ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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久々の投稿で、申し訳ないです




第23話 ぬくもりは、想いと叫びになって……

携帯端末を支払パットに置いて、精算サウンドが聞こえたと思った瞬間、アスナは「ありがとうございます!」と言って、タクシーから降りた。

 

「明日奈!」

 

「里香!それに、刀祢君も!」

 

駐車場の方から、リズとトバルがやって来る。

 

「廉と珪子は、遼太郎が車で拾って来る」

 

「直葉と順樹もバスで来るわ」

 

「私たちだけでも、先に行きましょう」

 

アスナはそう言い、自動ドア横の夜間面会口のガラス戸を押し開け、面会受付カウンターに走る。

 

その後を、リズとトバルも追う。

 

菊岡から病院へ連絡が入ってる為、そのままカウンターに居る看護師さんに用意していた文言を言う。

 

「七○二五号室に面会のある結城と篠崎、打鉄です!」

 

ポケットから学生証を出し、看護師に見せ、看護師が写真と顔を照合してる間に近くの見取り図で病院の構造を覚える。

 

確認が終わると、あとから数人来ると伝え、面会者パスを貰って、小走りでエレベーターを目指す。

 

エレベーター前のゲートにパスをかざし、金属バーが上がるや否や通過し、エレベーターの上へのボタンを押す。

 

エレベーターの扉が開くとすぐ乗り込んで、目的の階のボタンを押す。

 

扉が閉まりエレベーターが動き出す。

 

階を通り過ぎるごとに、穏やかな電子音が響く。

 

(和人君……大丈夫だよね……深澄…伊緒君……お願い、三人とも無事で居て……)

 

祈る様に両手を握りしめるアスナ。

 

「落ち着けよ、明日奈」

 

そんなアスナにトバルが声を掛ける。

 

「和人なら大丈夫だ」

 

「それに深澄も伊緒も無事よ。だから、今は落ち着きなさい」

 

「……うん、そうだね」

 

2人に励まされ、アスナは少しだけ落ち着きを取り戻す。

 

エレベーターの扉が開くと、誰もいない無人の廊下をダッシュし、スライド扉の脇の金属プレートに書かれた番号を目端にチェックしながら探す。

 

部屋が見つかると、パスをプレートに押し当て中に入る。 

 

中には密度自動調節型ジェルベットとその上にアミュスフィアを被って寝ているキリトが居た。

 

近くにはカーテンで仕切られた場所もあり、アスナは恐らくそこにミトとカイが居るんだろうと思った。

 

「貴女、結城さんね!それと、桐ケ谷君たちの友達!お話は伺ってます、こちらにどうぞ」

 

3人が病室に入るや否や、安岐が声を掛ける。

 

アスナがベッドまで駆け寄り、キリトの顔を見る。

 

「身体的に危険と言うことはないわ。さっき、神里君と兎沢さんも確認したけど大丈夫。でも、3人とも心拍数が……」

 

そう言い、眼をモニターに移すと、『132bpm』と書かれていた。

 

「VR空間で、恐ろしげなモンスターと対峙すれば脈は速くなるから、これぐらい当たり前って言いたいが………」

 

トバルが何を言いたいのか、アスナにはわかる。

 

キリトもカイもミトも、SAOで多くの死地を潜り抜けてきた。

 

そんな彼らが、ノーマルなゲームで、脈が速くなるほど緊張したり、焦るなんて余程のことだ。

 

『ママ!壁のパネルPCを見てください!』

 

スマホからユイの声が聞こえ、アスナたちはそちらに目をやる。

 

すると、そこに3つの戦闘が映し出される。

 

パネルには6つに分かれた映像が映し出され、6人のプレイヤーの背後から撮影してるようだ。

 

6つの内一つの映像の、華奢な体型の女の子のアバターが映ってたが、足元に小さなフォトンで《Kirito》とあった。

 

「あれが、キリト君なの……」

 

「戦ってる相手は、《JB》か」

 

「なんなのアイツ、GGOでナイフなんか使ってるわよ」

 

その言葉に、アスナは戦慄が走る。

 

《JB》の名に、ナイフ。

 

そして、頭陀袋の様な覆面。

 

「《ジョニー・ブラック》………!」

 

アスナはその名を呟く。

 

「明日奈、お前、今なんて言った!?キリトは、ジョニー・ブラックと戦ってるって言うのか!?」

 

「分からない……でも、あの格好に名前……もしかしたら………」

 

アスナがそこで言葉を切ると、病室の扉が開き、クライン、レオ、シリカ、リーファ、ジークの5人も現れた。

 

「おい、どんな状況だ!」

 

「師匠たちは無事ですか!?」

 

「遅くなりました!」

 

「みんな静かにして!病院だよ!」

 

「直葉も声を落として」

 

病室になだれ込むように入り、全員がパネルPCを見る。

 

「端的に言うぞ。キリトの奴、ジョニー・ブラックと戦ってるかもしれねぇ」

 

トバルがそう言うと、全員が息を呑む。

 

「もしかして、そのジョニー・ブラックって人……」

 

