【本編完結】サツマンゲリオン ~ 碇シンジが預けられた先が少しだけ特殊だった県/件   作:◆QgkJwfXtqk

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 足を止めたエヴァンゲリオン弐号機(惣流アスカ・ラングレー)エヴァンゲリオン6号機(渚カヲル)を背に、仁王立ちとなるエヴァンゲリオン初号機(碇シンジ)

 その正面、ピラミッド状のNERV本部建物の上に立つ第18使徒。

 その背から噴き出すような勢いで使徒/エヴァンゲリオン擬きが生まれていく。

 それだけではない。

 使徒/エヴァンゲリオン擬きは一気に増殖していく。

 その余りの勢いに圧される様に戦いが止まった。

 エヴァンゲリオン3号機(鈴原トウジ)同調戦闘(RAID-GIG)システムによって繋がった第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンも密集して互いを守っていた。

 否、第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンだけではない。

 同調戦闘(RAID-GIG)システムで繋がりながら、だが全く違う動き ―― 四足の獣の様な姿で知性などかなぐり捨てた様な勢いで荒れ狂っていたエヴァンゲリオン8号機(マリ・イラストリアス)も又、手を止めて様子をうかがっている。

 そしてエヴァンゲリオン4号機(綾波レイ)は、その支配下にあるAdamとLilithの僕たちを集結させ、方陣を組ませていた。

 自分の分け身(Lilithの僕)だけならまだしも渚カヲルの子(Adamの僕)まで操っているのだ。

 そうそうに複雑な操作が出来る筈も無かった。

 そしてもう1つ。

 集める事でA.Tフィル―ドを干渉させあい、より強度を出させようというのだった。

 正に方陣づくりであった。

 

 対峙。

 人類の最大戦力であるエヴァンゲリオン戦闘団第1小隊(エース オブ エース)が攻勢を止めた事の影響はかくも大きいものであった。

 鈴原トウジと第2期適格者(セカンドステージ・チルドレン)

 或いは碇ゲンドウを筆頭とするNERVの大人たち。

 誰もが固唾を呑んで状況を見守っている。

 と、第18使徒が呵々大笑とばかりの大声を、雌雄両方の頭から上げた。

 

― ははははははははは ―

 

 それまでの焦りの色が浮かんでいた表情から一転している。

 

― どうした力尽きたか! 抵抗は出来なくなったか! ―

 

 神を自称するが、そこにはある種の人間(サンシタ)臭さがあった。

 大地を揺るがす程の哄笑であろうとも、シンジは恐れない。

 自分自身への自負と自信、そして背負っている相方を信じているからだ。

 だから、弱い狗ほどよく吠えるものだと唇を歪めて嗤うのだ。

 

― ならば死ぬ時が来たのだ ―

 

 第18使徒の言葉と共に、空一杯に広がった使徒/エヴァンゲリオン擬きが光を放つ。

 粒子砲の一斉射。

 それも四方八方からの面制圧射撃(MAP攻撃)だ。

 天がピンク色に染まっていく。

 

― 矮小なる人よ、神に逆らった愚か者よ、死ね! ―

 

 閃光。

 その光をシンジは目を逸らさずに真っすぐに睨みつける。

 顎を引き、だが口元には無駄な力が無く、薄く笑っている。

 ギラりとばかりに光ったその時、吠えた。

 猿叫。

 

「キェェェェェイッ!」

 

 その時、世界が割れた。

 壊れる音が響いた。

 だがそれは粒子砲によるものでは無かった。

 

― なんだと!? ―

 

 それはシンジの刀、エヴァンゲリオン初号機が袈裟懸けに振るったEW-12B(マゴロクソード・ステージ2)の、A.Tフィールドによって赤く染まった長大な刀身が空間を割った、否、破砕した音であった。

 

たあいなか(それで?)

