと話し込んでいたのが気がかりだ。
何か粗相をしてしまっただろうか。
×月+日
ダンスレッスンの先生が週に3度も来てもらえることになった。
そのことをプロデューサーから聞いたときは、成長の機会が増えたことに思わず跳ねて喜んでしまったものである。
プロデューサーに感謝を述べると俺は何もやっていないとの言が返ってきたが、恐らく彼が手をまわしてくれたのだろう。
先生は本当に忙しい方らしく、週に2度ですらレッスンをつけているお弟子さんはごく少数だと聞く。プロデューサーには感謝しなくてはならない。
また、それに従って先生の出す課題も増えたが、自主練習には何の忌避感もない。
むしろ喜んでやらせてもらおう。
×月-日
今日は「イルミネーションスターズ」の三人と顔合わせを行った。
櫻木真乃はなんというか想像通りほわほわした女の子で、むしろどう接すればいいかわかりにくかった部分がある。
風野灯織からはどうしてかいきなり血液型と星座を聞かれたが、正直即答できなかった。
「芹沢あさひ」のそれでなく、俺のそれを答えてしまいそうになったのである。
幸いどこかで見た記憶が蘇ったのかなんとか答えられたが、これからのことを考えるとプロフィールはもっと頭に入れておかなくてはならない。
八宮めぐるは距離感の詰め方が流石というべきか、ぎゅっと両手で握手されて笑顔で自己紹介をされると、それだけで好きになってしまいそうであった。
彼女たちはもう既に実績を積み重ねている立派なアイドルである。
出来れば実際に活動しているところを見て、技術を盗みたいものだ。
血液型はAB型、星座はやぎ座っすよ!
別に覚える意味はないっすけどね