紹介してくれたのなら、ありがとう!!!!!!
というわけで何とかして投稿です。
前回までのあらすじ。
サニティエッタはレースゲーで言う重量級マシンみてぇな、加速が遅い代わりに最高速の高いウマ娘。終盤に決着をつける追い込み型として理想的な走りをする予定……のはずだった。
しかしデビュー戦では他ウマ娘の出遅れ、及び控え目な作戦展開によって先行策のような位置に立たさた流れで不利なまま走る羽目になってしまった……はずだった(二回目)
が、ご友人のラベリテ曰く追い込みは練習でしていただけ。
これは一体どういう事だろう? その謎を探るべく、我々は新潟の奥地へと向かった。
……はずだった(天丼)
新潟行く時間も予定も覚悟もねンだわ。
という事で、折角エッタが新潟で世話になっていた現地のトレーナーさん(ラベリテのお父さん)に聞けるなら聞いてみよう。
ラベリテから受け取ったメルアドへ疑問を送信。こうやって気軽に遠方に連絡取れるなんていい時代になったぁ。
相手さんの名前知らないけど、これはなんてお呼びしたらいいんだろう。便宜上の名前を考えねばならぬな。
「ウララ! チュー!」
「エッタちゃん、ちゅー!」
「ウララ! ヘイヘイ!」
「へいへーい!」
エッタの奇妙な踊りを、友達のハルウララが鏡写しに真似してさらに奇妙にしている。
こんなんでダンストレーニングになるのかっていう疑問だけど、こんな調子で本番を大成功させたんだし訳わからん。
でもこれ、ハルウララに悪影響与えないか? スペースウララとかに進化しちゃったりしない?
ハルウララのトレーナーは本日研修かなんかの為お休みってんで今日一日任されてるんだけど、後で文句言われないよな。
主に、エッタの悪影響を。
自由奔走ウマ娘が究極進化したら俺も向こうも頭が炸裂しちゃう。
どうしよっかなーって考えていると、さっき出したメールの返信が来た。
あ、そだ。便宜上エッタに倣ってお師匠さんと呼んじゃお。
「……」
「あらまどうして御師様師様のメールを知って? 横の繋がりエッタの上下、前後と天地とハルウララ!」
「うっらら~♪」
こらこら、人のスマホを覗き込むんじゃないよ。練習しなさい。
「いやさ、エッタの脚質についてお師匠さんに聞いてみようと思って」
「んむぅ? あての事なばあてに聞け!」
お前聞いてもまともに答えてくんないじゃん……。
言い回しが独特過ぎてよく分からんし……。
なーハルウララ。てかハルウララってエッタの言葉分かる?
たまに難しい単語でるけど。無駄な語彙で。
「分かるよ?」
分かるんだ……。
「ウララとエッタは仲良しゆえに、言葉足らずも心あり!」
「俺は全く分かんない時あるんだけど」
「絢爛並びの語学語彙、理解されねば
「わっつ?」
ハルウララは両人差し指を頭に当ててうねうねと唸っている。
どうやら宇宙に耐えきれなかったようだ。
「それで、お師匠さんからの返信だけど」
ふむふむ。
サニティエッタというウマ娘は元来の性格上、やはり抑えが効かせにくいと判断されていた。なので最初は自由にして逃げや先行をさせていたらしい。
しかし中央入りの話が出てそれに向けてと考えた際、重量級キャラの脚質を見られれば追い込みの指示を出されてしまうだろうとお師匠さんは読み、それからというものの模擬レース全部に後方控えの指示を出したのだ。練習として。
……うん。その予想通り俺は追い込みの指示出したよ……。
つまりラベリテが大丈夫と言ってたのは、前方にいるのは元々だしって事だぁ。
もしかしてエッタってこれ逃げも先行も追い込みもできて、ここまで来たら差しもできそうだし、メイクデビューで見せたようにそれを場面によって切り替えられるって事は、「自在」っていう一口に説明しにくい脚質なのでは……?
つくづく訳わからんなこの道化師。あんまり勝てないって噂のハルウララが隣で泣くぞ。
「あ」
追記で役立つから覚えておけとエッタから逃れる際の方法が書かれてる。
ただ、「扉を作って鍵をしておけばしばらくは大丈夫」ってどういう事……?
「ウララさんは、この意味分かるかい?」
「ん~?」
とてて、とハルウララがエッタに近づき両腕ででっかいバッテンを作った。
それを見てエッタは驚いたようなリアクションをして、空中を大げさに叩き出す。
おーいお二人さん、俺にも説明してくれないかー?