 

 第18使徒のみならず見る者すべてが驚嘆し、驚愕する事をやってみせたエヴァンゲリオン初号機 ―― シンジであった。

 だが、当の本人はやれて当たり前とばかりの自然体であった。

 泰然自若という言葉通りの風格を漂わせたエヴァンゲリオン初号機は、赤い光の欠片を曳くEW-12B(マゴロクソード・ステージ2)天へと伸ばす(蜻蛉に構える)

 

― 貴様ぁっ、それでも人間かっ!? ―

 

 吠える第18使徒。

 シンジは笑う。

 口の端を上げて、嗤う。

 

おいがちな(僕がじゃないよ)おはんがよわかこっだけじゃっがよ(君自身が弱いだけだよ)

 

― 人間がぁっ!!!!!!!!! ―

 

 吠える第18使徒。

 そこには神を自称した際に漂わせていた格、というものは存在していなかった。

 嗤われる。

 見下されるという事が、感情を爆発させていた。

 矮小な、人にも似た感情を溢れさせたのだ。

 

― 一度防いだ程度で、驕るな!!! お前がつぶれるまで何度でも放ってやろうぞ ―

 

 使徒/エヴァンゲリオン擬きが再び発光を始める。

 全ての目がエヴァンゲリオン初号機を見ていた。

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 ゆらりとした仕草で姿勢を変えた、背筋を伸ばしたエヴァンゲリオン弐号機に。

 

 赤い光が、A.Tフィールドは奔流となって天へと登る。

 その様は偶々に第3新東京市に訪れていた民放TV局の生放送チームの手によって全世界に中継された。

 

 第18使徒が最初に出現した時点で第3新東京市に向かい、その後、第3新東京市の全域を見られる芦ノ湖の南端部分にある大観山 ―― 大観山展望台から撮影していたチームであった。

 大観山展望台は第3新東京市を一望できる場所であり、戦闘の全てを撮影できる絶好の場所であったが、そうであるが故に、乱射される粒子砲の流れ弾が近隣を焼く様なかなり危険な場所でもあった。

 その撮影の最中、第18使徒によってNERV本部ジオフロント天蓋部(第3新東京市中枢区画)が吹き飛ばされジオフロント内部が丸裸となった。

 大小様々な瓦礫が飛散し、スタッフの多くが怪我を負った。

 だが、撮影チームはこの場に居合わせた事は天命であるとばかりに確信し(狂気めいた責任感をもって)撮影を継続していたのだ。

 だからこそエヴァンゲリオン弐号機の真なる覚醒(アスカとの真なるシンクロ)を見る、撮影する事が出来たのだった。

 

 撮影カメラの、最大望遠モードで捉えられたエヴァンゲリオン弐号機。

 生中継によって世界中の耳目が集まる中、エヴァンゲリオン弐号機は機体各部から装甲 ―― 拘束装甲が剥がれ落してゆき、どこかしら女性的にも見えるスッキリとした姿となる。

 隣に立つエヴァンゲリオン初号機が男性的な風に見えるのと好対照的であった。

 

「紅いエヴァンゲリオン弐号機が! 姿を変えます!? 凄い、凄いです!!!」

 

 マイクを持った若い女性レポーターは語彙が消失したように、スゴイを連呼する。

 元より女性レポーターは報道部の人間ではなくバラエティー部、今回第3新東京市に来ていたのもNERVのお膝元の街で流行っているスイーツ探索とかいう番組の為だったのだ。

 だが、語彙は無くとも肝っ玉は据わっていた。

 飛び交う粒子砲から逃げる事も無く、泣くことも無く、悲鳴を上げることも無く、マイクを握り続けていたのだから。

 飛んできた何かの破片で顔を切っても、拭っただけで逃げる事もしなかった。

 そして今、カメラマンと共に最前の場所に陣取って、世界に状況を伝え続けているのだ。

 

「エヴァンゲリオンはっ! 人類はっ!! あんなのに負けてません!!! いけぇっエヴァンゲリオン!!!!」

 

 勢いの良い言葉が、放送を見ている人々を鼓舞するのだった。

 

 

 

 

 

『おまたせ』

 

「もう大丈夫?」

 

