隻腕の騎士、浮遊城に立つ   作:食卓の英雄

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めっちゃ空いちゃった♡
うわきも

とまあ、何故か筆(指)がのらず、難産となった話です。イベントもあったしね…。
正直、作り直してもおかしい部分とかあるのですが。これ以上は……今の私のパワーでは不可能なのだ。


星屑の夜のカープール

「…落ち着きましたか?」

「…まあ、それなりには」

 

 あの情けなくも利口に逃げ延びた時刻から既に六時間が経過し、目を覚ました頃には紅く染まっていた空には漆黒の帳が降り、どういう訳か月が顔を覗かせている。

 ホーホーという夜専用のフクロウ様な環境音が耳に届き、否応なくここがSAOの中であることを実感させる。……いっそのこと、夢ならば良かったのに。そう考えるのは、ただの逃避なのだろう。

 

(それはそれとして…)

 

 ズズズ…と手渡された香りのきついハーブティー(のようなもの)を飲み干した。その拍子にチラリと、横目で件の人物を見る。顔も動かさずに視線を定めた筈だが、すぐにこちらの目を見てニコリと微笑む男。

 後ろで纏められた長い銀髪と、やや中性的な、それでいて男性らしい顔つきが特徴のプレイヤー。ここまで顔がいいと、彼だけアバターのままなのかと疑ってしまう程に整っている。

 

「…?どうかなされましたか?」

 

 そうだ。どこかで見たことがあると思ったら、β最後の日。

 第十層の迷宮区で、行きずりのパーティーを組んだプレイヤー。……あまりに姿が変わらないのは、多分、アスナと一緒でリアルの容姿を使っていたから……。

 髪色を変えているということは、あの面倒くさい専用クエストをクリアしたという証明。つまり、最低でも一層ボスに挑める程度のレベルは既にあるとみていいだろう。

 

 私と同じ白いマントの下には見たことのないプレートアーマー、恐らくはプレイヤーメイドの中でも現状最高級の品だろう。腰に携える剣は片手直剣でありながらレイピア種にも近しい刀身の細さ。…こちらも、β時には見なかった物だ。

 

 何にせよ、私には関わりのない事だ。彼のおかげで助かったのは否定しないが、これ以上踏み込むこともないはずだ。迷惑でもかけない限り私の行動にあれこれと言われる筋合いも無い。

 

「POTと護衛はありがとう。助かったわ。…それじゃあ、私は行くわね」

 

 装備や手慣れた仕草から、β同様にフロントランナーとしてやっていけているのだろう。きっと、あの時の剣士もそこにはいるのだ。

 

「…っ」

 

 胸の奥がキュッと締まるような気がした。一瞬だけ浮かんでしまったありえない未来。

 私がアスナと一緒に最前線を走破する情景が、いつか出られるという理想を抱いた己の姿が、まるで水底に絡む汚泥のように纏わりつく。

 ひょっとしたら、あの時に助けられていたら、実現していたかも知れない景色が私の脳内を駆け巡る。

 

「お待ち下さい」

「っ何?」

 

 我に返ると同時、背後の彼が立つ気配がした。重金属装備と軽金属装備の中間のようなガシャガシャとしたノイズを響かせながら、足音は確かな歩みで近づいてくる。

 

「そのような顔をした女性を行かせる訳には行きません。……何か、悩みを抱えているのではないですか?私で良ければ聞かせては頂けないでしょうか。………勿論、無理にとは言いません。人は誰しも、他人に触れられたくない事があるのは分かっています。その気がなければ…分不相応な申し出だとお忘れください」

 

 こちらを気遣うような、何処か憂いているような伏せがちな瞳は、遍く照らす眩いほどの光は感じられないものの、夜闇に浮かぶ三等星の如き静かな輝きを帯びている。

 

 口元は固く結ばれ、表情は真剣。ゲームだから、子供だからという外装のない、純真でまっすぐな思いの現れ。

 …この人は恐らく、私がどんな年齢で、どんな境遇であろうとも同じように尋ねるだろう。そんな気がした。

 

「………っ」

 

 でも、こんな事を、友達を見捨てたなんて、軽々しく云えない。口に出すのが恐ろしく、気にかけてくれるその表情が私を責めるものに変わるのだと考えたら、恐ろしくて仕方がない。

