それにしても、縁壱さんの声が井上和彦 さんだとは思いませんでした!渋すぎる!お労しやさんが、誰になるのか楽しみです!しかし、それは即ち鬼殺隊の最期を見る事になる……コレは頑張らないと。
皆さん、また流行り出したコロナにお気をつけ下さい!
『この耳飾りも、———も、後世に伝える!』
そう言って、俺に彼は約束してくれた。
その言葉に、俺は心の中にあった霞が僅かに晴れたのように感じた。
『約束します!!』
そして、俺は叫ぶ彼に心の底から浮かんだ言葉を伝えた。
「ありがとう」
その言葉を伝え切ると、今度はいつの間にか、血の様な紅い月が浮かぶ夜空の下で俺は“ある存在”と対峙していた。
その存在は、かつて自分にとってかけがえ無い存在であった。
忌み子として蔑まされてきた俺にとって太陽の様な人だった。
共に肩を並べて闘っていると思っていた俺には、目の前の現実が受け入れたくはなかった。
「お労しや、兄上」
そして、俺は涙を流しながら決別の言葉を告げる。
異形の姿となってしまった兄を斬るべく俺は、赫く染まった刀を手に取り、駆け出す。
辛い。
あまりにも辛い。
誰よりも気高く、そして誇り高き兄が、鬼となり、人を喰らう存在へと堕落した光景は、最愛の人を失った時と同じくらい苦痛に感じるほどだった。
兄さんと瓜二つの顔をした鬼を見てしまった俺は、この夢が、どうか只の夢である事を願う事しかできなかった。
この夢が、本当に現実になってしまうのでは……
あの時…俺達を遠ざけても守ろうとしてくれた兄の眼と、
あの鬼の眼は、よく……本当によく似ていたから、
俺は、そんな事を考えてしまう。
神も、仏も、誰も、
善良な父さんや母さんを助けてはくれなかったのに、俺は助けてもくれない神や仏に祈る事しかできない。
どうか、お願いします。
俺達を護るために闘っている優しい兄さんを護って下さい
でも、同時に俺は身の程知らずにほどがあるが、
煉獄家に心一郎が住まわせて貰ってから、
3ヶ月もの月日が過ぎた。
「行くぞ!時透少年!」
「はい、よろしくお願いします!!」
滝の様に汗をかく心一郎は、今日も木刀を振るう。心一郎と相対する杏寿郎も目の前の少年が、敗北を重ねる毎に少しずつ力を付けていることに改めて関心を抱かずにいられない。父である槇寿郎に酒を飲ます暇など与えず毎日毎日襲撃と言う名の鍛錬を積んでいる影響で、心一郎は常中とまでは行かないものの全集中の呼吸を任意で実行出来るようにまで成長した。
杏寿郎の振り下ろされる上段打ちを心一郎は、何とか受け止める。自身の何倍もの力が入った重い一撃に数歩ほど後方へと押されるが、心一郎もただ受け止めているだけでなかった。咄嗟に、木刀を握る力を一瞬だけ緩めた事で杏寿郎の体制を崩す作戦に出たのだ。しかし、鍔迫り合いの力を緩めて此方の体制を崩そうとする心一郎の作戦を一瞬で看破した杏寿郎は、すぐさま木刀を上段打ちから横薙ぎへと攻撃の手を切り替えて、反応してみせた。
「甘い!」
「ッ!?クソッ!」
自分よりも早い反応速度で、対応してくる杏寿郎の攻撃に、防御の体制を何とかとるものの心一郎は、木刀を握る力を緩めた事が裏目に出てしまう。そのため杏寿郎の横薙ぎによる重い斬撃によって、防御が甘い心一郎は数メートルほど吹き飛ばされてしまった。自分の機転が帰って裏目に出たことで、自分の首を締める事に繋がった事実に心一郎は、悪態をつかずにはいられなかった。