「エッタちゃんがオニ! よーい、どん!」
「わー」
急に鬼ごっこ始まったんだけど。
おーいお二人さん、そろそろ俺にも説明をくれー。
エッタは空中を叩くのをやめて、今度はタックルを始める。
寸止めみたいにしてくれてるから大丈夫だけど、これ俺にダイレクトアタックされたら死ぬで。
さっき走り去っちゃったハルウララもあんなかわいい顔してるけど、何かのおふざけでパンチしてきたら人死ぬやでな。
「で、サニティエッタさんや。あんたさっきからなんばしよっと?」
「……」
そしてなぜに無言なのか。
「あ、出てきた」
がこ、っていう効果音がしそうな程の勢いでタックルの素振りを終えて目の前にエッタが立つ。
……ん? ジェスチャー?
「ジェスチャー、扉を作る、鍵をしておく……」
……パントマイム?
「ジョゼトレあなたも鬼ごっこ?」
「ウマ娘とガチ勝負できる人間がいると思うか?」
「ターーーチっ」
見えない壁ーーっ!
「!」
人間と比べ物にならん勢いで走るウマ娘と鬼ごっこなんてできるかよ!
俺は先に逃げさせてもらうからな!
「……逃げた。逃げた。追うならば」
背後で何かすげぇ怖い声がした。
振り返ると、何もない所で扉を開ける動作をしながらすらっとサニティエッタが歩み出す。
「あては容赦せぬ故、逃げ切れぬ」
怖いんですけどぉ!?
「ウララ、声を出すなよ……」
「かくれんぼ? 鬼ごっこだよ?」
「いや、エッタ相手に逃げ切れない事が判明した」
恐怖、狂気の道化師。
俺が逃げる先逃げる先、行き先を決定して向かうとサニティエッタはいつも待ち構えている。
前に俺の家に出現した時のような、お前どっから来たん? って感じにワープしてくる。ハルウララも追いかけたやれよ。
てかそもそもなんで俺まで鬼ごっこに参加させられてんだ?
今は食堂の一角にあるカウンターの物陰に隠れてるけど……あ。
「いますかそこに? そこにいる?」
なぜに見つかった!?
くそぅ、擬態は完ぺきだったのに!
隣のハルウララがめちゃ目立つ桜色だからか!?
「逃げろハルウララ、ここは俺が引き付ける!」
「あ、トレーナーだー!」
ウララのトレーナーが帰って来たらしくそっちへ行ってしまった。
遊んでてくれてありがとーって声と共にお土産渡されるけど、それどころじゃないんだ今は。
見ろよあの狂気に満ちたサニティエッタを……いねぇ!?
「んふふふふ……」
いつの間にか横にいるぅ!
「あ、あああ……」
「絶望し過ぎよあてのトレ」
誰のせいで……!
じゃーねーって声と共に、自分の担当トレーナーに抱き着きながらハルウララが去っていく。
いいねぇ可愛らしい。うちのエッタは狂気混じってるからなぁ、サニティ無さげだからなぁ。
「さて。ウララも帰った事だし鬼ごっこは終わりにするか」
「……」
そろーりと手を伸ばすんじゃない。タッチしようとするんじゃない。続けようとするんじゃない。
「むぅ」
むーじゃないよ。
てか、やっぱりお前瞬間移動してんだろ。鬼ごっこの時。
「むぅ?」
まぁいっか。折角食堂まで来たんだし飯食ってこうぜ。
ついでに貰ったお土産も分けるか。
中身は、なんだこれ。ご当地耳カバー……?
「みみ!」
「だねぇ。これはエッタへ向けたお土産だな」
エッタはいつも耳にカバーを付けてるけどいつも左右で色と柄が違う。
靴下を間違えたとかっていうアレじゃなくて、道化師の被ってる帽子を模してそうしているらしいのだ。
ほら、よくあるじゃん。ピエロ帽子のさ、真ん中から左右で赤と青に分かれてるみたいなあれ。
ちなみにナイフみたいな小物の耳飾りをさり気なく左にぶら下げてる。
何でナイフ? って思ったけど、ジャグリング的なあれなのかも知れない。
「変えます付けますやってみます」
「お。さっそくですかい」
すっすと脱いだ耳のカバーをぺいって俺に投げ渡して、包みをがさがさ開けて新しいのを装着する。
でかでかとなんちゃら神社と書かれてたり、なになに名物みたいなのが書かれてるちょっとダサいやつだ。
最近はペナントとかに並んでこういうのも売ってるんだねぇ。
「うれしい?」
「とても嬉しや広告塔! あては奇抜がとても好き」
「エッタの行動自体が奇抜だからな」
「んふふふふ。目立つ目立って目に留まる。それがそれこそあての目的道中紀行の道化道」
奇抜っちゃ奇抜だけどさ、その方向性でいいの?
「あてを地味する望みなる?」
「お前の実力じゃ何してなくたって目立つだろうし、そういう感じじゃなくていいの?」
「んふふふ……」
訳わからん。
道化師系ウマ娘っていう独自性は貫けてるし良いんだけどさ。
レースの勝敗だけじゃなくてアイドル性というか、そういうのも必要だしぃ。