 自分の行ってしまった事を再び焼き付けるのだと思えば、紡ぐべき言葉がほつれてしまう。口に出したいのに、出してしまいたいのに、臆病で自分勝手な私はその一歩を乗り越えられない。

 あの時もそうだ。私は勝手に諦めて、彼の声なくしてはボス部屋へとたどり着けなかった。結局の所、私は一人では弱いままなのだ。状況が悪くなったら、すぐに諦めてしまう。……それこそ、友達の命がかかっていても…。

 

「……出過ぎた真似をしました。私はこれにて」

 

 暫くの沈黙の後、そう言って踵を返した。その顔は申し訳無さそうに歪められ、沈鬱な空気を携えている。

 

 瞳を閉じる。私は、何なんだ。調子に乗って、すぐ諦めて、挙げ句、まだ迷うというのか。そう言って、また逃げるのか。

 

「待って!」

 

 大柄な体格を揺らしながら身を翻す彼に、気づいたら手を伸ばしていた。その言葉を出したのは、或いは偶然だったのかもしれない。それでも、ここで下がればきっと後戻りできない気がした。…いや、実際に私は折れていただろう。

 

「話す、話すわ。私の悩みを、聞いてください」

 

 ―――私は、事のあらましを話した。

 

 それはさながら懺悔の様でもあり、泣きはらす童子とも似た慟哭であった。

 彼は時に親身に、時に真摯に受け止め、軽蔑するでもなく聞き入っていた。

 

「…私は面識がないのであまり偉そうなことは言えませんが、きっと、ご友人はあなたを恨んではいませんよ」

「どうして…?アスナは…私が殺したようなものじゃない…」

「そうですね。確かに、その時は裏切られたと、一瞬でも思ってしまうのは人間として当然の反応でしょう」

 

 なら…と口調を荒らげそうになるが、彼の纏う空気は穏やかなままである。

 

「しかし、それが必ずしも人の本質ではないと私は考えています。普段は仲睦まじかったのでしょう?楽しかった思い出も、その時抱いていた想いも、本物だった筈です」

 

 それは…そうだ。あの時は、放課後のあの一時は、二人で他愛ない話をして、ゲームをプレイしたりなんかもして……。あの記憶は、偽物なんかではなかった。このデスゲームにおいても、アスナと一緒なら生きていけると、そう本気で信じられる程には輝かしい記憶だったのだ。

 

「きっと、そのご友人も同じ気持ちです。貴女が自分を責めるように、彼女は疑心暗鬼に陥っているかもしれません。……ですが、本質のところでは変わっていませんよ。……私の直感ですが、こういう時の勘は、割と当たるのですよ」

「でも…アスナはもう…」

 

 死んだ。……そう続ようとする私の目に、彼のメッセージウィンドウが可視化される。

 

「ご友人、アスナ殿の綴りは『Asuna』で宜しかったですね?」

「え、ええ。それが、どうしたの…」

 

 そう答えると、彼は先ず頭を下げた。

 

「申し訳ありません。先の話の際、私の仲間にメッセージを打たせてもらっていました」

「なっ…」

「はじまりの街にいる仲間に生命の碑を確認していただきました。……心してお聞きを」

 

 ドキリと、無いはずの心臓が大きく跳ねる。血潮が騒ぎ立て、心が逸る。今再び、その事実を、アスナが死んだことを認識させるのだ。

 きっと、今の私には甘い幻想よりも、辛い現実が必要なのだろう。紡がれる言葉を予測し、さあ来いとばかりに身構える。

 しかし、その後に放たれたのは予想もしていない言葉であった。

 

「彼によると、アスナというプレイヤーの名前には死亡表記は無いとのことでした。無論、同名プレイヤーは存在せず、綴り間違いも無し。他パーティーにも協力を要請し、三度の確認を通した、信頼のおける情報です。……つまり、あなたの友人は生きています!」

 

 はっきり言って、ただの出鱈目だと思った。どうしてあんな状況で生き残ったと信じられようか。下手な慰めはいらないと答えようとしたが、それを裏付ける事も見つかった。

 

「時に、まだフレンド登録は継続していますね。このソードアート・オンラインの仕様では、ログアウトしているプレイヤーのネームは半透明になるのです。あなたの目には、はっきりと浮かぶ名前が見える筈です」

 

 ハッと、今まで思い出してすらいなかった情報が蘇る。急いでフレンド欄を開くと、その天辺に黒黒とした独特の書体で浮かぶ『Asuna』の文字。

 

