あたしには他の人に見えないモノが見える。
みんなはそれを幽霊、またはお化けって言うかもしれない
あたしは小さい頃に、テレビで見た幽霊はとても怖かった記憶が根付いている
だから、あたしは最初はアイツの事が怖かった。呪い殺されるって思ったこともあった
でも、アイツはテレビに出てくるような怖い幽霊じゃなかった。
なんの変りもない人間と大差ない優しい幽霊・・・
そんなアイツとあたしの出会いはひまりが参考書を忘れて、忍び込んだ8月下旬の夜の学校だった
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蘭「み、みんな・・・どこに行ったの・・・」
夜の学校でモカ達とはぐれてしまったあたしは、暗い廊下をゆっくり歩いていた
「あれ?」
ビクッ!
あたしはビックリして廊下の隅に固まってしまった
「あ、ご、ごめんね。驚かせてしまったかな?」
顔を上げてみると童顔の青年が心配そうな顔をしていた
蘭「な、なんだ・・・あたし以外にも誰かいたんだ・・・」
あたしは誰か分からないけど、人がいることに安心した
「それよりこんな夜に学校きたらダメだよ」
蘭「そういうアンタもどうして学校に居るの?」
「えっと・・・ボクはこの学校を見周りをしてるところかな?ところで君はどうしてここにいるの?」
蘭「えっと・・・あたしはひま・・・友達が忘れ物して・・・」
「ふぅ~ん・・・もしかして、一緒に来たところで閉じ込められた感じかな?」
蘭「どうしてわかったの?」
「ずっと見ていたからね。君たちが入って時からね」
蘭「それってどういう・・・」
「そんなことより、他の子たちと合流した方がいいんじゃない?」
蘭「そうだ!みんなとはぐれていたんだった」
「じゃあ、ボクも一緒に探そうか?そう言えば君の名前は?」
蘭「あたしは美竹 蘭。アンタは?」
「ボクには名前はない」
蘭「え?」
「正しく言えば、記憶がないんだよね。自分が何者なのかどうして、ここにいるのか分からない・・・ただ、この学校を見周りすることだけ頭に残っているんだよね」
蘭「じゃあ、なんて呼べばいいの?」
「好きに呼んでいいよ。美竹さん。ボクは君の事をそう呼ぶけどいいかな?」
蘭「いいよ。早く行こう・・・」
「それにしても、今日は災難だったね」
蘭「ホント・・・最悪・・・」
「ねぇ、君が髪赤いのは地毛なの?」
蘭「ううん。これはメッシュを入れてる。アンタの髪が白いのは生まれつきなの?」
「う~ん・・・どうだろう?そのところ記憶がないから分からないや!」
アイツは髪をつまみながらそう答えた。
ガタン!
蘭「な、なに⁉」
「ちょっと待っててね」
そう言うとアイツは音が鳴った方に走っていった
あたしは恐怖のあまりその場にうずくまってしまう
「また、君かい?」
「――――――」
アイツの声と訳が分からない音が聞こえる
「あの子を驚かせて楽しいのは分かるけど、程々にしてあげなよ」
「――――――」
あたしは怖くなって耳を塞いだ・・・
どれくらい待ったのか・・・一秒一秒が長く感じた
そして急に首筋に冷たい風が当たった
蘭「うわぁぁぁ!」
顔を上げるとアイツがニコニコとほほ笑んでいた
「やっと反応した・・・って危ない!」
あたしはアイツに向かってカバンを投げた
「急にカバンを投げえないでよ!危ないじゃないか!」
蘭「アンタこそ変なことしないでよ!」
「仕方ないじゃないか。声かけても中々反応してくれなかったし・・・」
蘭「ご、ごめん・・・それでさっきのは・・・」
「なんでもないよ。ただ風で物が倒れただけだから・・・じゃあ、行こうか」
あたしはアイツの手を掴み立ち上がり、再び真っ暗な校内を歩き出した
「♪♪♪♪~」
アイツは暢気にあたしたちの曲を鼻歌で歌い始めた
蘭「ちょ、や、やめて!」
「え、なんで?」
蘭「いまは・・・その曲を聴きたくない・・・」
さっき、無人の音楽室の事を思い出してしまった
「いい曲だと思ったのに・・・だれが作った曲なんだろうね」
蘭「あたしが作った曲・・・」
「へぇーきみがね・・・え?それ本当?」
蘭「本当・・・あたしはAfterglowってガールズバンド組んでる」
「夕焼け?いいね!バンド!出来れば聞いてみたいね」
蘭「観に来ればいいじゃん・・・」
「う~ん・・・それが出来ればいいけどね」
蘭「なにか行けない用事があるの?」
「用事って言うか?う~ん・・・何って言ったらいいのかな~ってか君もう怖くないのかい?」
蘭「怖いよ・・・でも、一人の時よりすこしマシ・・・」
「それならよかった・・・あ!この先の体育館の裏側に行けば出口があるよ」
蘭「ありがとう・・・アンタは帰らないの?」
「ボクにはまだやることがあるからね」
蘭「え、なにを・・・」
あたしがアイツに訊ねようとした瞬間・・・
つぐみ「あ!蘭ちゃん見つけたよ!」
ひまり「ら~ん!」
巴「よかった!先に来ていたんだな!」
蘭「う、うん・・・」
あたし達が無事に体育館前で再開を喜びあっているとモカがあることを言い出した
モカ「でも、蘭。よく一人でここまで来れたよね~」
蘭「え⁉」
一瞬、モカが何を言っているのか分からなった。だって、あたし達の目の前にアイツがいるのに・・・
「再開できてよかったね。美竹さん」
蘭「あ、あ、あ、あ・・・きゅー」
巴「お、おい!蘭!大丈夫か!」
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「あはは・・・あの時は美竹さんが倒れてビックリしたよ」
蘭「ビックリしたのはこっち・・・まさかアンタが幽霊だて思わなかったし」
「それは嬉しいね。実はボクを始めて見つけてくれたの美竹さんだけだったから嬉しくて・・・つい舞い上がっちゃった!ってどうしたの?」
蘭「別に・・・」
アイツがあたしと始めて声を交わした。アイツが何年ここで自分を見つけてくれる人を待ったんだろう?
あたしはアイツに何をしてあげたらいいのだろう?