 通信画面越しに見るアスカの顔に曇りは無かった。

 聞くまでも無いと思いつつ、でも尋ねてしまう。

 シンジはアスカと言葉を交わしたかった。

 戦場であるとは言え、それでも言葉を交わしたいと思う程の笑顔だったのだ。

 衒いの無いアスカの笑顔。

 対して返されたのは自慢げな顔(ドヤァ顔)

 

『ん。いつでも全力で行けるわよ。そういうアンタはどうなのよ』

 

「余裕かな」

 

『でしょうね』

 

 自然体で立つエヴァンゲリオン初号機とエヴァンゲリオン弐号機。

 各々の武器、EW-12B(マゴロクソード・ステージ2)EW-18(スピアー・オブ・カシウス)も力んで構えていない。

 只、静かであった。

 だが、そこに油断が無い事は見て取れる。

 そういう姿であった。

 

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 もはや自分(第18使徒)など脅威ではないと立ち姿で示しているかのようであったからだ。

 

― 人よ! その傲慢、増長、赦しがたい!! 死ぬが良い!!! ―

 

 再びの、使徒/エヴァンゲリオン擬きによる一斉射撃。

 否、それだけではない。

 第18使徒も又、その貌 ―― 口を大きく開いて光を集めている。

 先ほどまで以上の大射撃をしようと言うのだ。

 

 再び空を染める光 ―― 大威力化して放つ際の粒子砲発射前誘導光を前に、シンジは嗤う。

 エヴァンゲリオン初号機にEW-12B(マゴロクソード・ステージ2)を振り上げさせる。

 とは言え、まとわりつくA.Tフィールドの光は小さい。

 光りは弱くはないが、光の刃は短かった。

 それは疲れなどが原因ではない。

 弱体化した等と言う訳でもない。

 只、シンジの反省によるモノであった。

 先ほどはやり過ぎた。

 空間を破砕し過ぎたけど、感覚を掴んだからもう大丈夫。

 必要な力を理解した結果であった。

 

まっこて(無駄だよ)

 

 自負の言葉。

 だが、そのエヴァンゲリオン初号機を止める手があった。

 エヴァンゲリオン弐号機、アスカだ。

 

『今度はアタシに任せなさい』

 

「いいよ」

 

 即答。

 出来るのか? 等との疑念は無い。

 アスカは出来るから言ったのだと心底から信じられるし、又、何か考えがあるのだろうと思えたからだ。

 

『あれだけのエネルギー、ただ壊すんじゃ勿体ないのよね』

 

 アスカの言葉に動かされ、EW-18(スピアー・オブ・カシウス)を持たぬ左の腕を前に突き出すエヴァンゲリオン弐号機。

 

― 無駄だ!! ―

 

 第18使徒の吠え声。

 言葉は自信満々の態であったが、シンジはそこに焦りを見た。

 アスカが何かをする前に仕掛けようという、弱さであると。

 光る。

 

 10と言わず。

 100とも言わず。

 1000すらも超える光条。

 世界を塗り替える、壊そうという光の暴力。

 だがソレを前にアスカは鼻で笑った。

 

『フンッ』

 

 そしてエヴァンゲリオン弐号機の左腕は、()()()()()()()

 

― はっ? ―

 

 第18使徒が人間臭い驚嘆を漏らす。

 正直、シンジも心底から同意したい気分だった。

 アスカが何かを出来るとはおもっていたけども、その遥か上をぶっ飛んでいかれた気分だった。

 

 そんな外野を無視して、アスカ(エヴァンゲリオン弐号機)は掴んでいた光の束を1つの玉へとまとめ上げる。

 光球。

 それは、直視すら不可能な激しい光(プラズマ)の塊。

 完全に支配したソレをゆっくりと掲げる。

 

『シンジ、アタシにA.Tフィールドを併せて』

 

「判った」

 

 シンジはアスカが何をする積りか判らない。

 だが、この心底から信用し信頼する規格外の相方が、トンでもない事をするという事だけは判った。

 だから自分の全てをアスカに委ねる決断をした。

 とは言え、その返事の速さにさしものアスカも呆れを漂わせて口を開いた。

 

