ありふれた幼馴染と暗殺教室   作:孤独なバカ

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修学旅行の時間

「そういえばさ、修学旅行の班決まった?」

「ん?……班?」

 

俺はキョトンとし

その様子に渚と茅野が俺に苦笑してしまう

 

「…忘れちゃったの?来週の修学旅行」

「……そういや、そうだったか?」

「うん。やっぱりわすれ忘れてたの?」

「まぁな。最近中間テストの打ち上げとかとかしてたから」

 

ついでに光輝は相変わらずの2位、雫は9位、香織は53位、龍太郎は98位と皆そこそこの順位に落ち着いたのだ

ついでに光輝は498点という点数を取っており、トップの浅野と2点差である

 

「全く……三年生も始まったばかりのこの時期に総決算の修学旅行とは片腹痛い。先生あまり気乗りしません」

 

そう言う殺せんせーの横には人の身の丈を軽く超える巨大リュックに目一杯詰め込まれた荷物と、その巨大リュックにこれまた目一杯詰め込まれた状態で幾つものリュックが括り付けられていた。

 

「「「ウキウキじゃねーか!!」」」

「どんだけの荷物を持っていくつもりだよ。つーかこんにゃくとかいらないだろ」

「……バレましたか。正直先生、君達との旅行が楽しみで仕方ないです」

 

まぁ、その気持ちは分からないことはない。雫たちと同じく回れないがそれでも修学旅行で京都は結構楽しみだった

 

 

「知っての通り、来週から京都二泊三日の修学旅行だ。君らの楽しみを極力邪魔はしたくないが、これも任務だ」

 

体育の授業後、烏間先生が告げると俺たちは首をかしげる

 

「……てことは京都でも暗殺?」

「その通り。京都の街は学校内とは段違いに広く複雑、狙撃手を配置するには絶好の場所だ。既に国は狙撃のプロ達を手配しているらしい」

 

あぁなるほど。その理屈も言えるな

元々京都の街は複雑ながら歴史的建造物が多くあるのもあり、いいスナイパー位置があるのには違いない

 

「成功した場合、貢献度に応じて百億円から分配される。奴は二日目と三日目の班別行動時に君達と一緒に京都を回る予定だ。暗殺向けのコース選びをよろしく頼む」

 

と烏間先生が告げ終わると俺たちは班分けになる

すると渚が近づき俺の方に向かってくる

 

「ねぇ。もしよかったら僕たちの班にならない?」

「ん?いいけど後は?」

「カルマくんと茅野と奥田さんと杉野と神崎さん」

 

俺は少しだけ驚いてしまう

クラスのマドンナと言われクラスの人気が高い少女の俺は少しだけ驚くが、そういえば杉野が神崎を憧れていることを思い出す

 

「神崎か。結構倍率高そうだけだけどな」

「意外だった?」

「いや?全然。杉野あたりが決めてそうな雰囲気ではあったしな」

 

俺は苦笑してしまう。実際神崎はどちらかといえば補助に入ることが多いから俺は結構満足だ

 

「よろしくな。神崎」

「うん。よろしくね大島くん」

「暗殺と考えるとやっぱ人が多い場所か拓けた場所しかないのかなぁ?」

 

と俺たちがワイワイ話しているとビッチ先生がつまらなそうに見ている

 

「……フン、皆ガキねぇ。世界中を飛び回った私には旅行なんて今更だわ」

「じゃ、留守番しててよビッチ先生」

「花壇に水やっといて〜」 

「何よ!!私抜きで楽しそうな話してんじゃないわよ!!」

「あーもー!! 行きたいのか行きたくないのかどっちなんだよ!!」

 

とクラスが賑わっていくクラスメイトを見ながら雫たちはどこにいくんだろうなぁって思ってしまう

俺は少しだけ何か足りない修学旅行の話に少しだけ受け身で聞くのであった

 

 

 

修学旅行当日、俺はいつもの通りに普通席に座るつもりが

 

「結局こうなるんだな」

「まぁ、E組が一番集まりやすいから仕方ないでしょ?」

 

と俺の付近には雫、香織、光輝、龍太郎が自分のグリーン座席からこっちにきていた

当然もごとく身内で盛り上がるのでクラスのことになる

 

「つーか、修学旅行くらい自分のクラスで過ごせばいいのに」

「あの集会以降教室がギスギスして居づらいのよ。しかも香織がまた天然発動しちゃって」

「なるほどなぁ。まぁ、誰もが龍太郎や光輝、香織みたいに何でも突撃するバカじゃないだろうし」

「おい。それ俺が龍太郎や香織みたいに何も考えずに物事を突っ込むみたいじゃないか!!」

「光輝?お前目の前で失礼なことを言っているの気づいているか?」

「お前らのせいで雫と俺が何回尻拭いしたと思っているんだよ。まぁこの学校に来てよかったのは光輝が自分よりも上の人がいるって自覚してくれたことだけど」

 

とお菓子を食べながら俺の周りで雑談している

すると当然の如くE組のメンバーもこっちに来るようで

 

「あの?八重樫さんとかって私たちと前から態度あまり変わらないよね」

「えぇ。それがどうしたの?」

「それが不思議なんだろ。本校舎の奴らって基本的に俺らを下で見てるから」

 

すると納得がいったのか雫は少しだけ説明を始めようとしたところで龍太郎が告げる

 

「別におかしいことじゃないだろ?冬夜がいいやつって言えば多分いいやつってことだろうし」

「そうそう。冬夜くん両親を亡くしてからずっと落ち込んで居た時期があったけど、最近じゃずっと楽しそうだったから、E組があっているんだなぁって思って」

「「「「えっ?」」」」

 