しかし、そんな心一郎を待つほど杏寿郎の扱きは甘くはなく、すぐさま追撃を繰り出すべく杏寿郎は、空いた距離を積めるために駆け出す。まるで獅子や虎の様な捕食者を想起させる勢いで突っ込んでくる杏寿郎に心一郎は臆する事はなく、迎撃の構えをとる。
「月神ノ舞 十ノ式
そして、心一郎は木刀に全神経を集中させ、月神ノ舞の中でも最も威力のある斬撃を放った。放たれた斬撃は、無数の月輪を内包した回転鋸のような形状の巨大な二連の刃に別れ、まるで杏寿郎をすり潰すかの如く襲い掛かっていく。
本来この十ノ式は、心一郎が使う月神ノ舞の中でも一二を争うほどの威力を誇る技であるが、完全な威力を発揮させるためには大きな溜めが必要となる欠点を含んでいる。だが、先程の杏寿郎の攻撃によって吹き飛ばされたお陰で距離が空いたことで、功を成した。
「炎の呼吸 肆ノ型
対する杏寿郎も、これまでの鍛錬の際に心一郎の使う月神ノ舞を全て見て来たため慌てる事なく、迫り来る巨大な二つの斬撃に対抗するべく、自身を中心にして渦巻く炎を思起こさせるかのように前方広範囲の全てを薙ぎ払う。ソレは前面を覆う障壁となり、心一郎が繰り出した二つの回転鋸のような斬撃と激しく衝突する。一秒にも満たない間、心一郎の斬撃と杏寿郎の薙ぎ払いが衝突したが、どちらの技も同等のものだったため引き分けとなった。
「前より強くなっているとは言え、そこまで完璧にいなされると落ち込みますよ」
「うむ!君と俺とでは、圧倒的に経験の差があるからな!それは仕方のないことだ!だが、ここまでの威力に昇華させるとはアッパレだぞ!時透少年!自信を持て!」
割と本気で落ち込んでいる心一郎に対して、杏寿郎本人にその意思はないとは言え一様フォローを織り交ぜた痛烈な正論を突きつける。現鬼殺隊である杏寿郎は、数々の鬼と戦いの中で培った経験と技術があるため心一郎が決定打を与えるのは至難の技にも等しい。その事を改めて痛感させられた心一郎は、まだまだ自分は甘いと心の中で強く反省する。
「持ちませんよ。俺は弱いし、クズだ。だからこそ、どんな汚い手を使っても、鬼を殺し続けます。弟達を鬼殺隊に入れさせないためにも」
「俺も、兄であり弟だからな。君の気持ちは分からんでもない。君が願う幸せと弟君達の願う幸せは異なるものだ。その食い違いと必ず向き合わないと行けない時が来るぞ。俺も、鬼殺隊に入る前に姉上ととても揉めたからな!」
「でしょうね。美火さんは、お二人のことをとても大切に想っていますからね。まぁ、ジジィも同じと思いますけど」
「うむ!お互いに家族から愛されている俺達は、幸せ者だな!」
(…それでも、俺は弟が切り刻まれる光景なんて、見たくも考えたくもない。例え、恨まれても、嫌われても、2人には鬼のいない世界で、幸せに生きていてほしい…)
会話を続けながら、心一郎は先程の十ノ式を使った影響で左手に痛みが走っているため、中々思うように杏寿郎の打ち込みを捌き切ることが出来ず、防戦一方になる自分に憤りを感じる。
「む?雑念が入っているぞ!もっと打ち込んで来い!!」
「では、御言葉に甘えて!」
どこか自分の心を見抜く杏寿郎の胸を借りる形で、心一郎はまだ痛む手を使って鋭い刺突の連撃を繰り出す。まさに雨の様な心一郎の連撃に杏寿郎は、心の底から闘争心を露わにした笑みを浮かべる。迫り来る刺突の雨に杏寿郎は顔色一つ変える事なく捌き、逸らし、または躱し続けていく。自分の刺突では杏寿郎の動きを捉えることはできないことは、この数ヶ月で嫌と言う程体感させられている心一郎は、咄嗟に斬撃の軌道を横薙ぎによる斬り払いへと切り替えた。迫る横薙ぎの一閃を杏寿郎は木刀で難なく受け止めた後、隙が生まれた心一郎の胴に木刀を振るおうとするものの、
