隻腕の騎士、浮遊城に立つ   作:食卓の英雄

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この一週間何をしていたかと言いますと…。
まず聖晶石集めとツングースカに向けてのアヴァロン・ル・フェの攻略、そして水曜からは皆さん御存知レイドやってました。
ごめんちゃい


ゴード・トゥー・ピース

「あー…コホン。…もう終わったか?」

「「あっ…!」」

 

 尋ね人は見つかった。まさか運良く…いや、候補の一つとして捉えていたからある意味では予定通りだと言えるだろう。

 暫しの間再会の喜びを分かち合っていた二人だったが、ディアベルの招集もかかっていたことにより、黒髪の少年――キリトが声をかけた。

 

「えっと、よかったな。その……いい友達で」

 

 きっと、少し前までの私ならば全身の毛を逆立てて怒っていただろうが、最早今となってはそんな感情もどこへやら。

 気まずげに纏めようとした少年の後ろには接近する二人。姿が見えないと思ったら、この少年を伴って離れていたらしい。……気が効いている。

 

「初めまして、アスナ殿。私はベディヴィエール。お話はミトから伺っています」

「ベディヴィエールさん…」

「御機嫌よう麗しのレディ。私はトリスタン。よろしければ再会の喜びを弾かせていただきたく…」

「そ、そう…。また今度お願いしようかしら」

 

 取りあえずの顔合わせも終わり、結局私達五人はパーティーとなった。もう一人の少年、キリトもどうやらベディヴィエールと知り合いらしく、諍いが起こることもなく完成した。

 

 少し他より遅れてしまったが、ディアベルは快く許してくれた。この人数を纏め上げたリーダーシップを持つディアベルは指揮能力にも秀でていたようで実務でもなかなかのものだった。

 出来上がった七つのパーティーを検分すると、最小限の人数の入れ替えだけで目的別の部隊を編成したのだ。…幸い、私達から移動する者はいなかった。

 重装甲の壁部隊が二つ。高機動力の攻撃部隊が三つ。そして長モノ装備の支援部隊が二つ。

 壁隊はボスのタゲを交互に受け持ち、火力隊二つはボス攻撃に専念、一つは取り巻きの殲滅優先。支援部隊はそのリーチを活かした援護や長柄武器に多い行動遅延スキルを主に使用し、取り巻きをボス部隊に近寄らせない役割だ。

 

 シンプルで捻りのない構成だが、それ故に破綻の穴も少ない。私達の中でも異を唱える者はいなかった。

 

 肝心の私達の役割だが、取り巻き殲滅のE隊と支援部隊のサポートだ。アスナは不服そうにしていたが、正直に言って妥当だと思う。何せ構成が問題だ。細剣使い(アスナ)盾なし片手直剣(キリト)鎌使い(ミト)片手直剣兼長槍(ベディヴィエール)投擲兼片手直剣兼竪琴(トリスタン)。…という統合性のないバラバラな部隊だからだ。クセの強い武器である鎌に、持ち変える度に役割が変化する多武器使い。……正直、最後のは意味が分からない。アスナもキリトもそんな顔をしていた。

 

 流石にこの謎構成はディアベルも頭を悩ませたらしく、苦肉の策とでもばかりに絞り出したのが今の配置なのだ。それもやむを得ないであろう。ここまで勝手が違うと足並みを揃えにくい。下手をすると連携を邪魔してしまう危険性がある。即席のレイドではそのようなリスクは犯せない…ということだろう。

 

 ボス戦の取り決めはディアベル主導でその後も続き、作戦の概要が固まったところで解散となった。その後も親睦を深める為にか酒場やレストランへ呑み込まれていった。

 

「………で、どうする?俺としてはパーティーの立ち回りとかを話し合いたいんだけど…」

「私は賛成よ」

「大事な事ですからね」

「同じく」

「みんな賛成みたいだけど…どこでするの?」

 

 最後の一言でどうにもうーんと唸る。そこらへんの酒場やレストラン、NPCハウスなどと案は出ているものの、先日の一件と外見で注目を集めるとの事で却下された。

 こうなるといよいよ選択肢が限られ、どこかいい場所は無いかとの話になったが、私とベディヴィエールは今まで各地を渡り歩いていたから宿はほぼとっていないし、アスナとトリスタンはそもそもβテスターでもないからこの町をあまり知らない。