「あ、ああ…。よ、良かった…、生きてる、生きてるっ…!」

 

 それを認識した途端、膝から下の力が抜けて崩れ落ちる。目の前にいる彼すら気にならない程に、この時の私は周りが見えていなかった。しかしまあ、それも仕方ないだろう。

 きっと、どれだけ繰り返しても同じ反応を返していたのだろう。

 

「あ、謝らなきゃ。ごめんって、今度は見捨てないって……!」

 

 自然、ぽろぽろと涙が零れ落ちる。拭っても拭っても尽きない雫が視界を歪ませ、嗚咽を漏らす。

 そんな私に、彼は何をするでもなくただ側に佇んでいた。

 

 

 

 散々泣いたからか、少しだけ視線が恥ずかしい。幸い涙やけ等はこのゲームでは表示されない様で、その痕跡は今やないと言えるだろう。

 肝心のアスナへのメッセージは、今がもう夜遅いと言う事で後日送ることになった。…本当は、怖気づいた私が遅らせようとしたけれど、真剣な顔で無事な内に伝えられることは伝えた方がいいと言われたので、決定した事だ。

 

「…その、ありがとう。守ってくれた事も、相談に乗ってくれた事も。きっと私、あのままだったらアスナが生きてることも知らないままだった。……本当に、ありがとう」

 

 心の底から捻出された嘘偽りのない言葉。彼から貰った食料を腹に収め、街への帰路を辿っていた。人工物のないこの森では、きれいな星空が天蓋を覆っている。今までは意識する余裕など無かったが、この状況というのは中々無いものだ。

 

 何せ、夜道を二人、年上の男と歩いているのだ。それも、ただのアバターではなく、現実の体をそのまま写した姿なのだ。

 身長はかなり高く、体はゴツすぎないが、決して華奢ではない。そして、日本人離れした幼さの残るが大人の男性という顔つきは、思春期女子には少しだけハードルが高かった。これがゲームで無かったら双方気まずい思いをしているだろう。と予測してみるが、結局、ゲームでなければこの人物とは出会えていないのだから、無意味な事だろう。

 

「そういえば、何でβテストの時に私が女だって気づけたのかしら?声も変えていたし、あんな大柄で猫背なおじさんを女だって判断する要素は無かったハズ何だけど」

 

 あの後、意見交換をし、あの時の人物だということが判明してから、胸中を占めていた疑問の一つでもあった。さては、何か見落としていたシステムでもあったのかと勘繰り、予測を出す前にベディヴィエールが答えた。

 

「ああ、それは癖のようなものですね。咄嗟の足の動かし方や、ふとした時の仕草、指先の動きなどから推測致しました。職業柄、人の仕草等には敏感でして」

 

 今のでリアルの事に触れたと思ったのだろう。ミトは謝罪するがベディヴィエールは気にした様子もない。……やがて、話のタネが尽きたのか、無言の時間が訪れる。

 

 一人は星を、一人は空を。

 

 ただ並んで歩く姿は中々様になっていた。

 

「そういえば、あんな食料アイテムって一層にあったかしら?塩気のあるおつまみ系統はもっと後の層からしかないと思っていたのだけど」

「ああ、あれは私が作ったものですね」

「料理スキルを取っているのね」

 

 少し驚いた。もっと終盤で、そこそこの場所で留まっているプレイヤーならともかく、数少ないスキルスロットに、現時点で非戦闘系スキルを入れているとは思わなかった故に、その実力と余裕に驚かされた。

 

「いえ、料理スキルは持っていませんが」

「ん?」

 

 唐突に、嫌な予感が吹き出す。さて、βテスト時には自力料理はそもそも成功率が恐ろしい程低く、作れたとして味は無いに等しい物だったが、これにはちゃんと味付けがされていた。

 料理スキルでないのなら、残るスキルは一つ。

 

「……さっき食べたのって、何かしら?」

 

「『クロール・センチピードの足』の塩焼きですね」

「…………聞かなきゃよかったわ」

 

