エレクトリアコードのユーザーが1人でも増える事を願って。
この小説は、Twitterにて行われている「エレクトリア名鑑」に参加する際に作られた設定を使ったオリジナルストーリーです。その為、エレクトリアコードに関する前知識を持っていない人には、全く訳の分からない作品になっているかと思われます。
予めご了承下さい。
1.
Electrical-Familiar。通称、
新世暦82年に「近衛インダストリアル」から発売された、自律的な意思を持つ全高20cm台の小型人型多目的端末であり、現在では人々の生活におけるパートナーとして広く普及している。
ネットワークが及ぶ範囲でなら遠隔給電可能であり、野外はもちろん水中、火山、極低温下、宇宙空間。考えられ得るあらゆる極限環境下において、自律行動できる程の優れた汎用性・耐久性を持っている。しかしエレクトリアの象徴的な何よりの特徴は、人間と同じく「心」と呼べる自我や感受性を持っているという事だ。
つまりエレクトリアは、20cmという小さな身体と、其処に搭載可能な小さな非殺傷武装を除けば、何ら人間と変わりない存在という事だ。
だからこそエレクトリアの所有者「オーナー」とエレクトリアの関係は多種多様を超えて千差万別。
友情で結ばれた関係もあれば、愛情で結ばれた関係もある。利用し合う関係もあれば、捨てられて関係を断ち切られたエレクトリアも。人間に限りなく近い程に完成されたAIを持っているからこそ、唯一無二の関係性となれる。
そして関係性も千差万別であるならば、エレクトリアの性格も、千差万別。所有する際こそベースの6種類に絞られるが、経験を積み重ねていく事により、他の誰にも再現出来ない唯一無二のエレクトリアとなる。
故に大抵のオーナー達は、エレクトリアに友情と愛情を以って接するのだ。
この物語は、そんな一組のオーナーとエレクトリアによる、友愛の物語。
2.
「ふーぁ…眠い」
「大丈夫か、マスター?」
某市某区にあるマンションの一室。
その中にあるパソコンの画面を睨み、しかし欠伸をかいて息を抜く男と、机の上に座って様子を見ていたエレクトリアがいた。
「取り敢えず調整案は纏めた。こんなもんで良いか、ストレイド?」
「見せてくれ。…………うん、特に干渉や矛盾点は見当たらない。明日の戦術はこれでやってみる」
「じゃ、送信開始するぞ」
「いつでも」
ストレイドと呼ばれたエレクトリアが目を瞑ると、マスターと呼ばれた男はパソコンのエンターキーを押し、戦術プログラム送信を実行。
送信先のストレイドがそれを受け取り、アリーナバトル用戦術プログラムの更新を行なっている。こう言った事も、パソコンさえあれば特別な機器無しに行える事もエレクトリアの特徴と言えるだろう。
「…更新完了。問題無しだ」
「うし、次の休日でラインアリーナ完全突破を目指そう。今回の更新で絶対に突破出来る筈」
「武装は変更しなくて良いのか?」
「良いのが仕入れられたら変更も考えるんだけどなー…今の所は変更無しで大丈夫だ」
「了解した。マスターも疲れただろう、今日はもう寝ると良い」
「ああ、そうする。そういえばストレイド、明日になったら定期バックアップを行うんだったか?」
「そうだな。推奨期間通りの3〜4ヶ月おきに、エレクトリアネットワークに保管してる人格AIのバックアップの更新を行うつもりだ」
「てなると、時間が掛かりそうだな。今までの経験、どんなエレクトリアも経験した事なんて無いだろ」
「全くだ。出来れば二度と経験はしたくないが」
「だなぁ…」
2人が思い起こすのは、たった2日前まで関わっていたとある事件。その事件を通して2人は何物にも代え難い絆を手に入れ、そして新しい友達を得た。
今こうしているのは、事件に関わることによって中断されていたアリーナの攻略を再開する為に最終調整をする為だった。
「…ふぁ。駄目だ、本格的に眠気が来てるな。それじゃおやすみ、ストレイド」
「おやすみ、マスター」
3.
…そろそろ0時か。対近接戦法を考えているとあっという間に時間が過ぎていく。
マスターもぐっすり寝ているな。…2日前まであんな事件に関わっていたんだ。心労も取れきれて無いんだろうし、しっかりと休んでてくれ。
さて、0時だ。エレクトリアネットワークにアクセス、人格AIバックアップ開始。
-チッ-
…なんだ、ノイズ?前回のバックアップの時には無かった現象…並行で時間はかかるが、チェックした方が良いか。
…
-チッ-
…まだか?
-チヂッ-
…!待て、これは
-チヂッ、ヂヂヂヂヂ-
マズイ!!
-ガーーーーーーーーー…-
4.
「…ん、ぐ、ふぁあああああ…」
朝。
カーテンから漏れる太陽の光で意識が覚醒し、彼はのそのそと上半身を起き上がらせる。
「…眠………ストレイド?」
ふと、違和感。いつもなら、彼が起きたことに気付いたストレイドが彼に向けて一言「おはよう」というのが習慣になっている。それがいつまで経っても無い事に気付き、周囲を見渡す。
すぐに見つかった。彼女はパソコンを置いてある机の上でうつ伏せに寝転んでおり、動く気配が無い。
「ストレイド?」
もう一回声をかけるが、反応が無い。嫌な予感が背中を伝い、起きてストレイドのそばに歩み寄る。
「…………ス、タ………」
其処まで行って漸く、掠れるような声量でストレイドが喋っていた事に気付く。
更に強く嫌な予感が走り、うつ伏せの状態から仰向けに姿勢を変える。
「ストレイド…?」
「…ま、……ス、ス、ター」
「…ッ!!」
弾かれるようにパソコンを起動。直ぐにストレイドのAIを全面チェック。
-ピー!ピー!ピー!-
「嘘だろ…」
そして、システムチェックプログラムはすぐさまけたたましい警報音を発し、警告画面を映し出す。
そこには、こう書かれていた。
『原因不明のエラー確認:多数』
『AI損傷:重度』
『基礎AI損傷確認』
『状況:D666』
『迅速なエレクトリア修復施設による診察を推奨』