桜才学園での生活   作:猫林13世

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二大イベントの一つに漸く辿り着いた…


体育祭前編

 本日は桜才学園の体育祭、晴れて良かったよ。

 

「選手宣誓! 我々はスポーツマンシップに乗っ取り、正々堂々と戦う事を誓います!」

 

 

 さすがに本番ではボケなかったな……心配してたけど杞憂で済んでよかった。

 

「正々堂々じゃないスポーツマンシップって何だろう?」

 

「ドーピングとかじゃないですか?」

 

 

 他に思いつかないし……それとも裏で不正工作でもしてるとかかな……でもどちらも体育祭程度でするはずも無いし、気にする事も無いか。

 

「確かに、Hな気分でスポーツするのは不純だもんね」

 

「多分そんな薬では無いと思いますよ」

 

 

 詳しい事は聞かないで良いや。どうせろくな事じゃ無いんだろうし……

 

「さて、宣誓も済んだ事だし、初めの競技は何だ?」

 

「玉入れだね~」

 

「津田、アタシたちも参加するやつよ」

 

「分かってるって。それじゃあ会長、本部を頼みますね」

 

「おう!」

 

「任せて下さい」

 

「……魚見さん、何故此処に?」

 

「来ちゃった♪」

 

「いえ、それは分かりますが何故本部に?」

 

「え? だって会長ですし……」

 

 

 魚見さんも生徒会長だったのか……英稜も二年生が会長なんだな……

 

「シノッチと二人で会長コンビなの」

 

「しっかりと盛り上げるからな~!」

 

 

 何でだろう、この二人が揃うと不安しか無いんだけど……

 

「津田、なるべく早く本部に戻りましょうね」

 

「奇遇だな萩村。俺も同じ提案をしようと思ってた」

 

 

 やはり萩村にも嫌な予感はしているようで、玉入れに集中出来るかどうか不安になってきたんだが……まぁ別に大局に影響する訳では無いから、本部の事は忘れても良いんだが、来賓も来ているので桜才の品位に関わるかもしれないんだよな……

 

「津田、始まるわよ!」

 

「分かってる」

 

 

 競技が始まってしまえば他の事を気にしてる余裕は無くなるだろう。兎に角集中だ。玉入れが始まって少し経った頃、誰かに手を握られた。

 

「ゴメン、タカトシ君……」

 

「三葉か。大丈夫だ」

 

 

 何故だか三葉の顔が赤くなってるような気がするんだが……まさかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっきの玉入れでタカトシ君の手を握っちゃった! 如何しよう、変な子だと思われてないよね……

 

「次は二年の徒競走か」

 

「位置について、よーい……」

 

『パーン!』

 

 

 あれ? 何かタカトシ君がキョロキョロし始めた……如何したんだろう?

 

「あの、私まだ鳴らして無いんだけど」

 

「え?」

 

「やっぱりか……」

 

 

 スターターの人がスタートした会長たちを止め自分は合図してないって言った。その発言にタカトシ君が納得したように頷いている。

 

「如何して分かったの?」

 

「スタートの合図に鳴らす音と、若干違いがあったんだよ。それで気付いた」

 

 

 タカトシ君っておかしな特技を持ってるんだな……

 結局徒競走は会長が勝ったようだった。

 

「次は借り物競争だね。借り物の札はウチのクラスが担当したんだよね」

 

「そうなのか? 俺には聞かれなかったんだが……」

 

「だってほら、タカトシ君は全体の指揮で忙しかったから」

 

 

 それに、考えたのは男子だしね……タカトシ君に聞きに行かなかったのは何か企んでたからだと思うよ。

 

「津田、一緒に来て」

 

「萩村?」

 

 

 スズちゃんがタカトシ君を連れて行った。お題は何だったんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 萩村に借りられて、俺はゴールを目指す事になった。

 

「お題は何なの?」

 

「目標にしてる人」

 

「目標? 俺が、萩村の?」

 

 

 いったい何が萩村の目標なんだろうか……

 

「この前アンタ、自販機であんこ茶買ってたでしょ? あれを自力で買うのが私の目標」

 

「俺ってやっすーい」

 

 

 あんこ茶買ってる人なら他にも居ただろうが……

 

「後はアンタの文才に少しでも追いつきたいなって」

 

「萩村ならすぐだろ」

 

 

 そもそも俺自身あそこまで感動してもらえるとは思って無かったんだが……萩村がゴールして、俺はクラスの場所まで戻った。すると……

 

「津田君、一緒に来てくれるかな?」

 

「また俺?」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

 今度は七条先輩に借り出された……

 

「それで、お題は何です?」

 

「ん~? 調教してほしい人」

 

 

 ちょっと待て! 何だそのお題は……クラスの方を向くと、柳本がサムズアップしていた。アイツか……

 

「ちょっと津田君!? そっちは違うよ~」

 

 

 結局七条先輩に引き摺られるようにゴールまで連れて行かれた……

 

「それではお題を確認します……ッ!? そうなんですか?」

 

「うん!」

 

 

 何故満面の笑みを浮かべる……そして何故チェックする人が顔を赤らめるんだ……火の粉がこっちにまで飛んできたと感じながら、俺はクラスの場所に戻り、柳本たちを問い詰めるつもりだったんだが……

 

「津田君! 一緒に来て!」

 

「津田! 私と来い!」

 

「………」

 

「人気者だね」

 

 

 会長と五十嵐さんが俺を借りに来た。

 

「あの、お題は?」

 

「これ……」

 

 

 五十嵐さんの引いた札に書かれていたのは……

 

『男子生徒』

 

 

 なるほど……五十嵐さんは男性恐怖症だったな……でも何で俺だけ大丈夫なんだろう?

 

「それで、会長のは?」

 

「その……教えない!」

 

「じゃあ五十嵐さんと行きます」

 

 

 会長のお題が分からない以上、五十嵐さんについていくのが良いだろう。何せこの人はまだ代わりが居てもその代わりに頼めないのだから……

 ゴールして今度は自分が参加する番になった。なるべくおかしな物を引かないようにしたいんだけどな……

 

『生徒会役員』

 

 

 ……自分じゃ駄目だよな……さて、誰に頼むべきなのか……ん? 別に桜才の生徒会じゃなくても良いんだよな? 別に桜才生徒会とは書いてないし……そうなると魚見さんもありって事になるよな……そう言えば魚見さんの他にも誰か一緒に来てたような気がするんだが……

 

「まいっか」

 

 

 考えた結果、一番辺り障りの少ない萩村を選んで一緒にゴールまで来てもらった。

 

「津田、お題は何だったの?」

 

「生徒会役員」

 

「変なもの引いたわね」

 

「俺が一人で行っても良かったのかな?」

 

「借りてないじゃない」

 

「だよね……ところで、魚見さんと一緒に来てた人って誰だったの?」

 

「私もまだ聞いて無い」

 

 

 立て続けに競技に参加してたからな……後でちゃんと挨拶しておかないとな。




結局シノのお題はなんだったんだろう……

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