 結局、味自体は軟骨等に近かったので、これはデータだと言い聞かせることで美味しく頂いていた光景があったとか。




はい。これが私の限界!解散!
こんな駄文でも続きが見たいと言うのなら、感想高評価をくれるがいいであります!そうなれば蘭丸のランマニウム粒子も補充されて主様も幸せに……。あれ、蘭丸って蘭丸でしたっけ?いえ、蘭丸は蘭丸星の……謎の…蘭丸X……でありますよね?蘭丸は、蘭丸は…蘭丸なのでありますかぁーーっ!??
あ、主様!蘭丸はどの蘭丸であるか分かりますか!?え、このカルデアにも5体の蘭丸が…?おや、蘭丸星の住民が…違う?全部謎の蘭丸X?ど、どういう事でありますか!?謎の蘭丸Xの称号を持つのは蘭丸ただ一人の筈…。そ、その証拠に不動行光セイバーと蘭丸ブレードだって蘭丸の背に…。あの蘭丸も持っているでありますか…!? 
し、信じてください。主様!蘭丸が謎の蘭丸Xなのでありますよ!あれはただの一般蘭丸、蘭丸星最強の蘭丸は蘭丸なのでありますから!
……え?宝具レベル…?何を言っているでありますか、蘭丸が、本物の蘭丸で…『間違ってお気に入り登録しちゃったけど、宝具レベルはMAXにしたいからな〜。それに、せっかく宝具レベル上げ専用の霊基なんだし、ボックス容量も解消できるし』な、何を…主様?主様!?蘭丸が、蘭丸が謎の蘭丸Xでありますよ!?何で、何でそんな蘭丸を…!…ぴぃっ!?や、止めるであります!蘭丸はまだ主様のお側にいたいであります!…そ、そうでありますよ!そもそもその宝具レベル上げの霊基とやらは自我などないであります!騙されないでください主様!きっとそやつが主様の小姓である蘭丸を亡き者にせんとする者の陰謀なのであります!目を覚ますでありますよ!むむむ…話は通じませんか。ならば、ここは蘭丸らしく正々堂々と勝負――!……はぇ?な、何で蘭丸ブレードが抜けないでありますか!?こんな時に限って故障とは…!ええい!ならば殴るまで!……あれ、蘭丸は何故、ここにいるのでしょう。確か、カルデアに呼ばれて…。そうであります!主様!蘭丸、誠心誠意主様とどこまでも…。それが蘭丸Xの名を継いだ蘭丸の……な、何でありますか?蘭丸は、蘭丸ではない?もー、何を言っているでありますか。蘭丸はしっかりと蘭丸で……そちらの蘭丸は?まさか蘭丸星から新たな蘭丸が…『この話をするのも何度目かな』……な、なんでありますか?目が怖いでありますよ…?へ…?そちらの蘭丸が蘭丸Xで、蘭丸は宝具レベル上げの霊基がバグって自我が宿ったもの?いえいえ、蘭丸こそ本物の蘭丸……え?記憶?それは当然あるに決まっているでありますよ!たしかあれは……いつだったでありますかね?いっ、いえいえ!蘭丸が主様との出合いを忘れるはずがございません!すぐに思い出して……『いい加減、このやり取りをするのもやめにしないか』…?い、一体何を…?ここは…霊基強化室?そちらの蘭丸も、主様に説明を…。『それじゃあ始めるよ』でありますか?…あっ!ああっ!?蘭丸が!蘭丸が消えていくであります!お止めください主様っ!?このままでは、蘭丸は主様にお使え出来なくなってしまうであります!ら、蘭丸が、蘭丸が吸収されていくであります…!い、嫌であります!まだ、まだ蘭丸は主様にお使えしたいでありますよっ!?どうか、どうかご容赦ぴいっ!?何で、何でその蘭丸の肩を持つでありますか!?そっ、そうであります、蘭丸の秘密の右目!これでどうでありますか!?これを見た者は殺されるか主になるかしかないでありますよっ!…待つであります、待つであります!本当に、このままでは本当に蘭丸消えてしまうであります!?な、何かご不満がありましたら容赦なく言ってくださいであります!蘭丸が、蘭丸が何か粗相をしたのでありますか!?言ってください、直します、直ぐに直しますから!ですからどうか、蘭丸をお側に…!?―――ひぃっ!や、止めるであります!も、もうランマニウムがっ…!主様!主様!ど、どうか蘭丸をお助――――

『やったね。とうとう宝具レベル5だよ蘭丸』

そうでありますね!これでますます蘭丸に磨きがかかること間違いなしであります!もっともっと、この力を主様の為に。なんといっても超A級小姓でありますから!どこまでもどこまでも、主様と共に!

蘭 丸 怪 文 書
蘭虐流行れ〜

……腕の骨折れました(ガチ)
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