 そして、アスナが衝撃の一言を言い放った。

 

「…だいたい、この世界の宿屋の個室なんて、部屋とも呼べないようなものばっかりじゃない。六畳もない一間にベッドとテーブルがあるだけで、それで一晩五十コルも取るなんて。食事はまあしょうがなけど、せめて睡眠くらいは本物なんだから、もう少しいい部屋ってないのかしら」

「「「ん…?」」」

「あー…そういえば」

「な、何…?変なこと言った…?」

 

 

 

 

 

「……うああ……」

 

 どばしゃーん。

 と背中から浴槽に飛び込んだ刹那の第一声である。SAOでは液体の再現は完璧ではない。体にかかる水圧、流動感、反射光。そのどれもが現実とは微妙に違和感を残すが、今は温かいお湯と入浴しているという感覚こそが今は優先される。

 そう、目を閉じて体を伸ばせば……ほら、もうお風呂だ。

 

「まったく、みす…ミトったら、こんな重要なこと黙ってたなんて…」

 

 ぶくぶくぶくと、口まで水面につけてぶすくれたような表情を作り上げる。実際、ゲーム内で風呂には入れないと思いこんでいた彼女からすればこれは懐わぬ蜘蛛の糸。話し合いの場も込みで黒髪の少年の宿に来ていた一行だが、アスナは7:3の割合でお風呂が勝っている。

 

「ふう…」

 

 風呂場と繋がる扉は鍵がかけられず、男性がいることもあって躊躇われたが、そこはミトに任せている。こういうときに同性は助かる。

 木製の農家の二階なのに、何故このような給湯設備があるあるのだろうか。ましてや中世ヨーロッパがモチーフなのに。蕩けた頭で堪能しながら考える。これも、ミトに聞いたらゲームとリアルは違うのだと言われるのだろうか。

 温感に包まれる体は弛緩し、視界は微睡んでくる。瞳を閉じれば今にも夢の世界へ誘われてしまいそうだ。

 圏内であるこの中ならばそのまま眠ってしまったところでHPが減ることはないだろうが、そこは常識的に許されない。何より、この後にも話が立て込んでいる。流石にそれを無視できるほど薄情ではないつもりだ。

 

「本当はもうちょっと早く出た方がいいんだろうけど…」

 

―――久しぶりのお風呂。ミトの真意。明日のボス攻略。

 

「うん…今日くらいはもうちょっと長くても、いいよね…?」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「…ミルク、飲むか?」

「ではお言葉に甘えて…」

「ありがとうございます」

 

 風呂場へのドアに視線が動きそうになるのを必死に堪えて、ピッチャーを傾けてミルクを注ぐ。折角だからとミルク飲み放題のこの場所を取っていたのだが、よもやこんなところで活躍するとはとは思ってもいなかった。

 

 風呂場への扉を守護しているミトにも手渡し、それきり押し黙る。元々コミュニケーション能力は低いほうだと自負しているし、五人の内二人ニグループは現実世界でも友人同士らしく、完全に俺だけが孤立してしまっている。

 ここは大人しくアスナが出てくるのを待って、それから会議しよう。それなら不自然じゃないし、まともに話し合えるはずだ。よしそうしようとアイテム整理に努めようかとしたところ、声がかかった。

 

「そういえば、これもあの日以来ですね」

 

 誰かに話したというよりは口から零れた独り言だろう。ただ、そのこれが何を示しているのかが理解出来ずに尋ねた。

 

「何かあったのか?」

「…この三人でパーティーを組むのも久しぶりだな、と思い」

「三人……?でもトリスタンとミトはまだ会ったばかりなんだろ。それがなんで…」

 

 ミトも顔を上げて言葉を待っている。一体、どうしたと言うのだろう。 

 

「ああ、すみません。三人というのは私とあなた達のことですよ」

 

 何気なく放たれた一言はしかし、俺の記憶領域には保存されていないようで、まじまじとミトの方を見る。対するミトも訝しむような目でこちらを見ているのだから俺だけが忘れているというわけではない様だ。