「ああ。《笑う棺桶(ラフコフ)》の一員だ」

 

トバルから告げられた言葉に、リーファは立ち眩みした。

 

それを、ジークが支え、ジークはパネルを見る。

 

「カイさんとミトさんが戦ってるのは?」

 

「ミトは、《スノウ》って女性プレイヤーで、カイ君は……《スティーベン》?《スティーブン》のスペルミス?」

 

「いいえ、違うわ」

 

すると、安岐がそう声を漏らす。

 

「あれはドイツ語よ。同時に、医療用語でもある。読み方は……《ステルベン》。意味は、死。患者さんが亡くなった時に使う言葉よ」

 

「死、か。カイの野郎、本命と対決してんのか」

 

「師匠……!」

 

「なぁ、あの《ステルベン》って奴が持ってるのって剣じゃねぇか?」

 

クラインが画面を見て気づく。

 

「随分と細長いわね……細剣(レイピア)、いや、刺剣(エストック)かしら?」

 

リズが鍛冶屋の観点から、武器を推測する。

 

「《笑う棺桶(ラフコフ)》……《刺剣(エストック)》………まさか、《ステルベン》の正体は、《ザザ》か」

 

トバルの口から出た名前に、またしても全員が驚く。

 

「《赤目のザザ》、師匠にとっては因縁の相手です……!」

 

「カイさん、大丈夫なんですか?」

 

レオとシリカが心配そうにする。

 

その時、アスナはミトと戦ってる《スノウ》の動きに注目していた。

 

「あの動き……まさか、コユキちゃん?」

 

「明日奈?コユキって誰なの?」

 

「元《血盟騎士団》の一員で、ミトの護衛をしていたプレイヤーなんだけど、男の人を見下してたり、行き過ぎた言動とか、問題行動が多くて………それでもミトは、根気よくあの子と接してたの。でも、カイ君との決闘(デュエル)で負けて、護衛の任を解任されたからは、おとなしかったんだけど、裏でカイ君を殺す計画を立ててたの」

 

アスナから語られる言葉に、またしても全員が驚く。

 

「ミト、コユキちゃんが《黒鉄宮》の牢獄に送られてからも、ずっと彼女の事を気にしてた。自分がもっと向き合っていれば、もっと理解してあげてればって………」

 

「どちらにしろ、これではっきりしたな」

 

トバルはそう言い、戦闘の映像を見る。

 

「これは、あいつら3人にとっての因縁の戦いだってな」

 

全員が何もできず、ただ見守ることしかできない状況にやきもきする。

 

『アスナさん』

 

すると、携帯端末からユイではない、別の声が聞こえる。

 

それは、ノアだった。

 

『キリトさんの手を握ってください。アミュスフィアはナーヴギア程、体感覚インタプラント完全じゃないから、もしかしたら………』

 

『ママ、お願いします。私とノアは、現実のパパやカイさんたちと触れ合えません。だから、私たちの分まで………』

 

「ううん、そんなことないよ。ちゃんと、2人の気持ちは届くから」

 

アスナはそう言い、ミトの上着を探る。

 

そこにはミトの携帯端末があった。

 

それを手に取り、カーテンで仕切られたベッドに近づく。

 

そこに、ミトとカイの2人は手を繋いで横たわっていた。

 

アスナは、握られた2人の手の中に、ミトの携帯端末を滑らせるように持たせる。

 

「ノア君の気持ちは必ず2人に届く。だから、応援してあげて」

 

『アスナさん………はい!』

 

元気よく返事をするノアに頷き、アスナはカーテンの外に出る。

 

そして、キリトへと近づく。

 

キリトの左手に携帯端末を握らせ、その上から包み込むように握る。

 

眼を閉じ、ただ念じた。

 

(キリト君、今の私にはこれしかできない。でも、心ならずっと傍にいる。だから、お願い!無事に帰って来て!ミトとカイ君と一緒に、いつもの笑顔で、帰ってきて!)

 

優しくそっと、それでいて、しっかりと体温を乗せ握る。

 

その時、一瞬、キリトの左手がかすかに動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『父上……母上……』

 

2人の手の中で握り込まれる様に持たされた携帯端末の中で、ノアが呟く。

 

『2人はずるいです……俺に黙って、危険なことして………』

 

端末の中で、ノアは拳を握り締める。

 

黙っていたカイとミトへの怒り、そして、自分の弱さへの怒り。

 

『俺が強かったら、打ち明けてくれましたか?俺も一緒に、父上と母上と共に戦えましたか?』

 

カイとミトの事だから、誰にも心配かけたくなかったし、誰も危険な目に遭わせたくなかったのだろう。

 

それでも納得できず、ノアは首を横に振る。

 

『俺は……2人の役に立ちたいんです!2人と一緒に戦いたいんです!だから、帰ってきてください!必ず無事に!そして、俺に……教えてください!父上と母上の強さを!』

 

端末の中で、ノアが心から叫ぶ。

 

そして、その叫びに反応したのか、カイとミトの手がかすかに動き、優しく携帯端末を握りしめた。

 




プロフに、プログレ版のリンク張って起きました
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