『アンタ、少しは考えてる?』

 

「考えてるよ、僕だって。でも、相手がアスカだもの。だったら僕の全てを預けてもいい」

 

『…………ばーーか』

 

 悪態(照れ)を口にしたアスカは、そこから表情を変えた。

 真剣な顔になる。

 

『いくわよ』

 

「うん」

 

― させるものかっ!! ―

 

 雑音が聴こえた(第18使徒の叫び)

 だがソレを無視してシンジは動く。

 アスカが動く。

 

『遅い』

 

 エヴァンゲリオン弐号機が、光球を握りつぶした。

 光りが爆発する。

 第18使徒と使徒/エヴァンゲリオン擬きが放った粒子砲のエネルギーが、エヴァンゲリオン初号機とエヴァンゲリオン弐号機によるA.Tフィールドの重奏に誘われ世界に広がる。

 世界が白く染まっていく。

 光が広がっていく。

 だがソレが爆発の様な暴力的なモノでは無い事は、A.Tフィールドを重ねているシンジには感じ取れた。

 アスカと共に広がっていく自分自身。

 NERV本部が、第3新東京市が、日本が、そして世界の全てが手の中に入った様な万能感。

 全てが感じられた。

 全てが見えた。

 コレがA.Tフィールド、コレがアスカが見ていたモノ。

 シンジは自分がアスカと同じ所に来たことを感じた。

 A.Tフィールドを理解できたと思った。

 頷き。

 と、アスカが笑ったのが判った。

 

『ようやく気づいたのね、バカシンジ』

 

「うん」

 

 判るのだ。

 判ったのだ。

 そして、同時に、世界の異物となっている第18使徒と使徒/エヴァンゲリオン擬きの全ても判った。

 その全てが手の中にある。

 だがそれはシンジ単独でではない。

 右手の様にするシンジと共に、左手の様にするアスカ。

 2人の手の中にある。

 そんな感じをシンジはしていた。

 

『やるわよ』

 

「やろう」

 

 頷きあい。

 そして異口同音に叫ぶ。

 

『熔けろ!』

 

「熔けろ!」

 

 水音めいたナニカ。

 風船(血と糞の詰まった肉袋)が弾ける様な音が連鎖した。

 ソレは使徒/エヴァンゲリオン擬きが弾けた音であった。

 NERV本部と第3新東京市に集まっていた4桁を超える使徒/エヴァンゲリオン擬きが液体(L.C.L)へと帰った音であった。

 

― ばっ、馬鹿な。人間如きが神を、神の眷属を討ち倒すだと ―

 

 大地に堕ち、泥にまみれて足掻く第18使徒。

 もはや翼は無い。

 獣の様な姿。

 かつての力強さなど微塵も残って居ない惨めな姿であった。

 

『はっ、それはアンタが神じゃなかったって証拠でしょ』

 

 嗤うアスカ。

 シンジも又、嗤う。

 否、煽る。

 

たあいなか(結局、弱かったんだよね)

 

 2人の言葉の簡単に乗る第18使徒。

 最後の力を振り絞ったとばかりに立ち上がる。

 雌雄(AdamとLilith)が分離せぬ様にと体に回していた腕を解き、暴れようとする。

 

― 人間如きが神を倒すなど認めるものかっ!! ―

 

 咆哮。

 だが、何かをしようとするよりもシンジとアスカが先に動く。

 

「アスカ、右を」

 

『シンジは左よ』

 

 異口なれど全くの同じ事を寸毫の差も無く叫ぶ2人。

 エヴァンゲリオン初号機とエヴァンゲリオン弐号機が奔る。

 大地を蹴り、空を駆け、第18使徒へと突貫する。

 

― 死ねいっ! 死ねいっ!! ―

 

 雌雄、その両の口から粒子砲を放つ。

 被弾するエヴァンゲリオン初号機とエヴァンゲリオン弐号機。

 残っていた装甲がはじけ飛び、体液であり血液でもあるL.C.Lが血しぶきの様に舞う。

 だが、だ。

 その程度の攻撃で全身これ肝とも評される戦意の塊、NERVの誇るシンジとアスカ(エース・オブ・エース)を止められる筈がない。

 突貫が、人類の切っ先が最後の使徒たる第18使徒へと届く。

 