香織余計なことを言ったな

クラスメイトには気を使わせような真似はしたくなかったんだけど、まぁ知られたら仕方ないか

俺は小さくため息を吐くと雫は何か察したらしい

 

「もしかして話してなかったの?」

「ん。まぁな。気を使われちゃこっちに取ってやりづらいんだよ」

「…ご、ごめん」

「別にいい。どうせ先生には懇談で師範がくるからどうせ知られるし」

「息苦しい雰囲気お前苦手だからなぁ」

「お前や香織もだろ?」

「私も無理よ。だから冬夜のところに避難してきたのに」

 

まぁ向こうのクラスよりはこっちのクラスの居心地の良さは明らかにいい方だと思う

元々弱者とはいえ身内は見捨てないっというのが八重樫の教訓であり、純粋に弱者がかわいそうだという立場があるのだろう

 

「ん〜。でもお前ら基本的に交友関係狭いからなぁ。特に光輝って特に親しいのはこのグループしかなくないか?」

「……お前が広すぎるんだよ。元々Aに入る前にもE組のやつとは結構繋がり持ってただろ?」

「ん。まぁ磯貝や片岡、渚たちも連絡先は残ってたしな」

 

元々何かと縁があるのだ。そのうち26人中10人は連絡先を持っていた

 

「でも、大島くんの話は興味あるかも!」

「俺?」

「うん。大島くんって昔のことって滅多に話さないから」

 

あ〜確かにそうだな。

俺が小学生の話はしたことなかったか

 

「いや。基本的に道場くらいしか通ってなかったし、あんまり人付き合いも少なかったからな」

「そうね。元々剣道の方に通っていたけどお父さんとお爺ちゃんに気に入られて剣術道場に移転になったのだったかしら」

「…あーそういえば雫にはそういういうことにしてたか」

「えっ?違うのかしら」

「元は俺は雫を守りたくて師範に頼み込んだのが原因だよ」

 

元々隠していたけど今更隠す機会ではないだろう

雫は完全に初耳なので明らかに動揺している

 

「えっ?」

「いいの?話して」

「いいかな。少し本人に話すのは恥ずかしいけど。元はといえば雫が虐められていたのがきっかけだったかな。雫って昔は結構地味で、小さいころって可愛い子が人気だっただろ?光輝って今でも一週間に三回は告白されることが多いけど小学校の時ってもっと人気が高かったんだよ」

「そうだったなぁ。光輝って昔からヒーロー属性だったから女子にかなり人気だったよな」

 

龍太郎も記憶があるのか苦笑している。

実際俺も女性からの人気はそこそこある方だし、龍太郎は完全にその波に引かれている

 

「……だからこそ、その当時から大人っぽかった雫はやっかみを受けた。こいつは幼いころから剣道をやって居た分女子の話題にはとことん疎かったんだよ。それも俺と光輝がいないところでやるもんだから俺も光輝も気づくのが遅れたってどころか、光輝は結局雫が虐められたところって結局見てなかったんだっけ?」

「えっ?あぁ。そうだったけど、雫から相談は受けたかな……でも、俺はあの時はその女子の善意を信じてしまったんだ」

「……まぁ、その正義感の強さも人の信じる力も光輝の良さだから仕方ないさ。元々俺は剣道は雫や光輝、いや門下生で一番弱かったんだよ」

 

するとE組からざわざわと声が上がる

それは烏間先生やビッチ先生も同じことだったらしく思わず俺を見る

まぁ俺が暗殺で見せる運動神経は察しているだろう

 

「……だからこそ俺にとっては雫が憧れだったんだよ。雫の剣って綺麗で鋭かったし、今でもそれは変わらない。剣術でいえば雫の方が強いだろうな。でも生活面でいったら俺は幼稚園くらいの時から雫の憧れがお姫様だったこととか、今もだけど雫の部屋が動物の人形だらけとかって知っていたんだ」

「ちょ、ちょっと」

「だからこそ、憧れな人が泣いていたのが、女の子として扱われていなかったことが許せなかった」

 

雫も恥ずかしい秘密を暴露されて俺を止めようとしたが次の言葉を聞き、言葉を止める

この話をする時俺は少しだけ怖がらせることが多いらしく殺されるかと思ったとの香織がいっていた

 

「まぁ、後はお察しの通りだよ。その女子をボコボコにして俺は生徒指導室にぶち込まれたけどな。それでも、あの時からだな。師範に土下座して強くなりたいって頼んだのは。雫を、大切な友達や家族を守れる強さが欲しいって」

「だから、毎日休みなく剣を振り続けたの?」

「まぁな。剣だけじゃなくて護衛術とか八重樫家って警察や防衛省とも繋がりがあるから小学校の頃から習えたから。努力しないと俺は本当に最初は最弱だったから雫を守りたいって思ったらかなり努力しないといけなかった。それだけのことだよ」

「手が早いのは小学生のころから変わってないんだね」

「うっせ。カルマだって同じだろうが」

 

俺は甘いお菓子を一つとり口に入れる

チョコレートの甘さとサクッとしたクッキーの感触を舌で味わう

 

「でも、今でも雫を第一に守るってことには違いはない。今でも守れているかは分からないけどな」

「十分よ。でも、前にも言ったけど少しは冬夜も自分の幸せを願ってもいいのよ?私を守ってくれるのもいいけど冬夜って結構モテるのに誰かと付き合ったりしないの?」

「「「「……」」」」

 

するといつものメンバーも、クラスメイトすらその一言に同情の視線を向けられる

これだけ言って、想いが伝わらないのは本当に重症だろう

その後居た堪れない空気の中、結局殺せんせーは一回も新幹線内に入れずに、俺たちの黒歴史公開合戦が行われていたのであった

速水とカエデについて

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