 

「それ、人違いじゃないか?俺はミトみたいなプレイヤーとは組んだことはないんだが…」

 

 ちらと、こちらも齟齬がないか顔色を伺い、俺同様に疑問符を浮かべる顔を見て確信する。何より俺はベータ期間の後半分はソロでやっていたのだ。ベディヴィエールと組んだのだって基本二人パーティーが殆どだ。やはり勘違いではと声に出しかけた時、ベディヴィエールは口を開いた。

 

「ベータテストの最終日、パーティーを組んだではありませんか。あのときは先にキリト殿が駆け出したのをミト殿が追った形になりましたが…お二人共ボスの姿は拝見されたのですよね?」

 

 ベータテスト最終日、確かに俺は迷宮区を突破するために臨時パーティーを組んでボスフロアまで辿り着いた覚えはあるが……。と、オブジェクト化された大鎌と白いフーデッドケープ。

 それに加えてあの日の苦い思い出…。そう、確かにあの場にいた鎌使いはただ一人。長身ギョロ目のオールバックという厳つい風体で目の前の女性プレイヤーとは似ても似つかないが…。

 同じく武器を重点的に鍛えて他は最低限というピーキースタイルは十分に見覚えがある。

 

「『カガチ・ザ・サムライロード』の!」

「最後に抜いてった…!」

 

 確定だ。あのボスの名前を現時点で知っているのは開発者やスタッフを除けば実際に相対した俺とあと一人なのだから。

 そうだ、そういうことならば俺たちは久しぶりのパーティーを結成したことになる。

 そしてはたと考える。あの当時のメンバーが三人。つまりはベータテスト踏破率トップスリーが一堂に会していると言う事だ。そして少人数(俺はソロ)なだけに装備のグレードも高い。トリスタンはまだ知らないが、あのアスナという細剣使いもかなりのセンスを有していた。

 

 …もしかすると、現時点での最高戦力が同パーティーに集結しているのかもしれないな。

 

 比喩ではないそれを口に出す前に、扉が小刻みにコン、コココン、と鳴った。

 最初に反応したのは意外なことにトリスタン。圏内であるというのにスローイングピックを扉の先に向けている。いつでもソードスキルを放つ事のできる体勢。……こちらも並大抵の人物ではないらしい。

 

 その所作に警戒したらしい二人も腰を浮かせるが、生憎と俺には馴染みのあるものなので手で制する。

 

「警戒しなくていい。俺の客だ」

 

 そう言って扉を開けば、そこには一ヶ月前から世話になっている茶フードの小柄な体躯が顔をのぞかせ……

 

「ぃようっ!キリト、久しぶりだな!」

 

 突如として響いた濁声が耳朶を打つ。

 へへへっと鼻を擦る男はかつて俺が見放した人物で…。

 

「ク、クライン!?お前何でここに……!?」

 

 疑問を投げかけると答えはその脇から返ってきた。

 

「コイツラがどうしてもっていうんで特別に500コルで案内して上げたのサ」

 

 クラインの背後から現れた影。クラインの声とは一線を画す甘い高音。『鼠』の通り名どおりに三本線のフェイスペイントを刻んだ金褐色の髪を持つ女性プレイヤー。

 

「――アルゴ」

「ニャハハハ、流石のキー坊も驚いたカ」

 

 悪戯が成功したような顔で立っているアルゴと、何よりクラインがいる事により、俺はただ啞然とする他なかった。




今ここに
ベディ、トリスタンはもとより、
フラットと頼光さんとライネスとふーやーが出会った!
(唐突な声優ネタ)
実際めっちゃたくさんいるんですよね。FateとSAOどっちもやってる声優。
シノンはモードレッド、アルテミスだしエギルはアグラヴェイン。サチはメルトやアタランテでカヤバーンは項羽さま。ディアベルはんはダーニックでモヤッとボールはギルギルだし!
多分出演キャスト表並べて石でも投げたら10回に8回くらいはどっちでも該当すると思うんですよね。これ。

この作品が面白いと思ったら高評価、感想よろしくお願いします。さすれば私の執筆意欲が湧いて更新が早くなるでしょう。
じゃ、レイドやってきます。
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