「キェェェェェッ!」

 

 エヴァンゲリオン初号機が持つEW-12B(マゴロクソード・ステージ2)の切っ先が(Adam)側の胸を貫き、真っ二つにする。

 

『フラァァァァッ!』

 

 エヴァンゲリオン弐号機が持つEW-18(スピアー・オブ・カシウス)の切っ先が(Lilith)側の胸を貫き、そのままに潰す。

 

 爆散。

 神を自称した第18使徒は、断末魔を上げる事すらも出来ぬままに弾け、光へと帰っていくのであった。

 世界中で歓声が上がった。

 

 

 NERV本部、葛城ミサトへと状況確認をアスカに委ねたシンジは首を回し、肩の力を抜くように動かした。

 繋がりっぱなしのエヴァンゲリオン弐号機越しに見える葛城ミサトらNERV本部スタッフたちは皆が皆、顔をくしゃくしゃにして喜んでいた。

 やり遂げた。

 そんな気分になったシンジは、インテリアの力なく身を委ねながら零す。

 

使徒んくび、とりもした(使徒を倒した、終わったんだ)

 

 口の端を歪めるだけの笑い顔。

 だがそれは、とても柔らかな笑顔だった。

 

 と、怒られた。

 怒って来た相手はアスカだ。

 

『バカシンジ、説明をアタシにだけ投げるんじゃないわよ!!』

 

「ごめんごめん」

 

『ケイジに戻すわよ』

 

「うん」

 

 

 

 胸を張り、堂々たる佇まいで凱旋するエヴァンゲリオン初号機とエヴァンゲリオン弐号機。

 それを見ていた渚カヲル(Adam)は優しく、父性を感じさせる顔で笑った。

 

「リリスの複製であるエヴァンゲリオン初号機がアダムの残滓を討ち、アダムの複製であるエヴァンゲリオン弐号機がリリスの残骸を討った」

 

『相克が為された、と』

 

 合いの手を入れるのは綾波レイ(Lilith)

 こちらは慈母めいた顔であった。

 

ヒト(リリン)は完全に自由になった。始祖民族の縛りなど無い、自由だ」

 

『そうね。リリンを縛るモノは何も無くなったわ』

 

「これからが大変だよ」

 

 星々の海に存在する他の命、始祖民族による宇宙播種計画によってまき散らされた知的生命体と接触していく事になる。

 そういう話であった。

 だが、綾波レイ(Lilith)は笑う。

 大変ではないだろう、と。

 ヒトは手を取り合って苦難に立ち向かうだろう。

 又、他の星の子らも、決して敵と決まった訳では無いのだから。

 それよりも、続ける。

 

『体力づくりが大変』

 

 綾波レイとして言う言葉。

 無論、自転車に乗る為の、アスカとシンジの自転車についていく為の、だ。

 目の前に提示された、いっそ散文的とすらも言える現実的な問題に、渚カヲルも肉体年齢相応の笑みを浮かべた。

 

「あの2人は体力のお化けだからね」

 

 と、2人の機体にも通信が入る。

 純然たる人の子の友人、鈴原トウジの乗るエヴァンゲリオン3号機からだ。

 

『何しとるんじゃ2人とも、勝利に浸っとらんでとっととケイジに戻るで』

 

 呆っと立ってた風に見えたエヴァンゲリオン4号機とエヴァンゲリオン6号機に、長男気質で周りを見る癖があったが為に声を掛けたのだった。

 

「ありがとう。今いくよ。レイ?」

 

『そうね』

 

 歩き出すエヴァンゲリオン4号機とエヴァンゲリオン6号機。

 AdamとLilithの残り香と言える2人も又、人類へと帰るのだ。

 

 

 

 時は2015年。

 かくして人類の存亡が掛かった戦は終結する事となる。

 

 

 

 

 

 




 2024年
 ご笑覧、ありがとうございました。
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