「しっ!」
「む!今度は蹴り上げか!!」
自分の顎目掛けて上がってくる心一郎の蹴りを避けるため、後退させられる。しかし、杏寿郎は心一郎が攻撃に繰り出す前に体制をすぐさま立て直した。作り出した隙をすぐに無くす程の驚異的な反応速度を見せる杏寿郎に心一郎は、構えていた抜刀の構えは解かず、ヘキヘキした表情を浮かべる。そんな心一郎に杏寿郎はより一層口上を上げて笑みを浮かべて、抜刀の構えを取る。暫くの間、互いに出方を伺っていたが2人は全く同じタイミングで駆け出し、
「炎の呼吸 壱ノ型
「炎の呼吸 壱ノ型
2人は修練城の床が陥没しかける程の力強い踏み込みを行い、まるで炎を発するような勢いで間合いを詰めて、袈裟斬りを放った。これこそが、炎の呼吸の最も基礎となる壱の型による斬撃である。
心一郎が、煉獄家に来て僅か3ヶ月で炎の呼吸の中で唯一習得する事ができた型が、この不知火である。しかし、出来たからと言っても長年修練積んできた杏寿郎と、最近出来るようになった心一郎とでは、技のキレに雲泥の差が生じる。
その結果、
ボキッ!!
心一郎の木刀は杏寿郎の斬撃によって叩き折られた。
「だぁぁぁ超イテェ、やっぱり同じ構えをした段階で不知火は出すべきじゃ無かったな」
「確かに、俺と君とでは技のキレに明確な差が出るのは当たり前のことだ。だが、技に慣れる事も大事な事だ!俺もよく今の君の様に父上にコブが出来る程の一撃を喰らったからな!!」
自身の木刀が叩き折られた心一郎は、そのまま止まる事ない杏寿郎の斬撃によって額に大きなコブが出来る程の一撃をモロに受けてしまった。いつも以上に強い一撃だったためなのか、心一郎は半泣き状態で先程の攻防の反省点を探していた。対する杏寿郎も、心一郎の成長に嬉しいのかバシバシと背中を叩きながら意見を述べる。
「それにしても、お世話になって3ヶ月も経ちますが、それでも壱の型しか出来ないのは、このコブ以上に痛いです」
「確かに、君の使う月神ノ舞の方が斬撃のキレも速さも違う。技の種類を増やして、敵の意表を突くという意味では良い案だが、君の身体はどちらかと言えば月神ノ舞を使うことに特化していると言える」
「なるほど……やっぱり炎の呼吸の習得は諦めて、月神ノ舞の式を磨くのが先決ですか…」
「それが良いと俺は思う。それに君は余り受けの姿勢がまだまだだ。防御も大切だからな、これからは其方を重点的にいこう」
「はい!もう一本お願いします!」
「うむ!よい心掛けだ!!来い!!」
次にするべきことを決めた心一郎はすぐさま立ち上がると予備の木刀を構え、杏寿郎に向き合う。そして、杏寿郎も貪欲に強くなろうとする心一郎の気持ちに応えるべく、木刀を構える。
「待て!小僧、杏寿郎!」
しかし、構え合う2人に待ったをかける者がいた。
「げぇ、酒飲みジジィ」
「む?どうかしましたか、父上!」
それは、杏寿郎の父である煉獄槇寿郎であった。槇寿郎の登場に心一郎は露骨に顔を顰め、杏寿郎は相変わらず元気な声で返事をする。
「小僧、お前の足運びや月神ノ舞による技のキレを考えた結果、お前をここで鍛えるのに限界がある。よって、俺の知り合いの所で、お前の身体運びに合う水の呼吸の基礎を学んでこい」
「えっ?!マジかよ」
「これには、俺も……よもやよもやだ」
大正コソコソ噂話!
次回には、オリジナルキャラクターとなる師匠が出ますが、心一郎や美火の様な転生者ではありません。後、兄弟子となるネチネチさんも出ます!
今回は書くネタが少なくてすいません!